2023/08/26

深い雪に埋もれた渓谷を夜にラッセルして渡るニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年2月上旬〜中旬

里山を流れる沢の水の侵食作用により、V字状の深い渓谷が形成された場所があります。
両岸の険しい崖を野生のニホンカモシカCapricornis crispus)が登り降りして沢を渡り縄張りを行き来していることが、夏は地面に残る蹄の跡から読み取れます。 
雪が積もった冬も渡河したカモシカの足跡が雪面に残ります。 
「義経の鵯越の逆落し」のような光景が繰り広げられているようです。
この険しい崖を登り降りして渓谷を渡る野生動物を動画で記録したいという構想をずっと温めていたのですが、現場はトレイルカメラを非常に設置しにくい場所でした。(草木がわんさか生い茂る夏は特に) 
雪に埋もれた渓谷の対岸は少し遠いので、暗視カメラの赤外線が届かないかもしれないと思いましたが、駄目元でやってみると、意外にもちゃんとした映像が撮れて大満足。 

冒頭のシーン(2/8夜)で対岸の雪面に写っている足跡は、前日にスノーシューを履いて渓谷を渡った私の足跡です。 
その手前にクレバスのように見える黒い地形が深い渓谷で、画面の左上から右下に向かって沢が流れています。 
積雪期に対岸に渡ろうとしたら、切り立った崖から飛び降りてから、雪深い急斜面を登り直す必要があります。 
雪質は凍っていないフカフカの深雪なので、アイスクライミングのようなスキルは不要です。
私の場合は履いていたスノーシューを脱いで壺足のキックステップで崖を登り降りできました。 
(クレバスや雪庇、雪崩など雪山の危険性について知識のない人は真似しないでください。)
 一夜明けた昼間の映像では、新雪で私の足跡がほとんど掻き消されていました。 

本題は(@0:20〜)からです。 
いよいよ夜行性のニホンカモシカが現れました。 
対岸の雪原をラッセルしながら渓谷に来た跡が暗視映像でもくっきり見えます。 
残念ながらトレイルカメラの起動が遅れ、クレバス(沢)を渡る様子は撮れていませんでした。 
雪国の野生動物は厚い皮下脂肪と体毛で断熱性が高く、体温が体表に達しなくてセンサーが感知しにくいのかもしれません。 
サーモグラフィカメラで撮れば確かめられるはずです。 

渓谷沿いの急斜面をラッセルしながら斜めに登って来ます。 
登り切ったカモシカが右下隅にちらっと写りました。 

残りは同じトレイルカメラが記録したおまけの定点映像です。 
激しい風揺れや吹雪、落雪によって頻繁に誤作動してしまうのです。 
これでも低山なのですけど、雪山の変わりやすい天候や雪景色をお楽しみください。 
崖の上に立つスギ大木にカメラを固定したところ、常緑の枝葉に降り積もった雪の塊がときどきドサッと落ちる瞬間が何度も記録されていました。 




 
↑【おまけの動画】 
カモシカの登場シーンだけを抜粋した短い動画をブログ限定で公開しておきます。



雪深い河畔林でニセアカシアの枝をつついて虫を探すエナガの群れ【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年2月上旬・午後15:35頃・くもり・気温4℃ 

雪深い河畔林でニセアカシア(別名ハリエンジュ)大木の下にある溜め糞場bLを監視するカメラにエナガAegithalos caudatus)の群れが写りました。 
ニセアカシアの枝に生えた鋭い棘を全く気にせずに、少なくとも2羽以上の群れが枝から枝へ忙しなく飛び回っています。 
落葉したニセアカシア灌木の細い幹や巻き付いた細い蔓に止まり、樹皮を嘴でつついています。 
越冬中の小さな虫をちまちまと捕食しているのでしょう。 
ときどき群れ内で鳴き交わす声も聞こえます。 

夏なら溜め糞に集まる様々な食糞性昆虫を捕食しようと野鳥が集まってくるのですが、寒い厳冬期に虫は活動していませんし、しかもこの日は積もった雪の下に溜め糞が埋もれていました。 

※ エナガの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
しかし、近くを流れる川の音もうるさくなってしまいました。 


関連記事(3、10年前の撮影)▶ 

2023/08/25

厳冬期の深夜に河畔林を駆け回る雪国のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年1月下旬 
雪深い河畔林でニセアカシア(別名ハリエンジュ)高木の下にある溜め糞場bLを自動撮影カメラで見張っていると、冬毛のホンドテンMartes melampus melampus)が2夜連続で来ました。


シーン1:1/22・午後23:16・気温-7℃(この地点で最低気温を更新)・(@0:00〜) 
河畔林の雪原は新雪に覆われ、前日の朝に来たキツネの足跡はほとんど埋もれています。 
深夜に右上からテンが前後の足を揃えて尺取り虫が飛び跳ねるようにやって来ました。 
右下の死角(ニセアカシアの根元)に立ち寄ってから、右へ忙しなく走り去りました。 
ニセアカシア大木の根元に素早く排尿マーキングしたのかな?と勝手に想像したものの、別アングルから撮らないとしっかり突き止められません。 
しかし、この現場はトレイルカメラを固定できるしっかりした太い立木が他に生えて無いので困ります。
細い灌木に設置すると、風揺れによる誤作動が頻発します。


シーン2:1/23・午後23:31・気温-1℃・(@0:12〜)
ほぼ24時間後(晴れた深夜)にトレイルカメラが起動すると、前夜のテンが残した足跡が雪面にそのままでした。 
右下から来たホンドテンが立ち止まって雪面の匂いを嗅いでから、右へ駆け去りました。 
雪の下に野ネズミの気配を感じたのかな?

関連記事(18日前に別地点で撮影)▶ 深雪に潜って獲物を探す冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

短い登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:19〜) 
雪の下に埋もれた溜め糞bLには2日とも全く興味を示しませんでした。 

つづく→

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