2024/02/21

ニホンアナグマ母子が巣外で過ごす6/11一夜の行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

とある一夜(東北地方南部で梅雨入りした6/11)にニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)で撮影された母子の行動をまとめてみました。 
この夜の授乳シーンなどはすでに別の動画にまとめました。 
2台のトレイルカメラで別アングルから監視すると、互いに補完し合ってアナグマの行動が良く理解できるようになります。 


シーン1・6/11・午前1:52・気温18℃(@0:00〜) 
手前の巣口Lから伸びるアクセストレンチに座った母親♀の方へ幼獣3頭がよちよちと登って行きます。 
♀は幼獣の毛皮を甘噛みしたり舐めたりしてきれいにしてやります。(対他毛繕い) 
1頭の幼獣が自分で身震いしました。 


シーン2・6/11・午前1:52・(@1:00〜) 
別アングルで設置した旧機種のトレイルカメラで撮れた広角映像に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
左の巣口Lから3頭の幼獣が次々に登って行き、♀の元へ行きました。 


シーン3・6/11・午前2:02・(@1:12〜) 
♀が先に入巣Lした後で、取り残された2頭の幼獣が覚束ない足取りでアクセストレンチを下りていきます。 
1匹が横転して斜面の溝を巣口Lにずり落ちました。 
幼獣の安全面でもアクセストレンチは上手いこと出来ていると感心しました。 


シーン4・6/11・午前2:05・(@1:33〜) 
単独で出巣Lした成獣が巣口Lで身震いしてからノソノソと歩いて左上奥の二次林に入って行きました。 
この個体は、♀ではなくヘルパー♂だったようです。 


シーン5・6/11・午前2:05・(@1:51〜) 
ヘルパー♂が採餌に出かける様子を別アングルの広角映像でご覧ください。 


シーン6・6/11・午前2:08・(@1:58〜) 
出巣Lした♀(右目<左目;乳房あり)が巣口Lで身震いしてからぐるっと回って巣口Rを点検。 
左上奥の二次林へ向かいました。 


シーン6・6/11・午前2:08・(@2:45〜) 
別アングルの広角映像。 


シーン7・6/11・午前2:14・(@2:52〜) 
成獣1頭が帰巣Lしました。 
カメラの起動が遅れて、どちらの個体か見分けられません。 


シーン8・6/11・午前2:15・(@3:00〜) 
巣口Lに座っていた♀が左の巣穴Lに入る際に、巣口Lに居た幼獣とすれ違いました。 


シーン9・6/11・午前2:21・(@3:11〜) 
出巣Lした♀が身震いしてから座り、自分の痒い首筋を右後足で掻きました。 
ノソノソ歩いて奥の巣穴Rへ入りました。 


シーン10・6/11・午前2:21・(@3:47〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 


シーン11・6/11・午前2:36・(@3:58〜) 
幼獣4頭の引っ越し(L➔R)を無事に済ませた後、♀が手前の巣穴Lに戻ってきました。 
幼獣が残っていないことを確かめると、再び外に出てきました。 
広場をぐるっと回ってから入巣R。 


シーン12・6/11・午前2:36・(@4:46〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
♀(右目<左目)が入巣Rするまでしっかり見届けることができました。 


シーン13・6/11・午前3:11・気温21℃(@5:05〜) 
巣外で仰向けになった♀が毛繕いしたり痒い体をゴシゴシ掻いたりしています。 
腹面に乳首が見えます。 
最後は手前へ歩いて死角に消えました。 


シーン14・6/11・午前3:10(@5:53〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
最後は入巣Lせずに獣道を歩いて左に向かいました。 


シーン15・6/11・午前4:12・気温18℃(@6:04〜) 
外出から戻ってきた♀が身震いしてから入巣R。 


シーン16・6/11・午前4:12(@6:20〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 


シーン17・6/11・午後19:03・気温18℃(@6:27〜) 
日中は巣内で寝て、すっかり日が暮れた晩に活動を再開します。 
巣外でぷるぷると身震いしてから入巣R。 


シーン18・6/11・午後19:02・気温18℃(@6:38〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 


シーン19・6/11・午後19:44・気温18℃(@6:45〜) 
♀が謎の外敵を追い払った直後、巣口Rに戻って幼獣3頭に対他毛繕いしてやっています。 


シーン20・6/11・午後19:46・気温18℃(@6:57〜) 
計4頭の幼獣が巣口Rに全員揃っています。 
♀は営巣地(セット)をうろつき始めました。 
巣口LRの中間地点に座って自分の体を掻いてから、巣口Rに戻って幼獣3頭の毛皮を舐めてやります。 
巣口Rで遊ぶ幼獣たちとすれ違うように♀が入巣Rしました。 

暗視映像で見た時に♀の目の大きさが左右で異なって見える(右目<左目)のは、もしかすると斜視なのですかね? 


シーン21・6/11・午後19:51・気温18℃(@7:21〜) 
♀が右へ立ち去りました。 


シーン22・6/11・午後19:56(@7:35〜) 
巣材を集めてきた直後、出巣Rした♀が身震いしてから今度は右へ向かいます。 
しばらく戻ってこなかったので、採餌に出かけたのでしょう。 


シーン23・6/11・午後21:51・気温18℃(@7:50〜) 
アクセストレンチLに佇んでいる成獣の後ろ姿が写りました。 
毛皮が濡れているように見えるのは、気のせいでしょうか? 
外出中に夜露で濡れたのか、それとも水場や水田で水浴してきたのかな? 
身震いしてから入巣R。 


シーン24・6/11・午後21:51(@8:22〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
この映像では、毛皮が濡れているようには見えませんね。 


シーン25・6/11・午後23:14・気温17℃(@8:49〜) 
♀が身震いしてから巣口LRの中間地点に座り込みました。 
左右の後足を使って痒い体をゴシゴシ掻いてしばらくすると、大量の細かい抜け毛(フケ?)が夜風に乗って舞い、カメラに向かって飛んできます。 
♀は奥の巣穴Rへ向かいました。 


シーン26・6/11・午後23:14・(@9:49〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
体を掻いてから巣口Rに幼獣を迎えに行きました。 
このとき軽く唸るように鳴いた♪のですが、5倍速の早回し映像に加工してしまいました。 


シーン27・6/11・午後23:16・(@10:01〜) 
小雨がぱらついています。 
幼獣1頭を巣外に連れ出していました。 
♀は体を掻いてから、幼獣を外に放置したまま、さっさと入巣Lしてしまいました。
巣口LRの中間地点に独り残された幼獣は、辺りを静かに(鳴かずに)ウロウロするばかりです。 
♀が巣口Lに顔を出したところで、録画終了。 


シーン28・6/11・午後23:16・(@11:01〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
♀が巣外に幼獣を独り短時間だけ放置するのは珍しくないことが分かってきました。 
巣L内に居る他の幼獣3頭の様子を見に行ったのでしょう。 
しばらくすると、巣外で母子が合流。 


シーン29・6/11・午後23:18・(@11:23〜) 
♀が幼獣を先導して奥の巣穴Rに入りました。 
幼獣は追いかけながら♀の乳首に吸いつこうとします。 
巣口Rで♀が幼獣を咥えて持ち上げました。 
入巣Rしたがらない幼獣に手を焼いているのかな? 


シーン30・6/11・午後23:18・(@11:50〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
最後は巣口Rに2頭の幼獣の姿が見えます。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


ムシトリナデシコの花蜜を吸いに飛び回るモンシロチョウ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月中旬・午後12:05頃・晴れ 

平地の農道沿いに咲いたムシトリナデシコの群落でモンシロチョウ♀(Pieris rapae)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅をしっかり閉じたまま、口吻を花筒の奥にぐっと差し込んで吸蜜しています。 
隣の花筒へ歩いて移動する際は羽ばたいてバランスを取ります。 
花から花へ忙しなく飛び回りますが、飛び立っても同じ花序に舞い戻ってくることもあります。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:39〜) 
最後の個体はもしかすると♂かもしれません。 
撮影アングルの加減で♂に見えるだけなのかな?
紫外線カメラで撮ればモンシロチョウの性別は一目瞭然のはずなので、カメラメーカーがお手頃な値段で発売して欲しいものです。


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2024/02/20

晴れた夜でも雨夜でも幼獣を連れて隣の巣穴に引っ越すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年6月中旬

ニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma) 

シーン1・6/11・午前2:23・(@0:00〜) 
♀が手前の巣穴Lに入り、しばらくすると後ろ向きで外に出て来ました。 
幼獣が自力で歩けるようになったと思っていたのに、久しぶりに母親♀が幼獣aを咥えて巣外に引きずり出しました。
逃げ回ろうとする幼獣を咥えるのも大変そうですし、重く育った幼獣を引きずって歩くのも重労働です。 

2つの巣口LRの中間地点に母子が座って、♀が幼獣aの毛皮を舐めてやります(対他毛繕い)。 
成獣の腹面に乳首が見えることから、母親♀と見分けられます。 
(左右の目の大きさや首筋の白斑の有無では、見る角度によって個体識別が難しいことがあります。) 


シーン2・6/11・午前2:23・(@0:46〜) 
幼獣aの搬出シーンが別アングル(広角)の旧機種トレイルカメラでも録画されていました。 
アクセストレンチはなかなかの急斜面であることが見て取れます。 
地上でしばらく毛繕いしてやってから、幼獣aの首筋を再び咥えて右側の巣穴へ運び込みました。 
1頭目の幼獣を巣穴LからRへ引っ越ししたことになります。 (L➔R)


シーン3・6/11・午前2:27・(@1:47〜) 
戻ってきた♀が手前の巣穴Lに入りました。 
前回と同じく、後退しながら2頭目の幼獣bを巣穴Lの外に連れ出します。 
首根っこの皮を噛まれた幼獣はおとなしく引きずられて運ばれます。 
今回は幼獣を地面に下ろして休憩・毛繕いしないで、一気に奥の巣穴Rへ運びました。 


シーン4・6/11・午前2:27・(@2:32〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて同じシーンを振り返ります。 


シーン5・6/11・午前2:29・(@3:15〜) 
巣穴Lに戻ってきた♀が後ろ向きで3頭目の幼獣cを外に引きずり出しました。 
今回も奥の巣穴Rへ休憩無しで一気に運びます。 


シーン6・6/11・午前2:29・(@3:51〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて同じシーンを振り返ります。 
幼獣cを巣穴Rに搬入した♀が再び出巣Rする様子まで録画されていました。 


シーン7・6/11・午前2:30・(@4:31〜) 
最後の幼獣dは(仲間が居なくて寂しくなって?)巣口Lで待機していました。 
迎えに来た母親♀は、外に引きずり出した幼獣dを巣口LRの中間地点で下ろして、毛皮を舐めてやります。 
幼獣dは空腹ではなかったらしく、♀の乳首に吸いつこうとしません。 
覚束ない足取りで地面を歩き回ろうとしますが、それを母親が前足で制して転がし、毛繕いしてやします。 
巣外での対他毛繕いは、1頭目と4頭目の幼獣に対してのみ行いました。 


シーン8・6/11・午前2:30・(@5:00〜) 
別アングルの広角動画に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
身震いしてから左の巣穴Lに戻った♀が、巣口Lから4頭目の幼獣dを外に連れ出します。 
巣口LRの中間地点で幼獣dを下ろして、時間をかけて丁寧に毛皮を舐めてやります。 


シーン9・6/11・午前2:33・(@5:46〜) 
♀が先導して右の巣穴Rに戻り、幼獣dを誘い込みます。 
幼獣dは自力で歩いて入巣Rできましたが、巣口Rを塞ぐように露出している細い木の根っこを乗り越えるのに難儀しています。 

これで計4頭の幼獣a-dの引っ越し(L➔R)が無事に完了しました。 
 幼獣全員の引っ越しが完了したかどうか、新居に連れてくるのを忘れた幼獣がいないかどうか、母親♀はどうやって知るのでしょう? 
四つ子を育てる母親は、巣穴に同居する幼獣の個体数を1から4まで数えることができるのでしょうか? 
(羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、…zzz) 
それとも、4頭の幼獣それぞれに固有な体臭や鳴き声で識別しているのですかね? 


シーン9からシーン10の間に、逆に巣穴RからLへ幼獣を引っ越し(R➔L)したはずなのに、なぜか撮れていません。 
地中では2つの巣穴がつながっているのではないか?という気がします。 


シーン10・6/13・午前3:50(@6:13〜) 
2日後には雨が降りしきる深夜に幼獣の引っ越し作業?を始めました。 
手前の巣穴Lに戻った♀が幼獣を外に連れ出しました。 


シーン11・6/13・午前3:48(@6:50〜) 
別アングルの広角動画に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
旧機種のトレイルカメラは、時刻を正確に合わせても、すぐに狂い始めてしまいます。 


シーン12・6/13・午前3:50(@7:00〜) 
2頭の幼獣を巣穴Lの外に連れ出していました。 
幼獣はケケケッ♪と小声で鳴きながら、覚束ない足取りで歩き回ります。 

♀は幼獣1頭の毛繕いをしてやってから、首筋を咥えて奥の巣穴Rへ運びます。 
その間に、もう1匹の幼獣はアクセストレンチをずるずると滑り降りて手前の巣穴Lに戻ってしまいました。 


シーン13・6/13・午前3:50(@7:49〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 


シーン14・6/13・午前3:52(@7:58〜) 
左の巣穴Lに戻った♀が後ろ向きで幼獣を咥えて外に引きずり出します。 
カメラの電池が消耗してきて、断片的な暗視映像しか撮れなくなりました。 


シーン15・6/13・午前3:52(@8:07〜) 
巣口Lで待っていた幼獣を♀が咥えて外に運び出しました。 
大きく育った幼獣はとても重そうで、途中で地面に下ろして尻の辺りを舐めてやります。 
足元をうろつく幼獣に♀が跨って自分の尻を擦り付け、アロマーキング(臭腺・肛門腺による匂い付け)をしました。 
雨の降る中を幼獣は奥の巣穴Rへ自力で歩いて行きました。 


シーン16・6/13・午前3:52(@9:08〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラの広角映像に切り替えます。 


※ 鳴き声や雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
画面に表示される気温はすべて異常値です。(暗視動画の連続撮影によるカメラ本体の過熱)


我々ヒトの感覚では、雨が降る日にわざわざ乳幼児を外に連れ出す母親の気がしれません。 
幼獣が濡れて風邪を引いてしまうかもしれませんし、毛皮が泥だらけになってしまって、それをきれいに拭いてやるのも大変そうです。 
しかしアナグマ♀は雨を全く気にせず、スパルタ育児です。 
雨夜という新しい環境刺激に幼獣を早く慣らしてやりたいのでしょう。 
定期的に1頭ずつ巣外に連れ出して健康状態をチェックし、糞尿で汚れた毛皮を舐めてやる作業は雨天決行の必要があるようです。
梅雨の時期ですから、雨が止む日まで待ってられないのでしょう。

隣接する2つの巣穴の間で日によって行ったり来たり(L⇔R)引っ越しを繰り返しているようですが、ワンオペ育児の♀が4頭の幼獣を順番に漏れなく巣外に連れ出すために、引っ越しのていを取っているだけだと思います。 
実はトンネル内で2つの巣穴は連結しているのではないかと私は疑っています。
もしも梅雨の大雨で巣穴が浸水したら、幼獣を連れて行く避難先(別の巣穴)をアナグマ♀は用意しているのでしょうか?


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