2021/06/21

繁殖池の岸辺の枯草に潜り込むヤマアカガエルの抱接ペア♀♂

前回の記事:▶ 繁殖池の底で♀の死骸に抱接を続けるヤマアカガエル♂(屍姦)
2021年3月中旬・午後12:50頃・くもり 

ヤマアカガエルRana ornativentris)の抱接ペア♀♂が繁殖池Hの底から岸辺の方に登ってきました。 
個体識別できていないので、この日見たのと同じペアかどうか不明です。
池の岸では残雪の雪解け水がポタポタと池に滴り落ちています。 
抱接ペアは周囲の安全を確かめてから、岸辺に生えていた草が枯れた茂みの下に潜り込みました。 
ヤマアカガエルの体色は枯れ草に紛れて見事な保護色(迷彩)になっています。 
岸辺の枯草付近で産卵を始めてくれるかと期待したのですが、なぜかいつまで経っても産卵してくれません。 
私もいい加減、待ちくたびれました。 
実はカエルは視力が良くて、池から少し離れたところからじっと見ている私を警戒しているのかもしれません。 

つづく→

2021/06/20

クルミの殻を投げ落として割り抱卵中の♀に給餌するハシボソガラス♂(野鳥)

 

2021年3月下旬・午前9:50頃・くもり 

舗装された堤防路でハシボソガラスCorvus corone)がオニグルミの実を嘴でいじくり回していました。 
これからクルミ割り行動が見れそうです。 
ようやくクルミを咥えると飛び立ち、急旋回してから近くの電柱に止まりました。 
すぐに電柱から飛び上がると、空中でクルミを離して落としました。 
堤防路から横の土手に転がりかけたクルミをハシボソガラスが追いかけて拾いました。 
落下の衝撃でクルミの硬い殻が上手く割れたようです。 
カラスは足でクルミを押さえながら割れ目に嘴の先を叩き込んで割り、中身をほじくり始めました。 
しかしハシボソガラスの喉袋が膨らんでいることから、自分で食べているのではないようです。 
これから誰かに給餌するのか、それともどこかに隠すのかな?(貯食) 
しかし、クルミを貯食するのなら殻付きのまま隠さないと保存性が低下するはずです。
やがてカラスはクルミの殻を路肩に残して飛び去りました。 
近くの枯木の天辺に止まり直したカラスの喉袋が明らかに膨らんでいます。 
ここで私は動画の撮影を中断してしてしまったのですが、その隙をついてカラスは枯木から飛んで帰巣しました。 
河畔林の樹々は未だ落葉したままですが、近くのニセアカシア(別名ハリエンジュ)樹上に立派な巣が完成していました。 
私が慌てて巣にカメラを向けると、カラスはすぐに巣を離れてしまいました。 
繁殖期の野鳥はとにかく巣の場所をヒトに知られたくないのです。 
出巣したハシボソガラスは止まり木(落葉樹)で嘴を拭いました。 
このとき喉袋の膨らみが無くなっていることから、クルミの実を誰かに給餌した直後であることが分かります。 
シャイなカラスは、私から見えない枝の死角に隠れようとしています。 

改めて私がハシボソガラスの巣にズームインしてみると、巣の上から黒い頭が少しだけ覗いていました。 
♀が抱卵しているのでしょう。 
ということはつまり、投げ落としでクルミの殻を割っていた♂が、巣で抱卵中の♀に甲斐甲斐しく給餌したと分かりました。
クルミを詰め込んだ喉袋が膨らんでいる
抱卵している♀の黒い頭がほんの少しだけ見える?

繁殖池の底で♀の死骸に抱接を続けるヤマアカガエル♂(屍姦)

前回の記事:▶ 岸辺の卵塊に潜り込むヤマアカガエルの抱接ペア♀♂

2021年3月中旬・午前11:35〜午後13:35頃・くもり 

ヤマアカガエルRana ornativentris)が繁殖する池Hの底に沈んだまま仰向けで白い腹を見せている大型の個体が気になります。 
多数の独身♂が殺到して激しい蛙合戦が繰り広げられているので、おそらく♀なのでしょう。 
池の中央部で最も深い底でした。

しかし、この♀は池の底で仰向けのまま長時間全く動かないので、どうやら死んでいるようです。(溺死?)
雪解け水が溜まったこの池は水温が低いですから、死骸が腐敗する進行は遅いはずです。 
♀溺死体の腹部が膨満しているのは、腐敗してガスが溜まっているというよりも、産卵前の卵が卵巣に詰まっているからでしょう。(体内にガスが溜まった死骸は浮くはず) 
 
数時間後、♂同士の蛙合戦の決着が付いたようです。 
1匹の勝者♂が死んだ♀の腹側に抱きついていました。 
蛙のカップル♀♂にとってこの体勢は「正常位」ではありません。 
カエルの♂が抱接するには♀の腹側ではなく背側にしがみつかないといけないのですが、とりあえず相手を確保しておきたいのでしょう。 
♀の死骸に抱きついたまま、♂は水底でじっとしていました。 
抱接ペアが形成されると、それ以降の行動(産卵地探索など)は♀が主導権を握ります。 
この♂は水中で息が続く限り、動かない♀の死骸を抱き続けるのでしょう。 
激しい♀争奪戦の末に♀を殺してしまうのも、♀が死んだことに気づかずに抱接し続けるのも、本能行動の愚かしさの一例です。
遺伝子でプログラムされた本能行動は長い進化の結果、おおむね上手く働くのですが、決して完璧ではありません。
♀死骸に執着している♂よりも、「何かおかしい」と気づいてすぐに離れる♂個体の方が次世代を残す上で適応的と言えます。 
ヤマアカガエルの独身♂は動くものなら手当たりしだいに飛びつくらしいので、ゴム製のカエルの玩具やリアルなルアーなどを繁殖池に投入する実験をしたら面白そうです。

ヤマアカガエルは池の底で冬眠するらしいのですが、いくら雪解け水の水温が低くて代謝が抑えられるとは言え、無呼吸でどれだけ耐えられるのでしょう? 
水中の皮膚呼吸だけで生存可能なのでしょうか? 
厳冬期のヤマアカガエルの様子を私は未だ見てません。(この池の水面は凍結していました) 
早春の繁殖期が始まると、水中での蛙合戦の合間に♂はときどき息継ぎのため水面に浮上しているようです。
関連記事(3日前の撮影)▶ 早春の池で水面に浮かぶヤマアカガエル♂
水中の蛙合戦はヒトの水球競技やシンクロナイズド・スイミングよりも体力を消耗しそうです。
無呼吸で永遠に続けられるはずはありません。
多数の♂に抱きつかれ蛙合戦で長時間もみくちゃにされた結果、♀が溺死してしまったのだろうと私は死因を推理しました。
しかし別の死因として、冬眠に失敗して凍死した♀個体という可能性もありそうです。 
ヤマアカガエルの喉には斑紋があるのが特徴らしいのですが、この溺死体では見えません。(まさか別種のカエルなのかな?) 
あいにく私はタモ(手網)を持ってこなかったので、死骸を回収して確かめられませんでした。

池の底に横たわる死骸はいずれ、ヤマアカガエルの卵塊から孵化したオタマジャクシ(幼生)や他のスカベンジャー達の餌となるはずです。 

風で水面が波立つと、深い池の底の様子がグニャグニャに歪んでしまいます。 
来年は水中カメラで蛙合戦を撮影してみたいものです。 

つづく→ 

以下に掲載するのは、不鮮明だった写真を自動色調補正処理したものです。

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