2012/10/29

ヤマジガバチの労働寄生#3:寄生♀の捕獲・標識



2012年7月下旬

依然としてジガバチ♀H白が巣坑を埋め固める作業を念入りに続けています。
日が高くなり、営巣地には木漏れ日が射しています。

さて次は、巣の乗っ取りを企んでいそうな♀Pにも個体識別の目印を付けることにしました。
もしかしたら、この辺りで労働寄生ジガバチ♀Pは一匹だけとは限りません。
巣穴の閉鎖に熱中している♀H白とは異なり♀Pはあちこち動き回るため、一時捕獲しないと個体標識するのは無理です。
この日は捕虫網を持参しなかったので、蜂の上から麻酔管を素早く被せて生け捕りにします。

どこかに出かけた♀H白の帰巣を待っている間に、巣の右の茂みに潜んでいた♀Pを捕獲しました。@2:32
そのまま日陰に持っていき、炭酸ガスで軽く麻酔してから腹背に油性ペンで水色の点を打ちました。

以降、この個体をジガバチ♀P水と呼ぶことにします(parasite、水色)。
カメラの背後でマーキング作業する一部始終の物音が録音されています。

(ボンベから炭酸ガスをシューッと出す音など)
炎天下でCO2麻酔すると体温調節できなくなった蜂が熱射病で死んでしまうことがあるので、必ず日陰で行います。

苦い経験となった関連記事はこちら→「オオモンクロベッコウの捕獲標識と麻酔事故











麻酔から回復するまでの間に♀P水をじっくり接写しました。
この蜂は一体ヤマジガバチまたはサトジガバチどちらなのか、写真鑑定で同定できるでしょうか?


後日、同じフィールドで捕獲した♀♂はヤマジガバチと写真鑑定して頂きました。
 ♀H白の動画撮影に気を取られて目を離した隙に、自力で飛び去りました。
♀P水が元居た林縁に飛んで行く姿を直後に目撃しています。
もしかすると捕獲・麻酔・標識された蜂がストレス(身の危険)を感じて遠くへ逃げてしまい二度と戻って来ないおそれもあります。
しかし、そこは一か蜂かの賭けです。

ジガバチ♀P水をマーキングしている間に♀H白が帰巣しました。@3:30
このとき小石を口に咥えて搬入した点が目を引きます。
実は出かけるときも同じ小石を咥えていたので、閉塞石ではなく巣口の押し固めに使う道具としての石槌と思われます。
再び外出する際も小石を咥えたまま飛び去りました。

つづく


2012/10/28

ヤマジガバチの労働寄生#2:巣坑閉鎖中の喧嘩



2012年7月下旬

しばらくするとジガバチ♀H白が巣に戻り、気にせず作業を再開してくれて一安心。
先程マーキングを施した際に手元が狂ったようで、腹背だけでなく翅先および右後脚にも油性ペンの白インクが付いてしまっています。
それでも飛翔や営巣行動には影響しないようです。

やがて、無印の別個体がまたやって来て、近くの茂みを徘徊しています。@2:35
後に労働寄生するジガバチ♀Pと思われ、巣を乗っ取る隙を虎視眈々と伺っているようです。
似我似我♪鳴きながら巣穴を押し固めている♀H白の背後から♀Pが忍び寄りました。
少し躊躇い辺りの凹みを物色する素振りを示しました。
無防備な♀H白の腹端を突ついて喧嘩を売りました。
2匹の蜂は取っ組み合いながら斜面を転がり落ちていきます。

ストーカーを無事に追い払ったようで、♀H白が巣に戻ってきました。
個体標識すると、喧嘩の勝者がどちらなのか明確になります。
喧嘩を売られても、予想通り先住効果で巣の持ち主が勝ちました。
同胞の度重なる襲撃・嫌がらせを受けた蜂はかなり神経質になっているようです。

油断無く辺りを警戒し、押し固め作業をなかなか再開しません。
たまたま通りかかったクロアリに凄い剣幕で襲いかかり、大顎で撃退しました。@5:57

♀H白がようやく落ち着いたようで、埋め固め作業を再開しました。
翅先に付いた白点のおかげで、ジージー♪鳴く際に翅も細かく振動していることがよく分かります。
時々休憩が必要なのか、どこかへ飛び去ります

つづく

♀H白(左)が閉鎖中の巣坑を狙う労働寄生ジガバチ♀P(右)

蜂の留守中に閉鎖中の巣坑を採寸

オニヤンマ♂の飛び立ちハイスピード動画



2012年7月下旬

道端の草の茎にオニヤンマAnotogaster sieboldii)が掴まって休んでいました。

翅を開いた状態で止まっています。
副性器は見えませんが、腹端の形状から♂だと思います。
飛び立つ瞬間をハイスピード動画(220fps)に撮ってみました。
同一個体を追いかけて2回撮影。




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