2021/05/26

雪山を逃げる疥癬症のホンドギツネ

 

2021年3月上旬・午後12:15および14:45・晴れ 

スノーシューを履いた私が里山を散策していると、スギの木陰に潜んでいた野生動物が私の接近に気づいて逃げ出しました。 
立ち止まってこちらを振り返っている姿にズームインしてみると、ホンドギツネVulpes vulpes japonica)でした。 
やはりこの雪山にはキツネが生息していたのです。
▼関連記事(6週間前の撮影) 
ホンドギツネが雪山に残したフィールドサイン(足跡いろいろ・糞・小便跡など)
手前にある灌木のせいで肝心のキツネにピントが合っていませんが(前ピン)、この個体は全身の毛並みが悪く、特に尻尾はほぼ無毛で針金のようです。 
どうやら疥癬(ヒゼンダニの寄生による皮膚感染症)に罹患しているようです。
あまりの痒さに自分で患部を掻き毟って毛が抜けてしまうのだそうです。 

キツネは身震いしてから雪道を走り去りました。 
雪面に残る新しい足跡を辿って追跡してみましょう。 
「アニマルトラッキング」の本に書いてあったように、キツネの足跡は確かに一直線状でした。
(深雪では2本線で足跡が残るのか、というのが目下、私の知りたい疑問です。) 

少し進むと、キツネが立ち止まって排尿した跡が雪面に残っていました。 
ザラメ雪がキツネの黄色い尿で溶けています。 
縄張り内を匂い付けでマーキングしているのでしょう。 
小便跡に鼻を近づけて嗅いだ訳ではありませんが、通り過ぎても私は特に何も匂い(キツネ臭)を感じませんでした。 

疥癬キツネの足跡を追って、深い谷を右に見下ろしながら雪山の斜面を慎重にトラバースして行きます。 
しばらくすると、キツネの足跡を見失ってしまいました。 
春が近づき最近は新雪が積もりません。 
晩冬の雪質だと、どうしてもアニマルトラッキングが難しくなります。 

雪山を散策した私が2.5時間後にキツネ遭遇現場に逆方向から戻って来ると、同じスギの木からまたもやキツネが飛び出しました。 
尻尾がガリガリで毛並みが悪いので、往路で見た同一個体で間違いないでしょう。 
疥癬ホンドギツネは今度は山側へ走り去りました。 
疲れていた私は、再びキツネの足跡をトラッキングし直す余力はありませんでした。 

キツネが執着していた杉の木に近づいてみると、その根元付近だけ雪が溶けて地面が露出していました。 
近くにキツネの巣穴があるのか?と思って周囲を探し回ってみたものの、見つかりませんでした。 
ホンドギツネの繁殖期は冬(12月から2月)なのだそうです。 
この個体が独身かどうか分かりませんが、つがいのパートナーや生まれた幼獣も感染させてしまう厄介な病気です。

実は、現場から少し下った山麓の集落で疥癬症に罹患した野生タヌキを目撃したことがあります。
▼関連記事(5年前の撮影) 
雪国で疥癬タヌキの散歩を追跡すると…【前編】 
雪国で疥癬タヌキの散歩を追跡すると…【後編】
こんなド田舎で飼い犬をわざわざ運動させに来る施設が近くにあるので(冬季閉鎖)、飼い犬にも野生のイヌ科動物(キツネ、タヌキ)にも互いにヒゼンダニが感染するリスクがありそうです。 

2021/05/25

雪山の谷筋で出会ったカケス(冬の野鳥)

 

2021年3月上旬・午後12:20頃・晴れ 

スノーシュー(西洋かんじき)を履いた私が雪山に残るホンドギツネの足跡を辿っていると、カケスGarrulus glandarius)を見つけました。 
谷を挟んで反対側の斜面のスギ(杉)の倒木に止まってキョロキョロ辺りを見回しています。 
ときどき頭部の冠羽を逆立てているのは緊張の現れなのかな? 
やがてスギ倒木から左(沢の上流)に向って少し飛ぶと、落葉灌木(樹種不明)の枝に止まり直しました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
再び飛んで沢の上流へ移動しました。 
沢沿いでも日当たりの良い所は雪解けが進んで部分的に土が露出しています。 

今度は倒木から近くの落葉樹(樹種不明)に巻き付く太い蔓植物(左巻きなのでフジ(藤))に移動しました。 
その蔓に沿ってピョンピョンと上に登って行きました。 
カメラをズームアウトすると、斜面のあちこちに生えた落葉灌木の根元の雪が溶けて土が見えていました。 

実は近くに別個体のカケスがもう1羽居て、逆方向(沢の下流)へ飛び去りました。
残念ながら、そちらは撮り損ねました。 
おそらく♀♂つがいの縄張りなのでしょう。 

カケスと言えば野鳥の中でも警戒心が非常に強く、フィールドで見つけてもカメラを向けただけでジェージェー♪とだみ声の警戒声を発してすぐに逃げてしまいます。 
ブラインドを使って隠し撮りしないと無理なのかと半ば諦めていました。 
カケスをこれだけ近くから長時間撮れたのは珍しく、私も興奮しました。 
今回のカケスは警戒声♪を全く発しなかったのも異例です。 
私が全身着用していた冬用の迷彩服が効果を発揮したのかもしれません。 
もしかすると、この個体は冬に雪山を登りに来る物好きなヒトを見たことがなくて、警戒心が薄かった(好奇心が勝った)のでしょうか?

ハンノキの雄花序から飛散する花粉(風媒花)【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年3月上旬・午前11:10頃・晴れ 

春が近づき、農地を囲む防風林のハンノキに花が咲いていました。 
ハンノキは風媒花なのであまり目立ちませんが、枝先に付いた細長い赤紫色の雄花序に黄色い花粉を吹いています。 
春風に乗ってハンノキの花粉が自然に飛ぶ様子を動画で記録したかったのですが、この日は快晴でほぼ無風でした。 
指先で枝先を軽く叩いて雄花序を揺らすと、春のそよ風に乗って花粉が飛散しました。 
ハンノキの雄花序から花粉が飛散する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:48〜) 

周囲の農地は未だ残雪に覆われていて、日陰の池には薄氷が張っています。 
早春の林床に咲く草花はスプリングエフェメラルと呼ばれますが、ハンノキの花はそれよりも早くひっそりと咲くのですね。
ハンノキの若葉が芽吹くのはその後です。

田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』という本によると、
風媒花をつける樹木(ハンノキなど)たちが、葉が開くまえに花を咲かせるのは、生き残るための大切な習性である。葉が広がってしまうと、花粉を運ぶ風を弱めるし、せっかく風に乗った花粉が葉についてしまい、受粉の障害物となる。それを避けるために、花は葉が開くまえに咲く。それにしてもハンノキは早い。葉が開くのは開花から二ヶ月も後なのだから。 (p226より引用)

ちなみに、ハンノキの枝先にイラガ(蛾)が羽化した後の空繭を見つけました。 
イラガの幼虫は広食性で、ハンノキの葉も食べることが分かっています。
▼関連記事(5年前の撮影) 
ハンノキで見つけたイラガ(蛾)の幼虫
動画撮影時の私は、ハンノキの雌花について勉強不足でした。 
植物図鑑で調べて雌雄同株と知りました。 
後日(3月中旬)に雪山で撮った雌花の写真を掲載しておきます。
雌花にも目立つ花弁がありません。
 

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