2020年10月中旬・午後13:50頃・くもり
街中で民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)に果実が実り、キイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が熟果を食べに来ていました。
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熟したイチジクの果実を食害するキイロスズメバチ♀とニホンミツバチ♀おそらくキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)と思われるショウジョウバエの仲間も来ていて、イチジク熟果の上を歩き回っていました。
ショウジョウバエは熟した果肉を舐めるだけでなく、♀は産卵するはずです。
ショウジョウバエはとても小さいので、改めてマクロレンズで接写しないといけませんね。
イチジク果実に夢中のキイロスズメバチは、小さなショウジョウバエのことなど眼中に無いようで、追い払う占有行動は特に見られませんでした。
キイロスズメバチ♀が顔正面を向けてくれたので、果皮を切り裂く大顎の動きがよく分かるようになりました。
ここでちょっとした興味深い事件が起こりました。
食事中のキイロスズメバチ♀が何か白い物を吐き戻したのです。(@1:55)
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、舌で選り分けて口内から吐き出したようです。 (@2:20)
左前脚の先で異物を口から拭い取り、すかさず踏み潰しました。
擬人化すると「オエッ!」と言わんばかりに、心底嫌そうに吐き出していました。
液体の水滴(イチジク果汁)ではなく、粒状の固形物のように見えます。
ミカンの房の中にある粒粒のような印象です。
イチジクの果肉に含まれる種子が硬かったのか、それともショウジョウバエの卵や幼虫(ウジ虫)なのかな?
キイロスズメバチは肉食性でもありますから、ショウジョウバエの卵や幼虫といった軟かい獲物を口にするのを嫌がらないはずです。
松浦誠、山根正気『スズメバチ類の比較行動学』という専門書を紐解くと、「果樹害虫としてのスズメバチ」と題した章が設けられ詳細に解説されていました。
わが国では、スズメバチ類による果樹の被害はイチジクとブドウに多くみられ、他にナシ、カキ、パイナップル、リンゴなどの加害例があるが、いずれも被害は年により、また地域によって大幅に変動することが多い。これは、野外における樹液などの他の有力な炭水化物源の供給量との関連があると考えられる。(p323より引用)
イチジク ‘ドルフィン’をはじめ、ほとんどすべての品種の成熟した果実は果皮、果肉とも軟弱で糖度が高いために、各種のVespaをはじめハナムグリ、ケシキスイ、チョウ、ヤガなどの昆虫も飛来して摂食する。Vespaによる被害はいずれも果肉部が完全に摂食されてしまうのが特色である。(p323より引用)
食物源の占有性はV.mandarinia(オオスズメバチ:しぐま註)の種特異的な習性であるが、他のVespaではたとえ摂食中であっても巣を離れると人間にたいする攻撃性はない。(p324より引用)
混入異物の吐き戻し? |
キイロショウジョウバエ? |