2020/12/01

モンスズメバチの巣内温度を測る【樹洞内の暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#7

▼前回の記事 
巣内の幼虫と栄養交換する夜のモンスズメバチ♀【暗視映像】

2020年8月中旬・午前1:30頃・晴れ 

赤外線デジタル温度計モンスズメバチVespa crabro)の巣内温度を測定してみました。
使い方は簡単で、引き金のようなスイッチを握ると赤いレーザーポインタが前方に光り、その地点の温度が液晶画面に表示されます。 
赤外線の暗視カメラで動画に撮りながら実演してみましょう。  
非接触式なので、スズメバチの巣のような危険物の温度も離れた位置から安全に測ることが可能です。 
この夢のような秘密兵器を6年前に欲しかったなぁ…。 
(ついでに対象物との距離も測定してくれると便利だと思います。) 

それまで樹洞内の巣盤を暗視カメラで動画撮影するために、補助照明として樹洞の底に赤外線投光器を2台設置していました。 
細かいことを言うと、この投光器の発熱で樹洞内の気温がわずかに上昇したかもしれませんが、誤差の範囲内でしょう。 
この赤外線投光器を撤去してから温度測定しました。 
桜の幹をワラジムシが徘徊していました。 

測定結果: 
樹洞(巣門付近)の内壁の表面温度は24.7℃。 
樹洞入り口の上部を塞いでいた外皮が破れた箇所の奥の温度は24.5℃。 
いよいよ肝心のモンスズメバチの巣盤内で育房の温度は25.1℃。 
(ビデオカメラで巣盤にズームインすると、温度計の液晶画面にピントが合わなくなってしまいました。) 

樹洞内の巣内温度は外気温とほとんど変わりませんでした。
昆虫は基本的に変温動物ですが、多数の個体が密集して暮らす蜂の巣は断熱材で作られていることもあり、自身の呼吸熱で少しだけ暖かくなるようです。 
熱帯夜ではなく気温が30℃よりも低いので、モンスズメバチが扇風行動で巣を冷却する必要はありません。 
実際に、扇風行動はしていませんでした。 
反省としては、この赤外線温度計は物体の表面温度しか測れないので、外気温を測る普通の温度計は別に持参すべきでした。


庭で餌を探す早春のカワラヒワ♂(野鳥)

 

2020年3月中旬・午後12:55頃・晴れ
▼前回の記事 
落ち葉をめくって虫を探す早春のシジュウカラ♀♂(野鳥)
民家の庭でマンサクの花が満開に咲いていたので私が足を止めると、カワラヒワ♂(Carduelis sinica)が餌を探しながら落ち葉に覆われた庭の地面を徘徊していました。 
嘴に何か種子を咥えて口の中で転がしてるようです。 
撮り始めるとすぐに私を警戒し、物陰に隠れてしまいました。 
手前に見える常緑樹はおそらくビワの幼木で、他の庭木は落葉樹です。


2020/11/30

コウヤツリアブ♀の産卵飛翔【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年8月中旬・午前10:25頃・晴れ
▼前回の記事 
軒下で寄主の巣穴を探し回るハラアカヤドリハキリバチ♀
郊外にある木造平屋建ての民家の軒下でコウヤツリアブ♀ (Anthrax aygulus)がホバリング(停空飛翔)していました。 
木の梁のあちこちに小さな虫食い穴が開いています。 
そこに借坑性の蜂(ドロバチ類やオオハキリバチなど)が営巣しているようです。 
労働寄生種であるコウヤツリアブ♀は、寄主の巣穴に産卵するため飛来したのです。 
寄主の巣口の手前でホバリングしながらときどき腹端をチョンチョンと標的に触れて(?)繰り返し産卵しています。 

コウヤツリアブ♀の産卵行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:52〜) 
腹端の白い部分がホバリング中にヒラヒラしている(ように見える)のが気になりますが、どういうことかよく分かりません。 
コウヤツリアブ♀は停飛しながら寄主の巣口を何度も覗き込み、狙いを定めると腹端を振り子のように大きく前方に振って卵を勢い良く射出していました。 
着陸してじっくり産卵した方が体力の消耗もはるかに少ないはずなのに、ホバリングの名手は産卵中もホバリングを止めません。 

ようやく産卵が一段落すると、板壁に止まって小休止。 
寄主の巣穴や材の割れ目が見えない位置に止まったので、次に卵を産む標的をじっくり調べているのではなく、ただの休息だと思います。 
すぐにまた飛び立つと、次の寄主の巣穴に対してホバリング産卵を再開しました。 

同定用にストロボ写真も撮りたかったのですが、動画撮影を優先していたら寄生ツリアブに逃げられてしまいました。 
動画のスナップショットだけでもなんとか翅の黒い斑紋の特徴からコウヤツリアブ♀と同定することができました。 

労働寄生者(寄生ツリアブやハラアカヤドリハキリバチ♀)が軒下で狼藉を働いている間に、寄主の蜂は一度も戻って来ませんでした。 
したがって寄主の正体は不明です。

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