2020/04/15

オオバヤナギの柳絮:綿毛付きの種子の風散布



2019年10月中旬・午後14:15頃・晴れ

河畔林に一際高く聳え立つオオバヤナギ(=トカチヤナギ)の大木から白い綿毛がフワフワと風に舞っていました。
秋晴れの青空を背景に白い柳絮りゅうじょがフワフワと飛び去る様子が絵になりますね。
熟果にズームインしたときにちょうど風が吹いて、綿毛の付いた種子(柳絮)が盛大に飛散しました。
柳の種子散布を国盗りや陣取り合戦に例えると、落下傘部隊を大量に投下して陣地を広げる作戦です。
たまたま川に落ちた種子は水面に浮いたまま更に下流へ運ばれますから、水散布型でもあります。
秋に種子を風散布する柳の種類もあるのかと初めて知りました。

俳句で「柳絮」と言えば晩春の季語ですから、ちょっとした驚きです。


▼関連記事(同年5月の撮影)
シロヤナギの柳絮:綿毛付きの種子の風散布


不思議に思ってネット検索してみると、次の文献がヒットしました。(PDFで公開)
長坂有. "河畔に生えるヤナギ類." 光珠内季報 101 (1996): 12-17.
「ヤナギ類の種子散布時期」をまとめた図4を見ると、オオバヤナギが最も遅く、9月中旬から10月上旬となっていました。(北海道の調査記録)
数日前の台風19号で河川が増水したばかりなので、もしかすると冠水ストレスで柳の木が時期外れに再び実を付けたのか?とヤナギ類に疎い私は勝手に妄想しそうになりました。
しかし、どうやら別に異常事態ではないようです。

文一総合出版『ヤナギハンドブック』でオオバヤナギを調べても
果実はヤナギの中で最も遅く熟し8月頃。(p26より引用)
と書いてありました。
ちなみにオオバヤナギは雌雄異株とのこと。

 ヤナギの仲間は、子房が熟すと蒴果が割れ、種子は綿に包まれた柳絮となり、微風に乗って遠くまで飛んで行く。絮(じょ)とは綿(わた)のことだ。俳句では柳絮は晩春の季語。 (p49より引用)

オオバヤナギ柳絮@風散布・全景
オオバヤナギ熟果+柳絮@風散布
オオバヤナギ熟果+種子@風散布
オオバヤナギ熟果
オオバヤナギ葉
オオバヤナギ幹:縦に割れ目が入る

フジバカマの花蜜を吸うキタテハ秋型



2019年10月下旬・正午頃・晴れ

川沿いの民家の庭に咲いたフジバカマの群落で秋型のキタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。
翅を開閉しながら吸蜜しています。

フジバカマは秋の七草の一つです。

植物図鑑によると自然分布は関東以西とのことで、東北地方の雪国には自生していないはずです。
ということは、この庭に園芸植物として植栽されているのでしょう。
(まさか近年の温暖化で急激に北進しているのかな?)

過去の記事でも同属のヒヨドリバナと誤同定している例があるかもしれません。


キタテハ秋型:翅表@フジバカマ訪花吸蜜
キタテハ秋型:翅裏@フジバカマ訪花吸蜜
フジバカマ花
フジバカマ葉

2020/04/14

体内寄生が疑われるトビイロスズメ(蛾)幼虫の症状



トビイロスズメ(蛾)幼虫の飼育記録#7



▼前回の記事
動かなくなったトビイロスズメ(蛾)幼虫の生存確認【100倍速映像】

2019年10月上旬

まずは20倍速の早回し映像をご覧下さい。
ニセアカシア小枝の下側にしがみついたままひたすら静止していたトビイロスズメClanis bilineata tsingtauica)の幼虫が、朝日を浴びてしばらくすると3日ぶりに突然活動を再開しました。(@0:30)

小枝上で何度か方向転換しかけたものの、なぜか諦めて小枝の末端に向かって前進を始めました。
ニセアカシアの枯れた小葉が腹端の左側面(カメラからは裏側)になぜか付着したまま動き回っています。
違和感を感じた幼虫がやがて枯葉を振り落としました。
ついでにようやく枝上で向きを変えることに成功しました。

それまでは死角で見えなかったのですが、体の左側面をこちらに向けるようになると、腹端の一部が黒褐色に変色していることに初めて気づきました。
脱糞の際に糞切りが悪くて自分の体を汚してしまったのでしょうか?(そんなシーンは見た記憶がありません。)
左右非対称なので、何かの病変かもしれません。

やがて腹端から茶色がかった半透明の液体が滴り始めました。(等倍速映像@1:49〜)
蛹化に備えた下痢便にしては何かが変です。
異状に慌てながらもよく見ると、どうやら腹端左側面にある謎の黒い傷口から体液が滲出しているようです。

先ほどの枯れ葉は傷口にへばりついていたのでしょう。

まさかニセアカシアの枝の棘が体に突き刺さってしまい傷口が化膿したのでしょうか? 

ニセアカシア樹上で暮らす幼虫がそんなヘマをするとは思えません。
おそらく、体内寄生していたヤドリバエの幼虫が寄主の体を食い破って脱出した跡ではないかと私は推測します。
腹端左側のクチクラ直下に気泡があり、それが幼虫の徘徊移動とともに動いています。
(映像はここまで。)

もしトビイロスズメ幼虫を容器に閉じ込めて飼っていれば、寄主から脱出したヤドリバエの幼虫(ウジ虫)または囲蛹を容器内に確認できたはずです。
しかし私は動画撮影(微速度撮影)を優先するためにほぼ開放状態で幼虫を飼育していたので、脱出した寄生者は行方不明です。

手負いのトビイロスズメ幼虫は相変わらず食欲が無いままで、食草のニセアカシア枝から自発的に落下してしまいます。
最後の力を振り絞って蛹化するでしょうか?
鉢植えの土の上に置いてやり、地中に潜って蛹化するのを観察してみましょう。
ところが、何が気に入らないのか植木鉢から脱出しようと暴れるばかりです。
運動機能は鈍いものの、特に歩行異常などはなさそうです。
仕方がないので、ちぎった新聞紙を敷いた容器に閉じ込めてみました。
結局、この個体は蛹にはなれずにそのままミイラのように縮み干からびて死んでしまいました。(蛹化異常)
残念ながら私が野外で採集した時点で既に体内寄生されていたのでしょう。


シリーズ完。


トビイロスズメ(蛾)幼虫@体液滲出
トビイロスズメ(蛾)幼虫+傷口:寄生バエ幼虫脱出跡?

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