2021/03/31

コガタスズメバチの巣を晩秋に採集したら中から蜂が出てきた!【暗視映像】

 

2020年11月上旬・午前2:30頃・晴れ・気温10.8℃・湿度69% 

民家の庭に植栽された落葉性広葉樹の灌木(テマリカンボク)にコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣が作られていました。 
昼間も巣に出入りする蜂の姿は無く、コロニーの活動が終了・解散した巣のように見えました。 
次世代の新女王は既に巣立った後のようです。 
誰かに駆除(破壊)される前に巣を採らせてもらうことになりました。 

蜂に刺されないよう安全策として、最低気温近くまで気温が下がる深夜の時刻に現場入り。 
地上からの高さ約2mと意外に低い位置の枝に丸い巣が吊り下げられていました。 
持参した脚立に乗れば、易々と蜂の巣に手が届きます。 
赤外線の暗視カメラで動画に撮りながら営巣木の枝を軽く揺すっても、蜂は巣の外に出て来ませんでした。 
空巣だとすっかり安心して、剪定バサミで枝ごと慎重に切り落としました。 
巣の周囲に密生する細い小枝も何本か外皮に取り込まれている(一体化)のは、巣を補強する役目がありそうです。 

白色光LEDの照明に切り替えて、採取した巣を動画に記録していると、巣口から2匹のワーカー♀が相次いで這い出てきたので焦りました。 
しかし巣内に最後まで残留していたコガタスズメバチ♀は寒さで動きが非常に鈍く、私を毒針で攻撃するどころか、光に向かって飛ぶことも出来ませんでした。 
棒を使って蜂を巣の外皮から剥がしてやると、地面に転がってもがいています。 
腹端をよく見ても毒針を伸ばしていません。 
低体温のせいで、仰向けにされても自力で起き上がれませんでした。 
外気温は10.8℃とそれほど寒くないのに、コガタスズメバチ成虫の活動性が著しく低下していました。 
晩秋で獲物が取れなくなり、飢えて寒さに弱くなっている可能性も考えられます。

映像ではまるで私が殺虫剤を使ったように見えるかもしれませんが、そうではありません。 
今回も殺虫剤は全く使わず、無事に(蜂に刺されず安全に)コガタスズメバチの巣を採集することができました。 
スズメバチの習性を熟知していれば、防護服も不要でした。 
(真似する人は居ないと思いますが、くれぐれも自己責任でお願いします。) 
対スズメバチ専用のしっかりした防護服があれば、わざわざ寒くて暗い深夜に作業する必要はありません。 
採集した巣を大きなビニール袋に包み、急いで持ち帰って冷凍庫に一晩放り込みました。 
巣内にもっと蜂が残っている可能性があるので、巣ごと冷凍処理して安楽死させます。 
これを怠ると、昼間に気温が上がれば蜂が再び元気に活動を始めてしまい、非常に危険です。 
スズメバチの巣は多重の外皮による断熱効果が優れているので、冷凍処理は十分な時間をかける必要があります。

営巣木の樹種を知りたいところですが、完全に落葉した状態では分かりませんでした。 
何種類かの灌木が混み合って植栽されています。
春になって樹種が判明すれば追記します。 

つづく→コガタスズメバチの巣の標本作り


 


【追記】
2021年4月下旬

周囲に生い茂る細い灌木は黄色い花が咲いて八重ヤマブキ(ヤエヤマブキ)と判明。
肝心の営巣木(メインの太い灌木)は展葉し始めたものの未だ不明です。


【追記2】
2021年5月中旬

営巣木にアジサイのような白い花(装飾花)が咲き、遂に樹種がテマリカンボクと判明しました。
東北地方や北海道に多い品種なのだそうです。
葉はカエデのように3裂していて鋸歯があり、独特の形状です。
花が咲く前は葉だけ見てカラコギカエデなのかと迷いました。







最後は、5日前に撮った蕾の写真も載せておきます。







2021/03/30

ヒマラヤスギ樹上に塒入りするダイサギの群れ(冬の野鳥)

 

2020年11月中旬・午後16:31〜16:44(日の入り時刻は午後16:26)・くもり 

日没後に上空を2羽のダイサギArdea alba)が相次いで同じ方角へ飛び去りました。 
その方角に昨年はダイサギが冬季(限定?)に使う集団ねぐらがありました。
▼関連記事(8ヶ月前の撮影:3月上旬の日没直後) 
ヒマラヤスギ林に続々と塒入りするダイサギの群れ(冬の野鳥)
私はダイサギの亜種を外見で見分けられないのですが、おそらく冬鳥として渡来するオオダイサギ(Ardea alba alba)が帰ってきたのでしょう。 
慌てて予定を変更し、近くのヒマラヤスギ林へ行ってみました。 
すると案の定、5、6羽の白鷺が既にヒマラヤスギ樹上に集まっていました。 
毎晩定点していた訳ではないので、オオダイサギがいつ渡来したのか正確な日にちは不明です。

風で大きく揺れるヒマラヤスギの枝葉に後から飛来した個体も次々と着陸しました。 
カラスやムクドリのように大きな群れが一斉に塒入りする(集団就塒)のではなく、ダイサギは1羽ずつバラバラに塒入りしています。 

常緑針葉樹ヒマラヤスギの高木だけでなく、手前の低い落葉広葉樹(おそらく桜)の枝にも数羽が止まっているのが珍しく思いました。 
ただし、私がカメラを向けて警戒させなくても、桜の木をそのまま塒として使ったとは思えません。 
桜は樹高も低く完全に落葉して丸見えの状態ですから、素人目にも塒として安心できないないと思います。 

ダイサギは一旦塒入りしても、しばらくは落ち着かずに樹上から再び飛び上がって塒入りをやり直しています。 
強風のため翼を広げたままホバリング状態になった個体も、上手く姿勢を制御して枝に着陸しました。 

塒で落ち着くと、ヒマラヤスギ樹上で念入りに羽繕い。 
嘴で整えている白い羽毛が強風でなびいています。 

 ちなみに、この日の日の入り時刻は午後16:26。 
月齢は0.9でほぼ新月でした。 

 ※ かなり暗い映像なので、動画編集時にコントラストではなく彩度を少し上げています。 

この冬塒でダイサギの群れを定点観察してみることにします。 


アカタテハの羽化b【10倍速映像】

 

アカタテハの飼育記録#11

前回の記事:▶ 自発的に蠕動を繰り返すアカタテハ垂蛹の謎
2020年10月下旬・午後15:00頃・室温21.8℃・湿度43%(羽化終了時) 

翌日、アカタテハVanessa indica)垂蛹bの変態が更に進み、翅原基の色が赤く透けて見えるようになりました。 
いよいよ羽化が始まりそうです。 微速度撮影で記録したので、10倍速の早回し映像をご覧ください。 
照明に使っていたUSBリングライトの配線が絡まって撮影の邪魔になったので、途中で一時消灯しました。 
再点灯した10分後に蛹の胸部が割れて羽化が始まったのは、もしかすると光刺激に何か関係あるのかもしれません。 

前回の個体aが羽化した時と違い、この個体bは腹端もスムーズに蛹から抜けでることができました。 
しわくちゃに畳まれていた翅がみるみるうちに伸び切ったものの、翅頂が画角の下に少しはみ出てしまい残念。 
タテハチョウ科の成虫は前脚が退化しているため、昆虫なのに4本脚に見えます。 

左右の口吻をジッパーのように閉じてゼンマイ状の1本の管に融合する作業に手間取っているようで、何度もくるくると伸縮させています。 
マクロレンズで口吻の形成過程を接写すれば良かったですね。 


 
羽化直前のアカタテハ垂蛹b
羽化直後のアカタテハ新成虫b(口吻は未だ2本)
口吻は未だ2本


 

↑【おまけの映像】 
後半の翅が伸び切った後の口吻の融合シーンは、実は微速度撮影ではなく普通に撮りました。 
等倍速のオリジナル素材をブログ限定で公開しておきます。 


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