2025/04/20

根返りスギの根元で餌を探す雪国のシジュウカラ、ヤマガラ、ミソサザイ【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年1月下旬〜2月上旬

シーン0:1/22・午後12:56・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
スギ防風林で、根こそぎ倒れたまま放置されているスギ風倒木の根元に掘られた「根曲がり巣穴a」をトレイルカメラで見張っています。 
今季は記録的な暖冬で、積雪がきわめて少ないです。 

 昼間に次々にやって来て餌を探す野鳥をまとめました。 
(混群で来たり、同定が難しかったりするので、鳥の種類ごとにまとめるのを止めました。) 
手前の地面にはツルウメモドキの赤い実があるのに、なぜか野鳥はこれを食べようとしません。


シーン1:1/27・午前10:11・くもり(@0:03〜) 
珍しく大雪が積もった後の静かな午前中に、小鳥が根返りスギの下の穴から外に出てきて、巣口の細い横枝に止まりました。 
すぐに飛び去ったので1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
どうやらシジュウカラParus minor minor)のようです。 

雪面はいかにも湿雪で、野生動物が歩いた足跡は付いていません。 


シーン2:1/31・午後15:14・晴れ(@0:18〜) 
根返りスギの土付き根っこで餌を探していたシジュウカラが、細い横枝に一瞬止まってから左へ飛び去りました。 

しばらくすると、ヤマガラSittiparus varius)が左から飛来し、倒木をあちこち探ってから右へ飛び去りました。 


シーン3:2/1・午前6:56(@0:51〜) 
ミソサザイTroglodytes troglodytes)らしき小鳥が根曲がり巣穴aにちょっと入ってみたり、倒伏したスギの根の辺りで餌を探し回ったりしています。 


シーン4:2/4・午後16:57(@1:40〜) 
また新雪が積もりましたが、雪面に動物の通った足跡はありません。 

おそらくミソサザイと思われる小鳥が巣口aから右横に出てきて、根返りスギの根っこを探索しています。 


シーン5:2/5・午前11:46(@1:54〜) 
シジュウカラが来ていました。 
根返りスギの土付き根っこを嘴で啄んでいるのは、土そのものを食べてミネラル摂取しているのか?と思ったりもしたのですが、越冬中の虫を捕食しようと探しているのだと知りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2025/04/19

春の枯野でタヌキの営巣地をホンドテンが横断【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月下旬 

シーン0:4/22・午後13:59・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
休耕地にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地を自動センサーカメラで監視しています。 


シーン1:4/28・午後22:48・気温13℃(@0:03〜) 
ある晩遅くに、ホンドテンMartes melampus melampus)がピョンピョン跳ねるように、左から手前へと斜めに走って来ました。 
タヌキの巣穴には興味がなくて、立ち寄らなかったようです。 
この地点でテンが写ったのは久しぶりです。 

短い登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:13〜) 
モノクロの暗視映像では、冬毛か夏毛か不明です。 
脚の色が黒っぽいことから、夏毛の可能性が高いかもしれません。 
Perplexity AIに質問してみると、
4月下旬の山形県で見られるホンドテンは「冬毛から夏毛への換毛期にあり、冬毛が残っている個体と夏毛に生え変わりつつある個体が混在している」とのことでした。

つづく→タヌキの営巣地がある雪原を早朝にうろつく冬毛のホンドテン【トレイルカメラ】

タヌキの溜め糞に群がるヤマトツヤハナバチ♀の謎【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月下旬・午後13:30頃・くもり 

里山で細い林道の道幅が広くなりスギ植林地の横を通る地点で、巨大な糞塊が山道の真ん中に残されていました。 
毎年定点観察しているホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場ltrです。 
今回は珍しく、独特の糞便臭が強かったです。(春はタヌキの繁殖期だから?) 

「うんちレストラン」に集まる常連客については、別の記事で改めて紹介します。 (映像公開予定)
今回は、意外な虫が群がっていました。 
口吻を伸ばして獣糞の表面からひたすら吸汁しています。 
着陸後に身繕いする個体もいます。 

現場はスギ林の横で薄暗く、ハエ(双翅目)なのかハチ(膜翅目)なのかも、しっかり見分けられませんでした。 
現場ではクロスズメバチの仲間(Vespula)なのかと思ったぐらいです。 

動画をじっくり見直すと、頭楯の黄紋から、その正体はヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)でした。 
近縁のキオビツヤハナバチは平地性ですが、ヤマトツヤハナバチは山地性で、現場の環境と合致します。 
日本産ハナバチ図鑑』を紐解いて、ヤマトツヤハナバチの生態や生活史について基本情報を調べてみましょう。
海浜や川原などの開けた場所ではキオビツヤハナバチが、山沿いや山間部などの山地帯では本種(ヤマトツヤハナバチ:しぐま註)が優占している。営巣期や巣の造り方はキオビツヤハナバチと同じ。(4月下旬〜6月中旬。越冬した♀はノイバラやすすきなどの枯れた茎に坑道を掘り、ややつぶれた卵形の花粉塊を作り、その奥側に産卵、入口側を髄粉で仕切って育房とし、6〜10育房を造成。新成虫が誕生する7〜8月まで巣内で生活している。)p349-350より引用

ヤマトツヤハナバチ♀が羽ばたいて獣糞に離着陸を繰り返す様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:26〜) 

タヌキの溜め糞に集まるヤマトツヤハナバチ同士で小競り合い(餌の占有行動や配偶行動)は見られませんでした。 
別個体が後から飛来すると、先客のヤマトツヤハナバチ♀は同側の中脚を上げて牽制しました。 
他の糞食性昆虫とも争いはなく、ヤマトツヤハナバチ♀が飛来したら先客のハエが遠慮してちょっと横にずれるぐらいでした。

一度だけ、後から飛来した個体(性別不明)が、先客の背後からマウントしました。(@5:09〜) 
♂による求愛行動なのでしょうか? 
先客の♀が身を捩って交尾拒否?すると、♂?はあっさり諦めて飛び去りました。 
どうやら、飛来した♀がたまたま着陸場所を間違えただけのようです。 

交尾中のクロボシヒラタシデムシ♀♂(Oiceoptoma nigropunctatum)カップルの背中に着陸することもありましたが、すぐに飛び立ちました。(@7:20〜) 

着陸が下手糞なのは、おそらく薄暗くて蜂も着陸地点がよく見えていないからだと思います。 

撮影後に、謎の蜂を同定するため、ありあわせのビニール袋を使って、なんとか2匹だけ採集できました。 
不潔な糞塊に触れることになるので、使い捨てのゴム手袋を着用してから採集しました。 
採集行為のせいで蜂に警戒されてしまい、残りの個体も居なくなってしまいました。 


【考察】 
ネット検索しても、ツヤハナバチ類(Ceratina属)が獣糞に集まって吸汁するという習性は報告されていません。 
タヌキが何か甘い物を食べて、それに誘引されているのでしょうか? 
秋ならともかく、春に野生のタヌキが熟した果物を食べたとは思えません。 
あるいはタヌキの糞にたまたまツヤハナバチの集合フェロモンと似た構造の化学物質が含まれていたのだとしたら、興味深い現象です。 
♀ばかりが集まったので、性フェロモンではなさそうです。 

ちなみに、ヤマトツヤハナバチは成虫で♀も♂も越冬するそうです。 
つまり、今回♀ばかりが獣糞に誘引されて♂が居なかったのは、それだけでも不思議です。 

チョウやガなどの鱗翅目の中には、獣糞で吸汁する種類がいます。
その多くは♂で、獣糞や腐果、泥、汚物などに含まれるミネラル成分(ナトリウムやアンモニアなど)を摂取しないと精巣が性成熟しないのだそうです。
ところが今回は、頭楯を見る限りヤマトツヤハナバチの♀ばかりが集まっていた点が興味深いです。(雄蜂♂の頭楯は黄色の領域が広いはず。) 
蜂の場合は、卵巣の性成熟に必須のミネラル成分やアミノ酸などを獣糞から摂取していたのでしょうか?

ツヤハナバチの食糞性という驚愕の新奇行動について、Perplexity AIに色々と相談に乗ってもらいました。 

巣材を集めていた可能性をPerplexity AIから提案されたのですが、ツヤハナバチ類の♀は育房を仕切る壁の材料として獣糞どころか土や泥を使うことすらしません。(巣材は植物の枯れ茎を穿坑した際に出る髄粉)
今回、蜂が小さな糞玉を切り取って持ち去る行動は全く見られませんでした。 
溜め糞上でヤマトツヤハナバチ♀は前脚や大顎を動かすことはなく、長い口吻を伸ばして吸汁しているだけでした。 

例えばミツバチが牛糞に集まって吸汁する例が知られています。 
天敵のオオスズメバチが嫌う獣糞の匂いを巣の入口に塗りつけて、襲撃を防ぐのだそうです。
MATTILA, Heather R., et al. Honey bees (Apis cerana) use animal feces as a tool to defend colonies against group attack by giant hornets (Vespa soror). PLoS One, 2020, 15.12: e0242668. (全文にフリーアクセス可)

今回のヤマトツヤハナバチも同様の防衛目的だとしたら、それはそれで非常に面白い行動です。
しかし、タヌキの溜め糞場と自分の営巣地(※ 追記参照)を往復している様子はありませんでした。 
そもそも、ツヤハナバチ類の巣を襲う天敵は何なのでしょう?
(寄生蜂やアリ?)

これほど多数のヤマトツヤハナバチを一度に見れたのは初めてです。
その体格はまちまちで、個体差がありました。
幼虫時代に母親♀から与えられた餌(花粉と花蜜の団子)の量の違いから来る多型なのでしょう。 

糞塊が充分にあるためか、蜂同士で餌資源を巡る争いはありませんでした。 
同じ巣から羽化した姉妹同士あるいは、同じ越冬場所で越冬した仲間なのだと思われます。 

タヌキの溜め糞に来る昆虫の定点観察、という地味なテーマでもまだ新しい発見があるとは、嬉しい驚きでした。


※【追記】
横井智之『ハナバチの教科書』を読んでいたら、ツヤハナバチ類の営巣地について詳しく書いてありました。
ツヤハナバチの仲間は(水平に設置する一般的な竹筒トラップとは異なり:しぐま註)巣材が垂直方向に設置されているほうが営巣しやすい。近縁種同士でも、利用する花の種類は共通していても営巣場所は異なっている。キオビツヤハナバチは日当たりの良い場所にある、上部が刈り取られたススキの茎を、同所的に生息するヤマトツヤハナバチは日陰にモミジイチゴの枯れた茎を地面に突き刺しておおくとそれぞれ営巣するという。 (p252-253より引用)


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