2023/05/02

ミツバアケビの種子とエライオソーム

2022年10月中旬 

知り合いからお裾分けに貰ったミツバアケビの果実を食べました。 
秋ならではの「山の幸」です。 
果実が熟すとぱっくり割れて、中の果肉が丸見えになります。 
白い果肉は生食できて、上品な甘さがあります。 
大量の種子が含まれているため、これを口の中で選り分けて吐き出しながら食べるのが少し面倒です。 

毒キノコが怖い私は秋の山に行ってもキノコ狩りをしないのですが、アケビは毒草と間違える心配はありませんし、山中でも見つけたらその場で食べてしまいます。 
行儀が悪いと言わず、山を歩きながらアケビの果肉を食べ、種をペッペッと吐き散らすことで種子散布者としてアケビに恩返しをしましょう。 

多田多恵子『身近な草木の実とタネハンドブック』でミツバアケビを調べると、 
アケビやミツバアケビの種子は硬くりょうがあり、けものの鋭い歯を避けて胃に潜り込む。さらに種子には白いゼリー状の付属物(エライオソーム)があり、糞に出た後、さらにアリに運ばれて分散する。 (p146より引用) 

熟果2個を食べながら吐き出した種子を方眼紙上に並べて数えてみると、計146個ありました。 
つまり、果実1個につき平均73個の種子が含まれていることになります。 
種子散布の参考資料として写真に撮ると、先日フィールドで見つけた獣糞の中に含まれていた種子は確かにミツバアケビのものと判明。 
本で読んだ通り、ミツバアケビの黒い種子の端には白いゼリー状のエライオソーム(種枕しゅちん)が付属しています。 
栄養豊富なエライオソームを目当てにアリが集まり、巣に持ち去ることで種子を二次散布することになります。 


【後日談】
ミツバアケビの種子が乾いてからフィールドに持参し、適当な地面に置いてアリが集まってくるか実験してみました。
ところが置いた場所が悪かったのか、半日経ってもアリは全く来ていませんでした。
昆虫相の減退を最近感じていますが、アリが居ない場所があることにショックを受けました。
山麓の果樹園の傍だったので、殺虫剤を撒いた影響なのか?と邪推してしまいます。
機会があれば再チャレンジしてみるつもりです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ランダムに記事を読む