2018/02/24

アカタテハ:初夏の避暑行動?



2016年6月上旬・午後12:18〜12:20

低山の峠道を歩いていると、アカタテハVanessa indica)が山腹の草むらに飛び込み、おそらくヌルデの幼木と思われる植物の葉裏に下向きで止まりました。
翅を開閉しながら休んでいます。
この日は朝から快晴なのに、葉表で翅を広げて日光浴していません。
むしろ、正午過ぎの強い日差しを避けるために葉陰に隠れた印象を受けました。
少なくとも蝶の胴体は完全に日陰に入っています。
アカタテハ幼虫の食草はイラクサ科植物なので、アカタテハ♀による産卵行動も除外できます。
天敵から必死に逃げてきて茂みに身を隠した(緊急避難)という可能性も考えられます。
しかし、それなら暢気に翅を開閉しているのも変ですし、辺りにそれらしき捕食者(野鳥など)の姿はありませんでした。
もうひとつ別の可能性を無理やり絞り出すと、蛹から羽化直後の個体が伸びたばかりの翅を乾かしているところだったりして…?

どうしても先を急ぐ用事があった私は、この個体が飛び立つまでじっくり待てませんでした。
アカタテハのこのような避暑行動?を見るのは初めてです。
とは言え、慌てたあまりに肝心の気温を測り忘れたのは痛恨のミスでした。
個人的に気になる観察事例なので、今後のためにも忘れないようにブログに記録しておきます。

福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』によると、

 昆虫が正常な活動をする気温は、種類や分布域に関係なしに一般に15〜30℃、(中略)であるといわれる。一方、昆虫の体温は、太陽の輻射熱をうけて飛びまわる状況下で、気温よりも10℃あるいはそれ以上高くなる。蝶の成虫がよく活動するのが体温30〜37℃のときであるとすれば、気温が30℃を超えることが多い日本の夏は、体温調節機能が弱い変温動物である蝶にとって、飛ぶ場所や時刻を変えるなどの対応をし、それも限界を超えると、もはや活動を停止せざるをえないことになる。 (p184より引用)
しかしこの後で、盛夏時の没姿現象や夏眠する蝶として列挙された中に、アカタテハは含まれていませんでした。
つまり、アカタテハが何か特別な避暑行動をするという記述は見つかりませんでした。





▼関連記事(3年後に撮影) 
ハツユキソウの葉裏に移動して日差しを避けるヒメアカタテハ


アカタテハ@ヌルデ幼木葉裏+避暑
アカタテハ@ヌルデ幼木葉裏+避暑
アカタテハ@ヌルデ幼木葉裏+避暑・全景

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