2025/04/22

モミジイチゴの花で採餌するハキリバチの一種

 

 2024年4月下旬・午後13:15頃・くもり 

里山の林道に沿って咲いたモミジイチゴの群落でハキリバチの一種(種名不詳)が訪花していました。 
腹部下面のスコパに橙色の花粉を付けています。 
モミジイチゴの白い花は下向きに咲くので、下から見上げるように撮影します。 

※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


ハキリバチ♀が居なくなった後で撮った写真を拡大すると、小さな黒っぽい虫がモミジイチゴの花に多数群がっていました。 
腹部が大きく膨らんでいて、♀のようです。
なんとなく双翅目だと思うのですが、何科の仲間か教えてもらえると助かります。
採集してしっかり接写しないと、見分けるのは無理ですかね?



【アフィリエイト】 

2025/04/21

セイヨウタンポポの大群落で採食するスズメの群れ(野鳥)

 

2024年4月下旬・午前11:50頃・晴れ 

セイヨウタンポポの花が咲き乱れる道端の空き地(原っぱ)でスズメPasser montanus)の小群が採食していました。 
動画に写っている2羽とも成鳥なので、♀♂つがいなのかもしれません。 

スズメが食べるのは種子や虫なので、タンポポの花には興味を示しません。 
枯草の下に隠れた虫を捕食しているようです。

私を警戒して、スズメは次々に飛び去ってしまいました。

敵に追われて?アナグマの古い巣穴に一次避難し、周囲を警戒するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月下旬・午後23:50頃・気温11℃ 

死んだニホンアナグマの旧営巣地(セット)に来たホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の監視を続けると、いつの間にか巣穴Lに潜り込んでいたようです。 
まさか、後脚を麻痺した個体(いざりタヌキ)が巣穴に籠もっている間に回復して、外に出てくるのでしょうか? 
しかし、このタヌキはかなり警戒している(怯えている?)ようで、なかなか外に出てきてくれません。 
すぐにまた奥に引っ込んでしまいます。 

ようやく巣口Lの外に全身を現しました。(@2:44〜) 
歩行は正常だったので、「いざりタヌキ」である可能性はなくなりました。 
(進行性の下半身麻痺が自然治癒するとは思えません。) 
その場に佇み、左の方を凝視して警戒しています。 

最後に二次林の奥に何者かを見つけたようです。 
姿勢をぐっと低くしたところで、監視カメラの録画が打ち切られていました。 
この後の顛末が何も撮れてないのが残念です。 


【考察】 
最近では巣穴Lに出入りする野生動物は誰もいなかった(巣穴として使われていない)ので、巣穴Lの奥には餓死した「いざりタヌキ」の死骸が転がっていると私は疑っていました。 
そんな「いわくつきの事故物件」からタヌキが出てきたことにまず驚きました。 
死骸の腐敗(生物分解)が一段落して、中に入る気になったのでしょうか? 
タヌキが仲間の死骸を見つけたら、追悼するどころか共食いすることもあり得ます。 
しかし、このタヌキの怯えて警戒心がマックスになっている様子から想像すると、おそらく林内で敵に襲われそうになって、緊急避難として(本来は臭くて入りたくない)巣穴Lに潜り込んでいたのでしょう。 
タヌキがそれほど怯える天敵とは一体何だったのか、気になります。 
まさか、平地の二次林にツキノワグマでも現れたのでしょうか? 


つづく→

2025/04/20

クマイチゴの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王

 

2024年4月下旬・午後14:30頃・くもり 

山麓の用水路沿いに咲いたクマイチゴの群落でオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)が忙しなく訪花していました。 
吸蜜を繰り返す蜂の後脚の花粉籠は空荷でした。 

早春のこの時期は、ワーカー♀ではなく創設女王と思われます。 
この個体は、オオマルハナバチの特徴である胸部前縁に白帯がなくて、腹部のT2に白帯がとても目立ちます。 
これはオオマルハナバチ創設女王の個体差らしい。(『日本産マルハナバチ図鑑』p86) 

近くでカワラヒワCarduelis sinica)が鳴いています♪ 


関連記事(10年前の撮影:ワーカー♀)▶ クマイチゴを訪花するオオマルハナバチ♀ 


【アフィリエイト】 

根返りスギの根元で餌を探す雪国のシジュウカラ、ヤマガラ、ミソサザイ【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年1月下旬〜2月上旬

シーン0:1/22・午後12:56・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
スギ防風林で、根こそぎ倒れたまま放置されているスギ風倒木の根元に掘られた「根曲がり巣穴a」をトレイルカメラで見張っています。 
今季は記録的な暖冬で、積雪がきわめて少ないです。 

 昼間に次々にやって来て餌を探す野鳥をまとめました。 
(混群で来たり、同定が難しかったりするので、鳥の種類ごとにまとめるのを止めました。) 
手前の地面にはツルウメモドキの赤い実があるのに、なぜか野鳥はこれを食べようとしません。


シーン1:1/27・午前10:11・くもり(@0:03〜) 
珍しく大雪が積もった後の静かな午前中に、小鳥が根返りスギの下の穴から外に出てきて、巣口の細い横枝に止まりました。 
すぐに飛び去ったので1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
どうやらシジュウカラParus minor minor)のようです。 

雪面はいかにも湿雪で、野生動物が歩いた足跡は付いていません。 


シーン2:1/31・午後15:14・晴れ(@0:18〜) 
根返りスギの土付き根っこで餌を探していたシジュウカラが、細い横枝に一瞬止まってから左へ飛び去りました。 

しばらくすると、ヤマガラSittiparus varius)が左から飛来し、倒木をあちこち探ってから右へ飛び去りました。 


シーン3:2/1・午前6:56(@0:51〜) 
ミソサザイTroglodytes troglodytes)らしき小鳥が根曲がり巣穴aにちょっと入ってみたり、倒伏したスギの根の辺りで餌を探し回ったりしています。 


シーン4:2/4・午後16:57(@1:40〜) 
また新雪が積もりましたが、雪面に動物の通った足跡はありません。 

おそらくミソサザイと思われる小鳥が巣口aから右横に出てきて、根返りスギの根っこを探索しています。 


シーン5:2/5・午前11:46(@1:54〜) 
シジュウカラが来ていました。 
根返りスギの土付き根っこを嘴で啄んでいるのは、土そのものを食べてミネラル摂取しているのか?と思ったりもしたのですが、越冬中の虫を捕食しようと探しているのだと知りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

2025/04/19

春の枯野でタヌキの営巣地をホンドテンが横断【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月下旬 

シーン0:4/22・午後13:59・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
休耕地にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地を自動センサーカメラで監視しています。 


シーン1:4/28・午後22:48・気温13℃(@0:03〜) 
ある晩遅くに、ホンドテンMartes melampus melampus)がピョンピョン跳ねるように、左から手前へと斜めに走って来ました。 
タヌキの巣穴には興味がなくて、立ち寄らなかったようです。 
この地点でテンが写ったのは久しぶりです。 

短い登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:13〜) 
モノクロの暗視映像では、冬毛か夏毛か不明です。 
脚の色が黒っぽいことから、夏毛の可能性が高いかもしれません。 
Perplexity AIに質問してみると、
4月下旬の山形県で見られるホンドテンは「冬毛から夏毛への換毛期にあり、冬毛が残っている個体と夏毛に生え変わりつつある個体が混在している」とのことでした。

つづく→

タヌキの溜め糞に群がるヤマトツヤハナバチ♀の謎【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月下旬・午後13:30頃・くもり 

里山で細い林道の道幅が広くなりスギ植林地の横を通る地点で、巨大な糞塊が山道の真ん中に残されていました。 
毎年定点観察しているホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場ltrです。 
今回は珍しく、独特の糞便臭が強かったです。(春はタヌキの繁殖期だから?) 

「うんちレストラン」に集まる常連客については、別の記事で改めて紹介します。 (映像公開予定)
今回は、意外な虫が群がっていました。 
口吻を伸ばして獣糞の表面からひたすら吸汁しています。 
着陸後に身繕いする個体もいます。 

現場はスギ林の横で薄暗く、ハエ(双翅目)なのかハチ(膜翅目)なのかも、しっかり見分けられませんでした。 
現場ではクロスズメバチの仲間(Vespula)なのかと思ったぐらいです。 

動画をじっくり見直すと、頭楯の黄紋から、その正体はヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)でした。 
近縁のキオビツヤハナバチは平地性ですが、ヤマトツヤハナバチは山地性で、現場の環境と合致します。 
日本産ハナバチ図鑑』を紐解いて、ヤマトツヤハナバチの生態や生活史について基本情報を調べてみましょう。
海浜や川原などの開けた場所ではキオビツヤハナバチが、山沿いや山間部などの山地帯では本種(ヤマトツヤハナバチ:しぐま註)が優占している。営巣期や巣の造り方はキオビツヤハナバチと同じ。(4月下旬〜6月中旬。越冬した♀はノイバラやすすきなどの枯れた茎に坑道を掘り、ややつぶれた卵形の花粉塊を作り、その奥側に産卵、入口側を髄粉で仕切って育房とし、6〜10育房を造成。新成虫が誕生する7〜8月まで巣内で生活している。)p349-350より引用

ヤマトツヤハナバチ♀が羽ばたいて獣糞に離着陸を繰り返す様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:26〜) 

タヌキの溜め糞に集まるヤマトツヤハナバチ同士で小競り合い(餌の占有行動や配偶行動)は見られませんでした。 
別個体が後から飛来すると、先客のヤマトツヤハナバチ♀は同側の中脚を上げて牽制しました。 
他の糞食性昆虫とも争いはなく、ヤマトツヤハナバチ♀が飛来したら先客のハエが遠慮してちょっと横にずれるぐらいでした。

一度だけ、後から飛来した個体(性別不明)が、先客の背後からマウントしました。(@5:09〜) 
♂による求愛行動なのでしょうか? 
先客の♀が身を捩って交尾拒否?すると、♂?はあっさり諦めて飛び去りました。 
どうやら、飛来した♀がたまたま着陸場所を間違えただけのようです。 

交尾中のクロボシヒラタシデムシ♀♂(Oiceoptoma nigropunctatum)カップルの背中に着陸することもありましたが、すぐに飛び立ちました。(@7:20〜) 

着陸が下手糞なのは、おそらく薄暗くて蜂も着陸地点がよく見えていないからだと思います。 

撮影後に、謎の蜂を同定するため、ありあわせのビニール袋を使って、なんとか2匹だけ採集できました。 
不潔な糞塊に触れることになるので、使い捨てのゴム手袋を着用してから採集しました。 
採集行為のせいで蜂に警戒されてしまい、残りの個体も居なくなってしまいました。 


【考察】 
ネット検索しても、ツヤハナバチ類(Ceratina属)が獣糞に集まって吸汁するという習性は報告されていません。 
タヌキが何か甘い物を食べて、それに誘引されているのでしょうか? 
秋ならともかく、春に野生のタヌキが熟した果物を食べたとは思えません。 
あるいはタヌキの糞にたまたまツヤハナバチの集合フェロモンと似た構造の化学物質が含まれていたのだとしたら、興味深い現象です。 
♀ばかりが集まったので、性フェロモンではなさそうです。 

ちなみに、ヤマトツヤハナバチは成虫で♀も♂も越冬するそうです。 
つまり、今回♀ばかりが獣糞に誘引されて♂が居なかったのは、それだけでも不思議です。 

チョウやガなどの鱗翅目の中には、獣糞で吸汁する種類がいます。
その多くは♂で、獣糞や腐果、泥、汚物などに含まれるミネラル成分(ナトリウムやアンモニアなど)を摂取しないと精巣が性成熟しないのだそうです。
ところが今回は、頭楯を見る限りヤマトツヤハナバチの♀ばかりが集まっていた点が興味深いです。(雄蜂♂の頭楯は黄色の領域が広いはず。) 
蜂の場合は、卵巣の性成熟に必須のミネラル成分やアミノ酸などを獣糞から摂取していたのでしょうか?

ツヤハナバチの食糞性という驚愕の新奇行動について、Perplexity AIに色々と相談に乗ってもらいました。 

巣材を集めていた可能性をPerplexity AIから提案されたのですが、ツヤハナバチ類の♀は育房を仕切る壁の材料として獣糞どころか土や泥を使うことすらしません。(巣材は植物の枯れ茎を穿坑した際に出る髄粉)
今回、蜂が小さな糞玉を切り取って持ち去る行動は全く見られませんでした。 
溜め糞上でヤマトツヤハナバチ♀は前脚や大顎を動かすことはなく、長い口吻を伸ばして吸汁しているだけでした。 

例えばミツバチが牛糞に集まって吸汁する例が知られています。 
天敵のオオスズメバチが嫌う獣糞の匂いを巣の入口に塗りつけて、襲撃を防ぐのだそうです。
MATTILA, Heather R., et al. Honey bees (Apis cerana) use animal feces as a tool to defend colonies against group attack by giant hornets (Vespa soror). PLoS One, 2020, 15.12: e0242668. (全文にフリーアクセス可)

今回のヤマトツヤハナバチも同様の防衛目的だとしたら、それはそれで非常に面白い行動です。
しかし、タヌキの溜め糞場と自分の営巣地を往復している様子はありませんでした。 
そもそも、ツヤハナバチ類の巣を襲う天敵は何なのでしょう?
(寄生蜂やアリ?)

これほど多数のヤマトツヤハナバチを一度に見れたのは初めてです。
その体格はまちまちで、個体差がありました。
幼虫時代に母親♀から与えられた餌(花粉と花蜜の団子)の量の違いから来る多型なのでしょう。 

糞塊が充分にあるためか、蜂同士で餌資源を巡る争いはありませんでした。 
同じ巣から羽化した姉妹同士あるいは、同じ越冬場所で越冬した仲間なのだと思われます。 

タヌキの溜め糞に来る昆虫の定点観察、という地味なテーマでもまだ新しい発見があるとは、嬉しい驚きでした。


【アフィリエイト】 

2025/04/18

山中の沢で春に鳴くタゴガエル♂♪

 

2024年4月下旬・午後12:15頃・晴れ 

里山の斜面をトラバースする林道を歩いていたら、沢の水が流れる「洗い越し」の地点で謎の鳴き声がかすかに聞こえました。 

洗い越し(あらいごし)とは、道の上を川が流れるようにしてあるものをいう。(中略)森からの沢水を山側から谷側に流すために道を横切るように作られた排水溝の機能を持たせた構造で、道の流水による侵食や崩壊を防ぐ目的がある。 (wikipediaより引用)

聞き耳を立てた私が鳴き声のする方向を探しながら歩き回ってガサガサと物音を立てたのに、カエルは鳴き止みませんでした。 
動画の音量を上げて耳を澄まさないと、かすかな鳴き声は聞き取れません。 
ときどき春風の風切り音が混ざりますし、ウグイス♂の囀りさえずりや谷渡りも聞こえます。 

カエルの姿が見えなかったのですけど、周囲の状況や鳴き方から判断して、タゴガエル♂(Rana tagoiが♀を呼ぶ求愛歌(縄張り宣言)ですかね? 
私はカエルに疎いので、この機会にナガレタゴガエルの可能性についても検討してみました。 
山形県にナガレタゴガエルRana sakuraii)が生息しているかどうか微妙で、住んでいたとしても分布域の北限に近いらしい。 
また、ナガレタゴガエル♂の鳴く時期はもう少し早く、4月下旬には鳴き止んでいるはずとのこと。 
しかも2024年は異常な暖冬の後で、春の訪れが例年よりもかなり早かったです。

この地点は、山腹から沢の水がチョロチョロと年中流れています。 
沢の水は林道を横切って(洗い越し)から、灌木に覆われた急斜面(崖)を下って行きます。 
その崖を流れ下る沢のどこかにタゴガエル♂が潜んでいて、ひっそりと鳴いているようです。 
タゴガエルの生態にも興味があるのですが、本格的に探すとなると、沢登りの装備が必要かもしれません。 


【アフィリエイト】 

林床にこぼれたキャットフードを拾い食いする下位のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月下旬・午後頃22:10〜22:45 

キャットフードを入れた木箱ごとホンドタヌキNyctereutes viverrinus)のα個体が持ち去ったようです。 
それまでお預けを食っていた下位の2頭β、γが林床をうろついて、餌箱からこぼれ落ちたキャットフードの食べ残しを探しています。 
もともと餌箱が置いてあった地点に何度も戻って来て、地面の匂いを未練がましく嗅いでいます。 

余談ですが、巣口Lの横を忍び足でうろついていた1頭のタヌキが、途中で背伸びをするようなストレッチ運動をしました。(@1:46〜) 


2024年5月上旬 

後日に私が現場検証すると、数m離れた林床に空の餌箱が転がっていました。
キャットフードの残り香が付いた餌箱を、タヌキが自分たちの巣穴まで持ち帰るかもしれないと思ったのですが、 無事に回収することができました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。

 
つづく→

2025/04/17

ニワハンミョウ♀♂の交尾行動:早く終わらせて別れたい♀と続けたい♂の性的対立

 

2024年4月下旬・午後13:15頃・晴れ 

田園地帯の舗装された農道で、交尾中のニワハンミョウCicindela japana)♀♂ペアを見つけました。 
♀に背後からマウントするために、♂は白い大顎を大きく開き、♀の胸部と腹部の間を挟んでしっかり保定しています。 
♀の背中に乗った♂の腹端をよく見ると、細長くて明るい茶色の交尾器を伸ばして、♀と結合していました。 
♂は腹部を少し前方に曲げているため、鞘翅に隠れていたメタリック・グリーンの腹背が覗いて見えます。 

一方で♂を背負った♀は、大顎を開閉しながら路上を走り回り、獲物を探しているようです。 
ときどき♂を振り落とそうとするものの、マウントした♂は♀に必死にしがみついたまま離れようとしません。 
求愛行動を見ていませんが、♂が♀にいきなりマウントして交尾を始めるのだろう。 


この機会に、ニワハンミョウの性差がある形質を探してみましょう。 
体格はやや♀>♂で、♂の前脚および中脚の腿節に白い剛毛が密生している気がするのですが、いずれも微妙な差で、これだけで単独個体の性別を見分けられる気がしません。 
鞘翅の鈍い金属光沢の色が♂は緑っぽく、♀が赤っぽいのですが、これは偶然の個体差かもしれません。 
比較的分かりやすいのは、大顎および上唇の色で、♂は白っぽく♀は黄ばんでいます。
(訂正:頭楯ではなく上唇の間違いでした。)

交尾中のペアが路上で佇んでいると、右から風に飛ばされてきた小さなゴミが♀の眼の前を横切りました。
それを♀が反射的に咥えました。 
獲物のアリではないと気づくとすぐに吐き出し、ゴミはそのまま風に吹き飛ばされました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:22〜) 
ニワハンミョウの優れた動体視力と反射神経に驚かされます。 
もしかするとニワハンミョウが食べ残したアリの捕食残渣かと思ったのですが、そうではなく植物質のゴミだったようです。 

やがて、♀は♂を背負ったまま方向転換し農道をうろつき始めたのですが、その前に♀がクチャクチャ噛んでいた獲物の食べ滓を路上に吐き捨てました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:04〜) 
捨てた物体は黒いので、おそらくアリのクチクラ(捕食残渣)のようです。 

♀は食後の身繕いを始めました。 
左右の触角を同時に足で拭ったり、同側の脚を互いに擦り合わせたりしています。 
残念ながら、後ろ姿では化粧シーンがよく見えません。 

次に、♀は立ち止まると、マウントした♂を後脚を使って払い落とそうと暴れ始めました。(@1:57〜) 
♂はじゃじゃ馬に乗ったロデオのように、♀から振り落とされまいと必死にしがみついたままで、交尾を続けます。(♂交尾器を挿入したまま。) 
農道を断続的に走り回った後で、再び♀が暴れ始めました。 
♀が激しく暴れても、♂の細い陰茎が折れたり外れたりすることはありませんでした。

ニワハンミョウ♀の大顎の先端が黒いので、獲物のアリをまだ咥えたままのように誤解しがちですが、正面からしっかり見ると何も食べていないことが分かります。 


また交尾中の♀♂ペアを見つけて新たに動画を撮り始めました。(@2:45〜) 
同一ペアの続きなのか、覚えていません。 
鞘翅の白紋を見る限り、同一ペアに見えます。 
しかし鞘翅の色が♀♂共に赤系なので、さっきとは別のペアのような気もするのですけど、光の当たる角度によって構造色の見え方が変わってくるのかもしれません。 

♀が♂との交尾を早く打ち切ろうと暴れているときに、左から別個体が乱入しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@4:13〜) 
新参者のニワハンミョウは、鞘翅が緑色っぽくて、上唇や大顎が白っぽいので、どうやら♂のようです。 
てっきり「あぶれ♂」が乱入して♀の争奪戦が始まるかと期待したのですが、ニアミスしても何事もなく離れて行きました。 
交尾していること自体が、最強の配偶者ガードになっているのかもしれません。(あぶれ♂に勝ち目なし) 

♂を振り落とそうと暴れながら歩き続ける♀は、次に路上に落ちていたゴミを咥えたものの、数口咀嚼しただけですぐに吐き出して捨てました。(@5:53〜) 
アリのように素早く逃げる獲物が相手ですから、たとえゴミであっても、餌らしい物体を見つけたら、反射的に噛み付いて口に入れてしまうのでしょう(誤認捕食)。 
このゴミはもしかすると、別個体のニワハンミョウが吐き捨てた食べ残し(残渣)かもしれません。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@5:58〜) 

路上を徘徊する交尾ペアと別の単独個体がまたすれ違いました。 
ニアミスしても小競り合いにはなりませんでした。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@6:47〜) 
あまりにも一瞬のすれ違いで、相手の性別を見分けられませんでした。 
交尾中の♀♂ペアは、路肩の土壌がある地点に辿り着いてから、舗装路に引き返しました。 


【考察】
ニワハンミョウ♀♂の交尾行動は初見です。
交尾を早く打ち切りたい♀の行動と、必死で交尾を続ける♂が、ロデオを見ているようで面白かったです。
重い♂を背負ったままでは敏捷なアリを狩るのに邪魔(足枷)になりますし、鳥などの天敵(捕食者)に襲われたときも逃げ足が遅くなってしまいます。 
つまり♀にとって、いつまでも交尾を続ける♂は大迷惑です。

一方♂としては、たとえ♀と交尾できても自分の精子が確実に次世代に受け継がれるとは限りません。 
♀が産卵するまでライバル♂との浮気を防ぐ必要があり、交尾時間が長くなるのでしょう。 
昆虫の種類によっては、♂が前回に交尾したライバル♂の精子を♀の体内から陰茎を使って掻き出したり、自分の精子を大量に送り込んで精子置換したりしてする例が知られています。(ハンミョウも同じなのかどうかは、知りません。) 
つまり雌雄で繁殖戦略の思惑が異なるために、典型的な性的対立が生じます。

ニワハンミョウの♀♂ペアが交尾を解消して離れる瞬間まで見届けられませんでした。 
♀が獲物を咀嚼している間はおとなしく交尾を受け入れてくれるなら、♂が♀に求愛給餌する行動が進化してもよさそうな気がします。 
しかし、ハンミョウが狩ったばかりの新鮮な獲物しか捕食しないのだとしたら、無理ですね。 

次は求愛から交尾に至る過程を観察したいものです。

つづく→


【アフィリエイト】 

キジ♀が覗き込む巣穴の奥には死骸が埋まっている?【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年4月下旬・午後12:33・晴れ 

死んだニホンアナグマの営巣地(セット)を見張っていると、どこからともなくキジ♀(Phasianus versicolor)が現れました。 
巣口Lに頭を突っ込んで奥を覗き込んでいました。 
地味な♀は完全な保護色となり、全く目立ちません。 
巣穴Lの奥には侵入しないで、左にゆっくりと歩き去りました。 

この巣穴Lの奥で、下半身が麻痺した「いざりタヌキ」が死んでいるのではないかと私は疑っています。 
普通の鳥は嗅覚が鈍いとされているので、キジ♀が死臭を嗅ぎ取ったとは思えません。 
大量の虫が死骸に集まって食べ漁るかすかな音や気配を感じ取ったのだろうと想像しています。 
それにしても、カラスのようなスカベンジャー(腐肉食)ではないキジがどうして興味を示したのか、不思議です。 
ただ単純に巣穴に対して興味を示したのなら、キジ♀はもう一つの巣口Rも覗き込んだはずです。

ちなみに、木漏れ日の影を見るだけでも、春の二次林で若葉が生い茂って林冠が閉じつつあることが分かります。 

つづく→

2025/04/16

春の旧営巣地で巣穴を点検したニホンアナグマ♂が跛行で逃走【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月下旬 

死んだアナグマの旧営巣地(セット)でニホンアナグマ♂(Meles anakuma)の登場シーンをまとめました。
春になると、交尾相手の♀が住む巣穴を探し求めて、近所に住むアナグマ♂が夜な夜な遠征してくるのです(夜這い)。 


シーン1:4/22・午後23:55・気温13℃(@0:00〜) 
右から来たアナグマ♂が巣口Rの匂いを嗅いでいました。 
巣口Rの縁でも地面の匂いを嗅いでから、尻の臭腺・肛門腺を擦りつけて匂い付けしました(スクワットマーキング)。 

巣口LRの中間地点でも再びスクワットマーキングしてから、キャットフードを木箱に入れて給餌した地点で頻りに匂いを嗅いでいます。 
約2時間前に来ていたホンドタヌキがキャットフードを先に見つけて食べ、餌箱ごと持ち去ってしまいました。 


タヌキが長居した残り香に対抗してアナグマ♂がスクワットマーキングしているようです。 


シーン2:4/22・午後23:56・気温12℃(@0:00〜) 
別アングルで設置した監視カメラでも撮れていました。 
 右の鼻面に黒っぽい汚れが付いているように見えます。 
穴掘りした後の泥汚れかもしれませんが、ひょっとすると怪我をした血痕ですかね? 
この時期はアナグマの交尾期ですから、強引に求愛して嫌がる♀に噛まれたのか、それとも♂同士の喧嘩による負傷かな?などと想像を逞しくしてしまいます。 
後者だとすれば、今後の個体識別に傷跡が使えるかもしれません。 

餌箱のあった地点の匂いを嗅いでから、スクワットマーキングで匂い付け。 

手前の林縁でも再度スクワットマーキングしました。 
しばらく経って、手前から戻ってきてから巣口Lの横を通り過ぎるところで、1分間の録画終了。 


シーン3:4/22・午後23:56・(@1:44〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
巣口Lのそばを通って、アナグマ♂が左へ立ち去りました。 


シーン4:4/22・午後23:57(@1:50〜) 
画面の右端をうろついています。 
実は、タヌキが持ち去った餌箱が画角の右外の辺りで転がっていたので、アナグマも林床にこぼれたキャットフードを拾い食いしていた(あるいは残り香を嗅ぎ回っていた)のかもしれません。 


シーン5:4/28・午前0:28・気温13℃(@2:00〜) 
6日後の深夜にもアナグマ♂が登場しました。 
獣道を右から来て、巣口LRの中間地点でスクワットマーキングしています。 


シーン6:4/28・午前0:28・気温13℃(@2:18〜) 
続きは別アングルの監視映像に切り替えます。 
 スクワットマーキングを何度も繰り返しながら巣口Rへ近づいたものの、結局巣穴Rの中には入りませんでした。 
右上奥の林内に立ち去りました。 


シーン7:4/28・午前2:07・気温16℃(@2:49〜) 
アナグマが獣道を右からセットにやって来ました。 
体型を見ると♀のようです。 (若いヘルパー♂かも? )
前脚と鼻面が真っ黒なのは、採餌や造巣で穴掘りした直後なのでしょう。 
アナグマは水場で水浴して泥汚れを落とさないのでしょうか? 
この時期、田んぼは未だ水入れしていませんが、用水路には水が流れています。 

いつものように、巣口LRの中間地点で通りすがりにスクワットマーキングしてから、左下へ立ち去りました。 


シーン8:4/28・午前2:07・気温17℃(@3:07〜) 
別アングルからも撮れていました。 
林縁でスクワットマーキングしてから林内の獣道に入り、右上奥へ。 


シーン9:4/28・午前2:09(@3:40〜)
監視カメラの起動が遅れ、いつの間にかアナグマがセットに戻ってきていました。(それとも別個体?)
珍しく巣口Rに頭を深く突っ込んで、中の匂いを嗅いでいます。 
「頭隠して尻隠さず」の状態となりましたが、尻尾の先だけ外に出ていました。 
しかし巣内に完全に潜り込むことはなく、そのまま後退して外に出てくると、足早に右へ立ち去りました。 

このときなぜか、右後脚をヒョコヒョコと跛行していました。 
それまでは跛行してなかったので、不思議です。 
巣内にはタヌキやアナグマ、キツネなど誰も住んで居ないはずですが、巣内に潜む虫に刺されたり噛まれたりして、アナグマ♂が逃げて行くところなのかな? 
しかし音量を上げても、喧嘩の鳴き声や悲鳴は聞き取れませんでした。 
以前この巣穴に住み着きかけたタヌキが、棘のある枝など侵入者撃退の防犯装置を設置したのだとすれば、面白い話です。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
タヌキに先を越されたせいで、アナグマがキャットフードを食べるかどうか確かめられませんでした。 
野生動物の餌付けには色々と問題があるので、食いっぱぐれて良かったかもしれません。 

今回登場したアナグマは複数個体? 

春になると交尾相手の♀が住む巣穴を探し求めて、近所に住むアナグマ♂が夜な夜な遠征してきます。 
この営巣地に現在♀のアナグマは住んでいないことは、匂いで分かっているはずです。 
それなのに、ときどきやって来てはスクワットマーキングで縄張り宣言をしていくアナグマ♂は何が目的なのでしょう? 
自分がここに住み着くつもりでもなさそうです。 

歩き方に異常があるアナグマは以前も見たことがあります。 
平凡社『世界大百科事典』でアナグマを調べると、面白い記述を見つけました。 「アナグマの脚は山腹を歩きやすいように両側で長さが不ぞろいであるとの伝承があり,英語で badger-leggedといえば足の長さが違う人を指す。 跛行するアナグマは珍しくないのかもしれません。 


つづく→

ヒメオドリコソウの花蜜を吸うミヤマセセリ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月下旬・午後13:55頃・薄曇り 

峠道の歩道に沿って咲いたヒメオドリコソ咲いたウの群落でミヤマセセリ♀(Erynnis montanus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

翅を広げたまま吸蜜しています。 
とても小さな唇形花の開口部に口吻の先端を差し込むのに苦労しています。 
少し飛んでは隣の株の花へ移動して、次々と吸蜜します。 

性別は♀でした。
(ミヤマセセリの♀は)前翅表の中央部に白帯が現れ、(中略)前翅裏にある翅頂部近くの黄橙部は♂よりも広く顕著(フィールドガイド『日本のチョウ』p284より引用)
ミヤマセセリは幼虫で越冬するらしく、この個体は春になって羽化したばかりの成虫♀ということになります。 

ミヤマセセリ♀がヒメオドリコソウの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:15〜) 
春風が吹いて風揺れに悩まされたのですが、スローモーションにすると気にならなくなります。

2025/04/15

春の田んぼの畦道でくつろいでいた2羽のカルガモが飛び去るまで(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後14:50頃・くもり 

耕耘する前の春の田んぼで私が農道を歩いていると、横の畦道で休んでいた2羽のカルガモAnas zonorhyncha)が慌てて立ち上がりました。 
私が立ち止まって動画を撮り始めると、カルガモは横目で油断なく私の方を見ています。 
カルガモと私の間には細い用水路が流れているので、結構近くてもカルガモはまだ安心なのでしょう。 

やがて警戒を解くと、右の個体はその場に座り込み、羽繕いをしました。 
左の個体も遅れて座り、眠そうに目をつぶるようになりました。 
しかしよく見ると、水平方向に目を閉じたことから、瞼ではなく瞬膜を閉じたと分かりました。 

急ぐ用事のあった私は、悠長に観察する時間がありませんでした。
動画を撮りながら、カルガモのペアの横を歩いて通り過ぎることにしました。 
予想通り、2羽のカルガモは警戒して飛び立ちました。 
羽ばたきながら左に旋回して見失いました。 
「鳴きながら(警戒声♪を発しながら)飛び去った」と野帳には書いてあるのですが、動画を見直しても鳴き声は風切り音で聞き取れません。 

飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:23〜) 
左の個体が先に飛び立ち、右の個体もすぐに後を追います。

アナグマの旧営巣地に置いたキャットフードをホンドタヌキ3頭の群れが見つけ、1頭が独占して食べる【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月下旬 

死んだニホンアナグマの旧営巣地(セット)で、交通事故に遭ったと思われる「いざりタヌキ」の下半身麻痺が進行して歩行困難となった姿が監視カメラに写っていました。 
 餌が取れなくなれば、餓死する(あるいは捕食される)しかありません。 


シーン0:4/22・午後13:00頃・晴れ(@0:00〜) 
私は原則として、野生動物の生老病死にヒトは一切介入すべきではないという立場なのですが、悩んだ末にキャットフードを持参して給餌してみました。 
浅い木箱に少量の乾燥キャットフードを入れて、巣口Lの近くの地面に置いてやりました。 
 「いざりタヌキ」の安否確認だけでも、したいところです。 

ところが給餌後に最初に現れたのは、イエネコでした。 
 関連記事()▶ アナグマの旧営巣地で給餌したキャットフードを食べるイエネコ【トレイルカメラ:暗視映像】 


シーン1:4/22・午後21:56(@0:16〜) 
猫と入れ替わるように、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)3頭の家族群がやって来ました。 
まず手前の獣道から来た2頭のタヌキがセットの匂いを嗅ぎ回っています。 
ネコの残り香が気になるのかな? 

しばらくすると、ようやく1頭が給餌箱の存在に気づいて、キャットフードを恐る恐る食べ始めました。 
その間に、右奥の二次林から別個体も登場しました。 
仲間が食べている給餌箱に近づいたものの、一緒に食べようとはせずに、遠慮して周囲をうろついています。 
体格はほぼ同じなのに、群れ内で力関係の順位性があるようで、下位の個体は順番待ちをしないといけないのでしょう。 
(それとも、早い者勝ちなのかな?) 
 通い慣れたセットにある日突然、見慣れない(不審な)餌箱が出現したので、2頭とも頻りに周囲を警戒しています。 


シーン2:4/22・午後21:56・気温12℃(@1:17〜) 
別アングルの監視カメラでも同時に撮れていました。 
先行個体aは、巣口Lに頭だけ突っ込んで匂いを嗅いでから左に立ち去りました。 
ようやく餌箱に気づいた個体bが、周囲を警戒しながらキャットフードをひとくち食べました。 別個体cが近寄ってきても、先客bに遠慮しているようで、一緒に食べようとはしません。 
 aが回り込んで左下から戻ってきたが、bが食べている餌には近づけない。 明らかな力関係がある。a<b 体格差も同じ。 
 bは妊娠している♀なのか? 
たまたま早い者勝ちで餌を見つけた個体bが独り占めできたのかな? 


シーン3:4/22・午後21:57(@2:17〜) 
タヌキbが餌箱を占有して乾燥キャットフードをボリボリと食べ続けている間、その周囲を2頭のタヌキがうろついています。 
音量を上げて耳を澄ませても、順番待ちをしているタヌキは物欲しげに餌乞いする鳴き声を発していませんでした。 
αの正面に回り込んで餌を食べようとしたら、餌を食べていたαタヌキが怒って威嚇しました。(@3:08〜) 
軽く吠えて(唸って)下位個体に突進したものの、噛み付きはしませんでした。 
αタヌキの剣幕に下位タヌキβ、γは怖がって退散しました。 
少し離れた位置から未練がましく様子を窺っています。(順番待ち)


シーン4:4/22・午後21:58(@3:17〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
 αタヌキがキャットフードを食べている間に、下位の2頭β、γが周囲を別々にうろついています。 
手持ち無沙汰で巣口Lの匂いを嗅いだり、座り込んで毛繕いしたりしています。 
餌のお預けをくらった個体が、欲求不満を解消するための転移行動なのでしょう。 


シーン5:4/22・午後21:59(@4:17〜) 
つづき。 


シーン6:4/22・午後22:00(@5:17〜) 
順番待ちをしていた個体のうち1頭βが餌箱のすぐ横まで近づいても、ようやくαから攻撃されなくなりました。 
キャットフードを独り占めしていたα個体が満ち足りてきたのでしょう。 
しかしβ個体はまだ餌箱から直接食べることは許されていないのか、怯えたようにちょっと走って左に離れました。 


シーン7:4/22・午後22:01(@6:17〜) 
別アングルからの映像。 

餌を専有するタヌキαがよそ見をしているときでも、近寄ってきたβは餌箱から盗み食いしたりしません。 
βはキャットフードの匂いを嗅いだだけで、なぜか怯えたようにパッと右に離れました。 
このときαは特に攻撃的な占有行動をしてませんし、威嚇の唸り声も発ていませんでした。 
餌を1頭が独り占めしているように見えたのは、群れ内の力関係を反映しているのではなく、警戒心が強いか薄いかという個体差の結果でしかないのかもしれません。 


シーン8:4/22・午後22:02(@7:17〜) 
タヌキの群れがセットから居なくなっていました。 
餌箱も忽然と消えていたので、1頭が餌箱ごと咥えて持ち去ったようです。 
その瞬間を動画に撮り損ねたのは残念です。 
右上奥の暗闇でタヌキの白く光る目が右往左往しています。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



【考察】 
登場したタヌキ3頭の性別だけでも知りたいものです。 
ホンドタヌキでは雌雄で体格差(♀<♂)があるらしいのですが、その性差は小さくて見分けるのが難しいとのこと。
この3頭はおそらく核家族(♀♂ペアと子供のヘルパー)で、キャットフードを独り占めしたα個体は妊娠中の♀ではないかと、私は勝手に推測しています。
つまり、お預けを食っていた2頭はパートナーの♂と子供(ヘルパー♀?)だろう、という予想です。
3頭の予想される力関係を表すと、
α:母親♀(妊娠中)>β:父親♂>γ:子供(ヘルパー)
タヌキの社会構造は基本的に単独性が強いため、オオカミやイヌなど群れ内の順位性が歴然としているわけではありません。
ただし、家族単位で行動する場合には、親ダヌキ(特に母親♀)が子供より優位に立つことが一般的です。

たまたま早い者勝ちで餌を食べ始めて他の個体を追い払った、という解釈もあり得るでしょうか?
タヌキの餌場での行動は必ずしも順位性に基づくものではなく、一時的な優位性(例えばその場での積極性や警戒心の強さ)による場合もあります。
餌を1頭が独り占めしているように見えたのは、群れ内の力関係を反映しているのではなく、警戒心が強いかどうかという個体差の結果でしかないのかもしれません。 

この3頭は親子ではなく、前年に産まれたタヌキの3兄弟(姉妹)が4月下旬になっても採餌行動を共にしている可能性はありえるでしょうか? 
4月下旬という時期だと、特に♂の兄弟は既に分散して新たな縄張りを築いているはずなので、その可能性は低いです。

給餌したキャットフードを健常個体のホンドタヌキが食べてしまった(持ち去ってしまった)ので、仮に「いざりタヌキ」が生存していたとしても、食べることができなくなりました。 
麻痺した下半身を引きずりながら、後からやって来たとしても、強者が独り占めする餌箱に近づくこともできなかったでしょう。
思いやりをもったヒトが弱者優先で給餌しようとしても、近くの強者に餌を奪われてしまうのが常です。
これは「ふれあい牧場」の給餌体験などで、誰しも経験したことがあるはずです。
「いざりタヌキ」は行方不明のままですが、おそらく巣穴Lの奥で餓死したのだろうと予想しています。

つづく→

2025/04/14

ニワハンミョウの道教え:飛翔逃避行動【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月下旬・午後15:00頃・晴れ 

田園地帯の舗装された農道で多数のニワハンミョウ♀♂(Cicindela japana)が走り回っていたので、最後に路上から飛んで逃げる「道教え」行動を撮影してみました。 
引きの絵(広角)で動画を撮りながら農道を歩くと、路上に佇んでいたニワハンミョウが走って逃げ、次々に飛び立ちます。 
ハンミョウ類は低空で短距離を飛ぶだけなので、歩行者の前方で連続して飛ぶことになります。 
擬人化すると、まるで道案内をしてくれているように見えます。 
ハンミョウの仲間が俗名で「ミチオシエ(道教え)」と呼ばれる所以です。 

ニワハンミョウが飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画(1/8倍速)でも撮ってみました。(@0:36〜) 
同行者や助手が居なければ、どうしても三脚が必要になります。 
本格的な三脚は重いのでこの日は持参しなかったのですが、ミニ三脚をカメラバッグの底に入れっぱなしだったことを思い出しました。 
少し離れた位置から路上に腹這いになってバックモニターを見ながら素早く画角を決め、録画開始してから被写体のニワハンミョウに歩み寄ると、すぐに飛び去ります。 
カメラのバックモニターがバリアングルでないのが、こういうときに不便でなりません。 
複数個体を次々に撮影。 
横長の画角で飛び去るニワハンミョウの後ろ姿を撮ると、画面の縦方向に逃げる動きを長く撮れません。 
縦向き動画で撮るべきだったかもしれません。 
それでも引きの絵で横から撮れば、対角線状に飛ぶシーンを長く撮れます。 

私が歩いて近づくと、警戒したニワハンミョウはくるっと素早く方向転換してから、遠ざかるように飛び立ちます。 
大回りしてからハンミョウに背後から近づけば、カメラに向かって飛んでくれたかもしれませんね。 
(今回の幅が狭い農道では無理でした。) 

ニワハンミョウが地味な色の鞘翅(前翅)を広げると、腹背の色は目の覚めるほど美しいメタリック・グリーンでした。 
これはナミハンミョウでも同じでした。
スーパースローでも羽ばたきがあまりにも早かったので、動画編集で更に遅くした1/40倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:21〜) 


さえずりの序奏は早く鳴く♪ツツドリ♂(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後12:30頃・晴れ 

山林のあちこちでツツドリ♂(Cuculus saturatus)の物憂げな囀りさえずりがポポ、ポポ、ポポ…♪と響き渡っていました。 
私にとって、今季初鳴きです。 
新緑の樹上で鳴いているようですが、姿は見えませんでした。 
撮影地点は細い沢が流れる谷の近くで、ユキツバキの赤い花が咲いています。 
ウグイス♂♪など他の鳥もにぎやかに鳴いています。 

ツツドリ♂が縄張りを宣言する鳴き声(さえずり)のサビは、「ポポ、ポポ、ポポ…♪」と2声ずつ単調に繰り返すだけです。
鳴き始め(序奏、イントロ)に「ポポポポ…♪」と早く鳴くのは初めて聞くかもしれません。 
このイントロをどうしても録音したかった私は、あまり動き回らずにかなり粘って動画を撮り続けました。
(動画編集で素材の順番を入れ替えています。)

さえずりの序奏は早く鳴くのが全国的にツツドリ♂一般に言えることなのか、それとも今回の♂個体に特有の鳴き方なのか、地域差があるのか、地道にあちこちで何年も録音を積み重ねてみないと分かりません。 
例えば、隣接する縄張りで2羽のツツドリ♂が鳴き交わしているときや♀が近くにいるときに、歌い方が微妙に変わってきても不思議ではありません。


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 



2025/04/13

アナグマの旧営巣地で給餌したキャットフードを食べるイエネコ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月下旬・午後21:55頃・気温13℃ 

死んだアナグマの旧営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っていると、交通事故に遭ったと思われる「いざりタヌキ」の下半身麻痺が進行して歩行困難となった姿が写っていました。 
餌が取れなくなれば、餓死する(あるいは捕食される)しかありません。 

私は原則として、野生動物の生老病死にヒトは一切介入すべきではないという立場なのですが、悩んだ末にキャットフードを持参して給餌してみることにしました。 
浅い木箱に少量の乾燥キャットフードを入れて、巣口Lの近くの地面に置いてやりました。 

給餌後に真っ先に現れたのは、タヌキではなくイエネコFelis silvestris catus)でした。 
モノクロの暗視映像では白っぽく見えますが、おそらく茶トラの個体ではないかと思います。 
少なくとも、最近よく出没するキジトラ白足袋とはあきらかに別個体です。 

キャットフードが入った給餌箱の匂いを嗅ぎつけたのか、林床でいかにも場違いな給餌箱を目ざとく見つけたのか、イエネコは慎重に歩み寄って横に座ると、さっそく食べ始めました。 
より近くに設置した監視カメラがなぜか起動しなかったのが残念です。 
「せっかく瀕死のいざりタヌキのために給餌したのに、猫が全部食べてしまうと困るなー」と思ったのですが、幸い少量しかキャットフードを食べずに立ち去りました。 
いかにも怪しい(不自然な)餌の出現に警戒しているのか、それとも普段からキャットフードを食べ飽きているのかな? 
タヌキの群れがセットに近づいてきた(映像公開予定)ので、イエネコは慌てて逃げたのかもしれません。 


【考察】 
今回はあくまでも緊急措置であり、この営巣地で人工給餌したのは、この一度きりです。 
個人的に、餌付けされた野生動物の食事シーンを動画撮影したところで、「撮る方も撮られる方も堕落してるなー」と冷めた目で見てしまい、野生の美しさや魅力を感じません。 
野生動物の捕食シーンや採食シーンを自然環境で撮影するのがきわめて困難な場合は、次善の策として止むなく人工給餌することはあるかもしれません。 
くれぐれも野生動物が人工給餌に依存しすぎないように注意を払うべきです。

死にかけていた「いざりタヌキ」を救うために(自己満足で)給餌したにしても時既に遅しで、再びその姿が監視カメラに写ることはありませんでした。
ライブカメラでリアルタイムに監視している訳ではないので、どうしても対応が後手に回ってしまいます。

タニギキョウの花

2024年4月下旬・午後・くもり

峠道の初めて行く側道を探検していたら、道端の草むらに可憐な白くて小さな花が咲いていました。 
画像検索(Googleレンズ)で名前を調べると、キキョウ科のタニギキョウと判明。 
スプリングエフェメラルなのかな?と思って写真を撮ったのですけど、そういう訳ではないそうです。
山間部の森林の木陰に生える。水気の多いところによく生え、渓流の周辺や水のわくところにコケに混じるようにして小さな群落を作っているのを見ることが多い。
という記述通りで、沢の水が溜まった小さな池が近くにありました。
いかにも野生動物や野鳥が水場として通いそうな良い池だったのですが、トレイルカメラを設置しにくそうで残念。
 

農道を走って逃げるウスイロアカフヤガの春型(蛾)

 

2024年4月下旬・午後13:05頃・晴れ 

山間部の田園地帯の農道で、翅が赤茶色の蛾を発見。 
舗装路をなぜか小走りで逃げています。 
走りながらときどき羽ばたいて前方に飛び立とうとするのですが、なぜか遠くまで飛べずに少しジャンプするだけです。 
右前翅表に白い線状の擦過傷がありますが、種としての特徴ではなく、後天的で偶発的な傷のようです。 
最後は路肩の草むらに逃げ込んで、姿を見失いました。 
短い出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

てっきり、春に出るキリガの仲間かと初めは思いました。 
くらべてわかる蛾 1704種』という図鑑をぱらぱらと眺めてみると、ヤガ科モンヤガ亜科に属するウスイロアカフヤガDiarsia ruficauda)の春型が素人目には一番似ています。(p129に掲載) 
生息域が北海道〜九州。 
成虫の出現時期が3〜5、8月。 
低地〜山地に分布し、幼虫の食餌植物としてオオバコ、セリ、ノダイオウ、イヌタデが挙げられていました。 
この中でノダイオウというタデ科の植物だけ知らなかったのですが、あとの条件だと当地でウスイロアカフヤガが生息していても不思議ではありません。

2025/04/12

砂防堰堤で羽毛を整え頭を掻いてから飛び去るキセキレイ♂(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後14:05頃・くもり 

里山の山麓で、沢の水をせきとめる砂防ダムが最近新たに建造されました。 
下山してきた私がその新しい砂防ダムに近づくと、水辺から岸に1羽のキセキレイ♂(Motacilla cinerea)が飛び上がりました。 
喉が黒いので、夏羽の♂と分かります。 
それまで飲水・水浴していたのか、ただ探餌を探していたのか、それとも砂防堰堤の穴で営巣しているのかな? 

砂利の上で尾羽を上下に動かしながら胸の羽毛を嘴で整え、痒い頭を左足で掻きました。 
チチン♪と鳴きながら飛び去りました。 
羽繕い後に飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

春の夜にアナグマの旧営巣地に集まり相互毛繕いする3頭のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年4月下旬・午後20:37・気温12℃ 

平地の二次林で死んだアナグマの旧営巣地(セット)にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の家族群と思われる3頭が一緒に現れました。 


シーン1:4/21・午後20:37・気温12℃(@0:00〜) 
晩に左から来た先行個体のタヌキaが頭から巣口Lに上半身を突っ込んで、内部の匂いを嗅いでいます。 
ただし完全に巣内Lへ侵入することはなく、後ろ向きで外に出てきました。
交通事故で下半身が麻痺した「いざりタヌキ」が巣穴Lの奥で餓死しているのではないかと私は疑っています。
野生動物の訪問者はその死臭が気になるようですが、決して巣内に入って本格的に調べようとはしません。
続けて後続個体bが巣口Lの手前で座り込み、毛繕いを始めました。 


シーン2:4/21・午後20:38・気温13℃(@1:00〜) 
つづきが別アングルに設置した監視カメラで撮れていました。 
実は3頭のタヌキが同時にセットに来ていたことが分かります。(@1:04〜) 

先行個体aが巣口Lを点検中に、右から来た後続個体bが巣口Rの横で立ち止まり、自分の体毛を整えています。 
出巣Lしたaと鼻面を突き合わせて挨拶してから、bは巣口Lを見下ろすように座り、痒い体を後足でボリボリ掻きました。 
この2頭は体格差があります(a>b)。 
♀♂ペアなのか、それとも親子なのか、気になります。 

aが奥の林内に入って行くと、殿の個体cが入れ替わるようにセットに登場しました。 
aとcが一緒に並んで巣口Rの匂いを嗅いで点検します。 


シーン2:4/21・午後20:39(@2:02〜) 
タヌキbは巣口Lの匂いを嗅いでから、左へ(巣口Rへ)向かいます。 


シーン3:4/21・午後20:39(@2:24〜) 
つづき。 
3頭のタヌキが巣口Rで合流すると、長々と仲良く相互毛繕いしています。 
1頭が奥の二次林へ向かったところで録画終了。 


シーン4:4/21・午後20:41(@3:24〜) 
しばらくすると、左から戻ってきたタヌキが巣穴Lに顔を突っ込んで内部の匂いを嗅いでいます。 
その後は自分の尻尾の根本を甘噛みし、毛繕い。 
手前へ立ち去りました。 

ところで、春の夜の二次林内で風に舞っている白い粉はスギ花粉ですかね?(雪ではないはず。) 
関連記事(20日前の昼間に撮影)▶ 春風で飛散するスギの花粉【トレイルカメラ】風媒花 


シーン5:4/21・午後20:42(@4:18〜) 
つづきが別アングルの監視映像に撮れていました。 
最後のタヌキがのそのそ歩いて、奥の林内へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2025/04/11

路上でアリを次々と狩り、捕食後に残渣を吐き捨てるニワハンミョウ

 

2024年4月下旬・午後13:05頃・くもり 

山間部の田園地帯で舗装された農道をニワハンミョウCicindela japana)が何匹も走り回っていました。 
どの個体を観察すべきか目移りしてしまうのですが、とりあえず選んだ個体を動画に撮り続けると、複数個体の捕食シーンが撮れました。 

頭楯と大顎の色から、おそらく♀だと思います。(♂なら白いはず)
大顎を開閉しながら路上に佇んでいたニワハンミョウ♀が急に方向転換したり走り出したりするので、見失いそうになります。 
歩く方向はまちまち(ランダム・ウォーク)で、♀の場合は獲物を探し歩いているようです(探餌行動)。 

路肩に駆け込むと、逃げる獲物を素早く狩りました。 
枯草の茂みが邪魔でよく見えなかったのですが、狩った獲物の正体は黒いアリのワーカー♀だったようです。 
種名は不詳ですが、ごく普通種のクロヤマアリまたはクロオオアリと思われます。 
アリジゴクのように獲物を待ち伏せするのではなく、敏捷に逃げるアリを積極的に追いかけて狩るとは驚きです。
参考サイト:アリを捕らえたニワハンミョウ@海野和男デジタル昆虫記 

ニワハンミョウが鋭い鋸歯のある大顎を左右に大きく開閉して獲物を咀嚼している間にも、あちこち忙しなく動き回ります。 
獲物を噛み砕いて固形物として飲み込むのではなく、獲物の体液を吸汁しているだけでした。 
ハンミョウの場合、この食事法を体外消化と呼んで良いのかどうか、AIで調べても分かりませんでした。 
獲物を咥えたまま、ときどき硬い路面に打ち付けているのは、獲物を噛んで丸めながら咥え直しているのか、それともアリを押し潰して殺し、滲み出る体液を吸汁しているのかもしれません(広い意味で咀嚼行動、道具使用)。 

餌食となったアリはニワハンミョウの牙に噛まれたまま暴れていますが、蟻酸による反撃がハンミョウに全く効かないのは不思議です。 
ニワハンミョウに襲われてもアリはしばらく生きていて、必死に暴れています。 
つまりニワハンミョウは、蟻酸による反撃を封じるために仕留めたアリを即死させている訳ではありません。 
ニワハンミョウが噛みついているのはアリの急所の頭部ではなく胸部?でした。 
アリが大顎で反撃したくても届きません。 

狩りおよび捕食シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:15〜)
狩ったアリをしばらく噛みしめて体液を吸い尽くすと、消化できないクチクラの残渣を吐き捨てました。(@8:15〜) 
そして次の獲物を探しに行きます。 

路上でアリをくちゃくちゃ噛みながら佇んでいる個体♀a(鞘翅が赤色っぽい)に対して、同種の別個体♂b(鞘翅が緑色っぽい)が交尾しようと襲いかかることがありました。 
鞘翅の色が違いますけど、同種のニワハンミョウです。 
スロー再生すると、♀aは急いで羽ばたいて飛び去っていました。(@2:44〜) 
私はニワハンミョウの性別判定がいまいち覚束ないのですが、ハンミョウの成虫同士で獲物を強奪する行動があるとは思えないので、♀♂の求愛および交尾拒否だと解釈しました。 

その後もかなり粘ったのですが、なぜかアリ狩りの動画が撮れなくなりました。 
いきなり最初に撮れたビギナーズラックの動画のクォリティーを越えることができません。 
ニワハンミョウがこの農道で獲物のアリを狩り尽くしてしまったのでしょうか? 
満腹したらもう狩りはしなくなり、配偶行動に切り替えるのかな? 
もしかすると、アリを狩るのに適した時間帯があって、それを過ぎると獲物のアリが巣外で活動しなくなるのかもしれません。 

次はニワハンミョウ♀♂の配偶行動に注目します。 
つづく→ 


【アフィリエイト】 

ランダムに記事を読む

  • ユカタヤマシログモ(蜘蛛)の体外消化を透視する【10倍速映像】15/02/2016 - 0 Comments
  • コロニー解散後のコガタスズメバチ古巣【暗視映像】26/04/2016 - 0 Comments
  • 深夜の丸木橋を渡る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】21/11/2023 - 0 Comments
  • スギの枝で採食するコガラ(野鳥)21/07/2016 - 0 Comments
  • コシロカネグモ♀の円網16/03/2011 - 0 Comments