2025/05/07

マルバアオダモの枝から青色の蛍光物質を抽出してみる

 

2024年5月上旬・午後14:30頃・晴れ 

植物の図鑑でアオダモという樹木について調べると、「枝を水に浸けてしばらくくすると水が青を帯びた色になる」などと書いてあります。 
気になっていたので、実際に実験してみましょう。 
当地でアオダモの木を見かけたことがないので、その代わりに近縁種のマルバアオダモを実験材料にしました。 
マルバアオダモを使った実験は誰もやっていないようです。 

ガラスの小瓶と水筒、剪定バサミを持参し、春のフィールドで探し歩くと、峠道の道端でマルバアオダモの白い花が咲いていました。(萎れかけの花) 
細い枝先を切り落とし、ガラスの小瓶に収まるように、さらに短く切り揃えました。
マルバアオダモの小枝をガラス瓶にぎっしり詰め込んでから、ペットボトルに持参した水道水を注ぎました。 
透明な水だったのに、抽出液を日光にかざすと、確かにうっすらと青っぽく見えました。
これは、自然光に含まれる紫外線による蛍光なのだそうです。

2日後の5月中旬、100円ショップでUSB UVライトを買ってきました。 
モバイルバッテリーにUSB接続するだけで、手軽に紫外線を照射できます。 
ライト色の波長は比較的安全な405nmですが、実際は青色に見えます。(可視光が混じってる?) 
この商品の本来の目的はUVレジン(樹脂)の硬化用で、100円ショップ(ダイソー)の手芸コーナーやジェルネイルの関連グッズとして売られていました。 
この商品を選んだのは一番安かったからで、ネット通販サイトで探せば他にも色んなUVライト(ブラックライト)が売られています。 


マルバアオダモ枝の抽出液に暗闇で紫外線(UV)を照射すると、確かに青い蛍光を強く放ちました。 
2日間も水出ししたせいか、濃くてコロイド状に濁って見えます。 

ガラス瓶の蓋を開けた状態で少し傾けたら、床に少し液をこぼしてしまいました。 
その溢れた水も、紫外線で青く光って見えます。 
紫外線を消灯すると真っ暗に戻りました。(蓄光性はない。) 
実験中は目の網膜を守るために、UVカットのサングラスを着用しました。(気休め?)

ペットボトルに入れた別なサンプル(試料)でも試してみました。 
こちらはマルバアオダモの枝に対して水の量が多くて濃度が薄いため、コロイド状にはなっていません。 
特にペットボトルの裏側からUVを照射すると、青色の蛍光がきれいに見えます。 

ペットボトル容器にマルバアオダモの小枝を少量入れた方は、実は初回に試した実験です。 
抽出液の濃度が薄くて、自然光下では青色を帯びているようには見えず、紫外線照射で初めて青色に光りました。 
2回目の実験では、容器に小さなガラス瓶を選び、マルバアオダモの小枝をいっぱいに詰めて水の量を少なくしてみたのです。 

実験を実演した動画としては、Negative Control(陰性対照実験)が必要だったかもしれません。 
まず、木の枝を入れてないただの水道水は紫外線を当てても青く光らないことを示す必要があります。
次に、どんな樹種からでも青い蛍光物質が抽出される訳ではないことを示す必要があります。 
何か別な樹種の小枝からも同様に抽出液を作り、紫外線を当てても青く光らないことを示せば、より厳密な実験でした。 
対照実験をしっかりやることで、実験結果がノイズではなく、マルバアオダモの枝に蛍光物質が含まれていることが証明できます。

紫外線で励起されて青い蛍光を放つ主な原因物質として、アオダモの場合は、芳香族有機酸である「コーヒー酸(カフェ酸)」およびその誘導体が有力視されているそうです。 
カフェー酸は多くの植物が生合成する成分で、トネリコ属植物からもカフェー酸を基本骨格とするエステルやその類縁化合物が報告されています。
他にも、水に浸すと青い蛍光物質が抽出される樹種が何種類もあるらしいので、いずれまた実験してみるつもりです。 

参考サイト:日本植物生理学会ホームページ > みんなのひろば > 植物Q&A > アオダモの蛍光物質は何のため?  


ちなみにUSB UVライトを使った別の実験として、試しに1万円札に紫外線を照射しても、偽造防止のマークが赤く光ることはありませんでした。 
もちろん偽札ではなくて、もっと波長の短い(365nm)本格的なブラックライトが必要らしい。

夜のフィールドにブラックライト持参すると、新しい発見があるかもしれません。
例えば、サソリに紫外線を照射すると、なぜか緑の蛍光を発するのだそうです。

生物の標本をUVで硬化する透明樹脂で封入する作業も楽しそうです。
いつかやりたいと思いつつ、忙しくて試していません。

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