2024年6月下旬
前日の晩にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が子連れで転入した営巣地を自動撮影カメラで見張っています。
シーン1:6/23・午後14:07・気温21℃ (@0:00〜)
冒頭で巣穴Lに入ろうとした幼獣がクンクンキュン♪と鳴きました。(@0:04〜)
なぜか奥まで入れません。
途中で閊えている(誰かがトンネルを塞いでいる)ようです。
しばらくすると、別の幼獣が巣口Lに駆け寄り、遊び始めました。
やがて巣穴Lの中から後退りしながら外に出てきたのは、母親♀でした。
どうやら、手狭になった巣穴Lを掘り広げる工事を始めたようです。
掘った土や古くなった巣材を前脚で掻き出して外に捨てました(排土)。
シーン2:6/23・午後14:08・くもり(@1:00〜)
別アングルに設置した監視カメラでも穴掘り作業が撮れていました。
計3頭の幼獣が巣口Rから外に出てきて、取っ組み合いや追いかけっこをして遊んでいます。
その間、残りの幼獣1頭が、巣口Lの中に潜り込もうとしています。
幼獣全員が巣口Lに合流したら、巣内Lで穴掘り工事をしていた母親♀が後ろ向きで外に出てきました。
掘った土を巣口Lに捨てると、母親♀は再び巣内Lに戻ります。
しばらくして再び母親が後ろ向きで排土したところで、1分間の録画が終わりました。
シーン3:6/23・午後14:08・くもり(@2:00〜)
ニホンアナグマ♀+幼獣4@セット+格闘遊び+追いかけっこ遊び+穴掘り:巣穴L拡張 6-23 14:08:34 wDSCF0070 23℃ 〆digging_out
別アングルの映像もフルカラーに戻りましたが、辺りはかなり薄暗いです。
幼獣たちにまとわりつかれながら穴掘り作業するのは大変そうです。
巣口Lから真っ直ぐ後退しながら土砂を何度も掻き出して捨てる結果、アクセストレンチと呼ばれる斜面が形成されます。
これはアナグマ営巣地に特有の地形です。
※ アナグマの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
【考察】
真昼間なのに、トレイルカメラによる録画がモノクロ(白黒)になりました。
これは薄明薄暮など起動時の照度が低いときに起こる症状です。
初夏の二次林では林冠に葉がびっしり生い茂り、日光が林床までほとんど届かず昼間も薄暗くなります。
赤外線の暗視映像に切り替えるかどうかという、トレイルカメラ内部で設定された照度の閾値付近では、モノクロとフルカラーで交互に録画されるのです。
二次林では秋に落葉して林内が明るくなるまで、この症状が続きます。
前年の観察では、重労働の穴掘り作業はヘルパー♂(前々年に産まれた息子)に任せていました。
しかし今季は転入後に、ヘルパー♂の姿を一度も見かけません。
最近転入してきたのは、母親♀と幼獣4頭から成る母子家庭です。
母親♀は穴掘り作業で全身が泥だらけですが、元から成獣の毛皮は濃い焦げ茶色です。
一方、幼獣は白っぽい毛並み(薄い茶色)です。
この巣穴Lの奥には、春に歩けなくなって餓死した「いざりタヌキ」の腐乱死体が長期間放置されていたはずです。
子連れで転入したアナグマの母親♀が、その白骨化した死骸をどう処分したのか、不明です。
その場に埋めたのではないかと私は想像しています。
(タヌキの死骸については、かなり後になってから新展開があります。)
つづく→