2024/01/31

カキノキの雌花で吸蜜するニホンミツバチ♀

 

2023年6月上旬・午後15:45頃・晴れ 

民家の庭に植栽されたカキノキに黄白色の花が咲きました。 
柿の木なんて田舎ではあちこちにありふれているのに、恥ずかしながらこれまで私は柿がいつどんな花を咲かせるのか意識したことがありませんでした。 
虫媒花ならもっと目立つ香りの良い花に進化しても良さそうなものなのに、こんな地味な花なのだと初めて知りました。 
カキノキの下で花見をする酔狂な人は居ません。
雌雄同株で雄花と雌花が別々に咲くらしい。 

カキノキにニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が何匹も飛び回って訪花していました。 
ニホンミツバチ♀が正当訪花を繰り返しているのは萼が大きい雌花で、雌しべ1個と退化した雄しべが8個あるらしい。 

秋に熟した果実を収穫したり食べたりするときに、いわゆる「ヘタ」と呼ばれる部分が雌花の萼です。

葯の無い雌花からは集粉できませんから、ニホンミツバチ♀は花蜜を吸うだけです。 
したがって、後脚の花粉籠が空荷なのも当然です。 

カキノキの花は真下に向かって開くので、枝の下に潜り込んで花を見上げて撮影する必要があり、逆光になってしまいました。
写真ではストロボを焚けばきれいに撮れますけど、動画は編集時に逆光補正しても限界があります。
 

2024/01/30

深夜の原っぱで遊ぶホンドタヌキの幼獣を親が1頭ずつ巣穴に連れ戻す【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

休耕地に営巣したホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の家族を自動センサーカメラで見張っています。 


シーン1:6/1・午後23:14・気温18℃・小雨(@0:00〜) 
小雨がぱらつく深夜に、親タヌキが1頭の幼獣aを口に咥えて原っぱを右に運び、奥の巣穴に運び入れました。 
手前に生い茂るヨモギの群落が邪魔ですけど、手前にある別の巣口で複数頭の幼獣が待っていて(冒頭の赤丸に注目)、ミャーミャー♪と猫のような鳴き声を発しました。 
親タヌキがすぐにまた巣穴から外に出てきて、原っぱで夜遊びしている幼獣たちの元へ向かいました。 
せっかく巣穴に連れ戻した幼獣aが、その間に巣口に出てきてしまっています。 
親が次の1頭bの首筋を咥えて奥の巣穴へ搬入します。 
原っぱに残された幼獣2頭c,dが相次いで駆け出し、自力で親ダヌキを追いかけて行きました。 
この映像を見る限り、少なくとも計4頭の幼獣が育っていることになります。 


シーン2:6/1・午後23:29・気温18℃・小雨(@1:04〜) 
約13分後、奥の巣口付近の原っぱで、1頭の幼獣が元気に飛び跳ねています。 
独りで深夜の原っぱを探索しているようです。 
別個体の幼獣が巣口に居残っている姿も草葉の陰からちらっと見えています。 


シーン3:6/1・午後23:30・小雨(@2:03〜) 
気温24℃と表示されているのは異常値(暗視動画の連続撮影によるカメラの放熱)です。
原っぱで独り遊んでいた幼獣を親タヌキが連れ戻しに来ました。 
首筋を咥えられた幼獣はおとなしく巣穴へと運ばれて行きます。 

ようやく幼獣全員を巣内で寝かしつけてから、親が独りで右へ立ち去りました。 
餌を探しに出かけたのでしょう。(探餌徘徊) 


※ タヌキ幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画の編集時に音声の一部を正規化して音量を強制的に上げています。 


細い山道に座り込んで反芻するニホンカモシカ♂

 

2023年6月上旬・午後12:35頃・晴れ 

里山でつづら折れになった細い山道を私が静かに登っていると、前方に座り込んでいるニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)を発見。 
画面の左が山側で右が谷側という斜面になっていて、しかも画面の手前から奥に向かって上り坂になっています。
カモシカの方が私よりも斜面の上に位置しているので優位性があり、私をあまり恐れていません。 (いざとなったら余裕を持って逃げられる、と知っている。)
カモシカは近視なので私の姿が見えてないのかもしれませんが、座ったままでこちらを見下ろしています。 

角や耳介に個体識別できる分かりやすい特徴は無いものの、顔馴染みの個体だと思います。 
やがて警戒を解くと、横(谷側)を向いて反芻を始めました。 
反芻胃から未消化の食物を吐き戻して、植物繊維を臼歯で磨り潰すように噛み直しています。 
口が届く範囲に下草がいくらでも生えているのに、それを食べようとはしません。 

咀嚼しながら鼻面で右前脚に擦り付けたのは、鼻面が痒くて掻いたのかもしれません。
右脇腹の筋肉をピクピクと痙攣のように繰り返し動かしています。 
吸血性昆虫を追い払うための動きなのでしょう。 
耳介を動かして、頭部の周りを飛び回る吸血性昆虫を追い払います。 

カモシカはときどき私を見下ろしながらも、反芻を続けます。 
周囲ではホトトギス♂(Cuculus poliocephalus)などの野鳥が鳴く声♪が聞こえます。 
カモシカが座っているのは山道の日陰(木陰)ですが、木漏れ日が少し胴体に射しています。

反芻するカモシカの目が少しトロンとしてきたものの、寝るまでは至りませんでした。(@5:55〜) 
ここまでリラックスした姿を見せてくれるのは有り難いです。 (私を信頼してくれているのかな?)

遂にカモシカが立ち上がりました。(@6:33〜) 
このとき股間で睾丸がブラブラ揺れたので、♂と判明しました。 
フィールドで野生カモシカの性別を見分けるのは至難の業なので、貴重な事例となりました。  


下り坂の山道に立って踏ん張る前脚の蹄を大きく開げて体重を支えていることが分かります。 
右肩の辺りが痒かったのか、右後脚の蹄で器用にゴシゴシと掻きました。 
身震いしてから細い山道を伝って、なんと私の方へゆっくり下り始めました。 
 少し歩いただけですぐに立ち止まると、道端に自生するユキツバキ幼木の葉に顔を擦り付けて眼下腺マーキングしました。(@6:51〜) 
他個体のニホンカモシカに対して縄張りを宣言する行動です。 
異種の私に対してやんわりと縄張りを主張する意味もあるのでしょう。
ところが、私は肝心なところで録画を中断してしまいました。 
動画を撮りながら静止画スナップショットを撮るつもりが、うっかり隣の録画ボタンを押してしまったのです。 (痛恨のミス)
急いで続きを撮り始めたときには、眼下腺による匂い付けを止めていました。 

私をじっと見下ろしながら、ときどき舌舐めずりしています。 
鼻をヒクヒク動かして、風の匂いを嗅いでいます。 
カモシカ♂の動きがソワソワと落ち着かなくなりました。
きっと、山道を塞いでいる私に退いて欲しいのでしょう。 
この山道はとても狭くて、道を譲れませんし、すれ違うのも困難です。 
せっかく登って来た山道を引き返して、カモシカに背を向けたくありません。
(もしも万一、鋭く尖った角を持つカモシカが私を攻撃しようと坂を駆け下りてきたら、熊よけスプレーを噴射して撃退するつもりでした。)
仮に私が山側の茂みの中に退避すればガサガサと物音を立ててしまい、それに驚いたカモシカがパニックを起こして逃げてしまうような気がしたのです。 
私はその場から一歩も動かず静かに撮影を続けます。
カモシカ♂は鼻息を荒らげたり、蹄を地面に叩きつけるように足踏みして(地団駄を踏む)蹄を鳴らしたりする威嚇行動や苛立ちを示す行動を全くやりませんでした。 
おそらく過去にも山中で私と何度も遭遇していて、人畜無害だと分かっているのでしょう。 

 カモシカ♂は大きく身震いして、体にまとわりつくように飛び回るヤブ蚊やブヨを追い払いました。 
立ったまま左後脚の蹄で左耳の後ろをゴシゴシと掻いてから(@8:25〜)、再び顔をプルプルと振りました。 
さっきマーキングしたユキツバキ幼木とは別の株の葉の匂いを再び嗅ぎました。 
もぐもぐと少しだけ反芻咀嚼。 

遂にニホンカモシカ♂は痺れを切らし、細い山道から谷側に外れて私を迂回してくれました。 (@9:30〜)
ユキツバキ群落の茂みに突入すると、ガサガサと藪漕ぎしながら急斜面を下って行きます。 (つづら折れをショートカット)
ここでカモシカの姿を見失いました。 
なかなか濃密な直接観察の時間を過ごすことができて、大満足です。 

関連記事(1、3、12年前の撮影)▶  





カモシカが長時間座っていた辺りを
動画撮影の直後に現場検証すると、おそらくイタドリと思われる草の葉に食痕が残っていました。 
採食シーンは見てませんけど、ニホンカモシカの食痕には特徴があります。
熊谷さとし、安田守『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』によると、
カモシカはシカと同様に、上顎に前歯はない。そのため、草や小枝を食いちぎった跡は(中略)、植物の一部に繊維が残る。ウサギ類の食痕(スパッとした切り口)と比べると、雑な印象だ。 上顎の前歯の代わりに、板歯(硬い歯茎)をまな板にして、下顎の前歯を包丁のようにして使う。 (p92より引用)



古い本ですが、羽田健三・監修『ニホンカモシカの生活 (1985年)』 によると、長野県内におけるカモシカの食痕調査で

家畜にとって有害だと言われている草木まで食べていることがわかりました。(中略)そのほかにも、毒ではありませんが、鋭いとげがあって一般の家畜の餌にならないタラノキの幹やキイチゴ類の枝も採食していました。(p112〜113より引用)

タデ科のイタドリには家畜全般に対する有毒成分として、クリピダチンという有毒成分が全草に含まれているのだそうです。

ただし、「クリピダチン」なる毒をネット検索しても、何もヒットしません。


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