2026年5月中旬・午後12:35頃・晴れ
山中のスギ植林地に囲まれた浅い池の底で、アカハライモリ(Cynops pyrrhogaster)が歩いたり泳いだりして、餌を探し回っていました。
この個体は繁殖期なのに尻尾に婚姻色が出ておらず、総排出口が膨らんでないことから、♀のようです。
交尾中のマツモムシ(Notonecta triguttata)の♀♂ペアがイモリ♀の頭上の水面を背泳ぎで横切ると、腹を空かせたイモリ♀が反応したのはマツモムシ♀♂の本体ではなく、水底に落ちた影の方でした。
池の水は意外に透明なのに、水中で活動するアカハライモリの視力はあまり良くないことが覗えます。
水底のイモリ♀は、マツモムシ♀♂の影に口を近づけて探っても何もないので、諦めて離れて行きました。
次にイモリ♀は、水底のデトリタスに潜む小さな水生生物を捕食しました。
口の中で暴れている獲物の正体がよく分からないのですが、イモリ♀はその場で飲み込みました。
繁殖期で食べ盛りのアカハライモリ♀は、食後も水中を手前に向かってどんどん近づいて来ます。
この池には灰色のワラジムシのような等脚類が水底のデトリタスに多数暮らしていることが分かりました。
ワラジムシはもちろん陸生なので、別の生き物です。
調べてみると、謎の水生生物の正体は、フナムシでもなくミズムシの仲間でした。
さっきイモリが捕食した獲物も、ミズムシだったようです。
引き続き池の中で餌を探し回るイモリ♀は、目の前に大型のミズムシ個体と遭遇したのに、なぜか捕食せずに見逃しました。
大型のミズムシは後退してイモリから逃げて行きました。
イモリが至近距離でミズムシを凝視して、鼻先でグイグイ押したのに、味見すらしなかったのが、不思議でなりません。
ミズムシ側が捕食者対策の忌避物質を何か出していたのでしょうか?
両生類は獲物を丸呑みするから、口よりも大き過ぎる獲物は見逃すのかもしれません。
しかし、そこまで単純な話ではなくて、アカハライモリは両生類なのに、口内に歯が生えているのだそうです。
ただし、獲物を噛み砕くための歯というよりも、滑りやすい獲物を保持するために役立つ程度らしい。
(イモリは)かみちぎることはできないので、口に入る大きさの動物を丸飲みにします。(『はっけん! イモリ 日本のいきものビジュアルガイド 』p65より引用)
すぐ近くに別個体の小型ミズムシが落ち葉の上に乗っていたのに、それもイモリは無視しました。
さっきミズムシを1匹食べたことで、食欲がある程度満たされたのかな?
この池は広いのに水深が浅いので、イモリ♀が少し顔を上げるだけで容易に息継ぎすることができました。
水面に泡がプクッと出来ます。
山麓にある深い池で暮らすアカハライモリと違って、息継ぎのためにわざわざ水中を垂直に浮上する必要がないのです。
関連記事(同じ池で1年前の撮影)▶ 池の底でアカハライモリが捕食していた物とは?
今回アカハライモリの探餌行動を長撮りしたら、獲物の正体がようやく一つ判明しました。
水深の浅い池の方が、圧倒的に水中のイモリを観察しやすいです。
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