2022/04/19

眼下腺マーキングのため雪山の杉林に通うニホンカモシカ【トレイルカメラ】

前回の記事:▶ 杉林の林道を深夜に歩くニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

2022年1月上旬〜下旬 

雪山の杉林に設置したトレイルカメラで林道を往来する野生動物を監視していると、ニホンカモシカCapricornis crispus)が繰り返し何度も登場しました。 
1月の記録をまとめました。

シーン1:1/9・午前10:01・晴れ 
雪深い林道をカモシカが右から左へ横切りました。 
登場シーンが記録されていないのは残念です。 
晴れていますが、冠雪したスギ林からチラチラと落雪しています。 


シーン2:1/10・午前4:54・晴れ 
翌日の夜明け前に再びカモシカが登場しました。 
ニホンカモシカは昼も夜も活動するのです。 
スギ大木の太い幹に顔を擦り付けていました。 
角を研いでいる可能性やスギの樹皮を剥いで食べている可能性も考えられるのですが、おそらく顔にある眼下腺で縄張り宣言のためのマーキング(匂い付け)しているのでしょう。 
その後は頭を下げて雪面の匂いを嗅ぎながら右へ立ち去りました。 
雪道に深く潜らないように蹄を大きく広げて歩いていることが分かります。 

トレイルカメラで眼下腺マーキングする野生カモシカの行動を記録できたのは、これで2回目です。
関連記事(2か月前の撮影)▶ 夜にコシアブラ幼木の葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】


シーン3:1/10・午前5:11・晴れ 
約17分後、おそらく同一個体と思われるカモシカが再登場。 
深夜の縄張りパトロールで戻って来たのでしょう。 
先程匂い付けしたスギの幹の匂いを嗅いだだけで、今回は顔を擦り付けませんでした。 
今回も左から右へ立ち去りました。 


シーン4:1/23・午後23.34・晴れ 
約2週間後の深夜、久しぶりにカモシカが撮れていました。 
縄張りの巡回ルートが決まっているのか、今回も左から登場しました。 
立ち止まって、お気に入りのスギ大木の幹の匂いを嗅いでいます。 

トレイルカメラが夜に起動すると、1対の赤外線LEDが暗闇で赤い目のように光ります。 
野生動物に赤外線は見えていないという謳い文句のはずなのに、どうやらカモシカはトレイルカメラの存在に気づいたようです。 
カメラの起動時にカチッとかすかな物音がするのも神経質な野生動物は気になるのかもしれません。
横目でカメラを見ながらカモシカはしばらくその場に立ちすくみました。(アオの寒立ち?) 
久しぶりなのに今回はスギの幹に眼下腺マーキングせずに、そのまま右へ立ち去りました。 




シーン5:1/26・午後14:20・晴れ 
3日後の昼間にまたカモシカが横切りました。 
珍しくいつもとは逆コースで、右から左へ通過しました。 
林道の奥の下り斜面をトラバースしています。 
スギ並木の奥を通り眼下腺マーキングもしなかったので、カメラの起動が遅れたのでしょう。 



1/23以降、カモシカはすっかりトレイルカメラを怖がってしまったようで、この林道をまともに通らなくなってしまいました。 
厳冬期に大雪が積もると林道の雪面に対してトレイルカメラの高さが低くなり、野生動物の目線に対してどうしても目立ってしまうのです。 
後日、カメラの電池交換のため現地入りした際にカモシカの足跡を辿ると、カメラが監視する区画を避けるようにわざわざ迂回していました。 

厳冬期の雪山でもトレイルカメラをなんとか運用することが可能でした。 
根雪が降る前から、林道を挟んで反対側の杉並木の幹にトレイルカメラを固定していました。
悪戯や盗難防止のため、念の為にワイヤーロックをかけました。 
そのとき深く考えずに鍵穴を上向きにしてしまったせいで、鍵穴に雪が詰まって凍結してしまい、春になるまで解錠できなくなってしまいました。 
そういう訳で、積雪量が増えるに伴いカメラの位置を上にずらしたくても出来なくなったのです。 
こういう細かなノウハウは実際に自分でやってみないと分からないものです。 
教訓としては、ワイヤーロックの鍵穴を必ず下向きにして、できればアルミホイルやサランラップで包んで濡らさないようにする必要がありそうです。 

低温になるとトレイルカメラの電池の消耗が激しくなる(電圧が下がる?)のも問題です。
寒冷地撮影のためカメラを温めるヒーター(電熱線)を一緒に使いたいところですが、それにも別の大容量バッテリーが必要なので切りがありません。
ソーラーパネルからトレイルカメラに給電する手もありますけど、例えばここ雪山の杉林では充分な日照を確保できそうにありません。



2022/04/18

雪深い夜の河畔林で跳ねるニホンノウサギ【暗視映像:トレイルカメラ】

 

2022年1月上旬

トレイルカメラで監視している平地の河畔林でニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が現れました。 

シーン1:1/2・午前0:36・小雪 
まず最初に新鮮な足跡だけ撮れました。 
無人センサーカメラの起動が間に合わず、ノウサギが通り過ぎた直後なのでしょう。 
小雪がちらつく深夜に、赤外線の暗視映像でも雪面で雪の結晶が点々と輝いています。 

シーン2:1/7・午前2:08・小雪 
今回はニホンノウサギがカメラの正面で立ち止まってくれたおかげで、決定的な証拠映像が撮れました。 
ノウサギは夜行性です。
冬毛は純白で、耳の先だけが黒くなっています。 
雪の下に埋もれたタヌキの溜め糞の匂いには興味を示しませんでした。 
5日前とほぼ同じコースを辿り、ニセアカシア立木の間をすり抜けるようにピョンピョンとゆっくり跳ねて左奥へ立ち去りました。 
小雪がちらつき、雪面の雪質は湿雪のようです。 



2022/04/17

雪国の河畔林でタヌキからクリスマス・プレゼント【暗視映像:トレイルカメラ】

 



2021年12月下旬 

平地の川沿いのニセアカシア林でタヌキの溜め糞rvをトレイルカメラで監視している記録の続きです。 
クリスマスの時期に3夜連続でタヌキが現れました。


シーン1:12/22・午後22:49 
一度は積もった雪がだいぶ溶けて、立木の根元では地面が露出しています。 
ニセアカシア立木の奥をホンドタヌキNyctereutes  viverrinus)が単独で左に横切りました。 
雪に埋もれた溜め糞場を素通りしたかと思いきや、回り込んで画面の左下隅から再登場。 
溜め糞場の様子を匂いでチェックしてから、右へ立ち去りました。
結局、この日は脱糞しませんでした。


シーン2:12/23・午前2:42 
4時間後にタヌキが再登場。 
同一個体が戻ってきたのか、別個体なのか、識別できていません。 
風がやや強く、小雪が降ると横殴りの軽い吹雪になっています。 
ホンドタヌキは残雪に埋もれた溜め糞を前脚で引っ掻いて少し堀り返すと、匂いを嗅ぎました。 
すぐ横の雪面に別の溜め糞が露出しているのに、なぜかそちらには興味を示しませんでした。 
雪を少し掘った穴に跨って排便開始。 
排泄中にキョロキョロと辺りを見渡すタヌキはトレイルカメラを不思議そうに見上げました。 
タヌキが左に立ち去った後、雪面には新しい固形の糞が少量残されていました。 

その日の晩はみぞれのような雪が降り続き、シャーベット状の湿雪で新旧の溜め糞が少し埋もれました。(映像は割愛) 


シーン3:12/24・午後20:13 
翌日の昼間は気温が上がったようで、溜め糞場の雪が更に溶けていました。 
晩に来たタヌキが左の溜め糞に跨り、奥を向いて排便中でした。 
小さな丸い固形糞がコロンと雪面に転がり落ちました。 
振り返ってカメラ目線をくれました。 
立木の奥に向かう途中で、露出した溜め糞(凍結状態?)をうっかり(?)右後足で踏んでしまいました。
不潔だという意識があまりないのでしょうか。 
我々ヒトにはちょっと理解し難いところです。 
立木の裏で立ち止まると、身震いしてから右へ向かいました(川沿いを上流へ)。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 

ちなみに12/29に現場入りしてカメラの電池を交換したときには、溜め糞場は新雪(根雪)ですっかり覆われていました。 



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