2022年8月下旬
里山の林道にある水溜り(ヌタ場?)をトレイルカメラで見下ろすように監視していると、深夜に野ネズミが登場しました。
林道脇の斜面(法面)から若いシナノキがヌタ場に張り出すように湾曲しながら伸びています。
これは豪雪地帯の斜面に生えた樹木に特有の樹形(成長様式)です。
実生や幼木の時期に深い雪に埋もれてしまうと、その重い雪の層が重力に従って斜面をずり落ちるために、幼木は斜面に沿って谷側に倒伏してしまいます。
雪解けまで耐えた個体がようやく幹を上方に伸ばすことができるのです。
幹がしっかり太くなるまで、積雪による強烈な変形荷重が毎年冬になると繰り返されます。
その結果、根元付近の下部では幹が強く湾曲します。
そのような不格好な樹形になるのを避けるには、庭木のように補強材で冬囲いして幼木を1本ずつ守るか、ある程度まっすぐに太く育った苗木を山に植えるしかありません。
画角の外に見切れてしまっていますが、このシナノキ灌木は湾曲のロスを取り返すように結構な樹高があります。(3m以上?)
シーン1:8/25・午後23:00頃
状況説明が長くなりましたが、その若いシナノキのグィーンと曲がった細い幹を野ネズミが駆け下りてきました。
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。
逆に木登りの様子が記録されていなかったのは残念です。
これまで私は野ネズミの種類を外見で見分けられませんでしたが、これほど木登りが上手なのは、アカネズミではなくヒメネズミ(Apodemus argenteus)です。
シーン2:8/26・午前1:20頃 (@0:25〜)
約2時間25分後、自動撮影カメラが再び起動すると、細かい雨が斜めに降り注いでいました。
体の小さな野ネズミは雨に濡れたら夏でもすぐに低体温症になりそうな気がするのですが、平気で活動しています。
おそらく毛皮の撥水性が高くて雨水をよく弾くのでしょう。
雨夜の暗闇で餌を探し回るヒメネズミは若いシナノキの根元に移動し、手前の死角に消えました。