2024/12/15

ユキツバキの熟した蒴果から種子を取る(雪椿)

 



2023年9月下旬・午後12:40頃・くもり 

里山で細い山道に沿って自生するユキツバキの群落を定点観察しています。 
秋も深まり果実の表面が赤く色づき始めましたが、未熟な果実は硬いままです。 
茶色に完熟した蒴果を1個だけ見つけました。 
既に開裂しかけた蒴果の中には種子が2個含まれていて、今にも零れ落ちそうです。 
ヤブツバキの種子は、主に重力散布で分布を広げると考えられているそうです。 
2個の種子が互いに密着した状態で、果皮から一緒に外れました。 
動画を撮りながら片手で種子の癒着を剥がそうとしたら、手元が狂って大事な種子をうっかり1個落としてしまい、林床で見失いました。 
(種子散布に私も少し貢献したことになります。) 
手元に残った1個のユキツバキ種子の歪な形状をお見せします。 
そのまま種子を採集して資料用に持ち帰りました。 

ヤブツバキなどツバキ属の実に産卵・寄生するツバキシギゾウムシを長年探しているのですが、私は未だ見つけたことがありません。 
そもそもツバキシギゾウムシは寒冷な雪国には分布しないのでしょうか。 
山形県はツバキシギゾウムシの分布域の北限に近いのだそうです。 
ツバキシギゾウムシ♀が産卵した痕跡を調べたかったのですが、ユキツバキの群落を見渡しても、そもそも果実がほとんど見つかりません。 
春にはあれほど多数の花が咲いていたのに、ユキツバキの結実率はとても低いようです。 
ユキツバキの花は鳥媒花でもあり虫媒花でもあると考えられるので、雪国の春でも送粉者の数が少ないとは考えにくいです。

『Newton special issue 植物の世界 第1号 ナチュラルヒストリーへの招待』という本でユキツバキの生活史を特集した章を読むと、
林内の群落では、ユキツバキの着実率(花が果実になる割合)はきわめて低く、成熟した果実はまれにしかみられない。しかし、林のへりや伐採跡地など日のよくあたる条件下では花が多く咲くため、果実も比較的多くつく。(中略)  種子が成熟するころには、種子の中身を食べる甲虫であるツバキシギゾウムシ(Curculio camelliae)や落下した果実の果皮を破って中の種子を食べる動物などがおり、被害を受ける。 (p40より引用)
ユキツバキの種子散布には重力散布だけでなく貯食型の動物散布も関与するのではないか?と個人的に推測しています。 
ユキツバキの分布は、重力散布だけでは説明できないからです。
重力散布や水散布だけでは、ユキツバキの分布は標高が下がる一方です。
ところが、ユキツバキの群落は山中の谷だけでなく尾根にも見られます。(人為的な植栽の結果かもしれません)
動物散布を証明するために、ユキツバキの種子を拾い集めて野外の地表にまとめて放置して齧歯類や野鳥が捕食したり貯食のために持ち去るかどうか、トレイルカメラで監視する計画を立てています。 
ところがユキツバキの種子を給餌実験に充分な数だけ集めるのがとても大変なことが分かりました。 
これほど結実率が低いユキツバキは、絶滅に向かっているのでしょうか? 
挿し木でも増やせるそうですが、遺伝子多様性の低いクローンになってしまいます。
野ネズミの巣穴を発掘調査したり野生動物の糞分析をした際に、ユキツバキの種子が含まれているかどうか、注意して見ていくのも面白そうです。

新潟雪椿研究会による『ユキツバキの果実・種子』と題したPDF資料がインターネット上に公開されていました。
こうした平均値などの統計処理をできるぐらい多数の種子をフィールドで集めるのは、かなり大変そうです。
ユキツバキの種子から椿油を採油したら、希少価値から高級品になりそうです。

2024/12/14

真冬の二次林を走って横切る雪国のニホンザル【トレイルカメラ】

 



2024年1月中旬・午後12:18・くもり・気温14℃ 

ニホンアナグマ(Meles anakuma)の越冬用営巣地(セット)がある平地の二次林をトレイルカメラで見張っていると、ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の成獣が単独で左上奥からやって来ました。 
途中から走り出して、雪の積もった林床を右に横切りました。 
ラッセルするほどの積雪量ではないようです。
群れの仲間はどこにいるのでしょう? 


サンシュユの赤い熟果と種子



2024年1月上旬・午後 

民家の庭に植栽されたサンシュユ(別名ハルコガネバナ、アキサンゴ、ヤマグミ)が完全に落葉した後も雪が降った後も、赤く熟した果実が枝先に残っていました。 
長楕円形の熟果を少しだけ採集させてもらい、柔らかい果肉を洗い流して乾かし、細長い種子を得ました。 

熟した果肉は柔らかくて潰れやすい。
図鑑に書いてあった通り、「核は長さ8〜12mm、中央に縦の稜がある」という特徴がありました。(山渓ハンディ図鑑4『樹に咲く花:離弁花2』p655より)
冬の間に野鳥がサンシュユの赤い実を少しずつ食べに来るはずですが、まだ実際に観察できていません。
鳥はあまり好物ではないようです。
サンシュユの果実(液果ではなく核果)を丸呑みにした鳥は遠くに飛び去りますから、未消化の種子が鳥の糞と一緒に排泄されます。

『野鳥と木の実ハンドブック』p32によれば「(サンシュユの赤い実を)口に入れるとほのかに甘く、おいしい」とのことですが、私はまだ味見したことがありません。

これから種子散布の調査をする上で、比較対象として実物の種子の標本が必要になるので、身近な植物の様々な種子を少しずつ集めています。 
これでもし、野生動物や野鳥の胃内容物調査や糞分析をしたときにサンシュユの種子が出てきたら、見分けられるようになるはずです。

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