ノシメマダラメイガの飼育記録#21
2015年6月下旬
ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)成虫が1頭、飼育容器の壁面にへばり付いて死んでいます。
その死骸の傍らに居る幼虫が気になりました。
分散移動の途中にたまたま死骸に遭遇して立ち往生しているのではなく、やけに死骸へ執着しています。
気になって観察していると、死骸を掴んで(噛んで?)保持しながら後退して引き寄せました。
翅を根本から食いちぎろうとしているようです。
もちろん幼虫が生きた成虫を捕食したのではなく、成虫は寿命で死んだのでしょう。
死骸なので共食いや親殺しではありません。
幼虫の餌として与えた穀物やチョコレートだけでは物足りず、屍肉を食べてタンパク質を補給しているのでしょうか?(scavenger)
※ プラスチック容器越しに撮った前半のみ自動色調補正を施してあります。
容器越しの撮影ではまどろっこしいので、容器の蓋を開けて直接接写することにしました。
辺りは死骸の鱗粉が散乱していました。
斜めに見下ろすアングルのため、肝心の幼虫の口元が残念ながらよく見えません。
先日、終齢幼虫が営繭する初めの段階で周囲から様々なゴミを集めては糸で綴って繭を強化する様子を観察しました。
その際に近くにあった成虫の死骸を引き寄せて解体していました。
親のバラバラ死体を巣材に再利用するという猟奇的な習性に震撼しました。
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ゴミを綴り繭を紡ぐノシメマダラメイガ(蛾)終齢幼虫【微速度撮影】
今回も似たような行動なのだろうと予測がつきました。
案の定、後日この場所で(おそらく同一個体が)繭を紡ぎました。
幼虫がゴミ資源(死骸)のすぐ近くを選んで営繭することが興味深く思いました。
この繭は中の蛹が透けて見えるので、成虫が羽化するまで観察を続けることにしました。
つづく→#22:蛹と幼虫の兄弟喧嘩
2015年7月上旬
堤防の草むらに咲いたクサフジの群落でクロマルハナバチ(Bombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
吸蜜している蜂の後脚を見ると、花粉籠に白い小さな花粉団子を付けています。
同一個体を撮影。
2015年6月中旬・夜20:30頃
道端の草むらで2匹の蛍が発光しています。
暗闇で光る蛍にピントを合わせるのは、私のビデオカメラでは無理です。
光りながら互いに飛んで接近したようです。
赤外線の暗視映像に撮ってみると、ようやく状況が分かるようになりました。
初めは少し離れ、ヨモギの葉に止まっています。
左がゲンジボタル(Luciola cruciata)♀で右が♂と後に判明します。
なぜか♂のほうが大型です。(普通は♀>♂)
♀に尻を向けていた♂が急に飛び立ち、♀の下に移動しました。
風に流されるほどの強風は吹いていなかったのに、どうしてそちらに飛んだのか謎です。
光りながら♀に接近する♂に♀も気づいて互いに歩き回ります。
途中で接触したのにすれ違いました。
やがて2匹とも初めと同じ場所に戻ってしまいました。
やがて再び右の♂が飛び立ち、光りながら♀の下から接近すると、背後からマウントしました。
ところが交尾には至らなかったらしく、すぐに別れてしまいました。
体長が不釣り合い(♂>♀)だったせいでしょうか?
♀が逃げ出しました。
白色LEDを点灯すると、胸背の斑紋からゲンジボタルと判明しました。
驚いたことに、眩しい照明下でも発光しながら再びマウントしました。
慌てて暗視モードに戻すと交尾器の結合が外れ、互いに光りながら歩き去りました。
♂の交尾器が伸びて見えたのが生々しかったです。
暗視モードに戻すと葉表に戻った♂が再び♀の背後から近づくも、マウントせずに歩き去りました。
最後は隣りの葉に並んで止まりました。
その間、奥の草むらでも別個体が光っていました。
ホタルの観察は今季から始めたばかりなので、何をしているのかよく分かりません。
家に帰ってホタルの本で復習すると、今回私が観察したのは交尾未遂だったようです。
撮影直後にペアを採集してホタルの種類と性別をしっかり見分けなかったのは痛恨のミスでした。
てっきり♀だと思っていた小型の個体も映像をよく見直すと腹部2節が光っていたので、小型の♂のような気がしてきました。
だとすれば同性愛のような行動になりますが、もしかすると♂同士の争いだったのかもしれません。
小型の♂がスニーカー戦略で♀のふりをしていて、その結果として大型の♂が誤認交尾したとしたら、非常に面白いのですが…。
『カラー自然シリーズ46:ホタルのくらし』p10によると、
相手が♀だと分かってから、強い光を何度も激しく発光するのは、明らかに自分の存在を相手に知らせようとする信号です。言い換えれば、「光による言葉」です。
ぴかぴか…と5回ぐらい連続して、何度か光る様子は、写真を撮るときのフラッシュのようなので、「フラッシュ発光」と呼ばれます。
ホタルの成虫は、♀1匹に対して、♂が3匹ぐらいの割合です。ですから、♂は、少ない♀を一生懸命探さなければなりません。
やっと♀に巡り会えた♂は、フラッシュ発光でプロポーズしますが、そのとき♀からも、強い光の答えがないと近づけないのです。1回、ぴかーっと♀が光ると、♂は、すぐに歩いて行って交尾します。すると、両方とも光は弱くなり、かすかに光るだけになります。交尾は、次の日の朝まで続きます。
『科学のアルバム:ホタル 光のひみつ』p9によると、ゲンジボタルは
交尾の間も、弱くずっと光り続けています。
『日本の昆虫12:ゲンジボタル』によれば、
♂の放つ光に別の♂がアプローチすることもあり、非常にまぎらわしい。♂が♂に接近したときには、しばらく相互に発光してからどちらかの個体が飛び去る。(p48)
♂は♀にマウントし、交尾する。その後、♂は♀の背から降りて反対向きの体勢となる。この交尾体勢はゲンジボタルが含まれるLuciola属の大きな特徴といえる。(中略)交尾時間は数時間にわたることがある、かなり長い。(p53-54)