A1: 日本のスズメ(Passer montanus)については、乗っ取り時に先住者の卵をどう処分するかを系統的に調べた国内研究は、確認できた範囲では見当たりません。ただし、国内の観察記録からは、卵を巣の外へ押し出す、巣内でつついて割る、といった処理は十分に考えられます。
卵の処分方法
もっとも可能性が高いのは、次の順です。
- 巣の外へ落とす・押し出す
- 巣内でつついて破壊する
- 割れた卵の中身を食べる
- 卵を残したまま、上から巣材を積んで埋める
スズメは、他種の巣を利用する際、巣材を大量に運び込んで巣を作り替えることがあります。環境省の生物多様性センターの資料にも、スズメがコシアカツバメやイワツバメの巣を奪い、場合によっては雛をくわえ出して巣を乗っ取ることが記録されています。[]
したがって、先住巣に卵がある場合も、まずはその卵を除去して巣場所を使うと考えるのが自然です。ただし、卵をくわえて運び出すのは難しいため、実際には巣内でつついて割り、殻や内容物を残す、あるいは巣の縁から落とす可能性が高いでしょう。
食べるのか
割れた卵の中身を食べる可能性はありますが、卵を目的に襲うと断定できる国内資料はありません。
スズメは雑食性なので、割れた卵の黄身や白身を食べること自体は不自然ではありません。しかし、乗っ取りの主目的は通常、卵や餌の獲得ではなく、安全で使いやすい営巣場所の確保と考えられます。卵を食べるとしても、巣場所を確保する過程で割れたものを利用する、という位置づけでしょう。
実際、国内の巣箱観察では、スズメに奪われたシジュウカラの卵が巣箱下で割れた状態で見つかった例があります。観察者は、スズメが卵をくわえて運んだのではなく、巣箱内でつついて割ってから外へ出した可能性を推測しています。ただし、これは個別観察であり、スズメ一般の行動として確定したものではありません。[]
雛がいる場合との違い
先住巣に卵ではなく雛がいる場合、スズメが雛をくわえ出して巣を乗っ取ることは国内資料に明記されています。[]
卵の場合は、雛よりも小さく、巣から押し出したり、つついて破壊したりしやすいため、次のような痕跡が考えられます。
- 地面に卵殻が落ちている。
- 殻が巣箱や巣の入口付近に残る。
- 黄身・白身の痕跡だけが巣内にある。
- 卵が消え、巣材が増えている。
- 先住種が巣場所から追い出されている。
ただし、落下、捕食者、親鳥自身による巣放棄などもあり得るため、卵殻だけから「スズメが食べた」と断定することはできません。
要するに、日本のスズメでは、先住卵を巣外へ落とすか、巣内でつついて破壊し、その過程で中身を食べることはあり得る。しかし、卵を必ず食べるという証拠はなく、乗っ取りに伴う副次的な行動と見るのが妥当です。
Q2: スズメが産んだ卵を温めても雛が孵化しなかった場合、親鳥は未受精卵をどう処分するのか? つついて割って、中身を食べてしまうのか? 捨てに行くのか? いつまでも温め続けるのか?
A2: 日本のスズメについて確実に言える範囲では、次のようになります。
未孵化卵が生じること自体は普通にあり得る。
未孵化卵には、無精卵だけでなく、発生初期に死亡した卵や抱卵不良による失敗も含まれる。
孵化した雛がいれば、親鳥は通常、雛への給餌を優先する。
未孵化卵を巣内に残すことも、巣材や雛に埋もれさせることも、巣外へ落とすこともあり得る。
親鳥が必ず卵を割って摂食する、あるいは必ず積極的に運び出す、とまでは言えない。
A3: 結論から言うと、スズメの雛が正常に孵化した場合、卵殻は「パカッと2つ」に きれいに割れるわけではなく、雛が内側から円状にひびを入れて蓋のように開けるのが一般的です。また、親鳥が外から嘴でつついて孵化を助けることはありますが、必須ではありません。正常な孵化時の割れ方
多くの鳥類(スズメを含む)では、雛は卵の中で「卵歯(らんし)」という一時的な突起を使い、内側から卵殻をコツコツとつつきます。この行動を「嘴打ち(はしうち)」と呼びます。
- 雛はまず気室(卵の太い端にある空気の部屋)の境界付近を内側からつつき、円を描くようにひびを入れていきます。
- 最終的にはその円状のひびに沿って、卵の先端側が「蓋」のように外れ、雛が這い出します。
- したがって、正常な孵化後の卵殻は、1つの大きな破片(蓋)+本体という形になりやすく、「2つに真っ二つ」というよりは「蓋が開いた形」になります。[]
スズメの卵は小さく(長径約18 mm)、殻も薄いため、巣内ではさらに細かく砕かれることもありますが、孵化直後の状態としては「円状のひび+蓋」が基本です。
親鳥は外から助けるのか
親鳥は、雛が内側からつつく音や振動を感知し、外側から嘴で卵殻を啄む(つつく)ことで介助することがあります。これを「卒啄(そつたく)」と呼びます。
- 野外の巣では、親鳥が外からつついて孵化を助ける例が知られています。
- ただし、雛が自力で嘴打ちを完了できれば、親鳥の介助はなくても孵化します。
- 人工孵化などでは、介助がないため、弱った雛が殻割りに失敗することもあります。[]
したがって、「親鳥が必ず外からつついて助ける」というよりは、「必要に応じて介助することもある」が正確です。
路上で見つけた卵の割れ方から考えられること
あなたが路上で見つけたスズメの卵が、「鳥が外から鋭い嘴でつついたような割れ方」をしていた場合、次のような可能性があります。
正常な孵化後に、親鳥が卵殻を処分するために外からつつき、巣外へ押し出した
- 孵化後の空卵殻は、巣内に残すと腐敗や捕食者を誘引するリスクがあるため、親鳥が巣外へ運び出す、またはつついて壊すことがあります。
- この場合、卵殻は巣の近くや落下地点で見つかることがあります。
孵化に失敗した卵を、親鳥がつついて破壊し、巣外へ捨てた
- 未受精卵や胚が死亡した卵を、親鳥が巣から排除する行動は多くの鳥で知られています。
- この場合も、外からつついたような不規則な割れ方になりやすいです。
捕食者(カラス、ヘビ、ネコなど)や他の鳥が卵を襲い、割って中身を食べた
- この場合は、殻が不規則に砕け、黄身・白身の痕跡が残ることが多いです。
巣から落下し、衝撃で割れた
- この場合は、割れ方がランダムで、円状のひびが見られないことが多いです。
正常な孵化直後の卵殻であれば、円状のひび(蓋の縁)が残っていることが手がかりになります。一方、外から強くつつかれた、あるいは衝撃で割れた卵では、そのような規則的なひびが見られないことが多いです。
路上の卵から何が言えるか
路上で単独で見つかった割れたスズメの卵だけでは、「正常孵化後の殻捨て」なのか「失敗卵の排除」なのか「捕食・落下による破壊」なのかを確定するのは困難です。
ただし、次のような特徴があれば、孵化に関わる可能性が高まります。
- 殻に円状のひびが見られる。
- 殻の内側が比較的きれいで、黄身・白身の付着が少ない(すでに雛が出た後)。
- 巣が近く(数メートル以内)にあり、親鳥の出入りが観察される。
逆に、殻が不規則に砕け、中身が飛び散っている、巣が近くにない、といった場合は、失敗卵の排除や捕食・落下の可能性が高いと考えられます。
Q4: 写真を添付したので判定して下さい。割れた卵に定規を並べて置いて採寸しました。さっきの回答によると、雛が正常に孵化した後に親鳥が卵殻を巣外に捨てたようには見えません。卵殻の中には卵黄が少し残っていて、乾いていました。割れた卵の下の路面は卵白で濡れていました。落下の衝撃で卵が割れたのかな?
A4: 写真からは、正常に孵化した後の空卵殻には見えにくく、落下などの衝撃で割れた可能性が最も高そうです。ただし、写真だけで割れた原因を断定することはできません。
写真から読み取れる特徴
- 卵殻は、およそ長径20 mm前後、短径15 mm前後に見えます。これは国内のスズメ(Passer montanus)の卵の大きさと概ね一致します。国内資料では約18 × 14 mm、別資料では平均18.5 × 13.7 mmとされています。[][]
- 殻は「円周に沿って割れた蓋状」ではなく、比較的大きな不規則な開口部が一つできているように見えます。
- 殻の内側に黄身の残渣があり、卵白が卵の下の路面に広がっています。
- 卵殻の表面には、開口部から離れた位置まで走る細い亀裂も見えます。
この状態は、少なくとも典型的な「雛が内側から嘴打ちして、円形のひびに沿って蓋を開けた空殻」とは一致しません。雛は卵歯を使って内側から殻を破り、孵化時には卵殻に割れ目を作りますが、卵歯はあくまで雛側の構造です。[][]
落下で割れた可能性
かなりあります。
路面に卵白が濡れた状態で残っていたという観察は、卵が割れた時点で内容物が液状だったことを示します。卵が巣から落下すると、まず衝突した部分に大きな破口が生じ、そこから卵白や卵黄が流れ出ます。さらに、落下後に卵が路面上で転がると、殻に複数の亀裂が広がります。
写真のような、
- 大きく不規則な破口。
- 破口から連続する細い亀裂。
- 路面への卵白の流出。
- 殻がほぼ原形を保ったまま開いている。
という組み合わせは、巣から落ちた未孵化卵が路面に衝突して割れたという説明とよく合います。
親鳥がつついた可能性
親鳥や別の鳥が外側からつついた可能性を完全には排除できません。ただ、写真で確認できる破口は、嘴による複数の小さな穿孔が連続したというより、一度の衝撃で生じた破断に近い印象です。
もし外側からつつかれた場合には、通常は次のような痕跡を期待します。
- 独立した小孔、または小孔が複数並ぶ。
- 穴の周囲に内側へ向かう局所的なへこみ。
- 殻の一部が内側へ押し込まれている。
- 一方向からの攻撃を示す、比較的限局した破壊。
今回の写真だけでは、そのような典型的な嘴痕は明瞭ではありません。したがって、親鳥が外からつついて割ったというより、卵が落下・衝突して割れた可能性を優先します。
正常孵化との違い
正常孵化後の殻なら、次のような所見があると判断材料になります。
- 卵の太い端を中心に、ほぼ一周するひび。
- そのひびに沿って外れた「蓋」のような殻片。
- 殻の内側に卵黄・卵白が大量には残っていない。
- 殻の一部が薄く、内側から外へ押し広げられたような破断。
今回の殻では、開口部の縁は不規則で、正常孵化に特徴的な一周性の切断線は明瞭ではありません。また、卵黄が残り、卵白が路面に流れたという点から、雛が出た後の空殻ではなく、内容物が残った卵が破損したと考えるのが妥当です。
判定
現時点での推定順位は次のようになります。
- 巣から落下し、路面への衝突で破損した。
- 巣内または巣の縁で押し出され、落下時に破損した。
- 親鳥または別の鳥がつついて破壊した後、落下した。
- 正常孵化後に残った殻。
特に、卵白が路面に流れ、卵黄が殻内に一部残って乾燥しているという情報は、孵化後の空殻よりも、未孵化卵の破損を支持します。したがって、写真の卵は「雛が正常に孵化した後、親鳥が捨てた殻」より、発生中または未受精の卵が巣から落ちて割れたものと見るのが最も自然です。
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