2014年7月上旬
▼前回の記事
マイマイガ(蛾)前蛹cから脱出するヤドリバエの終齢幼虫【微速度撮影】
マイマイガ(Lymantria dispar japonica)前蛹cの体内から脱出したヤドリバエ(種名不詳)の終齢幼虫が容器内で蛹化するまで微速度撮影してみました。
50倍速の早回し映像をご覧ください。
自然環境であればヤドリバエ幼虫は地中に潜って蛹化するはずですが、プラスチック容器内に閉じ込められランダムウォークするウジ虫に遭遇する度に寄主のマイマイガ前蛹cは嫌がって逃げ回ります。
やがてウジ虫が運動性を失い、蛹化を開始しました。
終齢幼虫の外皮中で蛹化し、囲蛹を形成します。
従って脱皮殻(抜け殻)を残しません。
少しずつ囲蛹の黒化(色素沈着)が進みます。
寄生ハエ囲蛹の飼育法について
5日後に撮ったヤドリバエ囲蛹の写真↑です。
その後は残念ながら、待てど暮らせど成虫が羽化してくれません。
成虫が得られないと名前も分からないので困りました。(ブランコヤドリバエ?)
ヤドリバエの羽化には湿り気が必須なのかな?
囲蛹を裸で飼うと、乾季だと思って休眠状態に入ってしまうのでしょうか?
暗所に置かないといけないのか?など色々と悩みます。
ちなみにドロバチの巣を発掘した際に採集した寄生ハエ(ドロバチヤドリニクバエ?)の囲蛹からは、過去に同様の飼育法(乾燥条件)で問題なく羽化しているので不思議で仕方がありません。
やはり今からでも容器に土を入れてやる(囲蛹を土に埋めてやる)べきでしょうか?
恥ずかしながらこれまで私の虫の飼育の失敗の多くはカビが原因です。
霧吹きしたり土を入れたりすると、特に梅雨時や夏はあっという間にカビが発生蔓延してしまい他の飼育容器までもが全滅してしまった苦い過去があり躊躇しています。
いつもお世話になっているハエ関係の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」で質問してみると、アノニモミイアさんから以下の回答を頂きました。
本科に最も詳しい研究者に以前お聞きしたところ,ヤドリバエの囲蛹は囲蛹化した位置に置かないと羽化しにくい,囲蛹を動かすとまずい,と言う話をお聞きしたことがあります。ヤドリバエ科の多くの幼虫は寄主から脱出した後は当然地上に落ちるでしょうから,常識的に考えれば地中に潜り込んでそこで囲蛹化するのではないでしょうか。
このような見解を元に考えますと,寄主から脱出してまだ囲蛹化していない蛆は湿り気のある清潔な土を入れた容器に移すことが適当かとおもいます。また容器内(裸出した状態)で囲蛹化してしまったものは,そのまま動かさないで,上記のような湿った清潔な土(電子レンジなどで蒸気消毒したもの)をやさしく掛けるということも考えられます。
園芸用の赤玉土の細粒(小粒より小さい)と言うのがあります。私はこれを十分に湿らせたうえで電子レンジで蒸気消毒したものを長期休眠(初冬から翌年晩秋まで)するハエの幼虫に使ったことがあります。好成績でした。数か月以上に亘ってカビなどが生じなかったです。ご参考までに。
土を昆虫の飼育に長期に使うときは,庭の土などはかなり用心して用いないと,中に捕食者の卵や幼虫などが含まれていることがあります。また,トビムシ類もかなり入っていて,繁殖します。土はポリ袋に入れて(密閉しないで)電子レンジで内部が高温になり熱い蒸気で滅菌,殺虫して使うのが安全です。
確かに数少ない成功例を思い返してみると、完全に忘れていて放置していたらいつの間にか寄生ハエが羽化して死んでいたことがありました。(寄主イラガ、オビガ、タケカレハ)
撮影のために蛹を転がしたりいじくり回すことが致命的だったようです。
まさかヤドリバエの囲蛹がそんなに繊細だとは知りませんでした。
自力でこれを突き止めるのは無理でした。
次回からは殺菌した土を入れてみようと思います。
つづく
2014年7月中旬
山村の用水路沿いに生えたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)がせっせと吸蜜していました。
訪花シーンをよく見ると、漏斗状の花筒の外に止まる度に根元を食い破って穿孔盗蜜しています。
受粉に寄与しないので当然ながら後脚の花粉籠は空荷です。
蜂が飛び去った後も花をよく見ると盗蜜痕の穴が見えます。
途中でクマバチ♀がトラマルハナバチのワーカー♀とニアミスしました。
舌の長いトラマルハナバチは正当訪花しているのに、こちらも花粉籠は空荷でした。
2014年7月上旬
▼前回の記事
体内寄生で歩行障害を呈したマイマイガ(蛾)前蛹c
繭を紡いで以来ずっと様子のおかしいマイマイガ(Lymantria dispar japonica)の前蛹cは歩き疲れたのか、ようやく落ち着きました。
10秒間隔のインターバル撮影で監視記録してみます。
私が寝ている間に前蛹が脱皮・蛹化する瞬間を監視記録するつもりでした。
徘徊運動で繊細な繭を壊されないように、作品を取り除いてあります。
(繭コレクションに加わりました♪)
繭の外を散々徘徊した挙句に疲れて横たわる前蛹がときどき蠕動運動しています。
ところが、明け方に腹部右側面より白いウジ虫が1匹脱出しました。(@4:12 AM)
やはり予想していた通り、この異常行動をするマイマイガcはヤドリバエの仲間に体内寄生されていたのです。
ブランコケムシ(マイマイガの幼虫)に寄生するハエとしてはブランコヤドリバエが有名です。
ただし他にも種類が多いので、ハエの成虫が羽化しないとブランコヤドリバエかどうかもちろん確定できません。
【参考文献】
南智子, 石井実, and 天満和久. "大阪の里山と都市緑地におけるマイマイガの寄生性天敵相." 日本応用動物昆虫学会誌 43.4 (1999): 169-174.(全文PDF)
寄主から脱出したウジ虫は容器内を盛んに徘徊しますが、壁面を登れないので脱走する恐れはありません。
ランダムウォークするウジ虫に遭遇する度に毛虫は嫌がって逃げ回ります。
寄主に傷口からの出血は見られませんが、ウジ虫の脱出と同時に寄主の前蛹も徘徊を始め画面から消えました。
体内を食い荒らして育ったウジ虫が表皮を食い破って脱出する際には痛みが伴うのでしょうか(生まれいづる痛み?)。
今回野外で採集したマイマイガ終齢幼虫3匹の中で、無事に蛹化したのは2匹でした。
サンプル数が少な過ぎますけど、寄生率は1/3になります。
ヤドリバエによる行動操作?
このマイマイガ前蛹は寄生されていたということで、一連の異常行動の謎がようやく解けました。
寄主から脱出したウジ虫は地中に潜って蛹化します。
ヤドリバエが寄主の行動を操作して繭から外に移動させたとしたら、面白いですね。
ただしマイマイガの紡ぐ繭は粗末で非常に目が粗いので、脱出したウジ虫が繭に閉じ込められる心配は無さそうです。
単に体内を食い荒らされる痛みで暴れていた可能性も充分あります。
少なくとも寄主の内分泌系(脱皮変態ホルモン)は完全に撹乱されているようで、もはや脱皮・蛹化できません。(体力が残っていないだけ?)
つづく
↑【おまけの映像】
インターバル撮影を始める前に、微速度撮影で監視記録していた映像をブログ限定で公開します。
50倍速の早回し映像でご覧ください。
繭の外で静止している前蛹がときどき蠕動するのは断末魔の苦しみなのでしょうか。
初めのうちは営繭の名残のような行動も見られました。
脱出直前のヤドリバエ幼虫が寄主の皮下で蠢いている様子が見て取れます。
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| マイマイガの繭 |
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