2026年9月下旬・午後14:15頃・くもり
里山で砂利道の林道を下山中にムモントックリバチ♀(Eumenes rubronotatus rubronotatus)と遭遇しました。
低空で飛び回ってから着地すると、乾いた地面を大顎で掘り始めました。
水を吐き戻しながら、巣材の泥団子を作っているようです。
横からも撮りたかったのですが、顔正面のアングルしか撮影できませんでした。
やがてムモントックリバチ♀は、小さな泥玉を抱えて飛び去りました。
今回も泥巣がある場所(営巣地)を突き止められませんでした。
結構遠くまで飛んで行き、見失いました。
その場でしばらく待てば、同一個体がお気に入りの採土地点に戻って来たかもしれません。
しかし、今回の個体は飛び去る際に、採土地点をを記憶する定位飛行をしませんでした。
【考察】
ムモントックリバチ♀の巣材集めは何度も撮影済みなのに、現在進行系で建築中の泥巣(徳利)を私はまだ一度も見つけたことがありません。
超小型の電波発信器を蜂に装着して、営巣地を突き止めたいものです。
関連記事(12、16、18年前の撮影)▶
ドロバチ科の営巣習性を観察するには、竹筒トラップを用意するのが常道です。
しかし、トックリバチ類の営巣習性は借坑性ではなく築造性(築坑性)なので、竹筒トラップに泥巣を作ってくれないのです。
Perplexity AIに解説してもらいました。
結論から言うと、狭義の「トックリバチ」類(Eumenes属など)は、竹筒トラップにはほぼ営巣しません。ただし「ドロバチの仲間」と広く捉えると、竹筒をよく使う種もいます。
なぜ入らないか
キボシトックリバチやミカドトックリバチなどのトックリバチ類は、壁面、石、枝、葉などに泥で独立した壺状の巣を一つずつ造ります。既存の細長い空洞を仕切って利用する「トンネル営巣性」ではなく、自分で壺の形を作るタイプです。 ja.wikipedia
そのため、竹筒の内径や長さを工夫しても、本来の巣様式が合わず、普通は選ばれません。ミカドトックリバチが竹筒内に作られた例はありますが、例外的・柔軟なケースと考えたほうがよいです。 note
竹筒に来るのはどの仲間か
竹筒トラップで期待しやすいのは、むしろ次のような空洞利用型のドロバチです。
分類・例 竹筒への適性 備考 トックリバチ類(Eumenes属など) ほぼ期待できない 泥の壺を壁や枝などに独立造巣する forest-akita エントツドロバチ類 あり 壁の隙間や竹筒内に泥巣を作り、煙突状の入口を作る種がある forest-akita オオカバフスジドロバチなど あり 竹筒・隙間など既存空洞を泥で仕切って利用する forest-akita アシナガバチ・スズメバチ ほぼ期待できない 紙巣を作るため竹筒営巣とは生活様式が異なる 海外の調査でも、竹筒や葦筒を利用するのは主にトンネル営巣性のハチで、利用種は筒の内径に強く影響されることが示されています。 pmc.ncbi.nlm.nih
観察用の工夫
トックリバチそのものを見たいなら、竹筒より次の場所を狙う方が有効です。
- 日当たりのよい壁面、石垣、墓石、木の枝、葉裏など、泥壺を作りやすい基質
- 泥や水たまりの近く。雌は巣材の泥を運ぶため、採泥地近くで飛行が観察しやすい
- 6〜9月ごろを中心に、完成途中の壺や獲物運搬を観察する
一方、竹筒トラップはエントツドロバチ類やその他のドロバチの巣観察に向きます。雨が入らないよう水平に設置し、筒口を上向きにしないことが重要です。 hitohaku
つまり、あなたの竹筒に「トックリバチの壺」ができないのは不自然ではなく、分類群の巣作り様式の違いによるものです。竹筒にはドロバチ類、壁面や枝にはトックリバチ類、と分けて観察すると対応関係がはっきりします。
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