2024年12月中旬〜下旬
シーン0:12/13・午後13:11・くもり・気温18℃(@0:00〜)
農地の端に1本立っているカキノキを自動撮影カメラで見張っています。 完全に落葉した枝には熟した果実がまだ残っているだけでなく、木の下の雪面には落果が散乱しています。
熟柿という餌資源を巡るニホンザル(Macaca fuscata fuscata)とカラスの競争関係・緊張関係が続いています。
シーン1:12/19・午前8:50・気温-1℃(@0:04〜)
初めからニホンザルがカキノキ樹上に登っていました(赤い矢印→)。
右端の枝先から手を伸ばして熟柿をもぎとり、次々に採食しています。
(右手前に自生するオニグルミ落葉灌木の幹が邪魔ですね。)
カキノキの梢に止まって猿を見下ろしていたハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が、中程の高さの横枝に止まり直しました。 まさかカラスが猿の背後から奇襲してライバルを追い払うのかと思ったのですが、猿が気配を感じて振り返りました。
(カラスにそんな攻撃的な意図はなくて、ただ自分もこっそり樹上の熟果を食べたかったのかもしれません。)
やがて、そのハシブトガラスはカキノキの枝から手前のオニグルミ落葉樹へ飛んで移動しました。
猿は振り返ってカラスを見ましたが、カキノキの横枝に座ったまま、もぎ取った熟柿を食べ続けています。
猿が怖くてカラスは餌場に近づけないのでしょうか?
逆に、カラスが未練がましくニホンザルに心理戦・神経戦を仕掛けていて、牽制しているのかもしれません。
(居心地を悪くしてライバルを追い払いたい)
音量を上げると、カラスの鳴き声が遠くから聞こえます。
シーン2:12/19・午前9:11・くもり・気温0℃(@2:07〜)
子猿がカキノキの左下の雪面に来ています。(赤い丸○)
樹上で採食している成獣と母子関係であることが後に分かります。
地上の子猿は、雪面の落柿を拾い食いしているようですけど、画角の下端でよく見えません。
一方、カキノキ樹上の成獣♀が横枝で立ち上がって手を伸ばし、熟柿を手元に引き寄せました。
熟果をもぎ取らずに、後足で立ったまま食べ始めました。
完食せずに、樹上で少し移動すると、別の熟果を次々に味見しています。
猿が手を離すと、たわんだ枝が弾性で戻ります。
猿が食べ残した果実は、激しく揺れても落ちずに枝に残ったままです。
地上に居た子猿がヤマグワの落葉灌木によじ登り、隣接するカキノキの枝先に残っていた熟柿を自力で採食できました。
1羽のカラスaが左から右に横切り、手前のオニグルミ樹上に留まりました。(@2:38〜)
さらに別個体のハシブトガラスbが左奥から飛来し、カキノキ樹上に留まりました。
採食中のニホンザル成獣とほぼ同じ高さの別の枝にカラスbは留まりました。
熟柿を採食中のニホンザル母子を、順番待ちのカラスたちが牽制しているようにも見えます。
ニホンザルの成獣♀は慎重に横枝を枝先に移動して、細い枝先に残った熟柿を食べようとしています。
細い枝先まで行くと猿の体重で折れそうなので、細い横枝ごと熟柿を力任せに引き寄せました。
カキノキ樹上に居たハシブトガラスbが、左下の雪面に飛び降りました。
雪面の落柿を拾い食いする様子がなんとか撮れています。
ヤマグワの落葉灌木によじ登っていた子猿が、アクロバティックな方法で隣接するカキノキに見事に移り、母親に駆け寄ってその胸に収まりました。
子猿は近くに来ていたカラスが少し怖いのかもしれません。
しばらくすると、子猿は母親♀から少し離れ、自力で樹上の熟柿を採食しました。
コザルはオトナに比べて噛む力が弱いため、硬いものはあまり食べられない。また、体重が軽いので必要な食物量が少なくてすみ、オトナだと折れてしまうような細い枝先にまでアクセスできる。 (辻大和『与えるサルと食べるシカ: つながりの生態学』p93より引用)
耳を澄ますと、ニホンザルたちがクーコール♪(コンタクトコール♪)を鳴き交わしている声がかすかに聞こえました。 (画面に写っている母子の鳴き声とは限りません。)
母親♀は、食べ残しの熟柿を惜しげなく下にポイ捨てしました。
シーン3:12/20・午前8:12・気温0℃(@4:09〜)
翌日も朝からニホンザルがカキノキに登って熟果を食べていました。
発情して顔が真っ赤な成獣が、カキノキ幹の中ほどから右上に伸びた枝の先まで登ると、熟柿を手繰り寄せて食べました。
手元に引き寄せた熟果に直接かぶりつくこともあれば、手でもぎ取って食べることもありました。
熟し過ぎた果肉の断片が落ちた他、外側の果皮は食べずに捨てました。
食べかけの果実を口に咥えたまま、ニホンザル成獣がカキノキの幹まで戻りました。
安定した太い横枝に座って、熟柿を美味そうに食べています。
果汁が滴る熟柿をちょうど完食したところで、2分間の録画が終わりました。
シーン4:12/21・午前9:51・くもり後晴れ・気温2℃(@6:09〜)
翌朝はうっすらと雪化粧していましたが、雪は降り止んでいました。
黒い首輪を装着したニホンザルの成獣がカキノキ幹をよじ登った後で、左から計4頭の子猿が走って登場しました。
子猿はカキノキに比べて幹が細いヤマグワやアンズの落葉灌木を経由してカキノキ樹上に移りました。
これは子猿に特有の移動経路です。
成獣よりも体格の劣る子猿は、太い幹のカキノキを直接よじ登ることがまだ苦手なのでしょう。
カキノキの幹に巻き付いている蔓植物を掴んで登る若い個体もいました。
左から飛来したカラスがアンズの横枝にひょいと止まりましたが、近くに居た子猿をカラスが襲うことはありませんでした。
子猿たちも特にカラスを警戒しないで、木登り遊びを楽しんでいます。
ニホンザルたちはカキノキに続々とよじ登り、樹冠部に残った熟果を食べ始めました。
右下の地上に残っていたニホンザル個体は、雪面の落果を拾い食いしています。
奥からカラスが次々と飛来し、カキノキの枝に留まる個体もいました。
樹上で柿の実を食べていたニホンザル成獣が振り返ってカラスに気づくと、追い払いました。(@7:39〜)
逃げたカラスは、少し飛んだだけで、左隣りのアンズ落葉樹に留まり直しました。
シーン5:12/21・午前9:53・晴れ(@8:09〜)
子猿は満腹のようです。
遊び仲間(兄弟姉妹?)の2頭の子猿が、左の落葉したヤマグワ灌木の辺りで一緒に遊んでいます。
右から飛来して近くの雪原に舞い降りたカラスが、ウォーキングで雪原を歩くと、子猿たちが遊ぶ様子を近くで眺めています。
子猿と一緒に遊びたいのか、構って欲しいのかな?
柿の実という貴重な餌資源を巡ってカラスが猿を牽制しているようには見えなくなってきました。
(ここだけ見ると、敵対関係には見えません。)
シーン6:12/21・午前9:56・晴れ(@10:10〜)
カキノキ樹上に2頭のニホンザルが登って熟柿を採食しています。
左奥で遊ぶ子猿は計3頭になりました。
(シーン5の最後で1頭の子猿が柿の木から下りて、遊び仲間と合流。)
雪原をうろついていたカラスが、落葉低木の横枝に跳び乗りました。
左手前のオニグルミ樹上に居た猿が木を下り始め、至近距離で写りました。(@10:58〜)
前足の肉球が一瞬写ったぐらいです。
少し奥の雪原に跳び下りたようです。
幸い、猿に監視カメラを悪戯されずに済みました。
シーン7:12/21・午前10:26・くもり・気温6℃(@12:12〜)
ニホンザルの群れはいつの間にかカキノキから居なくなっていました。
(カキノキから少し離れていただけだと後に判明します。)
入れ代わりで、カラスの群れが雪原に散開して、雪面の落柿を食べています。
地上採食中のカラスたちが少し逃げ惑ったので、何事かと思いきや、首輪を装着したニホンザル成獣が手前から柿の木の下にゆっくり歩いて登場しました。(@12:40〜)
カキノキの真下の雪面から落柿を拾うと、近くの灌木に腰掛けながら食べ始めました。
尻だこがあるニホンザルでも雪面に直接座ると冷たいのか、樹上で座るようにしています。
その猿が食べながら振り返って一瞥しただけで、背後の雪原を忍び寄っていたカラスたちが慌てて逃げました。(@14:00〜)
左では子猿がヤマグワの落葉灌木によじ登って遊び始めました。
カキノキの梢(画角の外)で別個体のニホンザルが採食しているようで、ときどき食べ残しを捨てています。
シーン8:12/21・午前10:28・くもり・気温8℃(@14:12〜)
カキノキの樹上からニホンザル成獣が頭を下にして幹を下りてきました。
やんちゃな子猿なら飛び降りるところですが、成獣は怪我するのが怖いのか、慎重に雪原へ降りました。
右の落葉灌木では、首輪を装着した成獣♀個体が落柿を食べながら、その様子を見ていました。
食べかけを捨てて振り返ると、雪原を背後まで来ていたカラスが警戒して飛び退きました。(@14:28〜15:07)
このニホンザル個体は、もうだいぶ食欲が満ち足りているのか、それほど攻撃的にカラスを追い回したり追い払ったりすることはありません。
それでも図々しく近寄ってくるカラスをときどき牽制しています。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
つづく→
【考察】
辻大和『与えるサルと食べるシカ: つながりの生態学』という本によると、
・種内の競争関係と同様に、種間関係にも干渉型と消費型の2つがあるのだが、1本の木で2種類の動物が食べものを直接取り合う局面はほとんどないだろうから、この場合は消費型競争が問題になる。 (p115より引用)
・本州では動物感の種間競争に関するきちんとした研究はまだ公表されていない。 (p116より引用)
この動画シリーズについてChatGPTと問答を長々と繰り返してブレインストーミングしました。 おかげで頭を整理できたのですが、すべてのQ&Aをコピペするのは面倒だし、あまりにも長くなり過ぎます。
今回はChatGPTに観察結果の解釈をまとめてもらいました。
カキノキを巡るニホンザルとカラスの相互作用
農地の端に、剪定がほとんどされていない1本のカキノキが立っており、周囲は収穫後のソバ畑、スギの防風林、休耕地などに囲まれていた。樹高はおよそ10 m前後と推定され、細長い樹形で、熟した果実は樹冠の外側や枝先に多く残っていた。この木をトレイルカメラで監視したところ、昼間には ニホンザル の小さな群れ(10頭未満と推定)が繰り返し訪れて果実を採食していた。
サルが来た直後の段階では、周囲にいた ハシブトガラス(および可能性として ハシボソガラス)に対して強い排除行動が見られた。サルは樹上だけでなく地上でもカラスを追い回し、落果を拾い食いしていたカラスの群れを追い散らしていた。この段階は、餌資源を巡る**干渉型競争(interference competition)**として解釈できる。
しかし時間の経過とともに、サルのカラスに対する攻撃性は次第に弱まった。カラスは近くの木(オニグルミなど)に待機したり、奥のスギ防風林から飛来したりして機会をうかがい、サルが落とした果実を地上で拾って食べた。サルは果実を味見したり、食べかけの果実を惜しげもなく落とすことが多く、それがカラスにとって重要な餌資源となっていた。
このため、この関係には競争と**促進(facilitation)**の両方の側面が存在していた。サルは果実へのアクセスを巡ってカラスを排除する一方で、採食行動の結果として落果や食べ残しを生じさせ、結果的にカラスの採食機会を増やしていた。
最終的に、樹上にはまだ果実が残っている段階でもサルの群れは比較的あっさりとその場を離れた。すると待機していたカラスがすぐに飛来し、樹上および地上で果実を採食し始めた。観察の後半になると、残った果実は細い枝先に集中しており、体重の軽い子ザルやカラスの方が利用しやすい状態になっていた。
カラスの個体数は時間によって変動したが、通常は3~5羽程度で、多い時には10羽以上が集まることもあった。しかし映像ではカラス同士の激しい争いはほとんど見られず、資源量が比較的多かったため同種間の干渉型競争は弱かった可能性がある。
0 件のコメント:
コメントを投稿