2024/01/22

赤い首輪で標識されたコハクチョウが雪解け田んぼで採食【冬の野鳥:10倍速映像】

 



2023年3月下旬・午後15:45頃・くもり 

早春の雪解け田んぼに集結して落ち穂拾いしているコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の大群を撮影した動画を見直すと、赤い首輪を装着した個体が混じっていました。
コハクチョウは、北極圏の繁殖地と日本の越冬地を毎年行き来する渡り鳥です。 
渡り行動を研究するために、一時捕獲した個体に首輪や足輪を付けて放鳥するプロジェクトが続けられています。 
標識された鳥を見つけたら、世界中のバードウォッチャーが報告することになっています。 
撮影中に気づいていれば、この標識個体を重点的に観察したのに、残念です。 
微速度撮影中の私は三脚を立てて画角を決め録画を始めた後はひたすら寒風に耐えるだけで、何が撮れているかチェックしてませんでした。
長撮りする際はカメラの電池を節約するために、液晶画面(バックモニター)の表示をオフにしていたのです。


動画を拡大してみると、プラスチックの赤い首輪に白い文字で「C48」または「C4B」と書いてあります。 
 「標識コハクチョウ名簿」サイトで調べると、「首輪-赤C46」および「首輪-赤C48」が登録されていました。 
目撃情報から、おそらく「首輪-赤C48」だろうと判明しました。 
この個体は2年前の2021年8月1日にロシアの北極海に面するチャウン湾で標識されていました。
標識時には若鳥だったのに、2年後にはすっかり成鳥になっています。 
渡りの途中でも日本各地で何度か目撃されています。 
どうやら新潟県で越冬しているらしく、ここ山形県や北海道を経由してロシアに渡去していました。 
近くの最上川を集団塒として山形県内で越冬する個体群が餌場に通っていた訳ではありませんでした。

地道な個体標識プロジェクトの強み・凄みをまざまざと実感しました。
白鳥の大群を漠然と眺めているよりも解像度が格段に上がり、特定の個体の暮らしぶり(生活史)が浮かび上がってきます。 
個人的には、どうしても白鳥にGPSやアクションカメラ(GoProなど)を装着して移動ルートの詳細なデータを取りたくなります(バイオロギング)。

2024/01/21

ニホンアナグマの諸活動:5月下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬

二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の巣穴LRを新旧2台のトレイルカメラで監視しています。 
何か特筆すべき行動は個別に記事を書くのですが、残り物というか、とりとめもない諸活動をまとめました。 
営巣地(セット)をうろついたり、巣穴に出入りしたり、毛繕いをしたり、など。 
観察歴の浅い私が見落としている行動が多々ありそうですし、念の為に記録を全て残しておきます。 
一番の問題は、個体識別がまだ不完全なことです。
(以下の記述も個体識別が一部間違っているかもしれません。)


シーン0:5/26・午後12:33・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
手前にあるのが巣穴Lです。 
右上奥に巣穴Rがあるのですが、右手前の灌木が邪魔でよく見えません。 


シーン1:5/26・午後18:29・(@0:03〜)日の入り時刻は午後18:54。 
日没前でも鬱蒼とした林内はそうとう暗いです。 
画質はかなり粗いものの、珍しくフルカラーで撮れていました。 
首筋に白斑のある♀が手前の巣穴Lに入り、しばらくすると再び外に出て来ました。 
身震いしてから周囲をキョロキョロと警戒。 


シーン2:5/27・午前0:49・(@0:30〜) 
日付が変わった深夜、♀が入巣Lしました。 
夜霧(霧雨?)が風に流れています。 


シーン3:5/27・午前0:54・(@0:37〜) 
♀が出巣Lした後で身震いしてから入巣R。 


シーン4:5/27・午前0:56・(@1:09〜) 
♀が入巣L。 
すぐにまた出巣Lすると、外で身震いしてから、奥の二次林へノソノソ立ち去りました。 


シーン5:5/26・午後13:02・(@1:42〜) 
別アングルに設置した新機種のトレイルカメラで明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
画面の中央付近に写っているのが巣穴Rで、巣穴Lは画面の左端にあるのですが手前の灌木の茂みが邪魔で見えません。 
気温28℃は異常値で信頼できません。 


シーン6:5/27・午前2:18・気温13℃(@1:42〜) 
右目の小さな♀が広場に居ました。 
キョロキョロしてから入巣R。 


シーン7:5/27・午前3:14(@2:09〜) 
ニホンアナグマ♀が入巣L。 


シーン8:5/27・午前3:21(@2:18〜) 
♀が入巣L。 
このとき幼獣を運んだかもしれませんが、カメラの起動が遅れて不明です。 
次に出巣Lすると、ちょっと立ち止まって警戒してから入巣R。 


シーン9:5/27・午前3:23(@2:47〜) 
引っ越しを終えて一段落したのか、♀が身震いしてから地面に座りました。 
体を左足でボリボリ掻いてから入巣L。 


シーン10:5/27・午前5:57(@3:05〜)日の出時刻は午前4:18。 
明るい早朝なのに珍しくフルカラーで録画されていました。
(旧機種のトレイルカメラは気まぐれです。) 
首筋に白斑がある♀が巣口Lで身震いしてから入巣L。 
肩から上の頭部はクリーム色の(白っぽい)毛色でした。 

すぐに後退して巣口Lから顔を出すと、カメラを警戒しています。 
奥の巣口Rを点検してから手前の巣穴Lに戻りました。 
なぜか神経質で、とにかく周囲を警戒していますけど、理由が分かりません。 


シーン11:5/27・午前5:59(@4:03〜) 
♀が入巣R。 


シーン12:5/27・午後17:15・気温24℃(@4:12〜) 
夕方に♀が奥の広場から入巣R。 


シーン13:5/27・午後19:36(@4:23〜)日の入り時刻は午後18:55。 
とっぷり暗くなった晩にヘルパー♂が右から登場。 
手前の巣口Lを回り込んで左の広場に移動すると、地面に座り込んで仰向けになり毛繕いを始めました。 
至近距離で大股開きになってくれたおかげで、股間に睾丸が見えました。 
股間の黒い部分は影なのか、黒い体毛なのか、どちらでしょう? 
体勢を変えて体の痒い部分を脚で掻いています。 

奥の広場に移動してから、再び仰向けになって毛繕い。 


シーン14:5/27・午後23:46(@7:24〜) 
右手前の枝葉が邪魔でよく見えませんが、奥の巣穴Rに潜り込んだようです。 


シーン15:5/28・午前3:58・気温15℃(@7:33〜) 
日付が変わった未明に、奥の広場から♀(右目<左目)がゆっくり入巣R。 


シーン16:5/28・午後17:43(@7:58〜)日の入り時刻は午後18:56。 
夕方に♀が入巣R。 
カメラの起動が遅れ、幼獣を運んでいるか不明です。 
次に出巣R➔入巣Lした個体は首筋に白班が無いのでヘルパー♂のようです。 


シーン17:5/28・午後19:50(@8:22〜) 
♀が巣口LRの間に座って体を掻いています。 
しばらくすると入巣R。 


シーン18:5/29・午後18:43・(@9:00〜)日の入り時刻は午後18:56。 
日没直前なのに真っ暗です。 
画面全体がうっすらと曇っているので、湿度が高そうです。 
♀が巣口RLの間に座って体を掻いてから入巣R。 


シーン19:5/29・午後18:45・(@9:27〜) 
入巣L。(カメラの起動遅れ) 


シーン20:5/29・午後19:13・(@9:35〜) 
頭を巣口Lに突っ込んでいた♀が出巣Lすると、左の広場に座って仰向けになりました。 
毛繕いや体掻きを始めました。 
大股開きの股間に陰茎・睾丸が見えないので♀だと思うのですが、腹に乳首が見えないのが不思議です。 
立ち上がると奥の二次林へ歩き去りました。


シーン21:5/29・午後20:45・(@10:35〜) 
♀が広場で身震いしてから入巣L。 


シーン22:5/29・午後20:49・(@10:44〜) 
巣口Lから伸びるアクセストレンチには巣材の落ち葉が敷き詰められています。 
次の引っ越しに備えて、幼獣を運搬中に地面で擦らないよう予め緩衝材を敷いておいたのかな?と思いつきました。 


シーン23:5/29・午後20:50・(@10:52〜) 
♀が入巣R。 
カメラの起動が遅れ、幼獣を運んだかどうか不明です。 

右手前の枝葉が邪魔で巣口Rがよく見えないのももどかしいです。 
巣穴を隠すように伸びた灌木を伐採したくなりますが、営巣地を人為的に撹乱するとアナグマ♀が嫌がって引っ越してしまう恐れがあるため手出しが出来ません。 


シーン24:5/29・午後20:51・(@11:04〜) 
♀?が入巣L。 


シーン25:5/29・午後21:26・(@11:11〜) 
♀が巣口Rを点検してから、入巣R。 


シーン26:5/29・午後21:28・(@11:31〜) 
入巣L。 
トレイルカメラの電池がかなり消耗してきて、細切れの映像しか撮れなくました。 


シーン27:5/29・午後21:28・(@11:36〜) 入巣R。 


シーン28:5/29・午後21:35・(@11:44〜) 
ひょいと見上げてカメラ目線になると右目が小さかったので♀のようです。 
そのまま入巣L。 


シーン29:5/30・午前4:04・(@11:56〜) 
日付が変わった未明に♀?が獣道を右下へ。 


シーン30:5/30・午前4:28・(@12:11〜)日の出時刻は4:16。 
日の出直後にアナグマが巣口Lを点検してから右下に立ち去りました。 
この個体はヘルパー♂か? 


シーン31:5/30・午前5:15・(@12:51〜) 
アナグマが左から右へ歩いて横切りました。 


シーン32:5/30・午前5:27・気温15℃(@13:00〜) 
別アングルの監視カメラに切り替わりました。 
奥の広場に座っていたアナグマが立ち上がって左へ。 
巣口Lを点検し、振り返ってから左へ立ち去りました。 


シーン33:5/30・午前5:26・(@13:44〜) 
同じシーンが旧機種のトレイルカメラでも撮れていました。 
巣口Lで周囲を警戒してから右下に走り去りました。 
この個体はヘルパー♂かな? 


シーン34:5/30・午後18:56・気温17℃(@14:00〜)日の入り時刻は午後18:57。 
日没直前の林内はほぼ真っ暗なのに、なぜかフルカラーで起動しました。 
アナグマが入巣R。 
巣口Rで何か(穴掘り?)作業しているような気もしますが、暗くて全く見えません。 


シーン35:5/31・午前2:59・気温11℃(@15:00〜) 
新機種トレイルカメラの設置場所を変更しました。 
(以前の設置場所に戻しました。)
画面中央に見えるのが巣穴Rで、その左奥に巣穴Lがあります。 

♀(右目<左目)が巣口Rの右の広場に座っていました。 
右の灌木林へ歩き出すと、別アングルで設置した新機種のトレイルカメラが起動し、それに反応してアナグマ♀が左を振り向きました。 


シーン36:5/31・午前2:59・気温11℃(@15:00〜) 
その様子が別アングルからも撮れていました。 
奥の林縁で♀が立ち止まってカメラを警戒していましたが、やがて右へ立ち去りました。 


シーン37:5/31・午後15:15・気温24℃(@15:33〜) 
珍しく明るい昼下がりにアナグマが活動していました。 
巣口Lの手前で身震いしてから入巣R。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
出巣Lの直前に 耳を澄ますと、ゴソゴソ物音が聞こえることがあります。 
巣口Lの近くで旧機種のトレイルカメラを固定した立木の根っこが地中まで伸びていますから、アナグマがトンネル内で移動する際に木の根を引っ掻く音が立木を伝導して聞こえているのかな?と推測しています。 



シロバナヤマフジの花で採餌するクマバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年5月上旬・午後15:20頃・晴れ 

民家の蔓棚で今年も見事に花が咲きました。 
いわゆる普通のフジ(藤)(ノダフジ)の紫の花と一緒に白い花の品種も並んで咲いていました。 
花序が短いので、シロナガフジ(白長藤)ではなくヤマフジの一品種であるシロバナヤマフジ(シラフジ、白藤)のようです。 
ヤマフジとノダフジは蔓の巻く向きが逆向きになるらしいのですが、この蔓棚では成長初期に庭師が人為的かつ強引に蔓の巻き方を変えたのか、不規則でよく分かりませんでした。 

長年の宿題だったキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)の訪花シーンをようやく撮影できました。 
♀との組み合わせは、これが初見になります。 

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同じ藤の仲間でも花の咲く時期が少しずれるのか、今回クマバチ♀は白藤ばかり選んで訪花していました。 
マメ科植物に特有の蝶形花に正当訪花を繰り返し吸蜜するクマバチ♀の後脚をよく見ると、花粉籠は空荷でした。 
あまりにも忙しなく飛び回るので、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:15〜) 

つづく→雄蜂♂の訪花吸蜜【ハイスピード動画】

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