2024/11/30

雪で埋もれたニホンアナグマの越冬用営巣地で換気口を発見?

 



2023年12月下旬・午後・晴れ 

平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する営巣地(セット)を定点観察しています。 
トレイルカメラ2台の電池やSDカードを交換したついでに、根雪で埋もれかけた2つの巣口L、Rの様子を動画に撮りました。 
今季は異常な暖冬で積雪量が少ないです。
雪面の雪質は湿雪(いわゆる腐れ雪)のため、獣道に残る足跡は不鮮明でした。 
巣口付近の雪面は、アナグマが出入りするために黒い土で汚れています。 

巣口Lから2〜3m南の地点の雪面に開口している小さな丸い穴が気になりました。 
謎の穴の横に私の右手を並べて、大きさの比較対象としました。 
動画では眩しい雪面とのコントラストの差が大き過ぎて、穴の奥は真っ暗で何も見えません。 
肉眼で見ると、穴の奥に地面が露出していて、地中に小さな丸い穴が開いていました。

野ネズミの巣穴かと初めは思ったのですが、巣口に出入りする野ネズミの足跡や尻尾の跡が雪面に全く残っていません。
トレイルカメラをもう1台設置して、謎の小穴から野ネズミが出入りしているかどうか監視したかったのですが、限られた数の撮影機材をやり繰りして複数のプロジェクトを同時進行しているために、実現できませんでした。

野ネズミの仕業ではないとすれば、ここだけ地熱が高い理由は何でしょう?
もしかするとアナグマの巣穴の換気口(空気穴)かもしれない、と思いつきました。 
中で冬眠・越冬するアナグマ家族の吐く息が暖かいために、換気口の周囲の雪だけが早く溶けたと考えれば説明できそうです。 
地面の黒い土が雪原に少しでも露出すれば、昼間の太陽光で温められて周囲の雪が更に急速に溶けるでしょう。
雪国では冬に巣口が積雪で埋もれてしまうことがありますから、換気口を別に開けておかないと、巣内のアナグマは窒息してしまいます。 
アナグマが意図的に作った換気口とは限らず、トンネルが地中の浅いところに掘られている場合は、天井の薄い部分がたまたま崩落して小さな穴が開いてしまった可能性もあります。 
寒い冬に謎の小さな穴から白い湯気が立ち昇っていたら換気口だと確信がもてるのですけど、それはまだ見たことがありません。
精密に測定できるサーモグラフィカメラは高嶺の花ですが、もしそれで謎の巣穴を撮ったら、穴居性動物の暖かい呼気を検出できるでしょうか?

謎の穴にファイバースコープを突っ込んで調べてみたいのはやまやまなのですが、越冬中のアナグマ家族を怖がらせたり邪魔したくありません。 
高性能の長いファイバースコープは高嶺の花なので、翌年(2024年)の秋に、一脚の先端に取り付けたハンディカメラを巣口Lにそっと差し込んで巣内を初めて撮影してみました。(映像公開予定) 
一脚の長さが短いために、奥の居住区まで見れませんでしたが、少なくとも巣口Lからトンネル(巣坑)は南に向かって真っ直ぐ伸びていることが確かめられました。 
つまり、雪深い厳冬期に見つけた謎の穴はアナグマの換気口だろうという仮説を私はまだ信じています。






【追記】
実は5日前にもアナグマの越冬用営巣地(セット)に現場入りしていて、このとき初めて換気口らしき謎の小穴を雪面に見つけていました。
写真だけ撮っていたので、載せておきます。
このときも穴の周囲の新雪に小動物の足跡は残っていませんでした。








ヒメアオキ:斑入りの葉

2023年12月中旬

平地の二次林の林床には常緑低木のヒメアオキがパッチ状に点在しているのですが、斑入りの葉の群落を見つけました。 
緑色の葉全体に黄色い斑点が散りばめられています。 
このような斑入りは庭木の園芸植物としては見かけたことがあるのですが、ここでは完全に野生株です。 
斑入り群落の隣には、葉全体が緑色の正常株のヒメアオキ群落と隣接していました。

ヒメアオキは耐陰性の高い植物です。
植物の葉が斑入りになると、一般的に光合成の効率が落ちて耐陰性も下がります。
ヒメアオキの場合はなぜか例外で、逆に斑入り株のほうが耐陰性が優れていると言われているそうです。
この理屈が私にはさっぱり分かりません。
今回見つけた斑入り群落に隣接する正常株の群落のほうが少しだけ高く成長していたので、反証(一般論が正しい)になるかと思いました。
しかしAIのGeminiに相談すると、林床の日照条件が隣接する群落でも違う可能性が高いですし、各株の年齢も土壌の性質も揃っていないことから、反証にはならないと指摘されてしまいました。
厳密には採集・栽培して実験的に確かめるしかなさそうです。

ヒメアオキの自然史では種子散布や虫こぶの話も面白そうなので、自分なりに追々調べていけたらと思います。
 
手前が斑入りの群落、奥が正常株の群落(またはヒメユズリハかも?)

アキノノゲシの花蜜を吸い飛び回るモンシロチョウ夏型♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年9月下旬・午前10:05頃・晴れ 

山麓の農村部で道端に咲いたアキノノゲシの群落に夏型のモンシロチョウ♀(Pieris rapae)が訪花していました。 
こんなありふれた普通種同士の組み合わせなのに、意外にも初見でした。 
翅をしっかり閉じたまま、口吻を伸ばして吸蜜しています。 

モンシロチョウがアキノノゲシの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:22〜) 
翅裏の黄色みが強いことと、羽ばたく瞬間に見せてくれた翅表の斑紋から、夏型♀のようです。 

ところで、訪花中のモンシロチョウ♀の周囲を飛び回る謎の微小な黒い虫の正体が気になります。 
コマユバチ科などのモンシロチョウを寄主とする寄生蜂なら面白いのですけど、有翅のアブラムシですかね? 

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