前回の記事:▶ 春の林床で落ち葉をめくって虫を探すカケス【野鳥:トレイルカメラ】
2024年9月中旬・午前8:20頃・気温22℃
雨上がりなのか、ニホンアナグマの営巣地(セット)は全体に少しモヤがかかっていました。
カケス(Garrulus glandarius)がマルバゴマギの枯れた灌木に止まっていました。
1.5倍に拡大すると、嘴にドングリ(樹種不明:ミズナラ?)を咥えていました。
今季もカケスがドングリの貯食作業を始めたようです。
止まり木から右に少し飛んだカケスは、獣道に降り立つと少し右に移動して画角の外に消えました。
肝心の貯食作業が録画できず、残念無念。
しばらくすると、別個体のカケスが左から飛来し、画面左の木に止まってから、左下の林床に飛び降りました。
この個体は空荷でした(ドングリを持っていない)。
最後にセットを横切るように、左から右へ飛び去りました。
2羽のカケスは♀♂番 とは限らず、先行個体のカケスがドングリを隠す様子をこっそり見ていて、後で盗むつもりなのかもしれません。
関連記事(1年前の撮影)▶
【余談・考察】
翌年(2025年)はドングリの大凶作となり、ここでトレイルカメラによる定点観察を続けても同様のシーンがまったく撮れませんでした。
ドングリを貯食できなかったカケスは無事に冬が越せるのでしょうか?
山に登っても、ドングリ(ミズナラとコナラの堅果)の落果が本当に全く見つかりません。
定量的な調査をしない私でも、2025年はドングリが凶作の年だとはっきり実感できました。
ただし、ブナ科でもクリだけは実っていました。
ドングリを貯食できなかった野ネズミやニホンリスにとって、無事に越冬できるかどうか死活問題です。
翌年は野ネズミの数が激減していることが予想されます。
2025年はツキノワグマの人里への異常出没が社会問題となっていて、まさに今回と同じトレイルカメラ(平地の二次林に設置)にもクマが何度も写るようになりました。(映像公開予定)
日本国内の各地域によって事情は違いますが、少なくとも私のフィールドでは、「複数種のドングリ類の同時凶作に伴う餌不足で飢えたクマが人里まで行動範囲を広げざるを得ない」という説明が一番しっくりきます。
私が調査活動するフィールドの植生はブナ帯よりも標高が低いミズナラ帯なので、ブナの豊凶については実体験がない私は何も言えません。
↑【おまけの動画】
【解明】クマの話は、日本の構造問題だった(小池伸介/ツキノワグマ/ヒグマ/出没/捕獲/駆除) by NewsPicks /ニューズピックス
「ドングリに豊凶の周期があるのは、種子捕食者を減らしてドングリの全滅を避けようとするブナ科植物側の生存戦略である」という話をクマの専門家が分かりやすく解説しています。
例えば素数ゼミの話も、基本的には同じ対捕食者戦略です。
つづく→
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