2026年4月下旬・午前11:45頃・くもり
二次林の林縁で小川の横に咲いたタネツケバナに訪花している小さな昆虫がいました。
腹部が細長いので、てっきりコンボウヤセバチの仲間だと思って撮影したのですが、映像を見直すと蜂(膜翅目)ではなくハナアブの仲間(双翅目)でした。
細長い腹部をゆっくり上下に動かしながら、花蜜や花粉を舐めています。
ハナアブが飛び去った後は、レンズを近づけてタネツケバナの花序や葉を接写しました。
いつもお世話になっている「ハナアブの世界」サイトで調べると、Bacchini (コシボソハナアブ族)のようです。
さらにAllobaccha (ツマグロコシボソハナアブ属)とBaccha (コシボソハナアブ属)に細分化されるようですが、標本を精査して見比べないと私にはわかりません。
「ツマグロ」かどうかは、おそらく翅の先端に黒紋の有無で区別するのでしょう。
今回は側面から撮ったので、素人目にははっきりしませんでした。
(背側から見下ろして接写したかったです。)
最近手に入れた『ハナアブハンドブック』でも早速調べてみました。(p20〜21)
成虫発生時期の情報を信頼すれば、4月下旬に撮れた個体はAllobacchaではなくBaccha属のようです。
つまり候補としては、マダラコシボソハナアブ(Baccha maculata、5〜10月)またはムモンコシボソハナアブ(Baccha laphrieformis、4〜10月)となります。
さらに別属Episyrphusにも似た体型の種類がいるらしいのですが、発生時期が7〜8月と遅いので除外しました。(p59)
【考察】
現場で私が騙されたように、コシボソハナアブはコンボウヤセバチと似ています。
しかし、ベーツ型擬態とは言えないと私は考えます。
なぜなら、擬態のモデルと想定されるコンボウヤセバチはフィールドでは数が少なくレアな寄生蜂なので、捕食を試みて痛い目に遭う(刺される)経験をする捕食者がほとんどいないはずだからです。
したがって、擬態者のコシボソハナアブが捕食を免れて、より一層モデルに似てくるように進化することは期待できないでしょう。
つまり、ベーツ擬態では説明できず、「他人の空似」に過ぎないと私は思います。
もっと漠然と、「なんか蜂っぽい体型だな…」と鳥が思って忌避する(捕食を思いとどまる)可能性はありそうです。
いずれにせよ、個々の事例を実験で確かめないで安易にベーツ擬態と決めつけたがる風潮には問題があります。
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