2023/07/22

初冬の険しい山道で新たに見つけたタヌキの溜め糞場

 

2022年12月上旬・午前11:30頃・くもり 

初雪が降った翌日に長靴を履いて里山に登りました。 
この日は地図にも載っていない新しいルートを開拓します。 
ふくらはぎが攣りそうになりながら急峻な山道を息せき切って登っていると、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場pを新たに見つけました。 
山道(尾根道の枝)の地面には広葉樹の落ち葉やスギ落枝が散乱しています。 
その落葉の上に新鮮な糞塊が大量に残されていました。 
これまで私が見てきた溜め糞の中でも最大クラスです。 

気温の低い冬はもう糞虫などの活動が無いので獣糞は分解されなくなり、溜め糞は溜まる一方です。 
寒くてハエすらも一匹も来ていませんでした。 
平坦な場所ではタヌキの溜め糞はこんもりとした山状の糞塊になります。 
一方ここでは細い山道に沿ってかなり広範囲に溜め糞が形成されているのは、地形(急坂)のせいと思われます。 
タヌキも急斜面の山道で排便姿勢を保つのが大変なのでしょう。 
イヌは排便の際に南北方向を向くらしいのですが、好みの方角を向くよりも排便中にバランスを崩して急斜面から転げ落ちないようにすることが大事です。 

本当にタヌキが排便に通っていることを証明するために当然トレイルカメラで監視したいところですが、どうにも設置しにくい場所なので後回しになっています。 
地面には前日に降った初雪が所々にうっすらと残っています。 
周囲のスギ植林地の枝葉がうっすらと雪化粧しています。
山道をもう少し登ると雑木林に移行します。 

根雪が積もってもタヌキは険しい雪山の溜め糞場pに通ってくるのでしょうか?
こんな急斜面では雪崩が多発しそうです。
ちなみに、ホンドタヌキはエゾタヌキと違って冬ごもりをしません。
 

翔べ!ダイサギ(野鳥)

 

2022年10月下旬・午後15:00頃・晴れ 

古寺卍本堂のトタン葺きの屋根の天辺(大棟)にダイサギArdea alba)が単独で佇んでいました。 
逆光ですけど、白鷺の美しいシルエットが絵になります。 
周囲の秋空を多数のトンボが飛び交ってるのに、ダイサギは獲物としてみなしません。 

私がカメラを向けた途端にダイサギは警戒し、川の方へ飛び去りました。 
うまく流し撮りできたので、飛び立つ瞬間から1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:34〜) 
両足で大棟を蹴り出すと、力強く羽ばたいて逃げていきます。
今回は飛びながら鳴いたり脱糞したりすることはありませんでした。

2023/07/21

オニグルミを運ぶ野ネズミがフクロウに襲われ危機一髪【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月上旬 

オニグルミ堅果の給餌は6回目になります。 
今回はカラマツ大木の根元の右側に、果皮を剥いたクルミ40個を山盛りに並べて置きました。 
餌場を左から右に移動したのは、少しでも監視カメラに近づけて、野ネズミがクルミを選ぶ行動の詳細を観察するのが目的です。 
右側の餌場Rは狭いので、なるべく小さなクルミを選んで山積みにしました。 

その日の晩に夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が早速現れて、いつものようにせっせと餌場通いを始めました。 
貯食のためにクルミを1個ずつ持ち去っていると、大事件が勃発しました。 


シーン1:午後22:43・気温11℃ 
野ネズミが給餌場Rでオニグルミ堅果を選んでいると、どこからともなくキョヨヨヨ♪と奇妙な鳴き声がしました。 
木の枝が風に揺れて軋む音なのでしょうか? 
途端に野ネズミはパッと画面右を向いて警戒しました。 
そのまま物音を立てないようにフリーズしています。 
やがて野ネズミは警戒を解くと、1個のクルミを咥えて右斜面を駆け上がりました。 
それと同時に再び謎の音声が録音されていました。 
(カメラを固定したシナノキの幹を樹液が流れる音?? 風に揺れる枝と枝が擦れる音?) 


シーン2:午後22:54・気温10℃(@0:50〜) 
少し間隔が開きましたが、10分後に野ネズミが餌場Rに戻って来ていました。 
選んだクルミを持ち去ろうと、カラマツの根元を右に回り込んでから右斜面を駆け上がる途中で立ち止まると…。 
左上からフクロウStrix uralensis)が音もなく急降下し、野ネズミに奇襲しました。 
斜面の下草にバサッと舞い降りたフクロウは、辺りをキョロキョロ見回してから左上に飛び上がりました。 
飛び去った後もキョヨヨヨ♪と謎の鳴き声が聞こえました。 
どうやらフクロウの鳴き声だったようです。 
フクロウがこんな鳴き声を発するとは知りませんでした。 
調べてみると、この鳴き声はフクロウ雛の餌乞い♪(参考サイト:さえずりナビ)と似ています。 
今回聞こえたのは、親鳥に給餌をねだる鳴き声の名残りなのかな? 
狩りの未熟な若鳥なのかもしれません。(素人の勝手な想像です) 
それにしても、シーン1でフクロウが鳴いた理由が全く分かりません。
鳴き声で獲物に気づかれたら、警戒されたり逃げられたりしてしまい、狩りは台無しになるはずです。
このカラマツや周囲の樹木にフクロウが営巣できそうな樹洞はありません。

襲撃の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイし、狩りの成否を確かめてみましょう。(@2:02〜) 
優れた聴覚を持つフクロウは暗闇で獲物が立てる微かな物音だけを頼りに定位して襲いかかります。 

映像でフクロウが意外に小さく見えるのは、遠近感の問題ですかね? 
夏鳥のアオバズクは除外できます。 
耳がないので、トラフズクでもありません。 
今回調べて初めて知ったのですが、フクロウは留鳥で冬季も見られるのだそうです。 

スロー再生すると、野ネズミは紙一重でフクロウの攻撃を交わし、カラマツの背後を通り左斜面の草むらに素早く逃げ込んでいました。 
私が給餌を続けたおかげで野ネズミの栄養状態が良くなり、反射神経や注意力に優れていたのかもしれません。 
フクロウによる狩りは狙いがわずかに外れて失敗に終わりました。
したがって、襲撃後の謎の鳴き声は野ネズミの断末魔ではありません。 
襲撃後にカラマツの背後に生えた羊歯(ゼンマイ?)が右に大きく揺れ動いたのは(@1:45〜)、逃げた野ネズミに再び襲いかかったのでしょうか? 
しかしフクロウはもっと急角度で飛び上がったので、無関係の風揺れと考えられます。 

この野ネズミ個体は、オニグルミ堅果を貯食する場所を毎回ランダムに変えるのではなく、毎回ほぼ同じルートでクルミを運んでいました。 
明らかに油断していたことになります。
捕食者による襲撃リスクを減らすためにも、運搬ルートを頻繁に変えないといけません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

今年は里山でフクロウが野ネズミを狩る成功例と失敗例がトレイルカメラで撮れて、非常に興奮しました。
自動センサーカメラ(トレイルカメラ)という文明の利器に感謝。



それにしても、野生動物に給餌することの是非について、改めて考えさせられました。
人工的な給餌は特定の種類の野生動物に対する依怙贔屓となり、生態系のバランスを崩すことになりますが、自然界は一人勝ちを許しません。
遅かれ早かれライバル種が必ず現れて、豊富な餌をめぐる競争や縄張り争いになります。
その上、餌場に誘引された獲物を狙って、今回のように捕食者が登場します。
そうした自然界の連鎖反応や弱肉強食の真剣勝負を観察できるのもトレイルカメラの醍醐味です。


餌場に繰り返し現れる常連客に愛着が湧いて名前(愛称)を付けたりするタイプのヒトは、天敵に捕殺されるシーンがトレイルカメラに記録されていたら、精神的に強いショックを受けたり罪悪感に苛まれるかもしれません。
そうなったとしても給餌が招いた結果なので、予め覚悟しないといけません。


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