2021/11/22

タヌキの溜め糞を舐めるオオマダラヒロクチバエ

 

2021年8月下旬・午後15:00頃・晴れ 

里山の尾根道にあるホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場cに来る昆虫を観察しています。 
常連客のキンバエ類に混じって見慣れないハエが口吻を伸ばして獣糞の表面を頻りに舐めていました。 
溜め糞の中でも新鮮な軟便または泥状になった部分が好みのようです。 

翅に独特の斑紋があり、腿節が黄褐色でした。 
調べてみると、どうやらヒロクチバエ科のオオマダラヒロクチバエ(Euprosopia grahami)という種類のようです。 
食性は、成虫が樹液、腐果、獣糞。 
幼虫はコガネムシ類の幼虫を捕食するらしい。
(参考ブログ「KONASUKEの部屋」:オオマダラヒロクチバエ20200905) 
この情報を信じるならば、オオマダラヒロクチバエ♀は獣糞に産卵するのではなく、地中のコガネムシ幼虫に寄生産卵することになります。 (どうやって調べたのでしょう?)
にわかには信じ難いので、おそらく詳しく調べられていないのではないか(情報不足)という気がします。 
もしこれが、センチコガネなど糞虫の幼虫を捕食するというのなら、私も納得します。

溜め糞上でメタリック・グリーンに輝くキンバエが近づいても互いに無関心でした。 
採寸してませんが、体格を比べると、キンバエ>オオマダラヒロクチバエ。



キアゲハ幼虫は触られた側の臭角を長く伸ばす?

 

2021年8月下旬・午前7:30および午後12:35頃・晴れ 

山麓の道端の草むらでキアゲハ(Papilio machaon hippocrates)の幼虫を見つけました。 
模様が黒っぽい個体です。
食草(セリ科植物)の葉柄?に乗ってじっと静止しているだけでした。 
この植物はオオハナウドかな?と思ったのですが、蕾が咲きかけで花も葉も見れず、しっかり同定できませんでした。 
昼間に目立つ葉表で堂々としていて、天敵(捕食者や寄生者)が怖くないのでしょうか? 
キアゲハ幼虫の体表に私が触れる度に、上半身を仰け反らせながらオレンジ色の臭角をニョキっと伸ばしました。 
フォーク状に突出した臭角から独特の異臭を放ち、威嚇しています。 
しばらくすると海老反り姿勢から戻り、臭角も引っ込みます。
関連記事(8年前の撮影:飼育個体)▶ 臭角を伸ばすキアゲハ終齢幼虫
面白がって繰り返していると、面白いことに気づきました。 
伸びた臭角の長さが左右非対称なのです。 
軽度の奇形なのかと思いきや、触られた側の臭角が長く伸びることが判明しました。 
幼虫の右側面に触れると右の臭角が長く伸び、左側に触れると左の臭角が長く伸びるのです。 
正中線(背中の真ん中)に触れたら臭角は左右対称に伸びたかな?
体の左右に同時に触れたら、臭角はどう伸びるでしょうか?
(臭角の)内部は体液で満たされており、それの圧力増減によって臭角を出し入れすることができる。(wikipediaより引用)
お祭りの縁日でよく売っている玩具の笛の「吹き戻し(ピロピロ笛)」と同じ原理です。 
体性感覚(触覚)と臭角がリンクしていて、フォーク状の臭角のつけ根の部分(分岐点)には左右への体液分配をコントロールする弁のような仕組みがあることになります。
幼虫は少数の単眼をもつだけで目がほとんど見えませんから、視覚ではなく触覚で敵の位置を察知しているのでしょう。
そんな複雑な機構を想定しなくても、キアゲハの幼虫が触られた側に体を曲げたことで内圧に左右差が生じ、受動的に臭角の伸展も左右非対称になるのかもしれません。

5時間後、帰り道に現場を再訪しました。 
おそらく同一個体のキアゲハ幼虫が少し移動して蕾の上に乗っていました。 
何度も実験を繰り返すと、同じ結果が再現されました。 
しつこく繰り返すと接触刺激に馴れて反応が鈍くなります。

他の個体でも同じなのか、更に追試して確かめる必要があります。 
とりあえず、8年前の飼育個体で試してみた実験映像を見直してみましょう。
当時は気づかなかったのですが、やはり刺激された同側の臭角が少し長く伸びていて、背中の中央(正中線)を触れられると左右均等に伸びていました。
ただし、私の利き手の問題でキアゲハ終齢幼虫の同じ側(左側)ばかり突いていました。


撮影中に狩蜂が飛び回っていました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、その正体はミカドトックリバチ(Eumenes micado)でした。 
キアゲハ幼虫の背後で一瞬ホバリングしただけで、狩らずに飛び去りました。 
狩りの決定的瞬間が見れずに残念でした。 
狩蜂に襲われたらキアゲハの幼虫は臭角で応戦したはずです。 
ミカドトックリバチ♀が獲物として狩るイモムシ(蛾の幼虫)の種類には好みがあり、アゲハチョウ科の幼虫は狩りの対象外なのでしょう。 
(キアゲハ幼虫の臭角から発する匂いに強い忌避効果があり、ミカドトックリバチ♀が狩らなくなったという可能性も考えられます。)


【追記】
学研の写真図鑑『チョウ:くらしとかいかた』p27によると、
(アゲハチョウ類の)幼虫の出すくさい角は、人には通じてもアシナガバチなどにはききめがない。角にかまわず食べてしまう。
藤丸篤夫『アゲハチョウ観察事典』によれば、
 臭角は、敵から身を守るためのもので、とくにアシナガバチにたいしてきくといわれています。(中略)臭角があれば、かならずアシナガバチから身を守れるとはいえないようです。(p16より引用)

2021/11/21

夜の山道を飛び回るコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年8月下旬・午後22:34・気温14℃ 

里山の尾根道に設置したトレイルカメラ(無人センサーカメラ)に夜行性コウモリ(種名不詳)の飛翔シーンが写っていました。 
一瞬だけカメラの前を横切り、パタパタ♪と羽ばたき音が聞こえました。 
起動したトレイルカメラの電子部品が発する微弱な超音波に反応しているのでしょうか? 

バットディテクター(コウモリ探知機)とトレイルカメラを組み合わせて、コウモリが発する超音波の鳴き声も同時に記録できたら面白そうです。 
鳴き声の声紋でコウモリの種類を同定できる可能性があるからです。 
山の中を飛ぶコウモリは、街なかでよく見かけるアブラコウモリとは違う種類ではないかと期待できます。
バットディテクターがコウモリの超音波をヒトの可聴域に変換する方式は幾つかあるらしいのですが、その一つに「タイム・エキスパンション式」があります。
タイムエキスパンション式(Time Expansion:時間軸延長式) 録音(書き込み)した鳴き声データを録音時より 1/10 程度の遅いスピードで再生し、人が聴こえる音にする方式である。コウモリの鳴き声を加工(変換)しない方式で、コウモリの超音波がそのまま記録できる。コウモリの種は、記録した超音波をソナグラム化することで、判断する。(wikipediaより引用)
試しに撮れた動画ファイルを1/10倍速のスローモーションでリプレイしてみたのですが、コウモリの羽ばたき以外の鳴き声は録音されていませんでした。 
スペクトログラムを描いてもコウモリの声紋は得られませんでした。 
なぜ駄目なのか素人に理屈は分かりませんが、やはり専用のバットディテクターが必要になるようです。 

実は3時間前にも飛来したコウモリがトレイルカメラの画面をチラッと横切っていました。 
あまりにも一瞬で、しかもコウモリの全身が写ってなかったので、その動画は割愛。 
トレイルカメラで何も撮れてない無駄な空打ち動画の多くは、コウモリが素早く横切って赤外線センサーを起動したと思われます。

今回のトレイルカメラは山道に残されたタヌキの溜め糞に狙いを定めています(画面中央)。
もし夜も溜め糞に夜行性の昆虫が群がり、その虫をコウモリが繰り返し捕食しに来たら面白いですね。
しかし、糞虫などは糞塊の下に潜って(隠れて)しまいますし、暗い夜はハエも飛びません。

新型コロナ・ウイルスのパンデミックの影響で、野生コウモリのフィールドワークが世界中で滞ることになりました。 
ウイルスの自然宿主がコウモリではないかと疑われているため、洞窟などのコロニーに入って調査するのも躊躇ってしまいます。 
ウイルスを防ぐ完全防護服が必要になりそうです。
バットディテクターのネット通販サイトも軒並み販売中止になっています。
(メーカーが倒産したのではないかと心配です。)
山中にトレイルカメラを仕掛けると、夜行性コウモリの活動も撮れることが分かりました。 
フィールドに無人カメラを仕掛けるだけなら感染の心配は無いでしょう。 

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