2026年6月下旬・午後12:05頃・晴れ
畑に隣接する二次林の林縁で見慣れない毛深い蛾を見つけました。
植物の葉の上で翅を閉じて静止しています。
全体的に地味な色なのですが、体毛や鱗粉に白っぽい毛が混じっている他、触角の中間部が水色になっているのが目を引きました。
絵合わせで初めはルリオオモモブトスカシバかと思いました。
ところが分布が九州となっている上に、成虫の出現時期が夏となっています。
昨今の地球温暖化で南方系の蛾が山形県にまで分布を広げている(北進)のでしょうか?
タイワンモモブトスカシバは更に南方系なので、さすがに論外でしょう。
ようやくモモブトスカシバ(Macroscelesia japona)に落ち着きました。
触角の中間部の水色が決め手となりました。
モモブトスカシバが飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:12〜)
私が帽子を投げつけたら、準備運動しなくても直ちに飛んで逃げました。
スカシバガ科(透かし羽蛾)の一種なのですが、スーパースローでも羽ばたきが早すぎて、鱗粉が落ちて透明になっている翅を確認できませんでした。
毛深い後脚の空気抵抗が大きいのが見て取れます。
天敵から逃げる際に不利な形質がどうして♀でも♂でも進化したのか、気になります。
性フェロモンを放出するヘアペンシルのような役割があるのでしょうか?
ヘアペンシル仮説にしても性淘汰のハンディキャップ仮説にしても、♂だけに見られる形質なら分かるのですが、♀も毛深いのが不思議でなりません。
むしろ飛翔を安定化するなどプラスの機能があるのかな?
今回の個体が留まっていた葉の植物名を調べるのを忘れてしまいましたが、食草とは無関係でした。
モモブトスカシバ幼虫の食餌植物として、ウリ科のアマチャズルが報告されていて、虫こぶ(虫えい)を形成するらしい。
私はアマチャヅルという地味な蔓植物を知らなかったので、フィールドに自生しているかどうか調べていません。
(山形県にも普通に分布しているらしい。)
他のウリ科植物として、キカラスウリなら近くに自生しています。
畑の栽培植物なら、カボチャやキュウリ、ズッキーニなどもあり得るでしょうか?
ChatGPTに質問してみたら、ウリ科の作物を食害するスカシバガ科の害虫はいないらしい。
スカシバガ科幼虫は、多くの種が「穿孔性」です。 一方、ウリ科作物の多くは一年生の柔らかいつる植物であり、毎年植え替えられるため、スカシバガ類にとっては必ずしも適した生活史ではありません。そのため、ウリ科を利用する種はいても、農業害虫として大発生する例は比較的少ないと考えられています。
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(モモブトスカシバの)幼虫はアマチャヅルの茎に潜って虫えいを造り、その中で終令幼虫の状態で越冬し、蛹化する。(中略)アマチャヅルは暗い林床に多いが、成虫は開けた環境を飛翔したり、白色系の花を訪れる。 (p137〜139より引用)
長らく未知だったモモブトスカシバのホストをどうやって突き止めたのか、という苦労話のコラムが面白かったです。