2026年6月上旬・午前10:10頃・くもり
山麓の果樹園に野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の群れが傍若無人に侵入していました。
今季はまだ果樹園全体が電気柵で囲われていなかったので、無防備な状態でした。
当地は豪雪地帯ですから、積雪の重みで潰れたり壊れたりしないように、秋の収穫が終わると電気柵を全て撤去してしまいます。
果樹園の敷地の端(リンゴ林の林縁)でリンゴの果樹に登っていたニホンザルが赤く色づき始めた小ぶりの未熟果を次々に食い荒らしていました。
リンゴ農家も果実を間引いて大きく育てるために不要な枝を剪定したり摘果したりするので、この時期の食害には寛容なのでしょうか。
それとも単に人手不足で猿害対策が間に合わないのかもしれません。
多くのニホンザルが続々とリンゴの木によじ登って未熟果を食べ漁るので、どの個体に注目して撮影すべきか、目移りしてしまいます。
関連記事(2年前の撮影)▶ 初夏のリンゴ園で未熟な落果を食べるニホンザル♀
ときどき、ニホンザルがリンゴの枝をポキッと折る音が聞こえます。
リンゴの樹上に座ったニホンザルが近くの枝から未熟果を手でもぎ取り、かぶりついてモグモグと咀嚼します。
片手を伸ばして小枝を引き寄せ、未熟果を口で直接咥えてもぎ取ることもありました。
しかし猿は一口か二口食べただけで、食べかけの果実を惜しげもなく捨ててしまい、次の果実を採取します。
ニホンザルに特有のこのような採食法が我々に「もったいない」と強く感じさせ、果樹農家に憎まれる原因になります。
果皮が赤く色づいていない「青りんご」の状態でもニホンザルは平気で食べています。(@2:02〜)
渋くないのかな?
普段ニホンザルは野生の果実ばかり食べているので、栽培品種のリンゴ果実は未熟でもよほど美味に違いありません。
リンゴの芯や種子は食べずに捨てているのか、それとも逆に、リンゴの果皮を捨てているのか、よく見えませんでした。
リンゴの木の下に散乱している食べ残し(食痕)を観察しに行く必要があります。
また、この時期のニホンザルが排泄した糞に未消化のリンゴ種子が含まれているかどうか、調べる必要がありますね。
果実が熟していないということは、種子も未だ成熟していない(発芽能力がない)ので、今回は種子散布の話と無関係です。
つまり、リンゴという植物にとって、ニホンザルによる未熟果の食害は、完全な食べられ損です。
リンゴの樹上で私に背を向けて座り、未熟果を食べていた個体が真っ逆さまに(頭を下にして)幹を下りました。(@1:37〜)
ニホンザルの群れは、緑の葉が生い茂った枝から枝へ渡り歩いて、リンゴ園の奥へと入って行きます。
私に見られているのを嫌い、茂みの奥に隠れたいのかもしれません。
白猿と呼ばれて地元では昔から神聖視(半ばアイドル化)されています。
まず見つけた白猿は、体格の良い太った成獣♀です。(@2:41〜)
胸に幼い子猿を抱えていたので、今季出産した♀であることが分かります。
興味深いことに、子猿の毛皮は母親のように真っ白(ホモ)ではなくて、通常の野生型(ヘテロ)でした。
幼い子猿はまだ離乳前らしく、自分でリンゴの未熟果を採食することはありませんでした。
授乳期の母猿は、栄養価の高い餌をたくさん食べないといけません。
樹上の白猿が振り返ったときに瞳の色を確認すると、黒目があるようにも見え、メラニン色素が薄くて青い目のようにも見えます。(YouTube動画のサムネイルとなった場面@3:29〜)
やがて、乳飲み子を抱いたまま、隣の木に跳び移りました。(@3:42〜)
アルビノ♀が出産するのは珍しいとのことですが、私自身はそこまで詳細な記録を取っていません。
私が撮影に夢中になっていると、手前の農道を別個体の白猿が通り過ぎました。(@3:03〜)
若いアルビノ(白変種?)個体です。
私をあまり恐れずに、ゆっくり歩いて果樹園の方へ向かいました。
残念ながら後ろ姿しか見えなかったので、瞳の色を確認できていません。
アルビノの母猿と若いアルビノは、親子なのでしょうか?
その後、年齢の離れたアルビノ同士がリンゴ園で合流する様子は見ていません。
※ 撮影順ではなく、映像素材の順番を編集で入れ替えました。
つづく→猿も木から落ちる!
【追記】
こういう動画を公開すると、「のんきに傍観してないで、さっさと害獣を追い払え!」と怒る人が出てきます。
猿の襲撃が1回限りなら、全くその通りです。
しかし、何度も繰り返されるとなると、話が変わってきます。
猿害(ニホンザルによる農作物の食害)に苦しむ農家の心情も理解できるのですが、私は長年ひっそりと観察に徹しているからこそ、このような記録映像を撮ることができるのです。
ちなみに、私は野生のニホンザルに撮影目的の餌付けや給餌を一切していません。
もし私がニホンザルの追い払い活動に参加すると、猿たちは私に対して警戒を強め、自然な行動を見せてくれないどころか、群れに近づくことも困難になります。
つまり、猿害対策には分業が必要となるのです。
害獣防除の専門業者も必要ですし、ニホンザルの行動や生態を地道に調べる研究者や動物カメラマンも必要です。
現在では無人のカメラを農地や果樹園に設置して、野生動物の侵入を不眠不休で監視することも可能になりました。
軍事で例えると、偵察部隊や斥候(隠密偵察)はこっそり敵の様子を視察して、正しい情報を本隊に伝えるのが任務の専門職です。
敵と遭遇したからと言って、いちいち戦闘したり追い払ったりするのは御法度です。
隠密偵察が持ち帰った情報や証拠映像を元に対策を立てたり作戦を練ったりするのは、別の担当者です。
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