2025/12/05

子別れが進む秋に幼獣を1頭だけ連れて久しぶりに帰巣したニホンアナグマ♀が入口の掃除だけして帰る【トレイルカメラ】

 



2024年9月中旬・午前11:00頃・くもり・気温27℃ 

しばらく留守にしていた営巣地(セット)にニホンアナグマMeles anakuma)の母子が久しぶりに帰ってきました。 
先行する成獣の腹面に乳首があるので、母親♀と分かります。
その母親♀が、巣口Lに溜まっていた土砂や落ち葉を外に掻き出してから、別の巣口Rへ向かいました。 
後からついて来た幼獣は、母親♀がさっき掃除した巣口Lの匂いを嗅いだだけで、中には入りませんでした。 

別アングルに設置した自動センサーカメラで続きが撮れていました。 
先行する母親♀は、もうひとつの巣口Rでも保守作業の穴掘りしながら中に入りました。 

せっかく久しぶりに帰巣したのに、居心地がよくなかったのか、長居することはありませんでした。
セットを離れたアナグマの母子は、奥の二次林に向かいました。 
後続の個体(幼獣?)が獣道でちょっと座りました。 
尻を地面に擦り付けはしなかったものの、スクワットマーキングかもしれません。 


【考察】
当歳仔の幼獣は最近まで3頭いたはずなのに、今回は1頭しか登場しませんでした。 
残る2頭の幼獣たちは、どこに行ったのでしょうか? 
一時的に別行動で採食しているのなら良いのですが、母親♀とはぐれたのかな? 
それとも子別れが完了し、残ったのはヘルパー候補の幼獣だけなのかもしれません。 
いつものようにPerplexity AIに相談してみると、

山形県でのトレイルカメラ観察で9月中旬に、3頭いた当歳仔のうち母親と一緒にいる幼獣が1頭だけになったのは、まさに子別れが進行中であると考えて問題ありません。

ニホンアナグマの当歳仔は秋頃(9〜10月)に独立する傾向があるため、9月中旬はちょうど離散が始まる時期にあたり、他の幼獣が巣穴周辺を離れて単独行動を始めた可能性が高いです。残った1頭はまだ母親と同居しているか、協同繁殖的な行動で手伝いをしているメスの幼獣であることも考えられます。

したがって、観察された状況は典型的なニホンアナグマの子別れの過程として理解できます.wikipedia+2

 

​ニホンアナグマの当歳仔は、おおまかに「秋(9〜10月ごろ)」に親から独立し、子別れすると考えられます。wikipedia+2

子別れの時期の目安

  • 繁殖期は春で、出産は春〜初夏、生後2〜3か月で巣穴外に出て行動範囲が広がり、夏には親とほぼ同じ大きさになります。instagram+2

  • 秋になると、冬眠に備えて脂肪を蓄えつつ、この時期が「子別れ」の時期とされ、子は親から独立して単独で採食行動をとるようになります。hollyshit.fc2+2

行動生態的な整理

  • 春生まれ(4〜5月前後)とすると、独立時には生後およそ4〜6か月齢に達しており、体格的には成獣に近く、単独生活に耐えられる状態になっています。wikipedia+2

  • ただし、メスの娘が1頭だけ母親と同居し、翌年の繁殖時に子育てを「手伝う」協同繁殖的なケースも報告されており、全ての当歳仔が完全に離散するとは限らず、特にメスでは親元に残る個体もいます。jglobal.jst+1



来季のヘルパーを務める幼獣は♀が多いらしいのですが、まだ定説として固まっておらず、♂の場合もあるそうです。
私はアナグマ幼獣の性別を外見で見分けられないのですけど、少なくとも当地の個体群では、力が強くて穴掘りが得意な♂がヘルパーになるのではないかという気がしています。

このニホンアナグマ母子にとって、この巣穴はどうやら別宅(別荘)のようで、本宅は別の場所にあるような気がしています。 
複数用意してある巣穴を点々と移動しながら暮らしているのでしょう。
しかしアナグマを一次捕獲して電波発信機やGPSを取り付けない限り、巣穴を見つけるのは難しそうです。 
冬に雪面に残された足跡を辿って行くという雪国ならではの方法(アニマルトラッキング)もあるのですけど、アナグマは冬ごもりしてほとんど活動しなくなってしまいます。 


水溜りを泳ぐヤマカガシが舌を出し入れして水面を舐めるとき舐めないとき【FHD動画&ハイスピード動画】

 



2024年9月上旬・午後12:30頃・晴れ 

山中の湿地帯にある水溜りでヤマカガシRhabdophis tigrinus)が細い体を浸し、鎌首をもたげて静止していました。 
先が二股に割れた黒い舌を素早く伸縮させています。 
ヘビが舌舐めずりをするようにチロチロと出し入れしているのは、口腔内にあるヤコブソン器官(鋤鼻器)に周囲の空気を取り込んで、周囲のかすかな匂いを敏感に嗅ぎ取るためです。 
ヘビも普段は我々ヒトと同様に鼻の穴で呼吸し、鼻腔の奥にある嗅上皮で空気の匂いを嗅いでいますが、獲物のかすかな残り香を嗅ぎ取るために特別な鋤鼻器を発達させたのです。 
(ヒトの鋤鼻器は退化しています。)


高速で出し入れする舌の動きを、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:37〜5:54) 
ヤマカガシが静止しているときには、出し入れする舌の先端は水面に触れていませんでした。 
このときヤコブソン器官で嗅ぎ取っているのは、周囲の空気中に漂う匂いの情報だけです。 
舌を出し入れする筋肉の動きだけで、水面に少し波紋が広がっています。 

しばらくすると、ヤマカガシが舌を出し入れする頻度が高くなり、しかも舌を長く伸ばすようになりました。 
これは蛇行を始める前兆です。 
下半身を左右にくねらせて前進を始めました。 
すると、長く伸ばした舌を引っ込める際に先端が水面にピタピタと軽く触れるようになりました。 
まるで水面に鞭を打っているようです。 
そのたびに水面に波紋が広がります。 
初めは正面を向いていたヤマカガシが左に移動し始めたので、側面からも舌の出し入れを撮ることができました。

蛇行する際は、持ち上げていた頭部を少し下げる(前傾姿勢)ので、舌先が水面に触れるのは仕方がない(不可抗力)のかもしれません。 
それとも、蛇行しながら意図的に水面を舐めて、空中だけでなく水中に漂う微量な匂い分子も鋤鼻器に取り込んでいるのかもしれません。
Perplexity AIに質問した回答がこちら。

水面や泥水に舌をピタピタと触れさせる「水中化学探索行動」と、空気中で舌を高速で出し入れする通常の化学探索行動は、機能や役割に違いがあります。

機能の違い

  • 水面や泥水に舌先を触れさせる行動は、液体中の溶存化学物質やその濃度分布をダイレクトに検知する機能があります。舌先に付着した水や泥水中の化学物質は、そのまま口腔内の鋤鼻器へ運ばれ、獲物や環境情報(微量な匂い・代謝物など)をピンポイントで感知できます。ivma+1

  • 通常の空気中の舌フリッキングは、空気中に漂う揮発性化学物質(匂い分子)を舌に集め、周囲の広い範囲の情報や個体間フェロモンなどを検知します。獲物や繁殖相手の探索、危険回避行動など広範な目的を持ちます。exoinfo+2

役割の違い

  • 水面(液体)への舌の接触は、カエルなどの水生獲物の痕跡(代謝物、分泌物、卵、粘液など)の探索や環境状態の把握に特化した役割を持ち、一種の「水生化学的ターゲット探索」と位置づけられます。

  • 空気中の舌フリッキングは、個体間コミュニケーション、広域の獲物探索、捕食者の検知などに寄与する「空中化学探索行動」といえます。

補足

どちらの行動も「鋤鼻器(ヤコブソン器官)」を使っており、環境に応じて液体/気体から最適な化学情報収集方法を選択していることが分かります。水中でも舌を出し入れする行動は、特に水生環境での餌探索に重要となります。city.kobe+1

つまり、水面や泥中への舌の接触は、液体に存在する化学物質の「局所的・直接的な検知」、空気中での舌フリッキングは「広域的・揮発性化学物質の検知」という機能分化があります。


ヘビが水を飲むシーンを私はまだ実際に観察したことがないのですが、イヌやネコのようにピチャピチャと舌を使って飲むのではなく、水面に口を付けて直接飲むのだそうです。 
つまり今回の高速ベロは、喉の乾きをいやす飲水行動ではありません。

ヘビは基本的に水容器や自然の水たまりの水を直接口に含んで飲む方法をとります。ヤマカガシも例外ではなく、水辺や水溜りなどで水を飲む際は、頭を水面近くに下ろし、舌を出し入れしながら水を口に含みます。この際、直接水に口をつけて飲むことが多いです。exoroom+1

自然界での水飲み行動においては、水たまりの水を利用したり、葉や石に溜まった水滴をなめたりすることもありますが、ヤマカガシは水場に来て実際に水を飲む習性があります。また、湿度を保つために水辺周辺で時間を過ごすことも多いです。exoroom


かなり穿った仮説として、近くのアメンボをおびき寄せてから捕食するために、わざと舌先で水面に触れて波紋を立てている可能性はあるでしょうか? 
しかしスーパースローの映像を見てもらうと分かるように、ヤマカガシのすぐ目の前の水面をアメンボが滑走してもヤマカガシは無視することが多いです。 
しかも、ヤマカガシが眼の前のアメンボに襲いかかろうとしても、いつもアメンボは波紋を敏感に察知して素早く逃げてしまいます。(例@3:41〜3:45) 

動画の後半は、ヤマカガシが水溜りで静止しながらも舌を高速で出し入れしている様子を再び高画質のFHD動画でご覧ください。 
蛇足かもしれませんが、せっかく長々と観察できた記録映像を捨てるのも惜しいので付け足しました。 
水溜りの中を蛇行で移動しながら舌を高速で出し入れする様子は、前回の記事で紹介しました。 




【考察】 
水面を舐めているヤマカガシが「泥水の味見をしている」と表現するのは誤解を招きます。

確かに、ヘビが水面を舐めている行動を「泥水の味見」と表現するのは誤解を招きやすいです。ヘビの舌には味覚受容器がほとんどなく、舌の主な役割は「鋤鼻器(ヤコブソン器官)」に匂い分子を運ぶことで化学情報を得ることにあります。つまり、ヘビが水面を舐めるのは「味を感じている」わけではなく、水や泥に含まれる化学物質を検出し、周囲環境や獲物の存在を把握するための「化学探索行動」です。

したがって、観察者としては「水面の化学的な情報をサンプリングしている」「水中や周囲の環境を匂いで調べている」と表現するのが正確であり、味覚的な「味見」とは区別して理解することが重要です。omnh

ヘビの舌には味覚はほとんど発達していません。ヘビは丸呑みで食べる習性があり、舌にもヒトのような味蕾はほとんど存在しないか非常に少ないと考えられています。そのため、食物の味を詳細に感じ取る能力は弱く、主に嗅覚によって獲物や環境の情報を得ています。uenonorenkai+1

ヘビの味覚は舌ではなく、口内の一部や咽頭などにわずかにある可能性はありますが、味覚の感度や役割はヒトや他の哺乳類に比べて限定的です。その代わりに、ヘビは鋤鼻器(ヤコブソン器官)を通じて化学物質を検出し、行動決定に重要な情報を得ています。exoroom+1

ヘビのゲノムには味覚受容体の遺伝子が、多くの他の動物に比べて減少していることが研究で示されています。特に哺乳類が持つ甘味や苦味などの味覚受容体遺伝子の一部が、ヘビでは数が大幅に減少していたり(時には機能を失っている場合も)、特定の味覚受容体遺伝子が完全に欠損していることがあります。

これはヘビが丸呑みで食物を摂取し、味覚よりも嗅覚や触覚に頼る生活様式に適応した結果と考えられています。舌を使い鋤鼻器へ匂いを運ぶ嗅覚情報が重要な役割を果たしているため、味覚受容体の機能は比較的低下したと解釈されています。


ヘビのゲノムにおける味覚受容体遺伝子の減少は、一般的に「退化現象」と考えられています。ヘビは丸呑みで捕食し、味覚よりも嗅覚に大きく依存した感覚系に進化しているため、味覚受容体の遺伝子が機能的に不要になった結果、遺伝子が失われたり非機能化したと解釈されています。

一方で、爬虫類全般では必ずしも同一の傾向は見られません。例えばトカゲやワニなど他の爬虫類はヘビほど味覚受容体の遺伝子が減少しておらず、彼らはヘビとは異なる食性や捕食方法を持つため、味覚の重要性や遺伝子の保存度は高いままです。

したがって、味覚受容体遺伝子の減少はヘビに特有の適応的退化であり、爬虫類全体には当てはまらない進化的特性といえます。



高速ベロの他にもう一つ興味深いのは、水溜りを泳ぐヤマカガシの眼球が一度だけ左にキョロッと動いた(ように見えた)ことです。(@4:17〜) 
しかし、何度も見返すと、単にヘビが進む方向を変えた(頭部の向きを変えた)だけで、眼球が動いたように見えたのは私の錯覚(思い込み)かもしれません。 
Perplexity AIに質問すると、ヘビは基本的に眼球を動かすことはないらしい。

ヤマカガシが蛇行中に一度だけ眼球をキョロキョロ動かした行動は、ヘビの中でも一般的には珍しい動きとされています。ヘビは基本的に眼球を独立に動かすことは少なく、視野の調整は頭や体全体の動きで行うことが多いです。

しかし、ヤマカガシのような種類でも特に水中や湿地帯の環境で探索や警戒行動中に、眼球を動かして視界の細かい変化を確認しようとすることが稀に観察されます。このような動きは外界の動く物体や捕食対象の細部を精密に見極めるための補助的な機能と考えられ、珍しいものの異常ではありません。nacsj+1

したがって、キョロキョロと眼球を動かす行為は珍しいが、ヤマカガシが水中で細かく環境認識を行うための一環として自然な行動とも言えます。




2025/12/04

夜の水溜りで水を飲む子連れのツキノワグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年9月中旬・午後19:00頃・気温24℃ ・日の入り自国は午後17:56

山中の湿地帯にある水溜りSにある晩、ツキノワグマUrsus thibetanus)の親子がやって来ました。 
大雨が降った後で、水溜まりが溢れています。 
少なくとも1頭の幼獣(子熊)を連れていたので、成獣は母親だろうと分かりました。 
後から来た幼獣が母親の尻にまとわりついています。 

母親♀が水面に口を付けて、舌でピチャピチャと泥水を飲みました。 
クマの斜め後方から、水を飲む舌の動きがしっかり撮れました。 
イヌやネコと同じような飲み方です。 
残念ながら、音量を上げても水を飲む音は聞き取れませんでした。 
飲水したのは母親♀だけで、子熊は水溜まりに近づきませんでした。 

喉の乾きを癒やすと、ツキノワグマの母子は水浴はしないで左に立ち去りました。 
クマが水浴びするには、この水場は浅すぎるでしょう。 

※ 動画の後半は編集時に自動色調補正を施してリプレイ。(@0:22〜) 


関連記事(2、3年前の撮影)▶  


この地点でツキノワグマは初見になります。 
また、子連れのツキノワグマがトレイルカメラに写ったのも初めてです。 
もし昼間の山中で子連れのツキノワグマ♀と出くわすと危険なので、充分に注意する必要があります。


つづく→

ランダムに記事を読む