2020年11月上旬・午前2:30頃・晴れ・気温10.8℃・湿度69%
民家の庭に植栽された落葉性広葉樹の灌木(テマリカンボク)にコガタスズメバチ(Vespa analis insularis)の巣が作られていました。
昼間も巣に出入りする蜂の姿は無く、コロニーの活動が終了・解散した巣のように見えました。
次世代の新女王は既に巣立った後のようです。
誰かに駆除(破壊)される前に巣を採らせてもらうことになりました。
蜂に刺されないよう安全策として、最低気温近くまで気温が下がる深夜の時刻に現場入り。
地上からの高さ約2mと意外に低い位置の枝に丸い巣が吊り下げられていました。
持参した脚立に乗れば、易々と蜂の巣に手が届きます。
赤外線の暗視カメラで動画に撮りながら営巣木の枝を軽く揺すっても、蜂は巣の外に出て来ませんでした。
空巣だとすっかり安心して、剪定バサミで枝ごと慎重に切り落としました。
巣の周囲に密生する細い小枝も何本か外皮に取り込まれている(一体化)のは、巣を補強する役目がありそうです。
白色光LEDの照明に切り替えて、採取した巣を動画に記録していると、巣口から2匹のワーカー♀が相次いで這い出てきたので焦りました。
しかし巣内に最後まで残留していたコガタスズメバチ♀は寒さで動きが非常に鈍く、私を毒針で攻撃するどころか、光に向かって飛ぶことも出来ませんでした。
棒を使って蜂を巣の外皮から剥がしてやると、地面に転がってもがいています。
腹端をよく見ても毒針を伸ばしていません。
低体温のせいで、仰向けにされても自力で起き上がれませんでした。
外気温は10.8℃とそれほど寒くないのに、コガタスズメバチ成虫の活動性が著しく低下していました。
晩秋で獲物が取れなくなり、飢えて寒さに弱くなっている可能性も考えられます。
映像ではまるで私が殺虫剤を使ったように見えるかもしれませんが、そうではありません。
今回も殺虫剤は全く使わず、無事に(蜂に刺されず安全に)コガタスズメバチの巣を採集することができました。
スズメバチの習性を熟知していれば、防護服も不要でした。
(真似する人は居ないと思いますが、くれぐれも自己責任でお願いします。)
対スズメバチ専用のしっかりした防護服があれば、わざわざ寒くて暗い深夜に作業する必要はありません。
採集した巣を大きなビニール袋に包み、急いで持ち帰って冷凍庫に一晩放り込みました。
巣内にもっと蜂が残っている可能性があるので、巣ごと冷凍処理して安楽死させます。
これを怠ると、昼間に気温が上がれば蜂が再び元気に活動を始めてしまい、非常に危険です。
スズメバチの巣は多重の外皮による断熱効果が優れているので、冷凍処理は十分な時間をかける必要があります。
営巣木の樹種を知りたいところですが、完全に落葉した状態では分かりませんでした。
何種類かの灌木が混み合って植栽されています。
春になって樹種が判明すれば追記します。
つづく→コガタスズメバチの巣の標本作り
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