2025/06/02

タヌキの溜め糞場を踏んづけて横切るヤマドリ♂【野鳥:トレイルカメラ】

 

2024年5月下旬・午前5:15頃・日の出時刻は午前4:19 

里山でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場ltrがある林道を見張っていると、早朝にヤマドリ♂(亜種キタヤマドリ:Syrmaticus soemmerringii scintillans)が現れました。 
溜め糞の手前で立ち止まって見ていたので、もしかすると糞虫類を捕食しに来たのかもしれません。 
しかし糞虫が見つからなかったのか、左へゆっくり歩いて横切りました。 

関連記事(2年前に別の溜め糞場で撮影)▶ 昼間にスギ林道を歩くヤマドリ♂【野鳥:トレイルカメラ】


我々ヒトの衛生感覚からすると信じられないのですが、このヤマドリ♂は溜め糞を気にせず素足で直に踏んづけて歩きました。 
鳥は嗅覚が鈍く糞便の悪臭も感じないとすると、嫌悪感もないのでしょう。
穿った解釈をすると、鋭い嗅覚を頼りに獲物の足取りを追跡するキツネやテンなどの捕食者を撹乱するために、わざと獣糞の匂いを足の裏に付けたのかもしれません。
この場合、ヤマドリが脳で考えて対捕食者戦略を編み出したとは限りません。
獣糞を迂回して歩く個体よりも、無頓着に獣糞を踏んで歩く個体の方が捕食者によって狩られる頻度が下がれば、そのような性質が自然淘汰の結果として進化するはずです。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
綺麗なフルカラーでヤマドリ♂を撮れなかったのが残念です。



2025/06/01

昼間の二次林をうろつき餌を探すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年5月下旬〜6月上旬 

明るい昼間にニホンアナグマMeles anakuma)が平地の二次林をうろついて採食するシーンをまとめました。 
死んだアナグマの旧営巣地(セット)に住み着くでもなく、ただ餌場として林床を利用しているようです。 
登場する個体の性別は♀だと思うのですが、どうでしょうか。 


シーン1:5/26・午後15:40・晴れ・気温24℃(@0:00〜) 
右エリアの林床でリター(落葉)の下に鼻面を突っ込んで、ミミズなどの餌を探し回っています。 
次は右上奥の立木(オニグルミ?)の根元で餌探し。 


シーン2:5/31・午後15:20・くもり・気温17℃(@1:00〜) 
5日後も日中にアナグマが登場。 
旧営巣地の広場から林内に入った直後にスクワットマーキングで縄張りを宣言しました。 
ミズキの背後で再びスクワットマーキング。 
死角で何をしてるのかよく見えないのですが、採食かな? 

身震いしてから右に立ち去りました。 


シーン3:6/9・午前11:35・くもり・気温23℃(@1:56〜) 
9日後の昼前にアナグマがやって来ました。 
獣道で立ち止まって身震いすると、二次林の奥へ向かいます。 
手前のミズキ灌木が邪魔で、よく見えないのですが、林床の匂いをフガフガ嗅ぎながら前足で地面を掘り、餌を探しているようです。 


シーン4:6/9・午前11:46・くもり・気温23℃(@2:49〜) 
アナグマが左に立ち去る姿がちらっと写りました。 


シーン5:6/9・午後12:15・くもり・気温25℃(@2:55〜) 
30分後の昼下がりに戻ってきたアナグマが林縁を左へ向かいます。 
立ち止まって林床を前足でひっかき始めました。 


シーン6:6/10・午前11:11・晴れ・気温21℃(@3:35〜) 
翌日も昼前にアナグマが登場。 
身震いすると獣道を右へ向かいます。 
途中で左折すると、奥の林内へ。 
このアングルでアナグマの探餌徘徊が撮れたのは初めてかもしれません。 



サイハイランの花で採餌するミヤママルハナバチ創設女王

 

前回の記事:▶ サイハイランの花 


2024年5月下旬・午前11:30頃・くもり 

二次林の林床に点在するサイハイランの小群落でミヤママルハナバチ♀(Bombus honshuensis honshuensis)が忙しなく訪花していました。 
この時期はワーカー♀(働き蜂)ではなく、越冬明けの創設女王が単独で採餌もしています。

訪花シーンがあまりにも忙しないので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:34〜)
正当訪花した蜂が顔を突っ込んで口吻を伸ばし、花蜜を吸っています。
ラン科に特有の花粉塊(濃い黄色)が蜂の両肩の辺り(正確には前脚の根元)にいくつも付着しています。 
後脚の花粉籠にも花粉団子が少量付いていました。
つまり、ミヤママルハナバチはサイハイランの授粉を助けていることが分かりました。

帰巣してもサイハイランの花粉塊は蜂の両肩に付けたまま落とさないのか(気づいていない?)興味がありました。
しかし、その場でしばらく待っても同一個体の蜂は戻ってきてくれませんでした。

初めはこの蜂をトラマルハナバチかと思ったのですが、よく見ると体毛が黄色いミヤママルハナバチでした。 
私にとってレアな(希少で珍しい)マルハナバチになります。
 「平地にミヤママルハナバチが居るはずがない」、という思い込みから、まじめに検討しないで「トラマルハナバチに違いない」、と決めつけた誤同定が実は多いかもしれません。(自戒を込めて) 

ミヤママルハナバチという同定に自信がもてなかった私は、いつものようにPerplexity AIに相談したところ、とても有益なブレインストーミングになりました。
AIによる画像認識でもミヤママルハナバチという判定でした。
マルハナバチで創設女王の採餌する範囲は、ワーカー♀よりも狭いのが一般的らしい。 
最寄りの裏山は直線距離で1.7kmもあります。
本来ミヤママルハナバチの分布は山地性なのに、今回の個体は珍しく平地で営巣していることになります。 

せっかくサイハイランの花が咲いたのに、各株の根元から出た大きな葉は黄変していることが多いです。
サイハイランはスプリング・エフェメラルのような生活史ではないので、二次林の林床という環境では日照不足で葉が枯れかけているだけでしょう。
初夏以降の雑木林は樹冠に葉が生い茂る結果、昼間でも暗くなり、日照不足で昆虫の蜜源となる花はほとんど咲かなくなります。
したがって、後日マルハナバチの姿を林床で見かけることもありませんでした。
近くにあるはずの営巣地を突き止められなかったのが残念です。


【参考文献】
 島田真彦・北村俊平 2021.サイハイランの有効な送粉者の特定―マルハナバチ 2 種の採餌行動の比較―.日本生態学会第 68 回全国大会講演要旨集,P1-067. 


学会の公式サイトでいつまで要旨が保存・公開してもらえるのか分かりません。
自分の研究ではないので申し訳ないのですが、以下に転載させてもらいます。
この成果はその後、学術論文として正式に発表されたのかな?

サイハイランの有効な送粉者の特定ーマルハナバチ2種の採餌行動の比較ー
A comparison of two pollinators: Bombus ssp. on orchid Cremastra variabilis
*島田真彦, 北村俊平(石川県立大学)
*Shimada MASAHIKO, shumpei KITAMURA(Ishikawa Pref. Univ.)

ラン科の多くは昆虫の訪花頻度が低く、送粉者を直接観察することは難しい。本研究ではサイハイランの開花期間を通してカメラトラップによる送粉者調査を実施した。また、訪花が撮影されたマルハナバチ2種の訪花行動を詳細に分析し、花粉塊の付着との関係を検討した。2020年5月19日~6月16日に金沢大学角間里山ゾーンの広葉樹二次林で、サイハイラン26花序382花を対象としてカメラトラップによる送粉者調査を実施した。カメラトラップにはLtl-Acorn6210を使用し、センサーが訪花昆虫を感知した際、60秒の動画を撮影する設定とした。また、直接観察により4日間隔で花粉塊の状態を記録した。撮影回数の上位種の訪花行動をHovering、Landing、Searching、Feedingに分類した。また花粉塊の付着に関連する行動として、Feeding時にハチの体が花内部の蕊柱の上下どちらに位置するかを判別した。2020年10月に対象花序の結果数を調査した。572カメラ日の観察から5科16種の昆虫が記録され、撮影回数の上位種はコマルハナバチ(20回)とトラマルハナバチ(11回)だった。採餌位置が判別不明な個花での採餌を除いて、前者は蕊柱の上からのFeedingはなく(0%、N=76)、花粉塊の付着は無かった。一方、後者は高頻度で蕊柱の下からのFeedingを行い、(84%、N=34)、3花序では花粉塊の付着も見られた。結果率は1.3%(3花序5果実)で、いずれも花粉塊が付着したトラマルハナバチが訪花していた。カメラトラップを用いた撮影記録に基づく花粉塊の付着、および放課後(原文ママ:正しくは訪花後?)の結果状況から、本調査地ではトラマルハナバチのみがサイハイランの有効な送粉者として機能していると示唆された。

要旨だけでも専門家の研究方法が垣間見れて勉強になりました。





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