2023/07/24

初冬の林床に置いた袋に群がるムラサキトビムシ?の謎

 

2022年12月上旬・午後13:10頃・くもり 

雑木林が広がる山林の斜面に設置したトレイルカメラの電池を交換しに来ました。 
作業する前にザック内の荷物を広げて林床に置いておいたら、いつの間にか微小の黒い虫が大量によじ登っていました。
こんなことは初めてです。
ギョッとしましたが、よく見るとピンピン跳んでいるのでトビムシの仲間と判明。 
昆虫よりも原始的な節足動物です。 
ムラサキトビムシHypogastrura communis)またはその仲間ですかね?
袋に固着している訳ではなく、バサバサと軽く振ったり払ったりすれば簡単に落ちてくれます。 

着替えを入れた黄色い防水袋の表面を夥しい数のムラサキトビムシ?が這い回っています。
採寸のために何か大きさの比較対象物を並べて置くべきでしたね。 
ときどき自発的にピンと跳ねて居なくなります。 
腹部第4節には2又になった棒状の器官がある。この器官は叉状器(または跳躍器)と呼ばれ、普段は腹部下面に寄せられ、腹面にある保持器によって引っかけられている。捕食者などに遭遇した際にはこの叉状器が筋肉の収縮により後方へと勢いよく振り出され、大きく跳躍して逃げることができる。(wikipedia:トビムシの形態より引用)


マクロレンズを装着して接写してみましょう。
退色は紫がかっていました。
6本足で歩行するのは昆虫と同じです。 
トビムシが互いに出会っても何も起こりません。(片方が立ち止まって回避?)
仲間と出会っても驚いてジャンプする訳ではないようです。

白いビニール袋の上にもムラサキトビムシ?の大群が群がっていました。
群れ全体として一方向に移動しているように見えたのですが、何を目指しているのか不明です。
群れとは逆行する天の邪鬼の個体も居るからです。 
突然画面から消えるのは、腹面にある跳躍器を使ってジャンプしたからです。 
まるでポップコーンのようです。
裏返しに着地しても、自力ですぐに起き上がります。 

山登りしてきた汗が引くと一気に体が冷え、指先がかじかんでじっくり接写できませんでした。 
横着しないで三脚を使うべきでした。
特に、トビムシが跳躍器を使って跳ぶ様子をハイスピード動画で接写したかったのですが、曇天の光量不足で諦めました。 
今思えばトビムシを採集して持ち帰れば、室内の明るい照明の下で跳躍シーンをハイスピード動画に撮れましたね。 
現場の山中ではとにかく寒くて、そこまで頭が回りませんでした。 
しかし仮にトビムシの大群を採集したとして、下山中にどうしても激しく揺れますから採集容器の中でピンピン跳ねて消耗してしまうのではないか?と心配です。

この日は山中でハエ1匹も飛んでおらず、見かけた虫はムラサキトビムシ?だけでした。
この日に限って一体どうしてビニール袋にトビムシが群がったのでしょうか?
ザックから出した荷物が私の体温でほんのり暖かく、その熱源にトビムシが誘引されたのでしょうか?
それとも私の着替えから発する汗の匂いが気に入ったのかな?
あるいは、たまたま私が荷物を置いた落葉の下でキノコを食べていたのかもしれません。
雪が積もる前に集団で越冬する安全な場所を探していたのかな?(トビムシの越冬態は成虫?)
それとも、たまたまこの日は明るい原色の袋を置いたので目立ちましたが、これまでも迷彩系の地味な服や荷物を林床に無造作に置いて付着したトビムシに気づかなかっただけかもしれません。

後日、別件の調べ物で相良直彦『きのこと動物』という名著を読んでいたら、第2章「昆虫ときのこ」第6節に「トビムシの菌食」が取り上げられていました。
ふつう(トビムシ:しぐま註)は落葉落枝層の中で、朽ちた落葉落枝と菌糸とを主食としている。(p55より引用)
図18に「きのこにつくムラサキトビムシのなかま」と題した細密画も掲載されています。 
ムラサキトビムシはメジャーな普通種なのでしょう。 
私もこれからはキノコに群がるトビムシについて注目してみることにします。 

高名な昆虫学者である丸山宗利氏の著作のひとつに『アリの巣をめぐる冒険未踏の調査地は足下に』があるのですが、なにより副題がとても秀逸で感銘を受けました(共感)。 
近年は野山に出かけても出会える昆虫の数が激減していて(大絶滅が進行中?)退屈でつまらないなーと思っていたのですが、土壌生物の世界は食わず嫌いで全く手つかずなのでした。 
トビムシに限っても予備知識がほとんど無いので、これから少しずつ勉強しないといけません。 
遠方の原生林にわざわざ遠征しなくても身近な裏山におそろしく広大なフロンティアが広がっていて、生態系の全貌を謎解きする道のりを思うと気が遠くなります。
ネタ切れの心配が無いのは嬉しい悲鳴です。

関連記事(11年前の撮影)▶ 水面に浮いて跳ねるエビガラトビムシ?集団

 

2023/07/23

フクロウ襲撃前後の野ネズミのオニグルミ堅果運搬作業【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月上旬

シーン0:12/3・午後・気温15℃・(@0:00〜) 
オニグルミ堅果の給餌は6回目になります。 
今回はカラマツ大木の根元の右側に、予め果皮を剥いたクルミ40個を山盛りに並べて置きました。 
餌場を左から右に移動したのは、少しでも監視カメラに近づけて、野ネズミがクルミを選ぶ様子を詳細に観察するのが目的です。 
右側の餌場Rは三角のポケットのような窪みになっているのですが狭いので、なるべく小さなクルミを選んで山積みにしました。

シーン1:12/3・午後22:18・気温10℃・(@0:05〜) 
給餌した当日の晩から夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が早速現れて、いつものようにせっせと餌場通いを始めました。

給餌場Rで選んだオニグルミ堅果を口に咥え、右斜面を右上に持ち去りました。 
途中で羊歯の葉にぶつかるのは前回と同じルートです。 
お気に入りの決まった運搬ルートがあるということは、おそらく同一個体が通っているのでしょう。 


シーン2:12/3・午後22:23・(@0:34〜) 
(これ以降の気温データは異常に高く、信頼できません。) 
右斜面に立ち止まっていた野ネズミが突然弾かれたように垂直に跳び上がりました。 
何かに驚いたのでしょうか? 
警戒を解くと、慎重に餌場Rへ戻りました。 

クルミを1個選ぶと、今度も右上に運び去りました。 


シーン3:12/3・午後22:27・(@1:20〜) 
餌場Rからクルミを持ち去ると、カラマツの根元を右から回り込み、背後を通って左斜面へ運んで行きました。 
クルミを貯食する場所を変えたようです。 


シーン4:12/3・午後22:30・(@1:47〜) 
野ネズミが珍しく左の餌場Lに来ていました。 空っぽであることを確かめてから、右の餌場Rへ。 
選んだクルミを咥えて右斜面を駆け上がります。 


シーン5:12/4・午前5:43・気温5℃(@2:12〜) 
天敵への恐怖で野ネズミはもう餌場には来ないだろうと思いきや、ほとぼりが冷めてから運搬作業を再開しました。 
6時間50分も隠れ家で大休止していたようです。 
その間に気温は5℃まで下がりました。 

餌場Rで選んだクルミを横向きで咥え、正面を向いたところでフリーズしました。 
トレイルカメラの存在に気づいて警戒しているのかな? 
警戒を解くと、慎重に左に少し移動してから斜面を下り、クルミを運びます。 
フクロウに襲われ怖い思いをした右上斜面の運搬ルートは二度と行かなくなりました。
強い恐怖体験によるマウス(ハツカネズミ)の学習はたった1回で成立して、長期記憶が長く持続する、という教科書通りの行動でした。


シーン6:12/4・午前5:47・(@2:52〜) 
今度もクルミを下に持ち去りました。 


シーン7:12/4・午前5:56・(@3:09〜) 
少し間隔が開きました。 
カメラの起動が少し遅れたようで、クルミを咥えて運搬中の野ネズミが餌場Lに居ました。 
大きくて持ちにくそうなクルミを、そのまま左に運んで行きます。 

しばらくすると、シシガシラに覆われた左斜面の隠れ家から戻って来ました。 
餌場Lに飛び込んだところで録画終了。 


シーン8:12/4・午前5:59・(@3:41〜) 
またもやカメラの起動が間に合わず、クルミ運搬中の野ネズミが餌場Lを経由して左に持ち去りました。 


シーン9:12/4・午前6:02・(@3:49〜) 
断続的に朝霧が発生したり風に流されて晴れたりしているようです。 
野ネズミが餌場Rからクルミを右下に搬出。 
クルミを隠す場所を変えたようです。 


シーン10:12/4・午前6:09・(@4:09〜) 
少し間隔が開いてから作業再開。 
今回も餌場Rからクルミを持って右下へ。 


シーン11:12/4・午前6:12・(@4:20〜) 
今回も餌場Rからクルミを持って右下へ。 
決まった運搬ルートを繰り返し使うとまた捕食者に待ち伏せされて襲われるのではないかと傍目には心配です。
あまり学習しないというか、恐れ知らずの個体なのでしょうか? 


シーン12:12/4・午前6:14・(@4:29〜) 
今回も餌場Rからクルミを持って右下へ。 


シーン13:12/4・午前6:17・(@4:40〜) 
朝霧の中を、餌場Rからクルミを咥えて斜面を駆け下りました。 


シーン14:12/4・午前6:19・(@4:54〜) 
朝霧で見えにくいのですが、餌場Rで選んだクルミ1個を右下に持ち去りました。 
しばらくすると、緩斜面の下から餌場Rに帰って来ました。 
全く無駄のない動きで次のクルミを選ぶと、休むまもなく下へ搬出。 
2分間の録画時間内で最大2回の運搬作業が観察できます。 
クルミを貯食する場所は給餌場の近くにあるのでしょう。 


シーン15:12/4・午前6:25・(@5:22〜) 
今回も餌場Rからクルミを持って下へ。 
しばらくすると、斜面の下から餌場Rに戻ってきました。 
次のクルミをまたもや下に運び去ったところで、ちょうど2分間の録画が終了。 


シーン16:12/4・午前6:30・(@5:48〜) 
今回も餌場Rからクルミを持って下へ。 


シーン17:12/4・午前6:34・(@6:07〜) 
日の出(午前6:35)直前で充分に明るくなり、自然光のフルカラーで動画が撮れていました。
映像から野ネズミの同定ができる方がいらっしゃいましたら、教えて頂けると助かります。 
野ネズミは臆病で夜行性のはずなのに、明るい朝になっても餌場Rに通っていました。 
昼行性の捕食者が怖くないのでしょうか? 
オニグルミ堅果への執着がよほど強いのでしょう。
このまま餌場Rにクルミを残しておくと、昼間の間に貯食ライバルのリスが持ち去ってしまうと判断したのかもしれません。
 
関連記事(3週間前の撮影)▶ 珍しく明るい早朝にオニグルミの堅果を持ち去る野ネズミ
残り少なくなったクルミを1個選ぶと、右下に走って持ち去りました。 


シーン18:12/4・午前6:39・(@6:38〜) 
このトレイルカメラは新機種なのに奇妙な癖があり、明るい時間帯でも1つおきにモノクロの暗視映像に戻ってしまいます。 
周囲の明るさに応じて暗視映像で撮るかどうか切り替わるはずですが、薄明薄暮の明度がちょうどその閾値なのでしょうか? 

今回も野ネズミは餌場Rからクルミを持って下へ。 
これが最後の1個だったようです。 


シーン18:12/4・午後17:29・気温0℃(@6:54〜) 
日の入り時刻は午後16:23。
遂に晩の早い時間でも気温が零度になり、この地点での最低気温を更新しました。 
みぞれが横殴りに降っていますが、林床に積雪は未だありません。 
昼間にぐっすり寝て元気になった野ネズミが餌場Rに現れました。 
クルミがもう全く残っていない(新たに追加されていない)ことを確かめると、餌場Lを経由して左に走り去りました。 

常緑の羊歯シシガシラに覆われた左斜面を右往左往する野ネズミの白い目が光って見えます。 
カラマツの背後を通って右斜面でも餌を探し歩きます。 
餌場通いを止めて、通常の探餌徘徊モードに戻ったようです。 
野ネズミは寒さに強く、冬ごもり(冬眠)しません。
雪国での活動限界は零下何度なのでしょう?

※ 暗視映像が暗い場合は、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 



ホバリングしながらツリフネソウの花蜜を吸うクロホウジャク?(蛾)

 

 2022年9月上旬・午後13:50頃・晴れ 

沢の水が流れ込んでいつも泥濘になっている山道の横に咲いたツリフネソウの群落でクロホウジャクMacroglossum saga)らしき蛾が訪花していました。 
花から花へ忙しなく飛び回り、停飛(ホバリング)しながら口吻を伸ばして吸蜜します。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:30〜) 
途中で葉っぱの上にカンタンがカメオ出演しています。 

ハイスピードモードに切り替えたりストロボを炊いて同定用の写真を撮ったりする前に飛び去ってしまいました。 


関連記事(5年前の撮影)▶ 


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