トビイロスズメ(蛾)幼虫の飼育記録#7
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動かなくなったトビイロスズメ(蛾)幼虫の生存確認【100倍速映像】
2019年10月上旬
まずは20倍速の早回し映像をご覧下さい。
ニセアカシア小枝の下側にしがみついたままひたすら静止していたトビイロスズメ(Clanis bilineata tsingtauica)の幼虫が、朝日を浴びてしばらくすると3日ぶりに突然活動を再開しました。(@0:30)
小枝上で何度か方向転換しかけたものの、なぜか諦めて小枝の末端に向かって前進を始めました。
ニセアカシアの枯れた小葉が腹端の左側面(カメラからは裏側)になぜか付着したまま動き回っています。
違和感を感じた幼虫がやがて枯葉を振り落としました。
ついでにようやく枝上で向きを変えることに成功しました。
それまでは死角で見えなかったのですが、体の左側面をこちらに向けるようになると、腹端の一部が黒褐色に変色していることに初めて気づきました。
脱糞の際に糞切りが悪くて自分の体を汚してしまったのでしょうか?(そんなシーンは見た記憶がありません。)
左右非対称なので、何かの病変かもしれません。
やがて腹端から茶色がかった半透明の液体が滴り始めました。(等倍速映像@1:49〜)
蛹化に備えた下痢便にしては何かが変です。
異状に慌てながらもよく見ると、どうやら腹端左側面にある謎の黒い傷口から体液が滲出しているようです。
先ほどの枯れ葉は傷口にへばりついていたのでしょう。
まさかニセアカシアの枝の棘が体に突き刺さってしまい傷口が化膿したのでしょうか?
ニセアカシア樹上で暮らす幼虫がそんなヘマをするとは思えません。
おそらく、体内寄生していたヤドリバエの幼虫が寄主の体を食い破って脱出した跡ではないかと私は推測します。
腹端左側のクチクラ直下に気泡があり、それが幼虫の徘徊移動とともに動いています。
(映像はここまで。)
もしトビイロスズメ幼虫を容器に閉じ込めて飼っていれば、寄主から脱出したヤドリバエの幼虫(ウジ虫)または囲蛹を容器内に確認できたはずです。
しかし私は動画撮影(微速度撮影)を優先するためにほぼ開放状態で幼虫を飼育していたので、脱出した寄生者は行方不明です。
手負いのトビイロスズメ幼虫は相変わらず食欲が無いままで、食草のニセアカシア枝から自発的に落下してしまいます。
最後の力を振り絞って蛹化するでしょうか?
鉢植えの土の上に置いてやり、地中に潜って蛹化するのを観察してみましょう。
ところが、何が気に入らないのか植木鉢から脱出しようと暴れるばかりです。
運動機能は鈍いものの、特に歩行異常などはなさそうです。
仕方がないので、ちぎった新聞紙を敷いた容器に閉じ込めてみました。
結局、この個体は蛹にはなれずにそのままミイラのように縮み干からびて死んでしまいました。(蛹化異常)
残念ながら私が野外で採集した時点で既に体内寄生されていたのでしょう。
シリーズ完。
トビイロスズメ(蛾)幼虫@体液滲出 |
トビイロスズメ(蛾)幼虫+傷口:寄生バエ幼虫脱出跡? |
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