2013/07/12

結婚飛行前のクロオオアリ♂



2013年6月上旬

尾根道の地面にクロオオアリCamponotus japonicus)のコロニーを見つけました。
巣穴は2つあり、その間隔は25cm。



ちょうど結婚飛行のシーズンで、巣口に羽アリの姿が見えます。
有翅の♂は頭部が小さく胸部の飛翔筋が発達しているのですぐに見分けられます。
巣口から顔を出してはすぐに引っ込んでしまうため、♂が巣外に全身を現すことは稀です。
気象条件を探って飛び立つタイミングを逡巡しているようです。
♂アリのせいで狭い入口が混雑しています。

ちょうど3年前にも観察した行動です。

【関連記事】→「巣立ち前のクロオオアリ♂


その間、ワーカーは巣内から砂粒を咥えて外に捨てる作業をせっせと続けていました。

また、巣口のすぐ横で見張り役(門番?)を務めているように見えるワーカーが居ます。
体長が大きい個体なので、もしかすると兵アリでしょうか?
隣の巣穴にも同じく見張り役のワーカーが居ます。
巣口の横でときどき身繕いしたり仲間と触角で挨拶したりするぐらいで、あとは立ち尽くしています。
一度だけ、見張り役のワーカー♀が♂を巣内に押し戻す行動が見られました(偶然かな?)。 (追記参照)

やがて曇ってきたら羽アリは全て巣内に篭ってしまいました。

つづく→「結婚飛行前のクロオオアリ新女王




【追記】
矢島稔『観察の記録六〇年: 秘蔵写真が語る自然のふしぎ‎』によると、
(クロオオアリの)結婚飛行が行われるのは、晴れて風がほとんどない日の昼ごろが多い。巣の入り口で、出入りする個体を確認している「門番」役の働きアリが、その日その時の気象条件を判断して、結婚飛行に飛び立たせるかどうかを決める。門番の判断が、クロオオアリのすべての巣から飛び立つ若い女王アリと♂アリの交尾を可能にするわけだから、その責任は重大である。 (p67より引用)


巣の入り口のすぐ下に集まっているハネムーンのための♂と♀がどう騒いでも、条件が合わないと、門番はけっして外に出さず、ときには口で脚や翅をくわえて中のほうに入れてしまう。 (p70より)



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