2023/05/03

ニホンカモシカ(右背黒班)がスギ落枝とコシアブラ幼木に続けて眼下腺マーキング【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月中旬・午後17:15頃・(日の入り時刻は午後17:09) 

里山のスギ林道をトレイルカメラで見張っていると、日没直後にニホンカモシカCapricornis crispus)が左からやって来ました。 
道端から斜めに突き出したスギ落枝の先端に対していつものように顔の眼下腺をゴシゴシと擦り付けてマーキングしています。 
ちなみに、スギ落枝の尖った先端は地上から約95cmの高さにありました。
角が細いので、若い個体ではないかと思います。 
匂い付けを終えて前進すると、背中の右側に黒い斑紋がある個体と分かりました。 



スギ(杉)の大木を通り過ぎると、その右横に自生するコシアブラの幼木の枝葉に対しても眼下腺マーキングしました。 
2カ所連続で別の対象物に匂い付けするカモシカを初めて見ました。 
このコシアブラ幼木には以前から通りすがりのニホンカモシカが眼下腺マーキングしていたのですが、道端にスギ落枝が出現して以来、見向きもされなくなったという経緯があります。 

その後カモシカ(右背黒班)は林道を右へゆっくり立ち去りました。 

武田修『ロッキーへの手紙』は、生後間もない野生カモシカを保護して飼育した記録です。
当然、眼下腺マーキングというカモシカ独特の習性についても触れてますが、読んでみて特に印象深かったは次の一節です。
 毎日毎夜のスリスリのおかげで、ロッキーの眼下腺から出る水あめのような液が、わたしのズボンを、いつもカピカピにしていました。 
 ロッキーは、散歩に出ると、この眼下腺を立ち木に擦りつけていました。おそらく、カモシカの世界では、人間にはわからない眼下腺の液のにおいで個体を識別するのでしょう。(p82〜83より引用)
特に前半部は飼育経験者ならではの臨場感あふれる貴重な記述ですね。 (鼻水や涎じゃないの?と内心疑ってしまうのですけど…。)
私も現場入りした時に、このスギ落枝の先端部を嗅いでみたのですが、私の鼻には無臭でした。 
カモシカが眼下腺マーキングした直後だと少し酸っぱいような匂いがするという話をどこかで読んだ気がします。 



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