2025/08/28

ニセアカシア葉軸の毒味を繰り返すニホンザルの群れ

 

2024年6月中旬・午前11:10頃・晴れ 

山麓にある砂防ダムの堰堤に集まった3頭のニホンザルMacaca fuscata fuscata)に注目しました。 
成獣には胸に小さな乳首が見えたので、若い♀(ヤンママ?)のようです。 
授乳を経験すると♀の乳首は細長く伸びたままになります。
この3頭はおそらく母子で、子猿abは兄弟姉妹の関係なのだろうと推察しています。 

成獣♀がコンクリートの堰堤に落ちていたニセアカシアの落ち葉を手で拾い上げて匂いを嗅いだものの、口にしませんでした。 
背後にオニグルミの木が見えますが、葉の形が明らかに違います。 
次に成獣♀は眼の前に垂れ下がったニセアカシアの枝葉を引き寄せてむしり取り、葉柄の匂いを嗅いでから少し食べました。 
横に居る子猿もニセアカシアの葉柄を少し齧りました。 
ニセアカシアの丸い小葉ではなく、千切った葉柄の根元を少し食べています。 

突然、左から別の子猿dが乱入し、立ち上がってニセアカシアの枝葉を手で掴もうとするも失敗しました。 
自分が上下に跳躍するので、ニセアカシアの枝も一緒に揺れています。 
ニホンザルがよくやる威嚇の木揺すりディスプレイとは違うようです。 
枝に飛び移りたかったのかな? 
母親♀がその様子を横で呆れたように見ていて、はしゃいでいる子猿dを乱暴に掴んで堰堤に組み伏せ、強引に対他毛繕いを始めました。 
やんちゃ盛りの子猿dは、嫌がって母親♀から逃れようとしています。 

その右に独りで座っている子猿bが食べているのは、奥に見えているオニグルミの葉ではなく、やはりニセアカシアの葉でした。 

わんぱくな子猿dが母親♀から逃げながら、ニセアカシアの枝葉を拾って咥えました。 
母親♀がそれを追い回しています。 

その間に、手前で別個体の子猿bが立ち上がり、ニセアカシアの枝葉を引き寄せようとしています。 
しかし、枯れた枝葉しか毟り取れませんでした。 
母親♀がこの子猿bを歩いて追いかけ、毛繕いを開始。 


ニホンザルがニセアカシアを味味するシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:05〜) 


【考察】 
後で現場検証すると、ニホンザルが集まって居た砂防ダムの堰堤の岸にニセアカシア(別名ハリエンジュ)がオニグルミと並んで自生していました。 
今回ニホンザルがニセアカシアの小葉を食べそうで食べず、葉柄(葉軸の根元)をちびちびと齧るだけだったのが気になりました。 
実は数年前に観察したときも、ニセアカシアの木に登ったニホンザル♂は若葉と未熟な豆果を少ししか食べませんでした。 



いつものようにPerplexity AIに相談してみたところ、ニセアカシアには食害から身を守るための毒があるという衝撃の事実を教えてもらいました。 
私はそれまで有毒だとは知りませんでした。
A1: ニセアカシア(ハリエンジュ)の葉には毒性成分が含まれています。具体的には、葉、樹皮、枝、種子には「ロビン」や「ロビチン」といった毒素があり、これらによって家畜(特に馬)が中毒を起こすことが報告されています。人間が摂取した場合も過去に中毒例があり、吐き気や腹痛、下痢、呼吸困難、心拍異常などの症状が出ることがあります。 一方で、花には毒が含まれておらず、花だけは食用にされることもありますが、それ以外の部分は毒性があるため注意が必要です。ニセアカシアの葉をニホンザルが少しだけ味見するような行動は、この葉の毒性のために摂取を控えている可能性が高いと考えられます。 したがって、ニセアカシアの葉には毒が含まれており、ニホンザルが食べる量が少ないのは毒に対する本能的な回避行動である可能性が高いです。ニセアカシアの葉を摂取すると、中毒症状を引き起こす可能性があるため、摂取は控えられる傾向にあります。 以上のことから、ニホンザルがニセアカシアの葉を少ししか食べなかった理由は、葉に含まれる毒性成分のためであると考えられます。
しかし、「ロビン」や「ロビチン」は正式な化学物質名や広く認められている学術名称ではなく、詳細な英語名や構造式を示す文献は見当たりません。
より正確にはマメ科特有の有毒タンパク質群(レクチンなど)や関連物質として理解するのが適切です。 

A2: ニセアカシアの果実(豆果)についても、葉や樹皮などと同様に毒性があるとされています。若い未熟な豆果も含め、果実に毒性成分が含まれているため、食べることは注意が必要です。特に若い緑色の果実は見た目がおいしそうに見えますが、摂取は避けるべきとされています。 ニホンザルが未熟な豆果を少しだけ食べたという行動も、毒性のある部分を本能的に回避しつつ、少量を試し食い(味見)している可能性が考えられます。毒性成分は主に「ロビン」や「レクチン」といったマメ科特有のもので、消化器症状や神経症状を引き起こすことがあるため、果実も摂取は控えられるのが普通です。 まとめると、ニセアカシアの果実(豆果)にも毒があるため、ニホンザルが少量しか食べなかったのは毒性に対する防御的な行動と見るのが妥当です。 

しかし「蓼食う虫も好き好き」という諺があるように、ニセアカシアの葉を食べるイモムシもいます。
進化の過程でニセアカシアの毒成分に対する解毒能力や耐性を獲得したのでしょう。

関連記事(5年前の撮影)▶ 


今回のニホンザルの群れは砂防ダムでニセアカシアの葉柄を毒味していたようです。 
近くにオニグルミの葉(無毒)も生えていたのに、わざわざニセアカシアの葉柄(有毒)を選び取って何度も味見していたのが不思議です。 
A3: オニグルミの葉には毒性成分(ジュグロン)が含まれますが、ニセアカシアのような明確な哺乳類毒はなく、ニホンザルが積極的に避ける理由にはなりにくいと考えられます。ニホンザルがニセアカシアの葉をあえて味見する行動は、好奇心・変わった食物の探索や、他の要因(例:食物の多様化、タンパク質の補給など)が影響しているかもしれません。 
もしかすると、有毒成分に特有の刺激的な味覚がニホンザルにとってスパイスのように少し癖になっている(中毒性のある嗜好品?)のかもしれません。 
そして幼い子猿が有毒植物をあまり大量に食べ過ぎないように、成獣♀(若い母親? 姉?)が子猿から取り上げようとしているようにも見えます。 
しかしニホンザルの採食行動は全て自己責任であり、危険な有毒植物を子猿が食べようとしていても、母親は叱ったり強く制止したりすることはないのだそうです。

A4: 野生のニホンザルにおける食草の毒味は基本的に各個体が自己責任で行う行動と考えられています。特に毒性のある植物や部分を少量ずつ試す「味見」は、個体ごとの経験や感覚によって判断されることが多く、親や群れの成獣が明確に制止や教育を行う様子が観察されることは稀です。

これは、毒の感受性や個体差があるため、個別の体験を通じて安全か危険かを学ぶ必要があることや、毒味行動自体が自己防衛の意味を持つためと考えられます。成獣が子猿の行動を特に制止しなかったという観察は、この自己責任の性質を反映していると言えます。

また、ニセアカシアのように毒を含む植物は味わいながら摂食量を調整するなど、適応的な習慣が形成されている可能性が高いです。こうした行動は、食物の利用可能性や栄養のバランス確保に不可欠であり、個々のサルが自らの判断で安全な食べ方を模索するための重要な生存戦略となっています。


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フランスギクの花蜜を吸うウスバアゲハ

 

2024年5月中旬・午後12:25頃・くもり 

道端に咲いたフランスギクの群落でウスバアゲハ(別名ウスバシロチョウ;Parnassius citrinarius)が訪花していました。 
口吻を伸ばして吸蜜しています。 
この組み合わせは初見でした。 

初夏の風が吹いてフランスギクの頭花が揺れています。 
突風で一瞬だけウスバアゲハが横倒しになったときも、腹端に交尾嚢は付けていませんでした。 
したがって、交尾済みの♀ではないことは確かです。 
最後に強風が吹いて、ウスバアゲハはフランスギクの花から下のイタドリの群落に落ちてしまいました。

2025/08/27

営巣地で寝そべって土を浴びるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀と4頭の幼獣が転入してきた営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 

同じ日に繰り返し見られたアナグマ♀の砂浴び行動について以下にまとめます。 


シーン1:6/30・午前2:07(@0:03〜) 
深夜にアナグマの母子家族が巣外で活動しています。 
母親♀は林縁に横臥して右前脚で土を掘り、自分の体にかけています(砂浴び?)。 


一方、4頭の幼獣はセットに散開し、格闘遊びを繰り広げたり、木登りに挑戦したり、採食したりと、思い思いに過ごしています。
取っ組み合いをしている幼獣2頭が近くに来ると、母親♀は掴まえて毛繕いしてやっています。 


シーン2:6/30・午前4:28・気温18℃(@1:03〜)日の出時刻は午前4:17。 
日の出時刻は過ぎましたが、辺りはまだ薄暗いようで、トレイルカメラがモノクロで起動しました。 
林縁のミズキの根元で横臥していた母親♀がガバッと起き上がって左奥を凝視しています。 
やがて警戒を解くと、前足で地面を掻いて再び横たわりました。 
寝ながらたまに身震いしたり砂浴びしたりしています。 
そのまま少し居眠りしたのか、ときどき寝ぼけてビクッとジャーキングしています。 


シーン3:6/30・午前6:53・気温18℃(@1:38〜) 
すっかり明るくなった営巣地を母親♀がうろついています。 
林縁を右からセットに戻ってきたのか、それとも巣穴Rから外に出てきた直後なのかもしれません。 
いつものお気に入りの場所で(林縁のミズキの下)再び横臥しました。 

手持ち無沙汰なのか、前足で地面を掻いて少し掘り、その土を自分の体に掛けました。(砂浴び行動?) 

アナグマ♀の砂浴び(土浴び)行動を、1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@2:38〜) 


【考察】
この地点で長期間ひたすら定点観察しているのに、アナグマの砂浴び行動を見たのはこれが2回目です。


つまり、滅多に見られない珍しい行動です。
観察例が少な過ぎる(n=2)のですが、今のところ成獣に特有の行動で、幼獣はやりません。 
しかし、アナグマの砂浴び行動は翌月にも観察できました。(映像公開予定)

暇つぶしの独り遊びのため、あるいは前足の爪を研ぐために、地面を引っ掻いているだけなのでしょうか?

鳥の砂浴びと同じく、アナグマも体についた体外寄生虫や余分な脂分を取り除くために土を浴びるのでしょう。
砂や土の粒子との摩擦で体外寄生虫が寄主の体表から物理的に剥がれ落ちることが期待できます。
また、砂浴び後の体毛は乾燥します。

体外寄生虫が蔓延しているのなら、体が痒くて頻繁に掻くはずです。
しかし、砂浴びを繰り返したアナグマ♀個体は、特に体が痒そうというわけでもありませんでした。
したがって、体外寄生虫に寄生されていると自覚したから対策として砂浴びを始めたのではない、ということになります。

アナグマの土浴びは渇水期でなくても行われることから、単なる水浴び不足の代替とは言えません。

サラサラの土を自分の体にかけると、体温よりもひんやりして気持ちが良いのだろうか?
土や砂は体の熱を吸収し肌表面を冷やす効果があるとされています。
ニホンアナグマは汗腺が発達していない動物なので、土浴びにより直接的に体温調節ができる利点がありそうです。


つづく→

樹上で羽繕いし、ペリットを吐き出すモズの幼鳥(野鳥)

 

2025年8月中旬・午前9:25頃・晴れ 

裏庭に植栽されたウメ(白梅)の樹上になんか地味で大きな鳥が留まっているなと思い動画を撮影してみると、モズLanius bucephalus)の幼鳥でした。 
全身がフワフワした綿羽で覆われているので、巣立ったばかりの幼鳥です。 
羽根が毛羽立っているせいで、幼鳥は体が大きく見えます。
幼鳥はときどき羽繕いしています。 

庭木の横枝に正面を向いて止まっているモズ幼鳥は、真夏の暑さに喘いでいるのか、嘴をやや半開きにしています。 
周囲ではミンミンゼミ♂が暑苦しく鳴いています。 

やがて白梅の横枝を伝って右に少し移動しました。 
ガラス窓越しに室内から隠し撮りする私から隠れたつもりなのかな? 
あるいは暑いので日陰に入ったのかもしれません。 

また羽毛を整え、身震いしました。 
幼鳥でもいかにもモズらしく、常に尾羽根を上下に動かしています。 

ウメの茂みに隠れてキョロキョロと辺りを見回しているモズ幼鳥は、親鳥が給餌しに来るまで待っているのでしょう。 
同時期に巣立った幼鳥の兄弟姉妹は分散して隠れているようで、どこにいるのか見つけられませんでした。 

やがてモズの幼鳥は斜め下を向き、嘴を大きく開きました。 
そして首を激しく振りながら、やや苦しそうにペリットを吐き戻しました。(@3:15〜) 
ペリットは黒っぽくて丸みを帯びた塊で、意外に大きかったです。 
今思うと、落ちたペリットを後で拾いに行けばよかったですね。 
ペリットの内容物を詳細に調べれば、モズの幼鳥がどんな餌を親鳥から与えられて食べたのか推理できます。 

最後にモズ幼鳥はピョンピョンと横枝を伝ってさらに右へ移動すると、手前に生い茂るケヤキ枝葉の陰に隠れてしまいました。 
何か樹上の虫を嘴で啄んだようですが、狩りには失敗したようです。 

ペリットを吐き出す瞬間を、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:44〜) 




【追記】
後でこの白梅の庭木を調べてみたのですが、鳥の巣は見つかりませんでした。
つまり、モズの営巣木ではありません。


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2025/08/26

早朝の営巣地に侵入したホンドギツネを追い払うニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/30・午前4:56・気温17℃(@0:00〜)日の出時刻は午前4:17 

未だ薄暗い早朝に、ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀が巣口LRの中間地点に佇み、左を凝視していました。 
左に前進して巣口Lで立ち止まり、左への警戒を続けています。 
急に左に走り出しました。 
どうやら縄張りへの侵入者を撃退しに行ったようです。 

左奥の二次林の茂みに侵入者が写っていました!(@0:26〜) 
しばらくすると左からゆっくり戻ってきたアナグマ♀が、振り返って左奥の林内を見つめています。 
謎の侵入者は大胆にもアナグマ♀に近づいたものの、それ以上の直接対決は避けて左に立ち去りました。 
それを見送ったアナグマ♀が巣穴Lに戻りかけたところで、1分間の録画が終わりました。 


シーン2:6/30・午前4:56・気温16℃(@1:02〜) 
別アングルで設置した監視カメラでも写っていました。 
アナグマ♀が巣口Lの横に佇み、獣道の右奥を凝視しています。 
獣道を右から忍び足で来ていた侵入者は、ホンドギツネVulpes vulpes japonica)でした! 
暗い林内でキツネはアナグマの存在にまだ気づいていない様子です。 
待ち伏せしていたアナグマ♀が全力疾走で突進すると、キツネは慌てて右へ逃走。 
このときアナグマ♀は吠えたり警戒声を発したりしないで、黙って突進しました。
アナグマ♀が営巣地の幼獣を守るために天敵(危険な捕食者)を撃退したシーン(母は強し)は初見かもしれません。 


やがてアナグマ♀が右からゆっくり戻って来ると、振り返って右を凝視。 
慎重に入巣Lしかけたところで録画が終わりました。 
腹面に乳房や乳首が見えたので、この成獣は母親♀で間違いありません。 
もしも母親♀の不在時にキツネが来たら、外で遊んでいるアナグマの幼獣は捕食されてしまうでしょうか? 


シーン3:6/30・午前4:57・気温17℃(@2:02〜) 
興奮冷めやらない母親♀は結局、巣穴Lには入らず、営巣地(セット)をうろついていました。 


シーン4:6/30・午前4:57・気温17℃(@2:02〜) 
巣口Rに来たアナグマ♀は、落ち葉の下に鼻を突っ込んで匂いを嗅いでから、マルバゴマギ灌木の根元で排尿したようです。 
ちなみに、その地点には野ネズミの巣口があることが分かっています。
営巣地に侵入者があったので、縄張り宣言のマーキング(匂い付け)を強化したのでしょう。 
ようやく巣穴Rに潜り込みました。 
4匹の幼獣は巣内で寝ているのか、外に出て来ませんでした。 

マーキング行動を1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@2:42〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


シロツメクサの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月下旬・午後16:20頃・晴れ 

田園地帯の農道に咲いたシロツメクサの群落でオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)が訪花していました。 
口吻を差し込んで吸蜜し、ついでに花粉を集めているようです。 
後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けています。 

やや小型の個体でしたが、この時期に活動しているのはワーカー♀ではなく、創設女王と思われます。 
しかし複数個体を見かけたので、暖冬の後の今季はワーカー♀が例年よりも早く羽化して活動しているのかな? 

平地性のクロマルハナバチと山地性のオオマルハナバチは、標高によって大まかに棲み分けていると言われています。 
現場は山麓に近い里なので、オオマルハナバチの活動分布域の境界(標高の下限)かもしれません。 

シロツメクサの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:56〜) 


2025/08/25

ニホンアナグマ家族が転入した営巣地を偵察に来て大声で鳴くホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬〜7月上旬 

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族(母親♀と幼獣4頭)が転入してきた営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 

ホンドギツネVulpes vulpes japonica)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:6/27・午前5:37・気温11℃(@0:04〜)日の出時刻は午前4:15。 
薄暗い早朝に獣道からキツネが久しぶりにやって来ました。 
 アナグマの巣口Lを覗き込んで、頻りに匂いを嗅いでから、左へ向かいました。 


シーン2:6/27・午前5:37・気温12℃(@0:49〜)
別アングルで設置した監視カメラに続きが撮れていました。 
今度はもう一つの巣口Rに頭を突っ込んだものの、巣内には押し入らず、右へ立ち去りました。 
奥の二次林に朝日が射し込んでいます。

その間、アナグマの家族は寝ているのか、巣穴に籠城したままでした。 
このキツネは夏毛に生え変わり、尻尾の毛並みも正常な個体でした。 


シーン3:7/1・午後19:11・気温23℃(@1:23〜) 
4日後の晩にもキツネが再登場。 
左奥から来てアナグマの巣口Lを覗き込んでいました。 
尻尾が健全な個体です。 
次は右に来て、もう一つの巣口Rを調べます。 

立ち去る間際にホンドギツネが巣口Rでクゥオオオン♪と甲高く鳴きました!(@1:56〜) 
アナグマ家族の匂いを嗅ぎ取って興奮しているのか、初めて聞く鳴き方です。 
キツネはいつも単独で現れるので、仲間に対して鳴いているとは思えません。

今回もキツネは匂いを嗅ぐだけで、巣穴に強引に侵入することはありませんでした。 
二次林内に入り右へ向かいます。 
監視カメラの死角に消えてからも再び(キツネの?)奇妙な鳴き声がかすかに聞こえました。 


※ キツネの鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
ニホンアナグマの母子が籠城する巣穴の入口でホンドギツネが大声で鳴いたのが興味深く、自分なりに解釈を考察してみました。

キツネの狩りのシーンをトレイルカメラで何度か観察しているのですけど、野ネズミを狙っているときなどにキツネが鳴くことは一度もありませんでした。

関連記事(5ヶ月前の撮影)▶ 

キツネは野ネズミの巣穴付近で待ち伏せ型の狩りをしますから、わざわざ大声で鳴いて獲物に自分の存在を知らせるはずがありません。
したがって、今回アナグマの巣口でキツネが鳴いたのも、狩りの衝動とは結びつかないでしょう。

キツネが野ネズミを狩る際に、わざと足音を踏み鳴らしながら2つの巣口を往復して、野ネズミを巣外に追い出してから狩ろうとする行動を過去に見たことがあります。


今回のキツネが大声で鳴いたのは、巣内に潜む獲物(アナグマ)を威嚇して巣外に飛び出してくる獲物を待ち伏せする目的だったのかもしれません。(おびき出し仮説)
しかし、キツネの鳴き声に怯えたアナグマ(幼獣)が別の出口から飛び出してくることはありませんでした。
そもそも2つの巣穴は内部でつながっていないため、出入り口は一つずつしかありません。
私の知る限り、この営巣地(セット)では緊急用の脱出口は作られていないのです。
つまり、捕食者が巣穴に侵入したら、中のアナグマは逃げ場所がなく「袋の鼠」です。
防衛戦略上、致命的な欠陥だと思うのですが、ここで暮らすアナグマは改めようとしません。
アナグマの家族は日によってどちらかの巣穴を居室として暮らしています。
アナグマの各巣穴に出入口が1つしか無いことを、長期観察している私は知っていますけど、滅多に来ないキツネがアナグマの巣穴の内部構造を把握しているかどうか疑問です。
セットの匂いを嗅ぎ回るだけで、そこまで分かるとは思えません。

巣口の匂いを念入りに嗅いだキツネが、獲物となり得るアナグマ幼獣の存在を知ったことは間違いありません。
それなのに、キツネは巣内に押し入ってアナグマ幼獣を狩ることはなく、立ち去りました。
おそらくアナグマの母親♀が巣内で幼獣と一緒に籠城していたはずです。
動画では聞き取れませんでしたが、巣穴の奥からアナグマの母親♀も唸り声をあげて、侵入しかけたキツネを威嚇・撃退したのかもしれません。
もしもキツネが無理してアナグマの巣穴に強引に侵入すると、追い詰められたアナグマの母親♀が我が子を守るために必死で反撃する可能性が高く、「背水の陣」で「窮鼠猫を噛む」リスクがあります。
それでキツネは狩りを諦めたのでしょう。
つまり、キツネの葛藤が大きな鳴き声として表出した置換行動と思われます。

この記事を書くために、ChatGPTと問答を繰り返し、解釈についてブレインストーミングしました。
結論: キツネがアナグマの巣口で大声をあげたのは、獲物を前にした狩りの衝動そのものではなく、巣を守る母アナグマに対する警戒と、捕食欲求との間で揺れ動いた葛藤の表れだった可能性が高い。

つづく→


【アフィリエイト】

スギ樹上で3羽のアオバト♂を見つけた!(野鳥)

 

2025年8月中旬・午後12:00頃・晴れ 

今季は野山で聞こえる謎の鳴き声の正体がアオバト♂(Treron sieboldii)の囀りさえずりだとようやく突き止めました。(鳴き声だけ撮った映像を公開予定) 
鳴き声はすれども、アオバトの姿をなかなか見ることができません。

私が山麓の道を静かに歩いていたら、数羽の鳩が飛び立ち、麓に広がるスギ防風林に逃げ込みました。 
おそらく地上で採食していたのでしょう。 
シルエットで鳩だと分かったのですが、キジバトよりもカラフルだったので、もしやと思ってカメラでズームインしてみると、憧れのアオバト♂(Treron sieboldii)でした。 

スギ高木の同じ横枝に並んでいる2羽を見つけて撮り始めたのですが、実は少なくとももう1羽近くにいる姿が動画の最初と最後に写っていました。 
翼に赤紫色の羽根があることから、3羽ともすべて♂の群れでした。 
キジバトと違ってアオバト♂は羽根がカラフルなので、常緑のスギの枝葉に紛れる保護色ではありません。 

樹上のアオバト♂は横目で私の方を油断なく見下ろしています。 
長撮りしてもアオバト♂は鳴いたり羽繕いしたりしてくれず、とにかく私に警戒してフリーズしているだけです。 
里の農地からパーンと破裂音(害獣対策の空砲)がしても、アオバトは無反応でした。 (@1:07〜)
周囲ではアブラゼミ♂やミンミンゼミ♂がやかましく鳴き続けています。 

このとき下山直後の私は重いザックを背負ったまま撮影していたので、アオバトを見上げ続ける体勢で腰が痛くなり、耐え切れなくなりました。 
私がカメラを下ろしたら、アオバトの群れは警戒を解いてパタパタと飛び去ってしまいました。(映像なし) 
生態動画としてはあまり面白くありませんが、それでも美しいアオバトを実際に観察できたのは生まれて初めてで、心躍りました。 


【アフィリエイト】 

2025/08/24

ニホンアナグマの母子が引っ越してきた営巣地を突き止めスクワットマーキングを繰り返すヘルパー♂?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
明るい時間帯に撮れた現場の様子です。 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が転入してきた営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:6/29・午後21:27・気温23℃(@0:03〜) 
二次林の獣道からやって来たアナグマ成獣が巣口Lの匂いを嗅いでから左へ向かいます。 
2つの巣口L、Rの中間地点で地面にスクワット・マーキングしました。 
横から腹面を見た際に乳房や乳首が見えないので、この成獣はいつもの母親♀とは別個体のようです。 
夜にトレイルカメラが照射する赤外線を反射する目のタペータムが母親♀は右目<左目と不均等なのですが、この個体は左右の目(タペータム)が同じ大きさ(正常)でした。 


シーン2:6/29・午後21:27・気温23℃(@0:29〜) 
別アングルで設置した監視カメラで続きが撮れていました。 
尻を地面に擦りつけて臭腺や肛門腺で匂い付けをするスクワットマーキングを2回連続で行いました。 
やはり腹面に乳房や乳首が見えず、左右の目が均等でした。 
鼻面がやや短いので、素人目には♂のようです。 
もしかしてヘルパー♂(同じ母親♀から前年に産まれた息子)なのでしょうか? 

巣穴Rにも入らず、右へ立ち去りました。 
アナグマ♂と入れ替わりでコウモリがセットに飛来しました。 


シーン3:6/29・午後21:30(@1:03〜) 
数分後に営巣地に戻ってきたアナグマ♂が巣口Lに顔を突っ込んで匂いを嗅いでいます。 
巣口Lに座って再度スクワットマーキングしてから、手前へノソノソと立ち去りました。 


シーン4:6/29・午後21:30(@1:03〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
巣口Lにスクワットマーキングしてから林内へ向かいます。 
林縁でスクワットマーキングを数回繰り返しました。 


【考察】 
ニホンアナグマの母子(母親♀と幼獣4頭)がこの営巣地に転入してきて以来、ヘルパー♂らしき成獣個体の登場は初めてです。 
母親♀が越冬・出産に使った営巣地がどこか別の場所にあるはずです。 
そこではヘルパー♂も同居して、巣穴の穴掘りなどを手伝っていたと思われます。 
幼獣が離乳して長距離を出歩けるようになると、母子はこの営巣地に引っ越してきたのです。 

ヘルパー♂は引っ越しに同伴しなかったのですが、転出した母子の居場所をヘルパー♂が今回ようやく探り当てたのではないかと想像しています。
 「ヘルパー♂参上!」と挨拶代わりにセットのあちこちにスクワットマーキングを念入りに繰り返していたのでしょう。 

このときアナグマの母子家族は巣内で休んでいたと思われますが、採食のため外出中だったのかもしれません。 
ヘルパー♂は巣内に入って家族と合流することはなく、あっさり営巣地から立ち去りました。 

私は暗視映像でアナグマが赤外線を反射する目の大きさの違いだけを頼りに母親♀(右目<左目)を辛うじて個体識別しているのですが、今回ヘルパー♂がたまたま夜に来てくれたおかげで、母親♀ではないと気づくことができました。 
もしも明るい昼間に来ていたら、てっきり成獣は母親♀だと思い込んでいたかもしれません。 


山道から飛び立つミヤマセセリ♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午前11:30頃・くもり 

里山を登る山道で、ミヤマセセリ♂(Erynnis montanus)が翅を全開にして地面に止まっていました。 
枯れ葉(落葉)の上で静止していると、広げた翅の斑紋が目立たない保護色になっています。 
そのため、ちょっと目を離しただけで、見失いそうになります。 

曇天なので、日光浴ではなさそうです。 
晴れていても曇っていても、いつも翅を広げて止まるミヤマセセリの場合、日光浴しているかどうか翅形では判断できません。 
近年の分子系統解析によると、セセリチョウ科はタテハチョウ科やアゲハチョウ科よりもやや早い段階で分岐したグループで、やや原始的な特徴を持つのだそうです。 
翅の開閉で体温を調節する行動がセセリチョウ科では発達しなかったのだろうか。 

関連記事(16年前の撮影)▶ ミヤマセセリの日光浴

口元に注目すると、ゼンマイ状の口吻を少しだけ伸縮させたものの、地面や落ち葉を舐めてミネラル摂取をしている訳ではありませんでした。 

飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:00〜) 
すばやく羽ばたいて飛び去りました。 
しかし少し飛んだだけで、同じ山道に着陸します。 
♂は山道に沿って縄張りを占有し、交尾相手の♀が来るのを待ち伏せしているのかもしれません。 


2025/08/23

砂防ダムの堰堤で助走からロンダートするついでにススキの葉を食べる若いニホンザル

 

2024年6月中旬・午前11:00頃・晴れ 

里山から流れ出る沢を山麓の砂防ダムがいったん堰き止めています。 
その砂防ダムに野生ニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れが集まっていました。 

独りで右から来たお調子者の子猿が、コンクリートの堰堤に両手をついて逆立ち?しかけました。 
その場に座り、痒い体を手で掻いてから左へ小走りに消えました。

何気ないシーンでしたが、1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@0:10〜)、実は子猿が一瞬で色んなことを素早くやっていました。 
右から助走してきた子猿が、砂防ダムのコンクリートの隙間から生えたススキの葉先を通りすがりにかじって食べていました。 


ちょっとスピードを出し過ぎた助走から急停止するために、体操の技のロンダートを決めたようです。 (やや中途半端?)
子猿が遊びで逆立ちしたときに興奮で失禁し、小便を撒き散らしたように見えたのですが(いわゆる「嬉ション」)、何度もスロー再生すると私の錯覚だったようです。 
このコンクリート堰堤から落ちると大怪我しそうな高さですが、堰堤の幅は230cmで余裕があります。
高所も平気なニホンザルにとっては、こんな軽業も朝飯前です。
しかし高所恐怖症のヒトにとっては、まるで細い平均台の上で助走からのローンダートを決めながらアクロバティックに採食しているようで、見ているだけで恐怖を覚えるかもしれません。

この子猿の性別を私にはしっかり見分けられません。 
一瞬見えた股間に小さな陰茎らしきものが見えたものの、睾丸は見えませんでした。 
素人目には若い♀のような気がするのですけど、胸に乳首は見えません。 

子猿は砂防ダムでススキを採食すると(文字通り道草を食うと)、座ってもぐもぐと口で咀嚼しています。 


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深夜の水場に来たフクロウ:6月下旬【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬 

シーン0:6/24・午後13:17・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出した浅い水溜りを野生動物や野鳥が水場として利用するので、自動撮影カメラ(旧機種)を設置しています。 

ある一晩に登場したフクロウStrix uralensis)の様子を以下にまとめました。 


シーン1:6/26・午前3:02(@0:04〜) 
画面左端の水溜まりに来たフクロウが水浴しているようです。
フクロウは監視カメラに撮られることを嫌って、死角に隠れているのでしょうか? 
他には、コウモリが繰り返し飛来しています。 


シーン2:6/26・午前3:23(@0:45〜) 
いつの間にか水溜りの対岸に上陸していたフクロウの後ろ姿が写っています。 
振り返って周囲を警戒してから、音もなく羽ばたいて右上奥へ飛び去りました。 


シーン3:6/26・午前3:32(@0:56〜) 
手前の浅い水溜まりにフクロウが足を浸していました。 
左此岸にピョンと上陸すると、左奥の水面をじっと見つめています。 
水場に来る小動物を待ち伏せして狩ろうとしているのかもしれません。 
諦めたのか、やがて方向転換すると、右上に飛び立ちました。 


つづく→

2025/08/22

ニホンアナグマ♀が縄張り侵入者を撃退する間に営巣地で独り留守番する幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬・午後20:50頃 

シーン1:6/29・午後20:48・気温22℃(@0:00〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀と幼獣1頭が夜の巣外で活動しています。 
母親♀が二次林の右奥を凝視してから、急に獣道を右に向かって突進して行きました。 
アナグマの営巣地(セット)や縄張りに来た侵入者を追い払いに向かったのでしょうか? 
幼獣は慌てて巣穴Lに逃げ込みました。 
このとき母親♀が幼獣に対して避難するように警戒声を発したかどうか、という点が気になります。 
音量を上げて何度も聞き直すと、カッカッ♪という音がかすかに聞こえますが(@0:07〜)、アナグマの鳴き声なのかカメラのノイズなのか、いまいち自信がありません。 

幼獣は巣口Rで上半身を出して周囲を警戒してから、結局は後退で巣穴Lに入りました。


シーン2:6/29・午後20:50(@0:47〜) 
警戒を解いて巣穴Lから延びるアクセストレンチで独り遊びしていた幼獣が、巣穴Lに戻りました。 
独りで留守番するアナグマ幼獣が小声で散発的に吠えていたのは、寂しくて母親を呼ぶ声なのかな? 
すぐにまた巣口Lから外に出てきました。 
身震いしてから獣道を右に歩き出し、母親を探しに行ったようです。 

言葉では表現しにくいのですが、シーン1から遠くでジュルジュルジュル…♪とかビルビルビル…♪というような音がずっと聞こえています。(ジェジェジェビーム? ただのノイズ?) 
監視カメラの死角から母親♀が鳴き続けているのでしょうか?
幼獣が言うことを聞かずに巣穴の外に出てきてしまっているので、警戒声の意味ではなさそうです。 


シーン3:6/29・午後20:51(@1:47〜)
留守番する幼獣が小声で吠えながら、獣道を右往左往しています。 
母親♀がなかなか戻ってこないので、私も心配になってきました。 
しばらくすると、静かになりました。 


シーン4:6/29・午後20:53(@2:36〜) 
ようやく母親♀が獣道を右から営巣地に戻ってきました。 
巣口Lでググ、ググ♪(グルル♪?)と低く鳴いてから、中に潜り込みました。 

入巣L後は謎の連続音(ジェジェジェビーム♪?)が聞こえなくなり、辺りは静かになりました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
アナグマの縄張りに何者が不法侵入したのか、最後まで分からずじまいでした。 
前回イノシシ母子が営巣地にずかずかと侵入した際にアナグマの母親♀は巣穴に籠城するだけだったのに、今回は積極的に追い払いに向かったということは、今回の敵はあまり大きくない動物(タヌキやネコなど)ではないかと想像しています。 



今回登場した幼獣は1匹だけでした。 
他の兄弟姉妹3匹がどこにいるのか、不明です。 


ヒメアオキの果実に形成された虫こぶ(アオキミフクレフシ)から羽化したアオキミタマバエ♀♂

 

2024年5月上旬 

里山で林内の低層に自生する常緑のヒメアオキ群落に果実が赤く色づき始めました。 
ほとんどの果実が寄生されているようで、いびつな形状の虫こぶ(虫瘤、虫えい)が形成されています。 
虫えいの和名は「植物名+部位+形+フシ」を付ける原則があるのに、ヒメアオキの果実にできる虫こぶの名前は「ヒメアオキミフクレフシ」ではなくて、アオキ属全体の果実虫こぶとして「アオキミフクレフシ」でまとめられるて呼ばれているのだそうです。 
そもそもヒメアオキとアオキは別種に別れてはおらず、変種の扱いです。
(日本の太平洋側の暖温帯林下に自生するアオキの日本海側多雪地帯型の変種がヒメアオキ。)

この虫こぶを数個採集し、家に持ち帰りました。 
採集時の動画を撮り忘れたので、動画の冒頭はスライドショーで写真を見せます。
100円ショップで買えるプラスチック製のピルケースは、採集した虫や抜け殻、果実、虫こぶなどの小物を収納するのに重宝しています。 


『虫こぶハンドブック』でアオキミフクレフシについて調べると
寄主:アオキ(ヒメアオキ) 
形成者:アオキミタマバエ Asphondylia aucubae 
形状:果実が変形する虫えい。内部は数個の虫室があり、1幼虫を含む。南日本で正常果より小さく、北日本やヒメアオキではやや大きくなる傾向がある。虫えい化した果実の方が、枝に残ることが多い。 
生活史:6月に羽化し、幼果に産卵。1齢幼虫で虫えい内越冬。 (p53 より引用)


2日後に様子を見ると、ピルケース内でアオキミタマバエAsphondylia aucubae)の成虫♀♂が羽化していました。 
慌ててカメラにマクロレンズを装着し、動画で記録しました。
ピルケースの1区画のサイズは、2.0 x 1.8 x 1.5 cm。
アオキミタマバエはプラスチックのつるつるした垂直壁面をよじ登れないようですが、蓋を開けると、次々に飛んで逃げてしまいます。 
虫こぶ(ヒメアオキミフクレフシ)の表面に仰向けになって落ちたときに羽根がへばりつき、動けなくなっている個体がいました。 

アオキミタマバエの性別の見分け方をよく知らないのですが、きっと腹部が太い個体が♀で、細い個体が♂なのでしょう。 
複眼の形状に性的二型はありませんでした。 
羽化直後に交尾している♀♂ペアはいませんでした。 
アオキミタマバエに二次寄生した寄生蜂などは羽化していませんでした。



文献検索してみると、山形大学の研究グループによる面白そうな論文がヒットしました。
山口良彦; 林田光祐. アオキミタマバエによる虫えい形成がヒメアオキの実生更新に及ぼす影響. 日本森林学会誌, 2009, 91.3: 159-167. 

抄録 
東北日本海側のコナラ林において, 常緑低木ヒメアオキの果実の成熟から実生の定着までの繁殖過程とそれに対する三つの生物間相互作用の影響を調べ, 虫えい形成者による散布前捕食の相対的な重要性について評価した。0.25 haの調査区内のすべての果実を調べたところ, アオキミタマバエの寄生による虫えい形成果の割合が1998年生で57%, 1999年生で77%と高い値を示した。虫えい形成果の種子含有率は1∼2割であり, 散布前捕食が種子生産を大きく減少させていた。一方, 健全果は渡り途中のヒヨドリによってごく短期間にほぼ完全に消費され, 種子が散布された。野ねずみによる種子の摂食は確認されたが, 播種した種子の消失率は1割以下であり, 散布後の種子捕食圧は強くなかったと推察される。発芽率は8割以上と高く, 実生の生存率も低くなかった。以上のことから, 本調査地のヒメアオキ個体群では, 虫えい形成者による果実への寄生が実生更新の重大な阻害要因であることが示唆される。 




2024年5月下旬 
平地のスギ防風林でもヒメアオキの群落を見つけたので、熟果を探してみました。 
赤く熟した果実は全て歪に変形している虫こぶ(アオキミフクレフシ)ばかりで、寄生率が非常に高いことが分かります。 
果皮に張りがなくて皺くちゃの虫こぶはもう古いのかな? 
黒い穴はアオキミタマバエ成虫の羽化孔で、ひとつの果実から数匹が羽化したことが分かります。 
しかし、付近にアオキミタマバエを見つけられませんでした。 
私の悪い癖で、接写しながらカメラを忙しなく動かしてしまい、動画酔いしそうです。 
仕方がないので、1/2倍速のスローモーションでお見せします。 

鳥や動物による種子散布を調査する準備段階として様々な植物の種子を集めているのですが、ヒメアオキの種子を採取するために寄生されていない熟果(正常果)をいくら探しても今季は見つけられませんでした。 
ヒヨドリなど果実食性の鳥がヒメアオキの正常果を片っ端から選択的に食べてしまうのだそうです。 
ちなみに、虫こぶ(アオキミフクレフシ)の中では種子が正常に形成されません。
いずれフィールドにトレイルカメラを設置して、鳥がヒメアオキの実を食べに来る決定的な証拠映像を撮影してみたいものです。 
虫こぶ(アオキミフクレフシ)を忌避して正常果を選り好みする様子を実際に観察するのが次の目標です。 


※ Perplexity AIと問答を繰り返して、勉強しながらこの記事を書きました。


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2025/08/21

山中の湿地で夜に水を飲み採食する2頭のニホンイノシシ【トレイルカメラ:暗視映像:フィールドサイン】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/24・午後12:41・くもり(@0:00〜) 
シーン0:6/24・午後13:17・くもり(@0:00〜) 
山林の中に少し開けた湿地帯があります。 
様々な野生動物や野鳥が水場として利用する、湧き水や雨水が溜まった水溜りを2台の自動センサーカメラ(旧機種)で見張っています。 


シーン1:6/27・午後20:11(@0:07〜) 
ある晩にニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が登場しました。 
水溜まりSに口をつけて泥水を飲んでいます。 
飲み終わると、そのまま此岸の泥濘を右へ向かいます。 
今回のイノシシは単独ではなく、後続個体が縦列でついて歩いていました。 
普通なら母子なのですけど、今回のペアには体格差がありません。 
なんとなく、若い兄弟姉妹のような気がします。 
ただし体表に縦縞模様はありませんでした。(ウリ坊ではない)。
横から腹面を見ても、乳房や乳首、外性器などは見当たりません。 


シーン2:6/27・午後20:11(@0:29〜) 
湿地帯の反対側に設置した監視カメラでも続きが写っていました。
2頭のイノシシは、湿地の泥濘を右から左へゆっくり歩いています。 
先行個体はどんどん左へ立ち去りますが、後続個体は一箇所に立ち止まっています。 
鼻面で泥濘を掘り返し、餌を探しているのでしょう(採食行動)。

残念ながら、手前の泥水溜りNには近づきませんでした。


シーン3:6/27・午後20:12(@1:12〜)
後続個体が対岸の左奥で立ち止まり、林縁で何か採食しているようです。 
左に立ち去った後で、イノシシが重低音で鳴く声♪がかすかに聞こえました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ イノシシの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


シーン4:6/28・午後13:10・(@0:00〜) 
翌日に現場検証すると、前夜に来たイノシシは、水が澄んだ浅い水溜りではなく、わざわざ白濁した左の深い水溜りから水を飲んでいたようです。 

約17時間前にイノシシ2頭が続けて歩いた泥濘に、蹄の跡がくっきりと残っていました。 
私はまだフィールドでニホンカモシカとニホンイノシシの蹄跡をしっかり見分けられる自信がないのですけど、今回はトレイルカメラの証拠動画が残っているので、間違いなくイノシシの足跡です。 

イノシシの足跡はスギ林の方へ向かっていました。 
採食痕のフィールドサインも現場でじっくり撮影すべきでしたね。


余談ですが、「所さんの目がテン!」という動物系長寿番組の2024年8月18日放送回は、「いきものの森SP:見られなくなった植物復活?タイムカプセル実験」というタイトルでした。 
埋土種子の発芽実験を実演した上で、「イノシシやアナグマなど、表土(腐葉土)を大規模に掘り返す動物は、撹乱して埋土種子が発芽しやすくしているのかもしれない」と専門家がコメントしておられました。 
ヒトのせいでイノシシやアナグマが絶滅した森は、植物の多様性が予想以上に劣化し、貧弱で貧相な森になってしまうでしょう。


つづく→

ブロック塀の下で昼寝するイエネコ(キジトラ)

 

2024年5月中旬・午後12:35頃・晴れ 

郊外の住宅地で、ブロック塀の下、側溝(融雪溝)の横の細いスペースにイエネコFelis silvestris catus)がのんびり寝そべっていました。 
目をつぶって昼寝しています。 
寝顔にズームインすると、口から舌を少し出していました。 
焦げ茶色の濃淡が複雑な毛並み(太り気味のキジトラ?)でした。
ブロック塀の下は日向と日陰の微妙な境界になっていて、ほどよく温かくて暑すぎない場所なのでしょう。

私が横を歩いて通り過ぎても猫は起きなかったので、振り返ってから撮影しました。
昼寝しながらも私の足音を油断なく聞いているはずですが、野生動物では考えられないほど飼い猫は無防備です。


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2025/08/20

セットで暮らすニホンアナグマの家族:6/24昼夜の諸行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬・午前0:03〜午後17:44・ときどき小雨 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の親子(母親♀と幼獣4頭)が転入してきた営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 
6/24に撮れた記録をまとめました。 
最後は記録メディアの容量を使い切ってしまいました。 

面白そうな行動は個別の記事で紹介したので、その残り物です。 
採食、毛繕い、遊びなどの行動が写っています。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


ヒョウタンボクの花で穿孔盗蜜するクマバチ♀

 

2024年6月中旬・午後14:00頃・晴れ 

河畔林に咲いていたキンギンボク(別名ヒョウタンボク)のマント群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく訪花していました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@0:08〜)、花筒に潜り込む正当訪花をしないで穿孔盗蜜を繰り返していました。 

キンギンボクの萎れかけた白い花筒の根元を外側から噛んで小さな穴を開け、そこから口吻を差し込んで花蜜を吸っています。 
正当訪花する昆虫と違って花筒の中にある雄しべにも雌しべにも触れませんから、クマバチはキンギンボクの授粉に一切関与しないことになります。 
集粉しませんから、クマバチ♀の花粉籠は空荷です。
キンギンボクの群落で他の花にも根元に盗蜜痕が残っています。


関連記事(4年前の撮影)▶ キンギンボクの花で穿孔盗蜜するクマバチ♀

2025/08/19

ニホンザルと白斑ススキ

 

2024年6月下旬・午前11:00頃・くもり 

山麓の民家の裏庭の端でニホンザルMacaca fuscata fuscata)が背を向けて座っています。 
立ち上がって遊動するまで撮り続けるつもりだったのですが、周囲で群れのメンバーが様々な行動を繰り広げているために、目移りしてしまいました。 

この記事のメインはニホンザルではなく、その横に生えていた斑入りの園芸植物についてです。 
調べてみたら色々と面白いことが分かったので、紹介します。
まるでクマザサのように葉身の両側の縁が白くなっている(隈取りがある)イネ科の植物です。 
ChatGPTに相談し、写真も検討してもらうと、斑入りのススキと教えてもらいました。 
植物の斑入りには様々なタイプが知られていますが、このススキは縁斑えんふです。

再確認:画像の植物の特徴

  • イネ科で葉が細長く、立ち上がり気味。

  • 白い縁取り(縁斑)が明瞭で、葉幅は中程度。

  • 群落形成している。

  • 植栽地:山形県の山麓の裏庭(耐寒性必須)

  • 撮影時期:6月下旬(十分展開している)


結論:やはり最有力候補は

Miscanthus sinensis 'Variegatus'(斑入りススキ)


理由(山形県の環境と整合性がある点)

  1. 耐寒性が高い(東北地方で越冬可)
     Miscanthus sinensisは在来種ススキと同種であり、耐寒性が非常に高く、山形県でも屋外越冬が可能です。海外品種(例:‘Cosmopolitan’)は地域によっては冬枯れが激しくなることもあるためやや不利。

  2. 葉の展開時期が早く、6月下旬で十分育っている
     ‘Morning Light’など一部の細葉品種は春の立ち上がりがやや遅く、6月下旬ではまだボリューム不足な場合もあります。‘Variegatus’は早めに展開する傾向があります。

  3. 庭園用途での定番斑入りススキ
     日本の民家の庭では、最もよく植えられてきた「斑入りススキ」はこの‘Variegatus’(日本語では単に「斑入りススキ」)で、昭和〜平成期の和風庭園や公園で頻繁に見られました。


ニホンザルは野生株のススキの葉を食べることがあるのですが、今回の個体は斑入りススキを採食しませんでした。
葉全体が緑色の正常な野生株と比べて、白斑ススキはサルにとって栄養価が低い(と判断した)のでしょう。

関連記事(8、9年前の撮影)▶  


ススキは風媒花で、種子も風散布される植物です。
斑入りの品種が風任せで近所にどんどん分布を広げているようには見えないのは不思議です。なぜでしょうか?

ススキは通常、種子によって風散布されますが、斑入り園芸品種(たとえば 'Variegatus')が自然分布を広げることはほとんどありません。その理由は、以下のような遺伝的・生理的・繁殖的制限によるものです。


理由1:斑入りはしばしば劣性または不安定な変異で、種子に遺伝しにくい

  • 斑入り(特に縁斑)は、多くの場合、色素合成に関わる遺伝子の変異によって生じます。

  • これはしばしば**栄養変異(体細胞変異)**であり、種子を通して子に安定して遺伝しないことが多い。

  • 仮に種子ができても、斑のない(緑一色の)実生になる可能性が高い。

→ よって、「風で飛んだ種から新たな斑入り個体が生える」ことは非常にまれ。


理由2:斑入り品種は種子をほとんどつけないことがある

  • 一部の斑入りススキ園芸品種は、

    • 花芽が形成されにくい

    • 花粉が不稔(不完全)

    • 種子がほとんど実らない(不稔性)
      などの性質を持っていることがあります。

  • これは、園芸的に選抜された変異株であるため、野生の繁殖力とは異なる場合があるのです。

→ そのため、そもそも風で散布できる種子ができないというケースも多い。


理由3:斑入りは光合成効率が落ちるため、野外では競争力が低い

  • 白い部分には葉緑体が少ない(または欠如)しており、光合成効率が緑葉より劣る

  • 自然環境では、緑葉型に比べて成長・生存に不利になる。

  • たとえ実生や株分けで逸出しても、雑草型のススキ(緑葉)に駆逐されやすい

→ 野生環境では定着しにくく、拡散力が低い


理由4:広がる場合は主に地下茎(栄養繁殖)による

  • 'Variegatus'などは地下茎で少しずつ広がるが、それは植えられた場所の近傍に限定される。

  • 自然分布のように広範囲に散布されることはほとんどない。


補足:例外もあるが極めて稀

  • ごくまれに、斑入り形質を種子を通じて遺伝可能な系統もありますが、

  • それは非常に限られた交雑系統や栄養固定化された特殊株であり、

  • 一般に庭園に植えられている‘Variegatus’のような品種では起きにくい現象です。


まとめ

斑入りススキ園芸品種が近所に自然に拡散しない主な理由は:

  1. 種子に斑入りが遺伝しにくい(栄養変異)

  2. 花や種子が不稔のことがある

  3. 光合成能力が劣り、自然環境で競争力がない

  4. 繁殖しても地下茎による局地的な広がりのみ


このため、斑入りススキが**「庭にあるのに、周囲には広がらない」のはごく自然な現象です。
もし逸出していたとしても、それは
緑葉型の実生(原種返り)**である可能性が高いでしょう。


つまり、斑入りススキは地下茎のクローンで増やす園芸品種らしい。

Miscanthus sinensis 'Variegatus' は百年以上にわたって世界各地の庭園に生き続けている、まさに「園芸植物の古典」と言える存在です。

しかもこの品種は、地下茎によって安定してクローン維持され、極寒にも耐える丈夫さを持ち、美しい斑入りを毎年確実に再現する──という点で、遺伝的にも環境適応的にも非常に優秀な系統です。


縁斑とは別のタイプの斑入り品種のススキも見たことがあるのを思い出しました。

昔の記憶を頼りに、後日写真を撮りに某集落へ行ってきたら、タカノハススキでした。


ススキ(Miscanthus sinensis)には「縁斑」以外にも、さまざまなタイプの斑入り品種が存在し、日本では古くから**和名付きの系統(地方名や意匠名)**として親しまれてきました。

以下に、代表的な斑のタイプごとにススキの品種名と特徴を整理します。


◼️ ススキの斑入り品種の分類(代表例)

斑のタイプ品種名(和名)特徴備考
縁斑(えんふ)白斑ススキ、‘Variegatus’葉の縁が白く抜ける最も一般的。海外でも人気
中斑(ちゅうふ)タカノハススキ(鷹の羽薄)葉の中央に太く白または黄の筋鷹の羽の模様に例える。華やか
縞斑(しまふ)ヤハズススキ(矢筈薄)葉に細い白筋が多数並行に入る“矢筈”模様に見立て
矢羽状散斑ヤバネススキ(矢羽薄)不規則な白斑が左右交互に出る(矢羽模様)細かな白斑が点在・交錯する
点斑・モザイク状斑点ススキ(仮称)まばらな点斑稀に見られる。葉緑体の変異由来
全体白化型(極端な白化)シロススキ、白覆輪ススキなど白地にわずかな緑縞栄養が乏しく成育がやや劣る

◼️ それぞれの品種の特徴を少し詳しく

タカノハススキ(鷹の羽薄)

  • 葉の中央に明瞭な太い黄白色の筋

  • 鷹の羽根のような勇壮な姿から命名

  • 江戸時代から観賞用に使われる伝統的品種

  • 夏〜秋にかけて斑が明瞭になる

ヤハズススキ(矢筈薄)

  • 細くシャープな白い縞が平行に数本ずつ入る

  • 葉の縁や中央のラインが複数走り、スタイリッシュ

  • やや繊細な外観で、茶庭などにも使われる

ヤバネススキ(矢羽薄)

  • 葉の表面に不規則な白斑が左右交互に斜めに交錯する

  • 独特の装飾性で、名前どおり矢羽根に見えることから命名


◼️ 斑入りススキ品種の文化的背景

  • これらの品種は、日本の伝統園芸において「意匠的な美しさ」が重視され、名前に**動物や武具の名(鷹、矢筈、矢羽など)**を用いてきました。

  • 鑑賞されるのは、花穂よりも葉の美しさ・風に揺れる姿

  • 茶庭や坪庭、路地植えに利用され、季節の移ろいを表す植物として愛されてきました。

 

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休耕地で採食するキジ♂が合間に母衣打ち♪【野鳥:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月下旬・午前10:05頃・晴れ 

休耕地らしき原っぱの端っこでキジ♂(Phasianus versicolor)が歩きながら地面をあちこち啄んで食事をしています。 
原っぱの奥にある雑草の茂みや雑木林にいつでも逃げ込めるように、林縁から離れずに採食しています。 
しかし草丈の高い茂みの中ではなく、もっと開けた見晴らしの良い原っぱで採食するのがキジ本来の好みのようです。 

私の背後の車道をトラックや普通車両が次々と騒々しく走行しても、だいぶ距離が離れているので、キジは気にしません。 

母衣ほろ打ちが撮れるまで、じっくり長撮りしてみました。 
採食の合間にときどき立ち止まってやや背伸びをしても、キジ♂はなかなか鳴いてくれません。 
全身の羽毛を逆立てて身震いすることもありました。 

ようやく、縄張り宣言の母衣打ち♪を披露してくれました。(@5:44〜) 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@6:17〜)、ケンケーンと大声で絶叫する前後で素早く3+9回羽ばたいていました。 
この力強い羽ばたきによって、ドドドド…♪という重低音のビートが鳴き声の伴奏になります。 
母衣打ちの際に瞬膜が一瞬閉じています。 

胸元の羽毛を嘴で整えてから(羽繕い)、採食を再開。 

繁殖期のキジ♂は定期的に鳴くので、次は240-fpsのハイスピード動画でも母衣ほろ打ちを録画しようと、同一個体を辛抱強く撮り続けました(@6:32〜)。 
やはりこの個体は、3+9回羽ばたいて母衣打ちしていました。


2025/08/18

昼間に営巣地で欠伸するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/24・午前11:54・気温24℃(@0:00〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母親が2つの巣口LRの中間地点に座って休みながら、口を大きく開いて欠伸をしました。 
おもむろに立ち上がると巣口Lに歩み寄り、痒い体を掻きました。 
移動の際に、腹面に乳房と乳首が見えます。 
巣口Lで出迎えてくれた2匹の幼獣を母親♀が順番に対他毛繕いしてやります。 

昼前なのにモノクロで録画されたのは、夏は林冠に鬱蒼と葉が茂って日光を遮り、かなり薄暗いからです。 


シーン2:6/24・午後17:23(@0:56〜) 
同じ日の夕方、留守番する幼獣の姿が巣口Lに写っています。 
画面右の林床で採餌していた母親♀が営巣地(セット)にノソノソと戻ってきました。 
体を掻き、欠伸してから巣穴Lに入りました。 
この個体には、モノクロでも右腰に白斑が認められます。 


セラスチウム(シロミミナグサ)の花蜜を吸うベニシジミ夏型【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午前10:05頃・くもり 

民家の花壇に咲いた見慣れない園芸植物の群落で夏型のベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。 
私は園芸植物に疎いので、Googleレンズで画像検索したところ、白い花の名前がセラスチウム(別名シロミミナグサ、ナツユキソウ)と判明。 

曇天のため、少しでも日光を浴びようとベニシジミは翅を半開きのまま吸蜜しています。 
少し飛んで別の花に止まり直し、次々に吸蜜しています。 

ベニシジミが花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:38〜)

2025/08/17

アナグマの空き巣を内見に通うホンドタヌキ♀♂:6月中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月中旬 

シーン0:6/11(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っています。 
ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 
面白そうな行動は個別の記事に取り上げたので、今回は残り物です。 
アナグマの家族がセットに転入してくる前の出来事です。 


シーン1:6/12(@0:07〜) 
暗い夜に何度も登場し、アナグマの巣穴L(空き巣)を頻繁に内検しています。 
そんなに気に入ったのなら住み付けばよいのに、巣内Lで何をしているのか不明です。 
春に巣内Lで餓死した「いざりタヌキ」の死骸が白骨化して奥に転がっているはずなので、それが気になるのでしょうか? 
(まさか仲間の墓参りに来ている?) 
穴居性の虫や死骸に群がるスカベンジャーの虫を捕食しにタヌキはせっせと通っているのかな? 


シーン2:6/14(@4:09〜) 
もう一つの巣穴Rもたまに内検しています。 


 シーン3:6/15(@6:13〜) 

シーン4:6/17(@7:02〜) 

シーン5:6/18(@10:40〜) 
夜だけでなく、明るい日中にも登場しました。 


シーン6:6/19(@16:54〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

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