2025/07/18

山中の水溜りで暮らすカエル【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年6月中旬〜下旬 

シーン0:6/17・午後12:50・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
山林の中に少し開けた湿地帯があります。 
湧き水や雨水が溜まった水溜りを野生動物や野鳥が来て水場として利用しているので、自動センサーカメラ(旧機種)で見張っています。 


シーン1:6/19・午前9:00(@0:04〜) 
右手前の水溜まりの中に居たカエルが左の岸にピョンピョン跳んで素早く上陸しました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:15〜) 


シーン2:6/19・午後13:19・晴れ(@0:26〜) 
挙動が不安定な旧機種のトレイルカメラが、珍しくフルカラー録画に戻っていました。 

右手前の水溜まりの右岸からカエルが左に跳んで入水しました。 
泥水の中を少し泳ぐと、此岸に到達しました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:35〜) 


シーン3:6/22・午後23:20(@0:46〜) 
左手前の水溜りの此岸でカエルの白く光る眼が開きました。 
左に少し動いてから静止。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:58〜) 


シーン4:6/22・午後23:35(@1:11〜)
左の水溜りの対岸のやや左で、カエルの白く光る眼が開きました。 
しかし、その後は動きません。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:25〜) 


シーン5:6/22・午後23:44(@1:37〜) 
左の水溜りの対岸のやや左で、カエルの白く光る眼がじっとしています。 
後半になると、瞬きしながら右にゆっくり移動しました。 
1.5倍に拡大した5倍速でリプレイ。(@2:08〜) 


【考察】 
両生類のカエルは変温動物ですから、本来ならいくら活発に動いてもトレイルカメラには録画されないはずです。
今回の監視映像はいずれも、風揺れや夜蛾の飛来などでトレイルカメラが誤作動した結果と思われます。 

やや遠い上に白黒の暗視動画ですから、カエルの種類を見分けられません。 
ごく普通のニホンアマガエルHyla japonica)かもしれませんし、水溜りで育ったアズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の幼生が変態し、上陸したばかりの幼体かもしれません。 

関連記事(同じ湿地帯にある隣の水溜りで2週間前に撮影)▶ 山中の浅い泥水溜りで泳ぐアズマヒキガエル幼生の群れ 


山中の湿地帯でこうしたカエルを夜行性の野生動物やフクロウが狩りに来るのではないかと期待しているのですが、トレイルカメラでカエル狩りを一度も撮れたことがありません。 
フクロウが夜に水浴や飲水にくる水溜りはなぜか決まっていて、今回の映像では奥に少し写っています。

今回の記事を書くために調べ物をしていてChatGPTに指摘されたのですが、カエルの目が夜に光を反射して見えてもタペータムがあるとは言えないのだそうです。
カエルは発生の各段階(幼生→幼体→成体)でタペータムがないどころか、両生類はタペータムという組織が進化しなかった系統なのだそうです。

タペータムは収斂進化の好例であり、分類群ごとに組織構造・起源・反射特性が大きく異なるらしい。

 タペータム(tapetum lucidum)の定義:
網膜の後方(脈絡膜や色素上皮の深部)に存在する反射層

光が一度網膜を通過し、タペータムで反射されて再び網膜に戻る

これによって視細胞(特に桿体細胞)の光感度が増強される

これは夜行性動物の典型的な適応機構であり、暗所視力を大きく向上させます。

■ 両生類における反射構造の位置と性質
● 両生類の目では:
網膜より後方にあるタペータム様構造は存在しない(通説)

代わりに、網膜の前面側や網膜自体の中にある色素細胞やグリア細胞の配列が、光を乱反射・反射することで、目が「光って見える」ことがあります

しかしこれは、光を“増強して戻す”機構ではなく、あくまで副次的な反射

つまり、構造の位置と機能が異なるため、「タペータム」とは呼べないのです。

■ 例外的な報告の位置づけ
一部の研究(例:樹上性カエルの一部種)では、「タペータム様」構造の存在が示唆されたこともありますが、それらも:

組織的には網膜の後ろではないか、

機能的に反射増幅に寄与している証拠が乏しい

ため、正式な意味での「タペータム」とは区別されています。

なぜカエルはタペータムを持たず、暗視性能を犠牲にするような進化(網膜の手前の層で光を反射する)をしたのでしょうか? 

ChatGPTの回答は、

■ カエルにタペータムがない理由(仮説)

1. 水中生活に適応した視覚系の名残

オタマジャクシ期、カエルの多くは水中生活を送り、そこでは:


光の散乱が強く、タペータムによる再反射は逆に像の解像度を落とす可能性


反射光によって**水中の微細な粒子によるグレア(かすみ)**が生じやすい


➡ 水中視覚においては、むしろタペータムが邪魔になる可能性がある。


また、両生類の祖先は水中生活者であり、視細胞の高感度化よりも、像の明瞭性の維持を優先する視覚設計が選択されてきた可能性があります。


2. 桿体細胞(暗所視用視細胞)の高密度配置で補っている

両生類の網膜には、桿体細胞が非常に多く、高感度です。


タペータムの助けなしでも、十分な暗所視能力を備えている種もいます。


たとえば:


アカガエル属(Rana)などでは、夜間活動をしながらもタペータムなしで獲物を視認できるという実験報告があります。


タペータムによる「光の二重通過」よりも、ノイズの少ない一次通過の方が精度の高い視覚情報を得られるという観点もあります。


3. 夜行性だが夜目はそれほど必要でなかった

一部のカエルは夜間に活動しますが、完全な暗闇ではなく、薄明かりや月明かりがある環境(湿地、林縁など)を選んでいます。


そのような環境下では、タペータムを必要とするほどの光量不足ではないこともあり得ます。


4. 反射による自己露出リスク

タペータムの存在は、目が光る=捕食者に目立つというリスクを伴います。


両生類の多くは小型で捕食されやすく、夜間の視覚よりも被視認性の低下を優先する選択圧が働いた可能性があります。


5. タペータムを進化させる系統的な基盤を欠いていた可能性

タペータムは、哺乳類・爬虫類・魚類の中でも複数系統で独立に進化しています。


両生類(特にカエル)はそのような器官を形成するための細胞系・発生遺伝的基盤を持たなかった可能性があります。


いままで私が書いたカエルの記事を確認して、「カエルのタペータム」という記述があれば訂正しないといけません。 

2025/07/17

初夏のリンゴ園でシロツメクサの葉を食べるニホンザルの群れ

 

2024年6月中旬・午前11:00頃・晴れ 

山麓でリンゴを栽培する果樹園に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが侵入していました。 
なるべく気づかれないようにそっと近づいて観察すると、散開した群れは下草のシロツメクサをムシャムシャと採食していました。 

果樹園では、被覆植物(カバープランツ)や「コンパニオン・プランツ」としてシロツメクサを意図的に播種しているのだそうです。 
マメ科植物ですから、根粒菌による窒素固定を利用した土壌改良や肥沃度向上が期待できます。 



ニホンザルは、草食獣のように頭を下げて口で直接採食するのではなく、必ず手を使ってシロツメクサを口に運んでいます。 
地面に座り手を使って採食することで、目線をあまり下げずに済み(上半身を立てたまま)、危険な捕食者や外敵の接近をいち早く察知することができそうです。 

しかも、ニホンザルはシロツメクサの花は避けて、葉のついた茎だけを選んで次々と手でむしり取って食べていました。 (部位選択的採食)
なんとなく花の方が蜜が含まれていて甘そうなのに、ニホンザルにとっては美味しくないのでしょう。 
あるいは栄養に乏しかったり、消化が悪かったりするのかもしれません。 
猿は両手を交互に使って採食していましたが、まじめに(定量的に)調べれば個体によって利き手(の傾向)がありそうです。 

群れには子連れの母猿も混じっていました。 
当歳仔の子猿(新生児)は、まだ離乳前のようで、シロツメクサをまったく食べませんでした。 
座ってシロツメクサを採食する母猿の背中によじ登ったり飛び降りたりして遊んでいます。 
枝葉の隙間から隠し撮りしている私に気づいた母親♀が子猿を抱き寄せて、左の木陰に逃げ込みました。

果樹園に侵入したニホンザルはヒトに対する警戒心を高めているようで、特に成獣個体は私に気づくとさりげなく死角に隠れてしまいます。 
一方、若い子猿はヒトに対する恐れを知らないのか、原っぱで独り堂々と、シロツメクサの葉を食べ漁っていました。 
クローバーの茎を手でブチッとむしり取るには、結構力を要するようです。 

最後に、ニホンザルの群れが居なくなった後で、リンゴ園の全景をスナップショットのように撮りました。 
雪国のリンゴ園では、冬の間は電気柵が積雪で潰れないように撤去しています。 
この時期(6月中旬)のリンゴ園はまだ電気柵で囲い直していないため、サルは侵入し放題です。 
ちなみに、1週間後に同じリンゴ園を再び訪れたときには、電気柵でしっかり取り囲まれていました。 


今回Perplexity AIを使った調べ物をしていて初めて知ったのですが、シロツメクサは家畜の牧草としてよく使われるのに、その全草にはシアン配糖体(青酸配糖体)という微量の毒が含まれていることがあるそうです。
ただし、シロツメクサの青酸配糖体の含有量は通常は低く、大量に摂取した場合や極端なストレス条件下(霜害、踏圧、過剰な若葉など)でない限り、家畜の健康被害はほとんどないそうです


山中の水溜りに次々と飛来して泥濘から集団吸水する夜行性の蛾【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月中旬〜下旬 

シーン1:6/20・午後22:13(@0:00〜) 
水溜りからフクロウが飛び去った後で、山中の湿地帯では夜行性の蛾(種名不詳)が飛び回っています。 
やがて右から飛来した1頭の夜蛾が、水溜りの中洲に着陸しました。 
トレイルカメラが照射する赤外線を反射して、夜蛾の複眼が白く光って見えます。 
 1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:32〜) 


シーン2:6/20・午後22:39(@0:47〜) 
約25分後、コウモリの飛来で監視カメラが起動しました。(コウモリの映像は割愛。) 
中洲の泥濘に留まったまま休んでいる夜蛾が写っています。 
おそらく口吻を伸ばして泥を舐め、泥水に含まれるミネラル成分を摂取しているのでしょう。 

そこへ右から低空で飛来した別個体の夜蛾が、同じ中洲に着地しました。 
すると先客の個体が驚いて飛び立ち、後から来た個体も釣られて再び飛び立ちました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:28〜) 
同種らしき夜蛾が計3頭集まっていました。 


シーン2:6/22・午後21:27(@1:58〜) 
コウモリが飛び去った後で、1頭の夜蛾が右から低空で飛来し、水溜りの岸の泥濘に着陸しました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@2:13〜)


【考察】
昼行性なら、集団吸水行動をする鱗翅目(チョウ・ガの仲間)は珍しくありません。 
水場で吸水している仲間を飛びながら視覚的に見つけると、近くに舞い降りて飲み会に参加します。 
ミネラル成分が濃い地点を味見しながら自力で探す手間が省け、水場で捕食者に襲われるリスクも下がるのでしょう。 
同じ地点で吸水およびミネラル摂取する個体数が連鎖反応でどんどん増えて、集団吸水の群れが形成されます。 

その一方で、夜行性の蛾では水場で仲間を視覚的に見つけるのは難しいはずです。 
集団吸水の群れが夜も形成されるとしたら、個々で探索行動をした結果たまたま同じ地点に集まってしまう場合か、仲間を嗅覚で誘引する集合フェロモン(性フェロモン?)を放出しているのでしょう。 

謎解きする上で次の一手としては、この水溜りに集まって吸水・ミネラル摂取する夜蛾の種類を同定したいものです。
そのためにはどうしても現場で夜蛾を採集するか、ストロボを焚いて同定用の写真を高画質でしっかり撮る必要があります。
しかし現場入りして夜通し水場を見張るのは大変そうですし、プロジェクトの主要目的である野生動物や野鳥が私を怖がって水場に来なくなってしまうのでは本末転倒です。
無人カメラで闇雲にインターバル撮影するとしたら、フラッシュを光らせる電池の消耗が激しそうです。

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