2020/04/17

菊の花蜜を舐める♀にホバリングで求愛するヤドリバエ♂【Gonia sp.?】



2019年10月下旬・午前10:55・晴れ

平地(郊外)の住宅地の庭に黄色い菊の園芸品種が咲いています。
そこに訪花する2匹のハエ(種名不詳)が奇妙な行動を繰り広げていました。

おそらく♀と思われる個体が菊の花の上で方向転換しながら花蜜や花粉を舐めている間に、同種の♂らしき別個体がその真上でホバリング(停空飛翔)しています。
♂が羽音によるラブソング(求愛歌)を♀に聞かせているのではないか?と直感で私は予想しました。
マウント・交尾に移行しやすい向きに体軸を揃える訳ではなく、なぜか互いに直交する向きで停飛しているのが興味深く思いました。

♀が飛び立つと♂もすかさず追いかけます。
左の少し離れた菊の花でも2匹は同じ行動を繰り返しました。

1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、2匹は一度、空中で軽く衝突していました。
五月蝿い♂の求愛(セクハラ)に苛立って追い払おうとしたのか、♀は菊の花から飛び立つ際に、真上でホバリングする♂にぶつかったのです。
♀から邪険にされても逃げられても♂はめげずに、執拗に♀を追跡します。

最後は物置小屋の方へ2匹がすっ飛んで行き、左に急旋回して見失いました。
求愛が成就して交尾に至ったのかどうか、見届けられなくて残念です。

ハエのこんな面白い求愛行動を観察したのは初めてで、とても興奮しました。
欲を言えば、ハイスピード動画で記録したかったです。

私は外見からこのハエの性別を見分けられないので、上記の解釈はあくまでも行動から勝手に推測したものです。
蜜源植物を巡る♂同士の縄張り争いという可能性もありますかね?
闘争行動なら悠長にホバリングなんてやらない気がします。(騎士道精神? 儀式的な闘争行動?)

もう一つの可能性として、ヤドリバエ♀が他個体(ハエ成虫)の体表に卵を産みつけようとしている?という仮説を思いつきました。



映像からこのハエの名前が分かる達人がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。
せめて科レベルだけでも知りたいところです。


▼関連記事(5年前の撮影。素人目には今回のハエと似ています。)
ハエの求愛未遂?@松葉


【追記】
別件の調べ物で「みんなで作る双翅目図鑑   画像一括閲覧ページ」を眺めていると、とてもよく似たハエの求愛飛翔の生態写真を見つけました。
投稿者そよかぜさんのブログ「そよ風のなかで (Plants,insects and birds near at hand):ヤドリバエの仲間(1)」に行ってみると、見事な生態写真が掲載されています。
マサキに訪花する♀の真上を♂2匹が♀に対して直交する向きでホバリングしています。
ひょっとすると、私が見たハエも同じくヤドリバエ科ヤドリバエ亜科のGonia sp.かもしれません。

改めてGonia属の配偶行動についてインターネット検索してみました。
しかし、ヤドリバエ科全般について、野外での配偶行動はほとんど調べられていないのだそうです。
「Tachinidae Resources」というウェブサイトの概説によると、
Very little is known about courtship and mating in tachinids, especially under natural conditions.



ハエsp@菊(黄)訪花飛翔


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