2026/09/19

ハシボソガラスに腹部を捕食されても虫の息で歩くカブトムシ♂

 

2026年9月上旬・午後16:20頃・晴れ 

山麓の農村部の歩道で1羽のハシボソガラスCorvus corone)が何かしていました。
私が歩いて近づいても、珍しくカラスはなかなか逃げようとしません。 
横のガードレールに一旦飛び乗ってから(名残惜しそうに)ようやく飛び去りました。 
逃げたハシボソガラスは、少し離れた外灯の支柱や送電塔の中段に留まって、私の様子をうかがっています。
カラスが居た歩道を現場検証すると、解体されたカブトムシ♂(Trypoxylus dichotomus)の死骸が歩道に仰向けで転がっていました。 
ハシボソガラスがカブトムシ♂を捕食・解体するシーンを撮影する絶好のチャンスだったのに、気づかずに撮り損ねたのが残念です。 

カブトムシ♂の頭部には前胸と右鞘翅が付いたままでした。 
脚は、左右の前脚と左の後脚だけ残っています。
立派な角は無傷でしたが、身を守る役には立たなかったようです。 
指で触れると、左右の前脚および口吻が動いたので、まだ生きていることが分かりました。 

背側の状態を見るために仰向け状態から元に戻してやると、1対の前脚だけを使ってぎこちなく歩いて前進し始めました! 
左の後脚は麻痺していました。
左前脚の跗節に力が入らないようで、路面を歩くグリップが左右非対称になっています。 
そのため、瀕死のカブトムシ♂はすぐにバランスを崩して再び横転しました。 
もがき続ける前脚が空を切ります。 
カブトムシの歩行を司る中枢神経系は胸部の腹側にあって、カラスに解体されても、ほぼ無傷だったようです。 
(ちなみに、我々ヒトを含む脊椎動物の中枢神経系は背側にあって、昆虫とは体制の背腹軸が逆になっています。) 

かなりショッキングな恐怖映像ですけど、過去にほぼ同じシーンを観察した経験があるので、冷静に撮影できました。 
今回はハシボソガラスのしわざだとはっきりしています。



カラスがカブトムシ♂を捕食する前に根元から毟り取った脚や翅(前翅と後翅)が路上に散乱していました。 
そのうち脚の1本をクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀が後ろ向きに引きずって巣穴に運び去るところでした。 

胸部からちぎり取られた腹部も路上に残されていました。 
腹部の内部組織はハシボソガラスに捕食されて空っぽでした。 
カラスはカブトムシを狩っても、腹部の肉しか食べないようです。
これは6年前の事例でも同じでした。 

もし私が現場にカメラだけを置いて離れたら、さっきのカラスが戻ってきて食べ残しのカブトムシ♂を捕食するシーンを撮れたかな?
もしもまだ食べるつもりなら、カラスは逃げる際に獲物を咥えて持ち去ったはずです。



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