2025/12/22

岩塩を初めて舐めたニホンカモシカが近くのエゾユズリハに眼下腺マーキング【トレイルカメラ】

 



2024年10月上旬・午前6:50頃・くもり 

里山でスギと雑木の混交林にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2を自動撮影カメラでで見張っています。 
基本的に画面の左下から右上に向かって山の斜面が登っているのですが、溜め糞場sr2の付近だけ平坦な地形になっています。 
獣道が画面の左右および前後へ縦横に走っていて、その交差点にカモシカの溜め糞場sr2があるのです。 

最近ミズナラの幹にヒマラヤ岩塩のプレート(155×100×25mm、870g)をベルトで固定して、野生動物の塩場を作ってみました。 
更に、ニホンリスに給餌するためにオニグルミの堅果を詰めた箱もミズナラ幹に取り付けてあります。 

ある朝、カモシカが溜め糞場sr2/塩場に手前から来ていました。
明るい時間帯なので、岩塩プレートをすぐに見つけたカモシカは、頻りに匂いを嗅いでいました。 
次に首を伸ばして、餌箱の底のカビ臭い匂いも嗅ぎました。 

遂に岩塩を直接舐めました! 
舌舐めずりのように舌をペロペロと出し入れしているのは、一種のフレーメン反応なのでしょうか? (※ 追記参照)

今回カモシカは、溜め糞場sr2で大小便を排泄しませんでした。 
ゆっくり奥に立ち去りかけたところで、いつものエゾユズリハの葉裏に顔を擦りつけて眼下腺の分泌物でマーキング(匂い付け)しました。 

関連記事(同所で2、5、6ヶ月前の撮影)▶ 


【考察】 
動物園でニホンカモシカを飼育する際にも、塩場を設置するのが必要なのだそうです。
カモシカの生息地のソートリック(salt lick;塩舐め場)に似せて、飼育場内の岩の割れ目に岩塩をなすりこんでおいた。 (大町山岳博物館『カモシカ:氷河期を生きた動物』p140より引用)
初めて味見した岩塩を気に入ってくれたようなのに、このニホンカモシカ個体がその後、塩場に通って来ることはありませんでした。
ニホンリスのような岩塩中毒(依存症)にはならなかったようです。 
ここは元々カモシカの溜め糞場ですから、塩場の場所を学習できずに忘れてしまったはずはありません。 
オニグルミ落果を入れた餌箱が発するカビ臭い匂いを嫌ったのかな? 

関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ 岩塩を舐めるヤギ♀ 
カモシカと同じウシ科に属するヤギも、岩塩を喜んで舐めてくれました。 
牛を放牧する際にも「塩くれ場」を設置するそうなので、いつか見学したいものです。 

野生動物では他にシカが塩場によく来ることが知られているらしいのですが、ここ山形県ではまだホンシュウジカの生息数が少なくて、トレイルカメラでも滅多に記録されません。 
例えば次のようなネットニュースが報道されました。 「「バケツに食塩水」でシカの繁殖減らす なぜメスだけ寄ってくる?」by 朝日新聞 2025年2月1日 


つづく→


※【追記】
私はカモシカのフレーメン反応を実際に観察したことがまだありません。
とりあえずニホンカモシカのフレーメン反応についてGemini AIに解説してもらいました。

ニホンカモシカはフレーメン反応をすることが確認されています。

フレーメン反応は、動物がフェロモンなどの化学物質をより効率的に感知するために、上唇を巻き上げ鼻腔を広げる行動です。主に繁殖期に、オスがメスの尿や分泌物を嗅ぐ際にこの行動を示すことで知られています。

ニホンカモシカにおけるフレーメン反応の研究

ニホンカモシカに関する研究では、他の動物と同様に、繁殖期にオスがメスに対してフレーメン反応を示すことが報告されています。この行動は、メスが発情しているかどうかを判断し、交尾の準備をする上で重要な役割を果たしていると考えられています。

フレーメン反応が確認された理由

  • 観察記録: 動物園などでの観察記録で、ニホンカモシカのオスがメスの尿を嗅いだ後にフレーメン反応を示す様子が確認されています。

  • 比較研究: ウシ科の他の動物(アフリカスイギュウ、バーバリーシープなど)でもフレーメン反応が確認されており、ニホンカモシカも同様の行動を示すことが予想されていました。

フレーメン反応の意義

  • 繁殖行動: メスの発情状態の確認や、交尾の誘発に重要な役割を果たしています。

  • 個体識別: 個体ごとに異なる匂いを感知することで、個体識別にも役立っている可能性があります。

  • 環境情報収集: 周囲の環境や他の個体に関する情報を収集する手段としても利用されていると考えられています。

まとめ

ニホンカモシカは、他の多くの哺乳類と同様にフレーメン反応を示すことが確認されています。この行動は、繁殖行動をはじめとする様々な生物学的意義を持つと考えられています。


さらにしつこくPerplexity AIで確認すると、ニホンカモシカのフレーメン反応は、口腔内の切歯管を通じてフェロモン様物質を鋤鼻器(ヤコブソン器官)へ直接運ぶ仕組みであり、ヘビのような舌の出し入れを伴わないのだそうです。
したがって、カモシカの舌舐めずりはフレーメン反応ではないことがはっきりしました

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