2023/09/30

遊歩道の溜め糞場で鳴きながら♪排便するホンドタヌキ♀♂と匂いを嗅ぐだけで逃げる独身個体【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月下旬 

昨年の年末に山麓近くのスギ植林地でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したと思われる溜め糞場opを新たに見つけました。 
本当にタヌキが通っているのか確かめるために、トレイルカメラを設置してみました。 
限られた台数のトレイルカメラで複数のプロジェクトをなんとか遣り繰りしているのですが、ようやくカメラ1台をこっちに調達することができました。 







シーン0:3/24・午後14:44 
明るい昼間に撮れた現場の様子です。 
斜面を下から見上げるアングルです。 
画面の左上に太い丸太がゴロゴロと並べてあります。 
丸太から右に細長い落枝が横に伸びています。 
そこは左から右に向かって緩やかに登る遊歩道になっていて、木製の階段がわざわざ整備されています。 
遊歩道の端に溜め糞場opがあります(画面には写っていません)。 


シーン1:3/30・午後20:20(@0:05〜) 
斜面をゆっくり登って来たタヌキが遊歩道に達し、溜め糞場opの匂いを嗅ぎました。 
そのまま右向き(北向き)に跨って排便開始。 
便秘気味なのか、途中でくるりと方向転換し、左向き(南向き)になりました。 
ようやく少量の糞をポロポロと排泄。 
脱糞しながら小声で2回ほどクゥーン♪と鳴きました。(@0:11〜) 
※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

どの溜め糞場でもホンドタヌキは早春限定で排便の前後によく鳴いています。 
夜に行動を共にする♀♂ペア間のコンタクト・コール♪(繁殖期の鳴き交わし)なのでしょうか? 
それとも食糧事情の厳しい冬から春にかけては便秘になり、切れ痔で肛門が痛くて悲鳴を上げているだけかな?と無粋で身も蓋もない対立仮説を考えてみました。 

用を足した個体が遊歩道を左に立ち去るのと入れ替わりで、パートナーが右下から登場しました。 
同じ溜め糞opに右向き(北向き)で跨がったところで、1分間の録画時間が終了してしまい、残念でした。 


シーン2:3/30・午後21:08(@1:06〜) 
50分後に再びタヌキが写りました。 
スギ山林の斜面を下から登ると、遊歩道上に残された新鮮な溜め糞opの匂いを嗅いだだけで、排便せずに立ち去りました。 
さっき排便した♀♂つがいとは逆方向に(右へ)そそくさと逃げて行きました。 
今回の個体は、よそ者の独身タヌキ(縄張り侵入者)なのかもしれません。 



キバナノアマナの花蜜を吸うビロウドツリアブ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年3月下旬・午後14:40頃・晴れ 

平地の河畔林で根雪がすっかり溶け去ると、枯れ草に覆われた林床には見慣れない黄色い花が点々と咲いていました。 
早春に咲くスプリング・エフェメラルのひとつと思われますが、帰宅してから調べてみるとキバナノアマナという名前と知りました。 
(ヒメアマナの可能性は? ) 
ピッキオ『花のおもしろフィールド図鑑 春』でキバナノアマナを調べると、
北日本に多く、比較的自然の残った所で見かけます。(p281より引用)







ビロウドツリアブ(=ビロードツリアブ;Bombylius major)がキバナノアマナに訪花していました。 
長い口吻で吸蜜している間も羽ばたきを止めませんが、よく見ると黄色い花弁に足を掛けていました。 
ツリアブの仲間はホバリング(停空飛翔)が得意ですけど、今回は吸蜜ホバリングとは言えません。 
すぐに飛び立てるように、アイドリングのように羽ばたき続けているのでしょう。

ビロウドツリアブの高速羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:40〜) 
花から花への飛翔(ホバリング)中は前脚と中脚を揃えて前方に伸ばし、後脚は左右に広げていました。 

「訪花中も羽ばたきを止めない」と断定したいところですが、ひとつの花に長居するときは羽ばたきを止めていました。
生き物の観察では仮説を立てても例外や反例がすぐに出てきてしまいます。
小刻みな羽ばたきがじわじわと減衰して止まりました。 
ストロボ効果で高速羽ばたきが止まって見えるのではなく、本当に翅を休めています。 
花筒の奥の蜜腺にはなかなか口吻を挿入しなかった(手こずっていた?)ので、花粉を延々と舐めていたのかもしれません。 
複数個体を撮影。 





吸蜜の合間にビロウドツリアブは林床で日光浴していました。 
別個体が縄張りに侵入すると迎撃して軽い空中戦を繰り広げたことから、♀が飛来するのを待ち伏せしている♂ではないかと思います。 
せっかく面白い行動だったのに、動画では撮り損ねてしまいました。 




雪国の冬は何ヶ月も虫が撮れないので、ブランクが開けた早春には毎年どうしても、虫撮りが下手糞になっています。
反射神経や予測が鈍っているのです。 
コツを取り戻すまでにしばらく練習やリハビリが必要です。 

2023/09/29

右目を失明したハクビシンが小川の丸木橋を深夜に渡る【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年3月下旬

小川に架かる天然の丸木橋を監視する自動センサーカメラにハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が2回写りました。 

シーン0:3/17・午後14:55・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 


シーン1:3/25・午前0:59・(@0:05〜) 
カメラの起動がなぜか遅れ(低温で電圧不足?)、かなり長い尻尾の動物が丸木橋を左岸へ渡り終えるところでした。 
ハクビシンと思われますが、特徴的な顔の白黒模様は確認できませんでした。 


シーン2:3/29・午前0:55・(@0:14〜) 
4日後もほぼ同時刻の深夜に現れました。 
今回もカメラの起動がやや遅れ、ハクビシンは丸木橋の途中で立ち往生していました。 
右岸から左岸へ渡りかけて尻込み・断念し、結局は右岸へ引き換えしたのでしょうか? 
それとも、左岸から右岸へ渡る途中で立ち止まり、倒木の分枝に匂い付けでもしたのかな?
長い尻尾が黒いのでハクビシンと分かります。 

右岸に着いてから判明したのですが、この個体は右目が失明していました。 
健常個体なら、トレイルカメラが照射する赤外線を反射して両目が爛々と光って見えるはずです。 
この個体は正面を向いても左目しか光っていません。

隻眼のハクビシンは、前年も同じ川の流域に繰り返し出没しています。 
これほど分かりやすい特徴があるので、同一個体と考えています。 


関連記事(1年前の撮影)▶  


隻眼(片目)だと立体視が不自由で奥行きが掴めません。
木登りしたり、丸木橋を渡ったり、素早く逃げる獲物を狩ったりするのは苦手なはずです。 
それでも雪国(多雪地帯)の厳しい冬を無事に越せたということは、隻眼でもさほどハンディキャップになっていないようです。 




更にシーン2の映像を見ると、丸木橋を軽快に走って右岸に渡っていました。 
暗闇で恐る恐る丸木橋を渡っている訳ではないので、何度も通い慣れているようです。 

シーン1では丸木橋を渡るハクビシンの左半身しか撮れていませんから、右目が失明した隻眼個体かどうか不明です。 
この川の流域には同じ家族で両目が健常なハクビシンも複数生息していることが分かっています。 
欲を言えば、この小川にトレイルカメラをもう1台追加で設置して、丸木橋の両側から同時に狙うべきかもしれません。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施すなどして、明るく加工しています。

余談ですが、暗視映像で撮ったりストロボを焚いて写真に撮ったりしたハクビシンの目がひときわギラギラ光って見えるのは、タペータム(輝板)が発達しているからだそうです。


参考サイト「奥多摩けもの道」 by 小川羊 氏
ハクビシンなどの夜行性動物は、眼の網膜下層の組織に「タペタム」(あるいは輝膜)という反射層があり、そこで光を反射しながら眼球の中で光を増幅している。ニホンザルなど昼行性動物ではタペタムはないので、目は光らない。 [ハクビシン(自動撮影カメラ)より引用]



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