2025/12/07

塩場に通って舐めるニホンリスは餌箱のオニグルミには興味なし【トレイルカメラ】

 



2024年9月中旬〜下旬

シーン0:9/17・午後14:23・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
里山で雑木とスギの針広混交林にあるニホンカモシカ(Capricornis crispus)の溜め糞場sr2を自動センサーカメラで見張っています。 
基本的に画面の左下から右上に向かって斜面が登っている地形ですが、この溜め糞場sr2付近だけは平坦になっています。 

野生動物に塩場を提供するために、ミズナラの幹にプレート状のヒマラヤ岩塩(155×100×25mm、870g)をベルトで固定してあります。 
その上に、新たに餌箱を設置してオニグルミの堅果を25個入れてみました。 
果皮を完全に取り切れていない果実も含みます。 
迷彩テープを給餌箱の外側に貼り付けて、林内で目立たないよう偽装しました。 
キッチンの流しで生ごみを捨てるプラスチックの三角コーナーを100円ショップで買ってきて、餌箱として再利用しました。 
容器の底がメッシュ状になっているのがポイントで、雨水が貯まらないようになっています。 

常連のニホンリス(Sciurus lis)が塩場に通ってくる様子を以下にまとめます。 

シーン1:9/18・午前5:27(@0:02〜)日の出時刻は午前5:20。 
日の出直後の薄暗い早朝から、ミズナラ幹の下部の陰にリスが来ていました。 
幹の左からひょっこり顔を覗かせて、塩水で濡れた樹皮を舐めているようです。 
やがて林床に飛び降りると、左に走り去りました。 

せっかく餌箱にオニグルミ堅果を用意したのに、近寄りませんでした。 
新規物に対する警戒心が強いのか、それとも気づかなかったのでしょうか。


シーン2:9/18・午後15:11(@0:51〜) 
約10時間後にもリスがやって来ました。 
いつの間にか、給餌箱に貼った迷彩テープが剥がれかけ、だらんと垂れ下がっています。 
山林内は蒸し暑く湿度が高いので、テープの粘着性がすぐに落ちてしまうようです。 
ミズナラの木の左下で林床のスギ落ち葉の匂いを嗅いで(舐めて?)から、手前に走り去りました。 


シーン3:9/20・午後16:19(@1:12〜) 
2日後、リスらしき小動物が右奥の獣道を右に素早く駆け去りました。 
1.5倍に拡大した上で1/3倍速のスローモーションでリプレイすると(@1:21〜)、ノウサギではなくやはりニホンリスのようです。 


シーン4:9/21・午前11:51(@1:43〜) 
翌日は昼前にリスが登場。 
ミズナラ幹の下部の左側面にしがみついたリスが塩味のする樹皮を舐めていました。 
ミズナラ幹の裏面で下向きになると、隣のスギの幹に飛び移りました。 
林床に飛び降り、左に走り去りました。 
どうやら給餌箱を警戒しているようです。 


シーン5:9/21・午後17:14(@2:12〜) 
約5時間25分後にもリスが来ました。 
カモシカ溜め糞場sr2のスギ落ち葉をなぜか掘り返しています。 
初見の行動ですが、何か餌を貯食したのでしょうか? 
給餌箱のオニグルミ堅果は減ってなかったので、クルミを貯食した可能性はなさそうです。 
(しかも、現場付近にオニグルミの木は自生していません。) 
残る可能性としては、カモシカの糞粒に来ていた糞虫を捕食したのかもしれません。 

次にリスはミズナラの幹を登ると、裏側に回り込んでから給餌箱を上からちらっと覗き込みました。 
中のクルミの状態が気に入らなかったのか、すぐにミズナラの木を下りて左に走り去りました。 
後で調べると、オニグルミの果皮が腐ってカビが生えていたので、黴臭い匂いを嫌ったのかもしれません。 
1.5倍に拡大した上で1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:32〜) 


シーン6:9/23・午後14:26(@2:51〜) 
次にリスが塩場に来たのは2日後です。 
ミズナラ幹の下部の左側面にリスがしがみつき、塩っぱい樹皮を舐めまくる様子がしっかり撮れていました。 
舐めながら少しずつ木登りしたリスは、岩塩を固定したベルトの直下で方向転換し、今度は下向きに幹にしがみつきました。 
ミズナラの幹から飛び降りて、珍しく林床を右に走り去りました。 


シーン7:9/25・午後14:56(@3:45〜) 
また2日後にリスが再登場。 
いつものように、ミズナラ幹の下部の左側面にリスが来ていました。 
ミズナラ幹の陰に隠れつつ、給餌箱から剥がれかけた迷彩テープに興味津々です。 
リスが引っ張ったりむしって迷彩テープを剥がしたのではなく、湿気で自然に剥がれたようです。 

一旦、林床に飛び降りてから再び幹を登り、岩塩プレートの横に来ました。 
しかし岩塩を直接かじることはありませんでした。 


シーン8:9/25・午後14:58(@4:47〜) 
いつの間にかリスがミズナラの木の左下に降りていました。 
落ち葉の匂いを嗅いでから林床を左に走り去りました。 


シーン9:9/26・午後15:24(@4:54〜) 
翌日もリスが塩場に来ていました。 
珍しくミズナラ幹の手前側にしがみつき、塩水が滴り落ちた樹皮を舐めているようです。 
ようやく監視カメラに対する警戒心が薄れたのかもしれません。


シーン10:9/27・午前8:30(@5:56〜) 
翌朝もリスが来ていました。 
ミズナラ幹の下部の左側面にしがみついています。 
身を翻して林床に飛び降ると、左に走り去りました。 


シーン11:9/28・午後15:13・晴れ(@6:13〜) 
翌日も、ミズナラ幹に固定した岩塩プレートの直下で下向きにリスがしがみついていました。 
その体勢でしばらく樹皮を舐めてから、上向きに方向転換。 
奥にあるスギの幹に移動してから、背後に回り込んで姿を消しました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
ニホンリスが岩塩を直接かじらずに、塩水で濡れた樹皮を舐めるだけなのは相変わらずです。

せっかく好物のオニグルミ堅果を給餌したのに、興味を示さなかったのは意外でした。
リスは見慣れない物に対する警戒心が強いようです。
リスが木の実を貯食する行動を撮影したくて、何年もあれこれ試行錯誤しているのですが、なかなか上手く行きません。
この地点では夜行性の野ネズミに餌を横取りされることはないのですが、リスが餌を気に入ってくれませんでした。
現場付近にオニグルミの木が自生していないので、堅果だけ置いてあるのは明らかに不自然な(怪しい)状況だとリスは気づいているのかな?
後で調べると、給餌箱の中でオニグルミの果皮が腐ってカビが生えていたので、黴臭い匂いを嫌ったのかもしれません。 




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場違いなウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の謎

2024年9月上旬・午後11:50頃および午後13:05頃・晴れ 

里山にある少し開けた湿地帯の周囲に点在する常緑低木のユキツバキ群落で、鮮やかな黄緑色の虫を見つけました。 
しげしげと眺めると、昔懐かしのウスムラサキイラガ(Austrapoda hepatica)の幼虫でした。 
グミのような見た目ですが、素手で触れてはいけません。

関連記事(8年前のまとめ)▶ ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録:2016年 

体表に生えている毒棘が細いので、近縁種のムラサキイラガ(Austrapoda dentata)ではなくウスムラサキイラガの幼虫です。 



濃い緑色をしたユキツバキの葉に堂々と乗っていた黄緑色の毛虫は、とてもよく目立ちます。 
全く保護色(隠蔽擬態)ではありません。 
身を守る毒棘があるので、隠れる必要があまりないのでしょう。 
ユキツバキの葉に食痕(虫食い跡)はありませんでした。 


その後、近くの水溜りで見つけたヤマカガシの撮影に夢中になっていたら、いつの間にかウスムラサキイラガの幼虫は隣にそびえ立つホオノキの幹に移って木登りしていました。 
私がユキツバキの枝葉を跨ぐように立ったまま長時間ヘビの動画を撮っていたので、幼虫は私の体を伝い歩いて移動したのかもしれません。 
毒毛で痛みを感じたり皮膚がかぶれたりすることはありませんでした。 

ユキツバキにしてもホオノキにしても、ウスイロイラガ幼虫の食樹リストに含まれていません。
ウスムラサキイラガの幼虫は、コナラ(ブナ科)、ウメ(バラ科)、ヤナギ類(ヤナギ科)など多食性(安田守『イモムシハンドブック2』p35より引用)

食樹とは無関係の樹上で一体何をしていたのか不明です。 
蛾の幼虫の多くは、蛹化する前に活発に動き回ります。 
しかしウスムラサキイラガの幼虫は地中に潜って蛹化・営繭するので、食樹以外の木に登る必要はないはずです。 
脱皮する前だったのかな? 



森のドングリを運んで貯食するカケス【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年9月中旬・午前8:20頃・気温22℃ 

雨上がりなのか、ニホンアナグマの営巣地(セット)は全体に少しモヤがかかっていました。 
カケス(Garrulus glandarius)がマルバゴマギの枯れた灌木に止まっていました。 
1.5倍に拡大すると、嘴にドングリ(樹種不明:ミズナラ?)を咥えていました。 
今季もカケスがドングリの貯食作業を始めたようです。 
止まり木から右に少し飛んだカケスは、獣道に降り立つと少し右に移動して画角の外に消えました。 
肝心の貯食作業が録画できず、残念無念。 

しばらくすると、別個体のカケスが左から飛来し、画面左の木に止まってから、左下の林床に飛び降りました。 
この個体は空荷でした(ドングリを持っていない)。 
最後にセットを横切るように、左から右へ飛び去りました。 
2羽のカケスは♀♂番(つがい)とは限らず、先行個体のカケスがドングリを隠す様子をこっそり見ていて、後で盗むつもりなのかもしれません。 


関連記事(1年前の撮影)▶  


【余談・考察】 
翌年(2025年)はドングリの大凶作となり、ここでトレイルカメラによる定点観察を続けても同様のシーンがまったく撮れませんでした。 
ドングリを貯食できなかったカケスは無事に冬が越せるのでしょうか? 
山に登っても、ドングリ(ミズナラとコナラの堅果)の落果が本当に全く見つかりません。 
定量的な調査をしない私でも、2025年はドングリが凶作の年だとはっきり実感できました。 
ただし、ブナ科でもクリだけは実っていました。
ドングリを貯食できなかった野ネズミやニホンリスにとって、無事に越冬できるかどうか死活問題です。 
翌年は野ネズミの数が激減していることが予想されます。

2025年はツキノワグマの人里への異常出没が社会問題となっていて、まさに今回と同じトレイルカメラ(平地の二次林に設置)にもクマが何度も写るようになりました。(映像公開予定) 
日本国内の各地域によって事情は違いますが、少なくとも私のフィールドでは、「複数種のドングリ類の同時凶作に伴う餌不足で飢えたクマが人里まで行動範囲を広げざるを得ない」という説明が一番しっくりきます。 
私が調査活動するフィールドの植生はブナ帯よりも標高が低いミズナラ帯なので、ブナの豊凶については実体験がない私は何も言えません。


 

 ↑【おまけの動画】 
【解明】クマの話は、日本の構造問題だった(小池伸介/ツキノワグマ/ヒグマ/出没/捕獲/駆除) by NewsPicks /ニューズピックス 

「ドングリに豊凶の周期があるのは、種子捕食者を減らしてドングリの全滅を避けようとするブナ科植物側の生存戦略である」という話をクマの専門家が分かりやすく解説しています。 
例えば素数ゼミの話も、基本的には同じ対捕食者戦略です。 


つづく→

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