2020年7月下旬・午前11:50頃・晴れ
郊外の道端にカブトムシ♂(Trypoxylus dichotomus)
カブトムシ♂(Trypoxylus dichotomus)の生首(正確には頭部および胸部)が仰向けに転がっていたのでギョッとしました。
瀕死のカブトムシ♂には微小なクロアリ(種名不詳)が群がっています。
よく見ると、頭部だけでなく胸部の一部も付いていて、1対の前脚がピクピクと動きました。
虫の息でも未だ生きていて、前脚および角を動かしました。
敏感な口器や触角の辺りをアリが徘徊したから反応したのか?と思いきや、後半は自発的に前脚を動かしています。
採寸のため路面に定規を並べて置いてみましょう。
定規を使って死骸を裏返すと、立派な角は無傷でした。
おそらく野鳥に捕食された後の食べ残しだと思われます。
辺りを見回すと、少し離れた縁石の上に、捕食者が食べかけのカブトムシ腹部が転がっていました。
胸部の翅および脚は全て毟り取られた状態で、パッと見は体節だけの特徴がない塊です。
腹部の背面には後翅を毟り取った跡が見えます。
鳥につつかれた食痕があるものの、腹部の肉は完食されていません。
捕食者の鳥は獲物を解体中に何かに驚いて、せっかくのご馳走を置いたまま逃げてしまったのでしょう。
このカブトムシ♂腹部にも微小なクロアリ(種名不詳)がたかっていました。
白い微小な肉片をアリが持ち去ろうとしています。
私が振り返ると、瀕死のカブトムシ♂の生首は前脚だけで歩いていました。
ちょっとしたホラー映像です。
前脚を左右交互に動かしても暴れるだけで、正常に前進できません。
さて、カブトムシ♂を生きたままバラバラにした捕食者の正体を推理してみましょう。
(カブトムシの)成虫の天敵となる捕食者は、タヌキ、イノシシなど森に棲む動物、カラスやフクロウなどがいる。(wikipediaより引用)確かに今回の撮影中、周囲でカラスが鳴いていました。
タヌキやよく見かけますが、私のフィールドでイノシシは未だ見たことがありません。
本郷儀人『カブトムシとクワガタの最新科学 (メディアファクトリー新書)』を読むと、筆者は雑木林での直接観察で捕食者の正体を意外にもフクロウ(Strix uralensis)と突き止めています。
注意深く見ていくと、私の演習林内でもただ寿命で死んだわけではない死体が存在していました。それらの特徴は、おなかだけをごっそり何者かに食いちぎられ、胸から上しか残っていないこと。なかには腹を失いながらも、まだ動いているカブトムシもいるほどです(おそらく、ついいましがた何者かに襲われたのでしょう)。(中略)昆虫には痛覚がないと言われているので、彼はまだ食べられたことにも気づいていないかもしれません。(中略)フクロウは、主にネズミなどの小型の哺乳類や小型の鳥類を捕食すると考えられており、昆虫食の鳥とは考えられていなかったのです。(中略)現在では、この調査地以外の場所のフクロウたちもカブトムシを捕食していることがわかっています。(中略)どうやらフクロウは柔らかくて食べやすいおなか部分だけが好きな美食家のようです。 (p116〜119より引用)
私のフィールドにもフクロウが生息するらしいことが分かっています。
▼関連記事(4年前の撮影)
杉林に響くフクロウ(野鳥)の鳴き声♪しかし、それでも私はカラスの方が容疑者として怪しいのではないか?と思ってしまいます。
そもそも現場は雑木林から少し離れていました。 (鳥にはひとっ飛びの距離かもしれません)
郊外の交差点の歩道でカブトムシ♀死骸の上半身が転がっていました。
これは動いていなかったので、写真だけで紹介します。
鞘翅(前翅)が左半分だけ残っていました。
柔らかい腹部だけが捕食されたようです。
カブトムシ♀は体内(腹部内)に栄養豊富な卵巣があり、邪魔な角も持たないので、捕食者にとっては同じカブトムシの♂よりも魅力的な獲物なのでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿