2019年4月上旬・午後18:18〜18:28(日の入り時刻は午後18:07)
▼前回の記事(2018年11月下旬に撮影)
初冬に塒の街路樹を変更したハクセキレイの群れ(後編)常緑樹シラカシに塒入り【冬の野鳥】
雪が降る冬の間、定点観察していた集団塒の街路樹にハクセキレイ(Motacilla alba lugens)が来なくなってしまいました。
厳冬期に一体どこで過ごしているのか、謎です。
雪国のハクセキレイは留鳥ではなく、実は漂鳥なのではないかと疑うようになりました。
春になると再びハクセキレイが戻ってきてくれました。
しかし夏季に集団塒として利用されるイチョウ並木は未だ落葉したままで丸裸です。
昨年11月下旬に最後に見た時と同じく、隣の常緑樹シラカシに塒入りするのでしょうか?
前回の反省を活かし、今回は初めから落日に対して順光のアングルで狙います。
映像としてはほぼ前回と同じ行動の繰り返し(就塒前集合からの集団就塒)なのですけど、前回(11月下旬)に塒入りしたシラカシから10mぐらい離れた別のシラカシ街路樹に塒入りした点が異なります。
歩道沿いのシラカシ街路樹ではなく、駐車場の隅に植栽され最も大きく育った常緑樹シラカシに塒入りしました。
それに合わせるように、就塒前集合の場所も、大通りに面した某施設の屋上から近所の喫茶店の屋上や周囲の電柱・電線に移ってきていました。
撮影の合間に気温を測ると、午後18:26に12.6℃、湿度44%。
似たような季節消長のパターンは別な場所の集団塒でも以前観察しています。
春に戻ってきたハクセキレイの群れが電柱に塒入りし、近くのケヤキ並木の葉が茂る時期になるとそちらに塒を移動していました。
初冬に集団塒のケヤキが落葉すると、いつの間にかハクセキレイはその塒から姿を消しました。
どうやらハクセキレイの群れは毎晩の塒をある程度は臨機応変に選んでいるようです。
塒をどういう基準でどうやって選んでいるのか(合議制? リーダーの存在?)、というのも興味深い問題です。
※ 実際はもっとどんよりと薄暗く青空ではないのですが、ハクセキレイの性別を見わけるため編集時に彩度を少し上げています。
2019年4月下旬
街中の民家の庭に植栽されたボケ(木瓜)の花が満開に咲き乱れていました。
そこへコムクドリ(Sturnus philippensis)の♀♂番が飛来して、花蜜を舐め始めました。
初めは警戒心が強くて辺りの様子を伺ったり枝葉の茂みに隠れたりしていました。
私が路地のブロック塀の陰からこっそり隠し撮りしたら、特に♂が少しずつ大胆になり、通りに面した枝で吸蜜してくれるようになりました。
その一方で♀の方は最後まで用心深く、吸蜜シーンをしっかり見せてくれませんでした。
白い花にも赤い花にも分け隔てなく訪れて吸蜜しています。
ボケの花は浅いので、コムクドリの嘴が容易に蜜腺に届きます。
盗蜜行動をする必要はなく、正当訪花で吸蜜しています。
最後にコムクドリの♀♂番がボケの木から飛び去る瞬間を1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。(@2:34〜)
右に居た♂が先に飛び立ち、左の♀が後に続いて飛び去りました。
つづく→電線で羽繕いするコムクドリ♂(野鳥)
この春、私が個人的に最も心躍り、嬉しかった出会いでした。
コムクドリが来るのなら、甘党で花蜜を好むヒヨドリやメジロも木瓜に訪花しそうだと予想できます。
後日に現場を再訪し、ボケの花を嗅いでも無臭であることを確認しました。
これは鳥媒花の特徴の一つです。
ミツバチなどの訪花昆虫は来ていませんでした。
このような植物の花は、赤いものが約80パーセントを占める。花には模様が無いものが多く、鳥が止まりやすいよう、花器は固くなっている。 虫媒花の植物に比べ花期が長く、匂いがほとんど無い。これは鳥の嗅覚が鈍いためである。 蜜は大量に出し、味は割合薄くなっている。 また、ほとんどが昼に花を咲かす。(wikipedia:鳥媒花より引用)
これらの特徴は、ボケの花に尽く当てはまります。
ウメと同じくボケの花は未だ気温が低い早春に咲くので、蜂など昆虫による送粉活動はあまり期待できません。
ちなみに梅も鳥媒花です。
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秋にボケの実がなったら写真を撮って掲載する予定です。
ボケの果実酒やジャムでも作るのか、果実が全て収穫されてしまい、残念ながら実の写真を撮れませんでした…。(他人様の庭木なので文句は言えません。)
同じ庭で木瓜の左横で満開に咲いている黄色い花はレンギョウです。
今回コムクドリ♀♂は、レンギョウの花には全く興味を示さず、ボケの花に夢中でした。
レンギョウの花は虫媒花だと思いますが、昆虫が訪花している証拠映像は未だ撮れていません。
【追記】
田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』によると、
ザクロやボケの花は鳥媒花。ともに花粉の媒介を鳥に依存している花だが、蜜を入れた筒の部分が厚く堅い。(盗蜜対策)このように厚い壁を作るにはそれなりの資源が必要だが、ザクロやボケの場合は、花の咲き終わった後も実を守る壁になるので、資源の無駄遣いにはならない。 (p139より引用)
【追記2】
吉川徹朗『揺れうごく鳥と樹々のつながり (フィールドの生物学 25)』によると、
鳥媒花は複数の植物系統で独立に、ハチ媒花から進化したものと考えられている。 (p135より引用)
同書では更に、ツグミやムクドリの仲間など、液果をよく食べるにもかかわらず、花蜜をほとんど利用しない鳥がいるのはなぜか?という疑問に対して、海外の研究論文を引用して説明しています。
鳥の消化生理メカニズムは系統によって大きく異なり、ショ糖(スクロース)を分解するための酵素(スクラーゼ)の有無や働きに大きなちがいがみられるという。ショ糖は糖分の一種で、花蜜の主成分だが、果実の多くには含まれていない。そしてツグミ科とムクドリ科、ヒタキ科、(中略)の消化器には、このスクラーゼが欠落している。(中略)これらの鳥はショ糖を分解できず、それを摂るとお腹をこわすという報告もある。 (p163より引用)
したがって、ムクドリ科のコムクドリがボケの花蜜を吸うという私の観察結果は、定説から外れていることになります。
日本産のコムクドリでスクラーゼの有無を調べてみる価値はありそうです。
【追記3】
翌年の春も同じボケの木を見に行ったところ、なんと蜂が訪花していました。
鳥媒・虫媒の問題はそれほど単純に割り切れないのかもしれません。
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【追記4】
日本では、鳥媒の花の多くは、昆虫がまだ多くない冬から早春にかけて咲きます。これは、花蜜食に特化しているわけではない(細長い嘴をもたない)鳥でも採餌出来る形態の花が春から秋にかけて咲けば、昆虫に花蜜を盗られてしまうからかもしれません。(p82より引用)
鳥媒の植物は、熱帯を中心とした温暖な地域に多く見られ、寒冷な地域ではまれです。この原因のひとつは、花蜜を主食にする鳥は年間を通じて花蜜を必要とするため、年間を通じて花が咲く地域でないと定住できないためです。(p83より引用)
鳥媒が 熱帯に多いのは、鳥は昆虫たちに比べて体が大きいため、多量の花蜜を必要とするからでもあります。一般に暖かいほうが植物の光合成速度は早くなります。(p83より)
鳥媒花の多くは鮮やかな赤色をしていますが、これはまさに、鳥には目立ち、昆虫には目立たない色が、ヒトの目で見た「赤」であるからと考えられています。(中略)多くの昆虫は、ヒトが鮮やかな赤として認識している物体を、その物体が紫外線を反射していない限り、明度の低い、暗い色の物体としてしか認知できません。(p84より引用)
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| コムクドリ♂(野鳥)@ボケ訪花吸蜜 |
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| コムクドリ♂(野鳥)@ボケ訪花吸蜜 |
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| コムクドリ♂(野鳥)@ボケ訪花吸蜜 |
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| コムクドリ♂(野鳥)@ボケ訪花 |
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| ボケ花(赤+白) |
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| ボケ花(赤+白)+左にレンギョウ花 |