2024/04/03

トリアシショウマの花を舐めるスズキナガハナアブ♀【ベイツ型擬態】

 

2023年7月中旬・午後12:20頃・くもり 

里山の細い山道(ほぼ廃道状態)に沿って咲いたトリアシショウマの群落でスズメバチにそっくりなアブが訪花していました。 
後で調べてみると、スズキナガハナアブ♀(Spilomyia suzukii)でした。 
 【参考】:「ハナアブの世界」サイトにスズキナガハナアブの標本写真が掲載されています。 

半開きの翅をリズミカルに開閉しながら口吻を伸縮させて花粉と花蜜を舐めています。 
食事の合間に左右の前脚で頭部を擦ったり口吻を挟み込んだりして、付着した花粉を拭い取りました。 
本種の訪花シーンは初見です。
同一個体を追いかけて撮影しました。 
森の中でヒグラシ♂(Tanna japonensis)が寂しげに鳴いています♪ 

冒頭のシーンではヒメトラハナムグリ(Lasiotrichius succinctus)も同じトリアシショウマの花穂に来ていましたが、互いに無関心でした。 


スズキナガハナアブはベイツ型擬態の好例ですけど、モデルとなった蜂が何なのか、よく分かりません。 
キアシナガバチ(Polistes rothneyi)ですかね? 
特定の種類のスズメバチやアシナガバチではないかもしれません。 
蜂好きが見ると不完全な擬態で、粗が目立ってしまいます。 
まず腰が太いので「毒針に刺されそうで怖い!」とは思いません。 
本当に刺す蜂(有剣類)は、腰が細いのが特徴です。
私の知る限り、スズメバチ類はトリアシショウマの花で吸蜜しませんから、その点でも違和感を覚えました。 
しかし捕食者に恐怖で狩りを躊躇させるには充分似ているのでしょう。 

スズキナガハナアブは「人の手があまり入らない、原生的な自然環境を必要とする種」とのことで、確かに今回の現場は原生林というほどではありませんが、整備されずに放置された里山でした。 
多数の倒木で塞がれた廃道には雑草や灌木が生い茂っていました。 
山の管理者が林道や登山道をきれいに整備した途端に周辺の生物多様性が貧困になる(希少種は居なくなり、ありふれた普通種しか見られなくなる)という現象は私も実感しています。 
林業の観点からは山林を整備した方が良いに決まっているので、自然破壊と一概には決めつけられません。 
間伐して定期的に下草を刈るなどの整備を施して林縁的な里山環境が保全されている方が生物多様性は高まる、というのが定説ですけど、希少種の昆虫に関しては優しくないのでしょう。 

スズキナガハナアブの幼虫は何を食べて育つのか、生態が解明されているのでしょうか? 
生息環境が原生林に限られるということは、おそらくスズメバチの巣などに寄生するのではないか?(何かしらの寄生種だろう)と私はずばり予想します。
寄主の巣に産卵する際に擬態が役立っているのではないか?と先走った妄想をしています。 


関連記事(9、12年前の撮影)▶  


2024/04/02

後足で立ち上がるニホンアナグマ幼獣の謎【トレイルカメラ】

 



2023年7月上旬 

ニホンアナグマ(Meles anakuma)の母子が久しぶりに生まれ育った営巣地(セット)に一時帰還した日に、幼獣が後足で立ち上がる謎の行動が何度も見られたのでまとめてみました。 


シーン1:7/9・午前6:24(@0:00〜) 
レンズに雨の水滴が付着しているのか、夜が明けたのに、画面全体がやや曇っています。 
赤丸で囲った幼獣個体に注目してください。 
後足で立ち上がると、灌木の細い幹に前足を掛けました。 
樹上に気になる虫でも見つけたのでしょうか? 
枯れ木で枝葉が付いてなかったので、巣材集め行動の萌芽とは考えにくい気がします。 


シーン2:7/9・午前6:32・気温23℃(@0:20〜) 
母親♀が幼獣4頭を引率して獣道を辿り、右上奥の灌木林へ向かっています。 
道中で1頭の幼獣が立ち止まると、立木に前脚を掛けながら後足で立ち上がりました。 
この立ち木にはたまにタヌキが通りがかりに排尿マーキングしているので、その匂いに反応したのかもしれません。


シーン3:7/9・午前8:01・気温27℃(@0:39〜) 
赤丸で囲った1頭の幼獣個体が再び例の立木に前脚を掛けて立ち上がり、幹の匂いを嗅ぎました。 


シーン4:7/9・午前8:05(@0:57〜) 
赤丸で囲った幼獣個体が、林縁で細い灌木に前脚を掛けて立ち上がりました。 
シーン1と同じ枯木だと思います。 
別個体の幼獣がじゃれついたので、邪魔されてしまいました。 


シーン5:7/9・午前8:09(@1:16〜) 
赤丸で囲んだ1頭の幼獣が前脚を立木(樹種はミズキ?)に掛け、後足で起立しました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
幼獣を個体識別するのは無理なので、毎回同じ個体がやっているのかどうか分かりません。 

以前は母親♀が営巣地周辺の林内で同様に立ち上がり、樹上の枝葉や蔓植物を掻き集めて巣材(寝床)としていました。 
しかし、この時期の成獣(母親♀)は後足で立ち上がる行動をやらなくなりました。 
巣材集め行動の萌芽が早くも幼獣で見られたのかな?

幼獣の兄弟姉妹間で取っ組み合いの格闘遊びが頻発しています。
自分が一番大きいことを示して兄弟姉妹間で序列をつける誇示行動なのか?と思いつきました。
それなら競い合うように複数の幼獣が同時に後足で立ち上がって背比べしても良さそうなものです。 

立ち上がって幹の匂いを嗅ぎながら、なるべく高い位置に放尿マーキングしているような気もします。
しかし排尿の有無を動画では確認できませんでした。

難しく考えなくても、好奇心旺盛な幼獣による単なる探索行動なのかもしれません。

我々ヒトの直立姿勢とは異なり、アナグマは立木を支えにして掴まり立ちしないと後足だけでは立ち上がれないようです。 
同じイタチ科のテンやイタチはたまに後足だけで直立姿勢になって周囲を警戒することがあります。
ずんぐりむっくり体型のアナグマは骨格的に無理なのか、掴まり立ち以外の純粋な直立姿勢を私はまだ見たことがありません。 



死んだカラスの羽根に群がるシデムシの幼虫

2023年7月上旬・午後12:20頃・晴れ 

平地のスギ防風林の林床にタヌキなどが歩く獣道が形成されています。 
定点観察のためにホンドタヌキの溜め糞場phから溜め糞場wbcへ獣道を辿って歩いていると、腐りかけたカラスの死骸が獣道の真ん中に転がっていました。 
骨も肉もほとんど残ってなくて、数枚の黒い羽根だけでした。 
頭部が無いとカラスの種類(ハシブトガラスかハシボソガラスか)を見分けることが出来ません。 
おそらく死肉食性の野生動物が死んだカラスをどこかで見つけ、死骸を運んでいく途中で落とした羽根なのでしょう。
カラスも死肉食の掃除屋ですけど、仲間の死骸を共食いすることはあるのでしょうか?
 
通い慣れた獣道にある日突然現れたので、ここで死んだカラスが生物分解された訳ではありません。
スギ林を塒(ねぐら)とするカラスが死んで、樹上で腐った死骸の一部が地面に落ちたという可能性も考えられます。

腐りかけたカラスの羽根に、黒くて三葉虫のような体型をしたシデムシ類の幼虫が群がっていました。 (種名不詳)
落枝を使って羽根を裏返してみてもシデムシ成虫の姿がなかったので、私には幼虫の種類を見分けられません。
近くの溜め糞場でよく見かけるクロボシヒラタシデムシ(Oiceoptoma nigropunctatum)の幼虫ですかね?
他には微小なハエも来ていました。 

鬱蒼としたスギ林の中は日差しが遮られて薄暗いのに、かなり蒸し暑い日でした。 
写真の後で動画も撮ろうとしたのですけど、先を急ぐ用事があって焦っていた上にあまりの暑さで頭がボーッとしていた私は動画撮影が雑になってしまいました。
不用意に近づいたら、シデムシの幼虫は散り散りに素早く逃げてしまいました。


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・舘野鴻『しでむし』

全景写真の中央の上下に獣道が走る。

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