2026/09/05

池で煮干しの争奪戦を繰り広げるクロゲンゴロウの群れ

 



2026年4月下旬・午後14:30頃・晴れ・気温24℃・水温20℃(煮干しを給餌した岸辺) 

山麓の池Lに煮干しを投入してしばらくすると、水中を泳ぎ回っていた複数個体のクロゲンゴロウCybister brevis)が煮干しの匂いを嗅ぎつけて集まってきました。 
同種間で餌をシェアするかと思いきや、独り占めしようとする占有行動(争奪戦)が勃発しました。 

同じ煮干しを巡ってクロゲンゴロウ同士が争っているというよりも、協力して餌を解体し始めた、という見方もできそうです。 
煮干しを噛んで引きちぎると、自分の分け前を持って急いで泳ぎ去ります。 
対岸の抽水植物の茂み(スゲの根元)などに隠れ、持ち込んだ餌をゆっくりと食べるのです。 
餌から滲み出る匂いが拡散しにくい場所を隠れ家として選んでいるようです。 
そこなら鳥などの捕食者からも見つかりにくくて安全です。 
しかし、隠れ家でも餌の独り占めは長く続きません。 
遅かれ早かれ煮干しの匂いが水中に拡散するために、周囲を泳いで探索していたクロゲンゴロウが集まってきてしまい、再び争奪戦が勃発することになります。 

ヤマアカガエルRana ornativentris)の幼生も一部の個体が煮干しに群がって食べ始めました。 
意外にも、クロゲンゴロウは同じ餌に群がるオタマジャクシに対して攻撃や捕食することはありませんでした。 
しかしクロゲンゴロウがオタマジャクシに対して寛容な訳ではありません。 
しばらくすると、クロゲンゴロウは息継ぎするために煮干しを抱えたまま水面まで浮上し、ついでにライバルのオタマジャクシから逃れて安全な隠れ家まで持ち去りました。 

クロゲンゴロウは、煮干しの争奪戦の最中にも定期的に浮上して水面で息継ぎする必要があります。 
しかし、息継ぎした直後に急いで潜水しても、池の底に沈んでいる煮干しを見失うことがありました。 
ライバルが息継ぎでいなくなった隙に、残った個体が急いで煮干しを持ち去る事例も多いです。 
つまり、息継ぎするのはせっかく手に入れた餌を失うリスクがあるのです。 
大庭伸也 編『ゲンゴロウ類の生態学』という専門書を読んでみると、まさしくこの問題を取り上げていました。
水深が浅い水域においては、息継ぎ後に餌を再発見できる確率が高いため、餌を置き去りにする。一方、水深が深い水域においては息継ぎ後に餌を再発見できる確率が低いため、餌を持ち去る戦略をとることが多いという。 (p94より引用)
同じ餌を巡ってライバルがいる間は、息継ぎするのをなるべく我慢しないといけません。 
ゲンゴロウは鞘翅の下に空気の層を溜め込みますから、大きな酸素ボンベを持っている大型の個体の方が長時間潜水できて有利なのでしょうか?
しかし、大型の個体が水中を激しく泳ぎ回ると、酸素の消費量も多そうです。


定点観察に通う池でクロゲンゴロウに煮干しを給餌したら、今回はドラマチックな展開となり、面白い動画が撮れました! 
水生昆虫のクロゲンゴロウはとても優秀なスカベンジャー(死骸の掃除屋)であることがよく分かりました。 
こうして水中の死骸をクロゲンゴロウが寄って集ってきれいに食べ尽くし、池の水質はきれいに保たれます。 

今回、餌として用意した煮干しは無塩タイプです。
予め頭部を取り除き、背骨に沿って半分に割ってから投入しました。 
煮干しを丸ごと池に投入すると、水中のクロゲンゴロウが餌に気づくまで長引くようです。
食べ残しが出ると水質を汚染するので、各池に1匹ずつしか煮干しを給餌していません。 

水中を泳ぐクロゲンゴロウは、角度によって鞘翅が緑色を帯びて見えることがありました。 
3〜4匹のクロゲンゴロウが煮干しに群がって奪い合いを繰り広げると、なかなか迫力があります。 
水底の泥を激しくかき回すので、水がどんどん濁って観察しにくくなります。


つづく→

春の夜に林内のタヌキ営巣地を別々にうろつく2匹のイエネコ:4月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年4月中旬〜下旬 

シーン0:4/17・午後14:44・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:4/17・午後15:24・晴れ(@0:03〜) 
春の二次林でホンドタヌキやニホンアナグマが出入りする巣穴を2台の自動センサーカメラで見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマの掘った営巣地(セット)でした。 

イエネコFelis silvestris catus)の登場シーンをまとめました。 
赤外線の暗視カメラで撮れた夜行性の記録ばかりなので、毛並みの色は不明です。 


シーン1:4/19・午後21:07・気温14℃(@0:07〜) 
ある晩、白毛を基調とする三毛猫♀が現れました。 
巣口Lの匂いを嗅いでから、横に座り込んで警戒しています。 

シーン2:4/19・午後21:13・気温17℃(@1:07〜)
同一個体と思われる三毛猫♀が、東からセットに戻って来ました。 
2つの巣口L/Rの間を横切ると、そのまま西の林内へ向かいました。 

シーン3:4/19・午後21:12・気温16℃(@1:23〜)
別アングルの監視カメラでも撮れていました。 
最後は朽ちた細い倒木の上を伝って、西へ立ち去りました。 


シーン4:4/21・午後23:10・気温5℃(@1:32〜) 
2日後の晩遅くに登場した猫は、明らかに三毛猫とは違いました。 
モノクロの暗視映像では毛並みの色が分かりません。 
全身が白っぽく、薄い茶色の模様があちこちに入っているのではないか(茶ブチ)と想像しています。 

西から巣口Lに忍び足で来て、中を覗き込んでいます。 
最後は獣道を東へゆっくりと立ち去りました。 


【考察】 
毛並みの模様が異なる2匹のイエネコが単独で代わる代わるやって来ました。 
近所の家の飼い猫が夜の散歩に出歩いているようです。
夜の林内で野ネズミの巣穴を探しているのでしょう。 
イエネコが狩りをする決定的なシーンを私はまだトレイルカメラでまだ撮れていません。
野外を我が物顔に跳梁跋扈して野ネズミを狩る外来種のイエネコは、フクロウやホンドテン、ニホンイタチ、ホンドギツネなど在来種の猛禽や肉食獣の競合相手になります。

ネコが興味を示した巣穴Lは最近、アナグマが頻繁に整備したりマーキングしたりしています。
なぜかもう一つの巣穴Rに猫は2匹とも立ち寄りませんでした。



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つづく→

2026/09/04

田んぼの用水路で水を飲むキジ♀(野鳥)

 

2025年6月中旬・午後15:15頃・晴れ 

水田で農道を単独で歩くキジ♀(Phasianus versicolor)を見つけました。 
キジ♀も私の存在に気づいていて、どんどん奥へと逃げて行きます。 
田植え前に除草剤を撒いた農道の区画では枯草が広がっています。 
褐色系の迷彩模様を身にまとったキジ♀にとっては、緑の草地を歩くよりも保護色になっています。 
それを自覚していてキジ♀は奥へ奥へと逃げていたのかもしれません。 

逃げる途中で、畦道の横を流れる細い農業用水路からキジ♀が水を飲みました。 
よほど喉が渇いていたようで、私から逃げつつ場所を変えながら、何度も水を飲んでいます。 
用水路をピョンと飛び越えました。 
畦道を右に曲がると、最後は水田の中に入って水を飲んだようです。 

水飛沫を上げながら水を飲んだり、用水路を飛び越えたりする様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:21〜) 
キジ♀が流水の水面から顔を上げたら、嘴ですくい上げた水滴が前方に飛びました。 
もし私が怖がらせなければ、キジ♀は用水路内で落ち着いて水浴したのかな? 


キジが水を飲むシーンを初めて動画で記録できて嬉しかったのですが、デジカメ(Panasonic LUMIX DC-FZ85D-K)の手ブレ補正機能の副作用が酷いです。 
撮影を始めるまで私はカメラを起動したまま首からぶら下げて農道を歩いていました。 
私の歩行リズムを打ち消すようにカメラが手ブレを補正しようとするので、私が立ち止まって動画を撮り始めても横方向の不自然な振動が続いてしまうのです。 
動画を撮りながら私が画角の振動を打ち消そうとカメラを手で動かすほど逆効果で、不自然な振動が長く続くことになります。 
カメラの電源を一度切ってから再起動すればこの症状が直ることは分かっているのですが、再び動画が撮れるようになるまでかなりのタイムラグがあります。 
その間に生き物の面白い行動の決定的な瞬間を撮り逃がしてしまいがちで、これまで何度も悔しい思いをしてきました。 
そのため、私は我慢して動画を撮り続けるようにしています。 
何も撮れないよりも、ぶれている動画の方がはるかにマシだからです。(Better than nothing.)
別の裏技として、カメラの電源を切らずに、写真・動画をバックモニターで見る再生モードに切り替え、再び撮影モードに戻すと、手ブレ補正の暴走がリセットされることを後に知りました。 
カメラメーカーのPanasonicには、この症状だけを素早く止める緊急リセットボタンを特別に用意してもらいたいものです。


つづく→

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