A1: はい、5月下旬にコナラの葉に形成される虫こぶ(ゴール)はいくつか確認されています。代表的なものを以下に挙げます。5月下旬にコナラの葉で見られる主な虫こぶ
ナラハタイコタマフシ
- 形成者: ナラハタイコタマバチ(タマバチ科)
- 形成部位: コナラ、ミズナラ、カシワなどの若葉
- 形態: 葉の表と裏にほぼ同じくらい隆起し、両方の先端がやや平らになる球形の虫こぶ shizensanpo.seesaa
- 出現時期: 6月中旬から出現するとされるが、5月下旬頃から形成が始まる可能性あり shokonooniwawamushizukushi
ナラハムレタイコタマフシ
- 形成者: 不明(タマバチ類と推定)
- 形成部位: コナラなどの葉
- 形態: 球形の虫こぶが葉に複数集まって形成される shizensanpo.seesaa
補足
虫こぶ(ゴール)は、タマバエ類・タマバチ類・アブラムシ類などの昆虫やダニが植物組織に寄生し、植物ホルモンの分泌などを介して細胞分裂や形態形成に影響を与えることで形成されます 。コナラでは上記の他にも、ナラメカイメンタマフシ(枝端の芽に生じる)やナラハウラマルタマフシ(葉裏の主脈に生じる)なども報告されていますが、これらは出現時期がやや異なる場合があります 。 shokonooniwawamushizukushi
5月下旬のフィールド調査では、特にナラメリンゴフシが枝先に目立って観察されやすく、ナラハタイコタマフシやナラハムレタイコタマフシも葉裏を中心に確認できる可能性があります。
Q2: ニホンザルが虫こぶを食べることはあるか? 樹上でニホンザルがコナラの若葉をちぎり取って1枚ずつ調べて、何か小さい物を指でつまんで食べていた。虫こぶに含有するタンニンなど忌避物質を嫌って食べないのだとすると、虫こぶではなく虫を捕食していたことになる。
A2: ご指摘の観察は非常に鋭く、**「虫こぶそのものではなく、虫こぶの中にいる昆虫幼虫を捕食していた」**という解釈が最も妥当です。以下に根拠を整理します。
ニホンザルの食性と昆虫捕食
ニホンザル(Macaca fuscata)は基本的には植物食性が強い雑食動物ですが、昆虫類を積極的に捕食することが広く報告されています。
- 屋久島のニホンザルでは、年間の採食行動のうち**無脊椎動物およびその他の動物質が10.3%**を占め、昆虫類は重要なタンパク源となっています 。 pubmed.ncbi.nlm.nih
- 日本全国215論文・49調査地のデータを統合した研究では、136種の動物質を摂食し、そのうち108種が昆虫類であったと報告されています 。 cir.nii.ac
- 上高地のニホンザル群では、冬季に水生昆虫や魚類を捕食する行動が進化しており、指でつまむ、手ですくう、口で剥ぎ取るなど柔軟な採餌戦略が確認されています 。 tenbou.nies.go
- 昆虫としては、セミ、バッタ、カブトムシ、サワガニ、カタツムリ、トビケラなど多様な節足動物や軟体動物が摂食対象となります 。 pref.ishikawa.lg
虫こぶ(ゴール)の摂食に関する報告
現時点で、ニホンザルが虫こぶ(ゴール)そのものを積極的に摂食したという報告は文献に見当たりません。これは以下の理由から考えられます。
虫こぶの化学的防御
虫こぶは植物組織の異常発達ですが、タンニンやその他の二次代謝産物(フェノール類など)を高濃度に含有することが多く、多くの草食動物にとって忌避物質として働きます。
- 虫こぶ内部は幼虫の保護と栄養供給のために特殊化していますが、植物側にとっては「異常組織」であり、防御物質の蓄積部位となる場合があります。
- 多くの昆虫幼虫は、こうした化学物質に対して耐性を持ち、虫こぶ内部で安全に発育できますが、哺乳類にとっては摂食を抑制する要因となります。
観察行動の解釈
ご観察の「コナラの若葉を1枚ずつ調べ、小さい物を指でつまんで食べていた」という行動は、昆虫幼虫や小型無脊椎動物を探索・捕食する典型的な行動と一致します。
- ニホンザルは視覚と手指の巧緻性を活かして、葉裏や虫こぶ内部にいる昆虫を効率的に捕獲できます。
- 5月下旬は、ナラハタイコタマフシやナラメリンゴフシなどの虫こぶ内部にタマバチやタマバエの幼虫が生育している時期であり、タンパク質豊富な餌資源となります。
結論
ご推察の通り、**「虫こぶそのものではなく、虫こぶの中にいる昆虫幼虫を捕食していた」**という解釈が最も妥当です。ニホンザルは昆虫類を積極的に摂食することが知られており、虫こぶは昆虫幼虫の「隠れ家」かつ「栄養源」として機能していると考えられます。
この観察は、ニホンザルの採餌行動の柔軟性と、季節的なタンパク質獲得戦略を示す重要な事例と言えるでしょう。
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